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極悪の殿堂、東京電力
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1561.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 3 月 02 日 16:44:15: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 中川隆投稿集 _ 原子力発電は本当に危険なのか? 投稿者 中川隆 日時 2020 年 2 月 14 日 17:58:32)


極悪の殿堂、東京電力 2021年03月02日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1420.html
 
 電力企業がワル・マフィアの体質を持っているのは昨日、今日に始まったことじゃない。
 戦前の日電時代から、暴力団と癒着したダム工事で、人倫崩壊の極悪体質を身につけていた。

 戦時中、1943年に完成した北海道石狩川上流にある王子製紙の電源計画によって建設された雨竜ダムでは、とんでもない工事労働者に対する虐待、殺戮が戦後、暴かれた。
http://eigyou.korea-np.co.jp/j-2008/06/0806j0121-00001.htm

 北海道など僻地の工事現場では、警察の監視や介入がないので、暴力団系土建企業は、必ずといっていいほどタコ部屋を設け、労働者に暴力による強制的奴隷労働をさせていた。
 これは1980年代の、私の若い頃まで続いていた。

 また、各地のトンネル工事などで朝鮮人の強制連行者を使って苛酷な労働を行わせ、「人柱」と称する犠牲の生き埋めをしたり、用済みの労働者を殺戮して埋めたりの非道な行為を行った証拠がある。

 例えば、北見に近い定紋トンネルの工事現場で、戦後、大量の遺体がトンネルの壁に埋め込まれていた事実が発覚した。犠牲者は数百名に及ぶとも噂されている。
  https://traveroom.jp/jomontunnel
  http://gekiyabaaa.blog.fc2.com/blog-entry-45.html

 戦前、暴力団と結託して、タコ部屋奴隷労働を容認していた巨大電力企業は、戦後、九電力に分割後も、同じように強制的タコ部屋労働者を利用し続けた。
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-182.html

 佐久間ダムや黒四ダムでは、労働者に大量の犠牲者が出ているが、公表されている死者は、ごく一部にすぎない。多くは、誰も知らないままダムのコンクリートに埋め込まれているのだ。

 私は1980年当時の原発電力企業の実態を知っているが、例えば関西電力の上級社員は、刺青を入れている者が多かった。それは「人夫出し」と呼ばれた原発労働者(放射能汚染後始末用の)を斡旋する山口組とのつきあいで、「舐められないようにする」ためだ。
 だから、ダム工事で、身元もはっきりしない労働者が死んでコンクリートに埋められても、原発で釜ヶ崎から駆り出された後始末労働者が被曝死するのも、見て見ぬふりをするのが普通だった。

 東京電力も同じで、巨大事故を起こした福島第一原発の建設現場では、暴力団が堂々と闊歩していた。事故後も、後始末労働者の多くが暴力団系の斡旋業者から送られている。
 原発というのは、暴力団経由でしか来ない現場労働者を必要としているのだ。暴力団なくして原発は存在できないといってもよい。
 それを黙認・容認せざるをえない親会社の電力企業も、最初から人倫モラルを崩壊させなければ仕事にならなかった。

 この数日、明らかになった東京電力福島第一原発の、信じられない手抜き工事のニュースがある。

 「ベント」の配管が途切れていた 福島原発事故、10年目の報告書 2/27(土)
https://news.yahoo.co.jp/articles/21407c3c6379a793053dd59d9d810ffeda0a27f1

高さ120メートルの排気筒の中をてっぺんまで延びているはずの配管が、根元で途切れていた。東京電力福島第一原発の事故調査を進めていた原子力規制委員会は今年1月、見過ごされていた設計の不備を記した報告書をまとめた。

 配管は、10年前に炉心溶融(メルトダウン)を起こした1、2号機につながっている。空だき状態になった原子炉を囲む格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を含む蒸気や水素ガスを外に放出する「ベント」で使うものだ。

