いよいよ放射能海洋投棄 2021年04月10日 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1459.html 日本政府(原子力産業寄生政党)が、フクイチ放射能汚染水の海洋投棄を決定したのは昨年、2020年10月だった。 海洋放出を政府が決定へ 福島第一原発の汚染処理水 2020年10月15日 https://www.tokyo-np.co.jp/article/62141 これに対して、太平洋各国から懸念の声が出ていたが、グリーンピースの意見に説得力があるので紹介する。 国際法は、国境を越える汚染の防止を求めている。2019/8/7 https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2019/08/07/9848/ 国際法は、国境を越えておこなわれる重大な汚染の防止を求めています。 1982年に採択された「国連海洋法条約(UNCLOS)」第194条(2)は、 「いずれの国も、自国の管轄又は管理の下における活動が他の国及びその環境に対し汚染による損害を生じさせないように行われること並びに自国の管轄又は管理の下における事件又は活動から生ずる汚染がこの条約に従って自国が主権的権利を行使する区域を越えて拡大しないことを確保するためにすべての必要な措置をとる」としています つまり、国境を超えて環境破壊の被害が出ないように、あらゆる手を尽くしてください、ということです。 昨年、日本政府は汚染水をどうするかについて報告書をまとめて選択肢を5つ示しました。 地層注入、地下埋設(コンクリート固化)、海洋放出、 水蒸気での大気放出、水素での大気放出です。 これらは自然環境の中に捨てるものです。とくに海洋放出は、日本が管轄する区域を超えての汚染の拡大にあたります。そうしないための措置をとるべきです。 汚染水の「排出基準超え」問題が2018年9月に発覚してから、環境放出への反対の声が高まり、現在国の委員会で長期保管という選択肢が検討されつつあります。 あくまでも環境に放出することのないよう、注目していきましょう。 詳しくは>>。ヨ東電が汚染水を海に流してはいけない4つの理由」 薄めて流してはダメ また、同じ国連海洋法条約の第195条では「いずれの国も、海洋環境の汚染を防止し、軽減し又は規制するための措置をとるに当たり、損害若しくは危険を一の区域から他の区域へ直接若しくは間接に移転させないように又は一の類型の汚染を他の類型の汚染に変えないように行動する」とあります。 タンクの中の放射能汚染水を海に捨ててしまうのは、危険の移転にあたるのではないでしょうか。 そのまま流せば日本の排出基準を超えるけど、「水で薄めて海に放出して構わない…」 日本の原子力規制委員長の更田豊志さんは、かつてそんなことをいいました。 どうしたら放出できるか、ではなく、放出しないために「行動する」ことが求められています。 2011年にした約束 2011年、東電福島原発事故発生直後、日本は「継続的な海洋モニタリングの維持と強化、放射性物質の拡散の影響の調査と決定、調査結果の公表に全力を尽くす」、 「海洋への流出を最小限に抑える方法を研究する」(LC / SG 34/15の付録8)とロンドン条約/ロンドン議定書締約国会議の場で約束しました(注1)。 2018年のロンドン条約/ロンドン議定書締約国会議でのやりとり 2018年11月に開催されたロンドン条約/ロンドン議定書締約国会議にオブザーバーの資格で参加したグリーンピースは、日本政府の2011年の発言に触れた上で、汚染水の処理がうまくいかなったこと、また、汚染水の海洋放出が選択肢にあがっていることについて、地域的にみても国際的にみても、深く憂慮すべき事態であると発言しました。 そして、1990年代にロシア軍が放射性液体廃棄物を日本海に投棄していたが、それをやめることができたのは、当時、日本をはじめとする国際的な協力があったからこそだったと述べました(注2)。 これに対し、日本政府の代表団は、「当該の件はロンドン条約/ロンドン議定書の範囲外ジ(注3)と承知しているものの、廃液の最終処分については決定されていない、地域の住民や專門家の意見を聴取している最中であり、最終処分の方法を検討中である」と述べました。 そして、「最終処分がいなかる形になろうとも、放出する際の放射能のレベルはトリチウムを含め、規制で許可されている値以下になる」と述べました。そのために東電が再度の処理を行うとも報告しました。そして、最後に、これらの廃棄物管理を今後どうするかについては透明性をもって国際社会に説明し続けることを約束しました。 