 1、2号機の共用排気筒の根元部分には、事故直後から謎があった。放射線量が1時間あたり10シーベルト以上と人が容易に近づけないほどで、3、4号機の排気筒と比べても異様に高かった。なぜ汚染がひどいか。事故10年を前に未解明事項の調査を再開した規制委が、写真や図面を精査する中で見えてきたのが、ベントの配管が根元で止まっているという、思いもよらぬ事実だった。

 このせいで、外部に出るはずだった放射性物質の一部が排気筒の中に蓄積し、根元部分にたまったと報告書は結論づけた。

 ベントの成否に直接の影響はなかったが、規制委の更田豊志委員長は、水素が排気筒内に出る構造だったことを問題視する。高濃度の水素が空気中の酸素と混ざれば、水素爆発のおそれがある。排気筒が壊れれば、事故はより深刻になっていた。

 ベントの配管は、1992年に国が求めた「過酷事故対策」で追加された設備の一つ。79年の米スリーマイル島、86年の旧ソ連チェルノブイリの原発事故を受け、炉心溶融に備える目的だった。ただ、電力会社の自主的な取り組みとされ、国が詳しい設計や施工を確認することはなかった。

 「当時も水素のことは意識されていたのに、なぜああいう設計になるのか。どこまで真剣だったのか」「どうぞお任せくださいと言った電力がどう取り組んだのか。信用を得たいなら、過去について正直に語るべきだ」。報告書公表後の記者会見で更田氏は不信感を隠さなかった。

 排気筒の爆発はあながち杞憂(きゆう)とは言えない。配管がきちんと上まで延びていた3、4号機でも、3号機の水素が4号機に逆流し、運転停止中だった4号機の建屋の爆発を招いた。

 配管が途切れていた経緯はいまだ明らかでなく、規制委は同型の他原発についても確認していく。東電は朝日新聞の取材に、「設計段階で十分な考慮がなされていたとは言えない」と認めつつ「理由は追えていない」と答えた。(川田俊男、編集委員・佐々木英輔)

***********************************************************************
 引用以上

 このニュースには、さすがに驚いた。
 事故後、フクイチ排気筒の線量が、煙突の脇に10分立っていただけで死んでしまうほど、凄まじい高線量であった理由がまったく分からなかった。
 しかし、これまで東電がひた隠しにしてきた、設計施工の超絶的手抜きが原因であることが、やっと明らかになり、排気筒超高線量の謎が解けた。

 本来、ベント配管は、高さ120メートルまで連続していなければならないものが、煙突基部に接続しただけになっていた。
 何が問題かというと、ベントでは大量の水素が放出されるので、排気筒内に酸素があれば大爆発を起こす可能性があったのだ。
 だから排気筒120m頂部に配管を延伸しなければならない規定だった。それを東電は、承知で手を抜いたことが暴露されたのだ。

 つまり、312のベントにより、莫大な放射性物質が煙突基部に溜まり、それが猛烈な高線量になっていた。逆に言えば、その分だけ環境汚染が減ったのだが、全体から見れば微々たる量にすぎない。
 もし水素爆発を起こしていたなら、排気筒内の放射能が大拡散し、とんでもない被害を呼んでいたことだろう。

 こんなデタラメを東電は平然と繰り返してきた。自分たちに都合の悪い報告は隠しに隠し通して、どうしても隠せないときだけ、極度に矮小化して正当化するのが常の姿勢だった。
 東電の嘘つき体質は、安倍晋三とまるで同じだった。これまでの原発放射能絡みの発言で、真実を素直に述べたことなど皆無と断じていい。何もかも嘘なのだ。

 先の2月13日の福島沖M7.3大地震でも、東電は原子炉が水位低下を来していたことを隠した。この水が、凄まじい高濃度の放射能汚染水であり、それが外部にダダ漏れになっている事実も隠した。
 この水は、すべて太平洋に流れ込み、魚介類を放射能で汚染するのだ。

 東電、原発賠償額が10兆円超へ 避難の慰謝料、営業損害で 2021年2月27日
 https://www.chunichi.co.jp/article/209472

  福島第1原発事故を起こした東京電力による賠償支払額の累計(除染費用を含む)が、2021年度にも10兆円を超える見通しになったことが27日、分かった。避難に伴う慰謝料や営業損害などに対する支払額は2月19日現在で9兆7028億円に上り、事故から10年が過ぎても増えるのは確実。巨額賠償は地域への影響や原発のコストの大きさを映し出している。
 一方、避難者らの集団訴訟が相次ぐなど、これまでの支払い対応が被害の実情に見合っていないとの声も多い。東電が「最後の1人まで賠償貫徹」とする公約を果たす時期は見えないままだ。
************************************************************
 引用以上

 私は、事故直後から、東京電力の総賠償額は、1000兆円でも足りないと書いてきた。
 何が10兆円ですむものか! 100兆円でも足りない、1000兆円でも足りないのだ。
 ひとたび原子力発電所がメルトダウン爆発を起こせば、地球人類全体に影響が及ぶ。
 火力発電所が爆発したのとはワケが違う。

 フクイチ事故で、最初の一ヶ月で2000名以上が放射能で殺されている。政府も東電もひた隠しにしているが、この事実が暴露されたなら、これだけで数千億円が賠償に消える。
 福島の人々の、世間並みの生活保障、賠償も一人あたり1000万円でもすまない。それが数百万人もいる。それだけで数十兆円が飛んで行く。

 さらに、これからフクイチ汚染水を太平洋に放出するなら、世界各国への漁業賠償だけで数百兆円でもすまない。
 見えざる被害を金に換えたなら、1000兆円でも足らないのだ。

 東電は、福島県のゴルフ場が放射能汚染に対する補償を求めた訴訟で、「環境を汚染した放射能は、すでに東電のものではなく【無主物】である」という屁理屈を展開し、勝訴した。
 https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2015/04/03/45974/

 ちょっと信じられない詭弁だが、この理屈を法的に正当化すると、東電にとっても大変なことになる。ありとあらゆる公害汚染に「無主物」の屁理屈が適用されるようになる。
 東電本社に、爆弾を積んだドローンが飛び込んでも、操縦者の手から離れた瞬間に「無主物」なのだから責任はない。死の灰が東電社員を汚染しても無主物だ。
 自分で作り出した屁理屈なのだから、東電は文句を言えまい。
 よくも、これほどデタラメな屁理屈を裁判で通し、よくも裁判官が受け入れたなと驚愕するが、これが東京電力の正体なのだ。

 味を占めた東電は、今後も「無主物論」を前面に押し出して、被害者への賠償を拒絶してゆくことになるだろう。
 もちろん、数百万人という人々が、東電への恨みを募らせ、呪うようになる。東電は、ちょうど水俣病のチッソ(某皇后の祖父がやったように)のように、恨み骨髄のなかに生きて行かねばならない。
 恨み、呪いは無主物ではない。実は、これこそ現実や実在の運命を定めるのだ。

http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1420.html  

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コメント
1. 中川隆[-15265] koaQ7Jey 2021年11月15日 08:44:50 : WByHHcQUzE : c1RmRy5mVXdmMkU=[31] 報告
調査報告/原子力発電所における秘密
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/363.html

原子力発電は本当に危険なのか?
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/148.html

北海道停電で露呈した「原発を稼働しないリスク」
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/261.html

太陽光発電は国家経済を破綻させ環境も破壊する
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/144.html

風力発電は環境を破壊するだけでなく低周波音で風車病・睡眠障害を引き起こす
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/145.html

バイオマス発電のウソ 森林伐採しCO2増加を招く
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/322.html

原発廃炉作業は放射能に強い中国人移民に任せるのが正解
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/520.html

反原発運動は中国・朝鮮工作員が扇動していた
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/702.html

菅、枝野、北沢が妨害しなければ福島原発事故は起きなかった
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/747.html  

太陽光発電・風力発電等の再生可能エネルギー発電は国家経済を破綻させ環境も破壊する
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/435.html

バイオマス発電の為に放火による森林火災が世界中で激増
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1038.html