こうした日本政府の代表団の発言に続いて、韓国政府の代表団が、日本による情報提供に感謝の意を表し、放射能汚染水が海洋に放出される可能性は、近隣諸国の重大な関心事であり、引き続きの情報共有を歓迎するとしました。 会議を運営している国際海事機関(IMO)もまた、同様に日本に感謝を表し、継続的な情報提供に期待を寄せました。 IMOホームページより 日本政府は引き続き、国際社会に説明を グリーンピースは、8月2日、秋に開かれるロンドン条約/ロンドン議定書締約国会議の場でも日本政府が丁寧な説明をおこない、国際社会に情報を共有することを期待する意見書を国際海事機関に提出しました。 日本政府に対しても非公式に事前に質問を送っています。 ロンドン条約/ロンドン議定書締約国会議(10月7日〜11日)には、グリーンピースも参加します。今年も東電福島原発敷地内にたまり続ける放射能汚染水について、注意を喚起します。 日本の国内からも声を 日本政府は、国際社会に「地域の住民と専門家の意見を聞いているところ」と説明しています。「汚染水を海洋放出しないで」の声を届けましょう。 注1:第40回ロンドン条約/第16回ロンドン議定書締約国会議 報告書より 上記のやりとりについては、元の英語からグリーンピースが翻訳しています。 注2:グリーンピースは、1993年にロシアが放射性廃棄物を日本海で海洋投棄している現場を明らかにしました。 その結果、国際的な批判が高まり、ロシアは投棄を中止。同年、 ロンドン条約締結国会議で放射性廃棄物の海洋投棄全面禁止が決議されました(ただし陸上からの排出は除く)。日本政府は、ロシアに対して、液体放射性廃棄物の処理施設の建設を支援するなどの協力をしました。 注3: ロンドン条約では、船で海に運んで投棄することを禁止していて、陸上からの放出は適用範囲外。 注4: グリーンピースによる意見書 ****************************************************************** 日本政府は世界中から寄せられた反対意見に怯んでか、昨年11月から実施するはずだった海洋投棄を延期させることにした。しかし、5ヶ月後の昨日、再び海洋投棄の実施を表明した。 福島第1原発処理水、海洋放出へ 政府、13日にも閣僚会議 2021年4月9日 https://www.sakigake.jp/news/article/20210409CO0072/ 東京電力福島第1原発で汚染水を浄化した後の処理水の処分に関し、政府が海洋放出の方針を固めたことが分かった。13日にも関係閣僚会議を開いて正式決定する。関係者が9日明らかにした。 決定すれば2013年から続く処理水の扱いを巡る議論の大きな節目となる。しかし、原発事故に加え二重の風評被害が出るとして地元や漁業者の懸念は大きい。全国漁業協同組合連合会(全漁連)は「海洋放出は絶対反対」としており、放出には風評対策や補償制度の具体化が課題になる。 東電は風評被害が出れば賠償を検討する方向で、額が膨らめば経営に痛手となる可能性もある。 **********************************************************: 引用以上 【東電は風評被害が出れば賠償を検討する方向】 これを見て嘲笑しなかった人は少ないだろう。東電は、フクイチ事故に関する賠償責任の大半を、自民党政権を通じて、日本国民の血税に転嫁してきたからだ。 いったい、「風評被害」とやらのオブラートにくるんだ放射能被曝の実害を、誰が賠償するのか? たまには、東電社員と汚染水投棄賛成派議員だけで賠償してみやがれ! 実は、フクイチ汚染水は、東電の説明するようなトリチウムばかりではない。 上と同じく、グリーンピースから引用する。 東電が汚染水を海に流してはいけない4つの理由 https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2019/07/23/9618/ 東京電力福島第一原発の敷地内には、放射能で汚染された水(汚染水)がたまり続けています。多核種除去設備(ALPS)で処理した水など合計で100万トンを超えています。 ALPSでは、トリチウムは取り除けませんが、62もの放射性核種を基準値以下にすることになっていました。しかし、2018年9月、東電は、ALPSで処理した水のうち、84%が基準を満たしていなことを明らかにしました。 処理水を今後どうするかについては、海への放出も選択肢となっています。海洋放出は、海洋環境を汚染し、漁業者にも大きな打撃を与えます。すでに事故により甚大な被害を被っている被災者の方々に、汚染水の海洋放出によって追い打ちをかけるようなことがあってはなりません。 