電力自由化 地方では弊害
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/962.html

新電力の契約プランによって「突然電気代が10倍になった」などのトラブルが多発
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1573.html

菅、枝野、北沢が妨害しなければ福島原発事故は起きなかった
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/424.html

放射能汚染地帯から子供たちを避難させなかった人々
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/986.html

地球温暖化はデマだった?
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/137.html

極悪の殿堂、東京電力
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1561.html

東電福島第一原発汚染水の太平洋への放出の影響
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1630.html

2. 中川隆[-12732] koaQ7Jey 2023年3月09日 15:17:01 : V5ZTuVXe12 : OEE4eFdlM3V1S1k=[6] 報告
3・11から学ぶこと - 内田樹の研究室
2023-03-09 jeudi
http://blog.tatsuru.com/2023/03/09_1455.html

 3.11の時、東京電力福島第一原発では炉心溶融、建屋爆発が連続発生し、事故はチェルノブイリ原発事故と同レベルの過酷事故と認定された。以後再稼働することなく廃炉作業が続けられている。廃炉作業にどれほどの歳月と費用が必要なのかもまだわからない。経産省は2016年に22兆円と計算したが、2019年には民間シンクタンクが最高81兆円の試算を示した。政府のこの種の試算はだいたい後になって大幅に上方修正されるのが通例であるから、いずれ81兆円を超えても私は驚かない。
 日本列島は、全世界のマグニチュード6以上の地震の20%が周辺で発生する世界有数の地震多発地帯である。世界標準を超えるレベルの安全基準を採用するのが当然だと私は思うが、原発を建てた人たちはそうは思わなかったらしい。
 東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷で起訴された裁判で、東京高裁は「巨大津波の襲来を予測することはできず、事故を回避するために原発の運転を停止するほどの義務があったとはいえない」と判断して、一審に続いて全員に無罪を言い渡した。
「想定外」だったからどれほどシリアスな事故を起こしてもとがめることはできないというのは法理としては通るかも知れないが、常識では通らない。万一事故が起きたら広範囲の土地が半永久的に居住不能になるほどのリスクのあるテクノロジーを扱うときに、「想定外のことが起きたのだから自分には責任がない」という言い訳をすらっと口にできるような人間はそもそもそのような危険なシステムの管理者になるべきではない。そのような危険なテクノロジーを扱う技術者に最も求められる知的資質は「起こる可能性のある最悪の事態」についての想像力だからである。
 たしかに「最悪の事態」に備えて安全性を配慮すれば、その分だけコストは高くなる。けれども、こう言ってよければ、それはたかが銭金の問題である。リスクを低く見積もったせいで失われるものと、リスクを高く見積もったせいで失われるものは桁が違う。ほとんど天文学的に違う。
 私はこういう致命的な計算違いを犯す人間を「リアリスト」と呼ぶことに同意できない。こういう致命的な計算違いをした人間は、仮に法的な処罰を逃れ得たとしても、以後社会人としては「まるで使い物にならない」というスティグマを刻印されることを甘受すべきだろう。彼らはそれほど邪悪な人間ではなかったかも知れないが、犯罪的なまでに無能な人間ではあったのだから。
 福島の事故が過酷事故になった主因としては、津波に対する施設防護が脆弱であったこと、電源を高台に確保しておかなかったこと、全電源を失った場合の注水手段が確保されていなかったことなどが指摘されている。防潮壁も電源の分散も注水システムの整備もどれもそれなりのコストさえかければ整備できるものである。技術的に難しいものではないし、事故以前にもそういう安全設備の配慮をすべきだと主張した人もたくさんいた。
 2006年には過去の海外の原発での電源喪失の事例を挙げて、そのリスクを重く見るように訴えた質問書が内閣に出されたが、当時の安倍晋三首相はわが国ではそのような事例の「前例がない」ことを根拠に全電源喪失のリスクはないという木で鼻をくくったような答弁で応じた。だが、「これまで起こらなかったことはこれからも起こらない」というのは推論として間違っている。
 この時の答弁の中で「原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期している」という定型句を政府答弁は5回繰り返した。実際には「原子炉の冷却ができない事態」が生じた。だが、その点を衝かれても、政府は「万全を期す」というのは「万全であればいいな」という主観的願望のことであって、「万全である」という客観的な保証のことではないと言い逃れるつもりだろう。
 福島の原発事故は半ば「人災」だと私は思う。天変地異は自然現象であるから、人間には制御できない。でも、自然現象のリスクを予測して、それがもたらす被害を最小化することはできる。
「起こり得る最悪の事態を想定してそれに備える」ということが日本人はほんとうに苦手である。それよりは「目論見がすべて成功して、巨大な利益が転がり込む」という皮算用で盛り上がることを喜ぶ。五輪も、万博も、カジノも、リニアもどれもそうである。それが失敗した時に何が起きるかについては誰も何も考えない。
 たしかに、「最悪の事態」というのは、それを事前に想定すれば防げ、想定しなければ到来するというほど簡単なものではない。最悪の事態を事前に想定しても、最悪の事態が到来することはある。でも、被害を最小化する努力をしておけば、被害はその分だけは抑制される。当たり前の話である。
 私たちが3.11から学ぶことがあるとすれば、その教えに尽くされると思う。だが、日本人はそれさえ学んでいない。
http://blog.tatsuru.com/2023/03/09_1455.html

3. 中川隆[-8634] koaQ7Jey 2024年11月07日 18:24:40 : lmUBDuTRmw : WTFULnZ3eGJ1a1k=[5] 報告
<■112行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
『原発労働者』 著・寺尾紗穂
2024年11月7日
https://www.chosyu-journal.jp/review/32609

https://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%AF%BA%E5%B0%BE-%E7%B4%97%E7%A9%82/dp/406288321X


 福島第1原発2号機の溶融核燃料(デブリ)の試験的な採取作業の失敗は原子力発電所がその稼働、非稼働を問わず、また事故処理から廃炉にいたるまで高線量の被曝リスクにさらされた労働者の手作業によって支えられていることを、万人に知らしめることになった。

 東京電力は、福島原発の溶融デブリ(推計880d)をとり出す机上の計画で初歩から足踏みしてきたが、8月22日から試験的に3_c(耳かき1杯程度)の採取に着手する予定だった。しかしその直前に、装置に接続するパイプ5本の配置順が誤っていたことが発覚したことで中断した。その後9月10日に作業を再開し、装置先端の爪でデブリをつかむ遠隔操作に移ったが、先端のカメラが機能せず映像が操作室に送れなくなった。

 そのためデブリの微量採取は断念し、カメラ付の装置を格納容器から引き抜く作業に移り、25日になってようやく装置を納入箱に回収することができたと安堵している。こうしたことは多くの専門家が指摘するように、「きわめて高度の放射線を放つデブリを格納容器から取り出す廃炉作業は現在の科学水準では不可能であり、チェルノブイリ(福島原発はその数倍の放射線量)のように石棺化(コンクリートなどで固める方法)する以外にない」ことを物語っている。

ロボットの取りつけは人間

 東京電力はデブリとり出し作業について、短時間でも人が近づくことができないためすべての作業は遠隔操作でおこなうといっている。しかし、今回のパイプ配置順の人為的ミスと映像送信の失敗は、どんな遠隔作業でも大量の放射線量を浴びる「被曝労働者」が決定的な役割を果たしていること、またその現場では孫請、ひ孫請と続く多重下請け構造の最下層の労働者が携わっていることをあぶり出すことになった。

 東京電力は今回起きたパイプ接続ミスについて、現場が高線量下であるにもかかわらず東電自身が「現場確認や事前訓練をせず、協力企業任せにしていた」ことに原因があると釈明している。そのため、「現場作業員が高い放射線量下で早く退出することに気を取られ、確認が不十分でミスに気付かず三菱重工に“5本搬入した”と誤った報告をした」というのだ。