東電は溶けた核燃料を冷やすために、毎日数百トンの水を原子炉に入れています。また、山側から海側に流れている地下水が原子炉建屋に流れ込んでいます。これらの水は高濃度の放射能汚染水になっています。 地下水が原子炉建屋に流れ込んでしまうのは原子炉建屋の位置が低いため。建設段階で、海水の汲み上げコスト削減のために原子炉建屋の位置を海面近くまで掘り下げました。そのために今、地下水が原子炉建屋に流れ込み、汚染水を増やしています。 汚染水の処理 東電はこの汚染水のリスクを下げるため処理をしています。まず、セシウムとストロンチウムを分離、その後、他核種除去設備(ALPS)で、トリチウム以外の62種類の放射能を分離することになっています。 今、100万トンを超える処理水が、福島第一原発の敷地内のタンク約1000基に保管されています。 汚染水を海に流してはいけない4つの理由 国は、海洋への放出を有力な選択肢として検討していますが、それは許されません。 理由1 取り除くはずのものが取り除けていない 2018年8月、「トリチウム水をどうするか」の公聴会の直前、トリチウム水に基準を超えるストロンチウム90、ヨウ素129などの放射性核種が含まれていることが発覚しました。フリーランスライターの木野龍逸氏は、データを精査し、ヨウ素129(I-129)、ルテニウム106(Ru-106)、テクネチウム99(Tc-99)なども基準値を超えていたと報道しています。 公聴会では、海洋放出に対して反対意見がほとんどを占めました。 東電は、トリチウム水89万トンのうち8割強である約75万トンについて、基準値を超えていたことを明らかにしています。東電は放出するときには基準値以内にしてからと言っていますが、取り除くはずのものが取り除けていません。流すときには薄めればよいという問題ではありません。 理由2 トリチウムにはとくに内部被ばくのリスクがある トリチウムの半減期は12.3年です。リスクが相当低くなるまでに100年以上かかります。体内に取り込まれたトリチウムが半分になるまでには10日程度かかります。放つエネルギーは非常に低いものの、体内に存在する間に遺伝子を傷つけ続ける恐れがあります。また、体内で有機結合型トリチウムに変化すると体内にとどまる期間が長くなります。 理由3 国際法は「最善の手段を」と言っている 日本も批准している「国連海洋法条約」では「いずれの国も、海洋環境を保護し及び保全する義務を有する」としています(第192条)。 そして、第194条には「いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するため、利用することができる実行可能な最善の手段を用い、かつ、自国の能力に応じ、単独で又は適当なときは共同して、この条約に適合するすべての必要な措置をとるもの」とあります。 陸上でタンクで保管するという「実行可能な最善の手段」があるにも関わらず、海洋放出することは海洋環境保護の観点から認められません。 理由4 トリチウム分離技術は存在する 国の委員会の報告書では「トリチウム分離技術の検証試験の結果を踏まえ、直ちに実用化できる段階にある技術が確認されなかったことから、分離に要する期間、コストには言及していない」として、分離については選択肢となっていません。しかし、実際にトリチウム分離はアメリカなどでおこなわれています。より時間をかけて、検討すべきです。 汚染水は、長期保管し、その間にトリチウム分離技術の開発を 汚染水をどうするかーーそれを決定する際に、もっとも考慮すべきは太平洋の沿岸に住む人々の暮らしと健康、そして広い海全体の環境への影響です。 現在、国は汚染水をどうするかについて、従来の、海洋放出や水蒸気の形での大気放出などの選択肢に加え、陸上保管も選択肢に加えると報道されていますが、予断を許しません。 現段階で最善といえるのは、陸上で長期保管し、並行してトリチウムを含む放射性核種の分離・回収技術を開発・適用することです。 2019年12月24日、汚染水処理対策委員会宛に、汚染水を意図的に放出せず、並行してトリチウム分離技術の開発・適用を求める署名4万1521筆を提出しました。 そもそも、海洋放出は、すべての放射能が基準以下であることが前提ですが、タンク内の水の8割に基準を上回る放射能が含まれています。 それを「二次処理」して基準値以下にする、ということですが、「二次処理」で基準値以下になるのか、疑問です。 ***************************************************************** 引用以上 すでに、私のブログで汚染水問題をくり返し取り上げている。 炭素14問題 2021年03月12日 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1430.html とうとうフクイチ放射能汚染水、海洋放出へ……東電の株価を守るために 2020年10月16日 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1281.html 福島第一原発 トリチウム放出計画について 2019年12月24日 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-975.html 他にもあるが、この数年、グーグル検索では私のブログが政治的理由でほとんど表示されなくなっていて、なかなか探しづらい。 問題の本質は、日本政府と東電が、フクイチ放射能汚染水を海洋投棄したい理由は、決して「敷地に余裕が少ない」からではない。東電福島第一原発には、まだ未使用地(使用済核燃料中間貯蔵用地)が渋谷区ほどの面積、野原になって残っている。 なぜ、ここにタンクを増設しないか、また小出裕章氏が指摘するようにフクイチ港に廃棄タンカーを係留して、貯蔵できるのにやろうとしないのか? その本当の理由は、「これ以上、金をかけたくない」に尽きる。 事故処理費用が際限もなく膨らんでゆけば、東電幹部たちの退職金や、自民党議員の大半が保有しているとされる東京電力株式価格が下がって、無価値になるからだ。 東電の説明するように、もしこれが本当にトリチウムだったなら、100年ほど貯蔵するだけで、ほぼ無害化するのだ。だが、実際には、トリチウムと見せかけて、その正体はストロンチウム90やプルトニウムXだと思った方がいい。 ストロンチウム90の毒性はセシウム137の300倍、骨癌・糖尿病・膵臓癌などを引き起こし、無害化するまで、まだ300年かかる。プルトニウム至っては、人類が5回くらい滅亡と再生を繰り返す期間でも完全無害にはならない。 だから、敷地内で数百年間保管して放射能の減衰を待ち、さらにプルトニウムなど超有害核種除去技術の発展を待たねばならない。 そもそもMOX使用済み核燃料は、500年間中間貯蔵冷却を行わなければ恒久処理場に入れることさえできないのだから、汚染水処理も似たようなものだ。 だが、それには金がかかる。経営幹部の退職金に影響しそうだ。株価も下がるだろう。これが海洋投棄の本当の理由に他ならない。 それでも菅義偉政権は、今日にも閣議決定し、来月あたりから海洋投棄を始めるだろう。怒った福島漁民が自爆テロを敢行しても何の不思議もない。 福島漁民は「札束で頬を殴れば言うことを聞く」と東電に舐められているのだ。 海洋投棄をやってしまえば、もう完全に取り返しがつかない。この汚染水を薄めて放出と下劣能書を垂れ流してはいるが、海洋生物には放射能を濃縮する力が備わっている。 海洋生物生態系のなかで、一次宿主であるゴカイやエビなど底生生物、それを食べる底生魚類、放射能をどんどん際限なく濃縮してゆく生態系上位生物である、マグロ・イルカ・鯨そして人間に、どんどん放射能内部被曝が進んでゆくのだ。 薄めたって、生物がいる以上、濃縮が進むことは常識のはずなのだが……。 nousyuku01.jpg さて、海洋投棄の結果、何が起きるのか? 自民党政権は、よくウラジオストック沖に投棄された原子力潜水艦の放射能を引き合いに出すが、実は、まだウラジオ沖では、放射能が漏れ出しているのは、ごく一部であって、本番は潜水艦が完全に腐食する、これからなのだ。本格的汚染は、まだ半世紀先になるだろう。 原子力潜水艦による海洋汚染 https://atomica.jaea.go.jp/data/detail/dat_detail_01-08-01-20.html http://oneoflibrarians.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/21-5d04.html ロシアがやっているから、日本もやっていいわけではない。まして日本は、完全な条約違反の汚染レベル廃水を莫大な量、放出する。間宮海峡あたりで放出するわけではない。福島沖で放出するのだ。 太平洋魚介類は、ほぼ完全に放射能汚染される。風評被害ではない。文字通りの実害がやってくる。東電は、それほどまでして幹部の退職金と株価を守りたいのだ。 もうこうなれば、戦争が起きても不思議でないほどの人権侵害であり、暴動が起きない方が不思議というしかない。 きっと、暴動鎮圧のための札束が空を飛び交うことだろう。 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1459.html
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