 ミスのあったパイプの接続作業には7月27日から29日までの3日間、各60人ほどで当たったとされる。指示を出していたのは元請の三菱重工業の担当者で、パイプの運搬や接続は下請の作業員が担当した。当初、三菱重工の下請け企業の労働者が原子炉建屋内で装置の手前までパイプを運搬したとき、パイプを1本仮置き場に忘れた。その翌日、パイプをつなぐときに足りないことに気づき、最終日の29日にそれを運んでつないだが、パイプの順番を間違えたという。

 東京電力の説明では、「高線量下での作業は全面マスクで防護服が重装備のため、作業員はパイプに記された接続順を示す数字を見落とした」こと、さらに元請の三菱重工業の担当者が「28日に準備が終わった」と東電に虚偽の報告をしていたことも明らかにしている。

 福島原発の廃炉作業には1日約5000人が携わっているという。うち東電社員は約1000人で、現場作業はおもに元請や下請の約4000人がおこなっている。この廃炉作業でも昨年10月、汚染水の多核種除去設備で作業員が洗浄廃液を浴び、想定外の被ばくをする重大なトラブルがあいつぐなど、構造的な作業管理のずさんさが露呈している。今年4月には構内の一部で停電が起きた。このときも地面を掘削する際に電源ケーブルを損傷させる危険性を東京電力が元請に注意喚起しなかったことが要因だとされる。

 そうしたことから、今回のデブリ試験採取の作業ミスで、「被曝労働を下請けに押し付けて成り立っている原発という非人道的発電システムの致命的な欠陥があぶり出された」(エネルギー工学専門家・近藤邦明氏)という指摘もある。

『原発労働者』にみる実態

 高線量の被曝リスクを負って働く原発労働者にインタビューした寺尾紗穂著『原発労働者』(2015年6月、講談社現代新書)は、「原発には必ず被爆を強いられる作業員が必要」だというあたりまえの事実と、「その大部分は電力会社社員ではなく、多重下請け構造で雇われる労働者」が担っている現実を表沙汰にすることをはばかる社会構造を告発している。

 電力会社は「線量の高い部分での補修はロボットでやってます」というが、「ロボットをとりつけるのは人」なのだ。自己処理の現場では防護マスクなど重々しい装備を身にまとっての肉体労働で、マスクを外さずには耐えられない肉体的苦痛から外してしまう。労働者が身につけるアラームメーター(作業開始時に上限の線量をセットしておき、そこに達するとアラームが鳴る装置)も「鳴れば仕事にならないから続けてしまう」こともこの業界では茶飯事で、現場管理者もそれを見て見ぬふりをしている。

 「工事は、何月から何月まで完成させねばならないときまっている。試運転に入るまで、何があっても完成させないかんのです。元請けは、危険やからとゆっくりやっているわけにはいかんのですよ」

 高放射線量のなかで働いた労働者の話から、その現場はそもそも「労働者の身の安全が最優先され、教育や監督がきちんとゆきわたる場所」ではありえないことがひしひしと伝わってくる。「被曝の可能性なんか考慮もされず、完全にその場しのぎの作業に労働者が従事する」ことだけが求められるのだ。そこに、被曝線量のごまかしやデータの改ざんが当然のようにまかり通る根拠があるという。

 多重下請け構造のもとで、現場労働者の賃金は元請が1日当り3万〜4万円で受けた仕事が一次下請では2万〜3万円になるというふうに、下請になればなるほど差額がピンハネ(中抜き)されて減っていく。末端の下請労働者には日給5000円程度しか入らない構造だ。

 そうしたことが、原発で働く労働者を遠ざけ「人手不足」を慢性化させている。また、現場で教育に携わる熟練労働者が少なくなり、若手への技術継承がむつかしくなっている。パソコンやAIを駆使しても、現場では「計算だけではできない作業」が勝負になるのだが、そのもとで現場労働者への安全教育が損なわれていることも深刻な問題になっている。

 『原発労働者』では、1回で200_〜300_シーベルト被曝するという使用済み核燃料プールに1回200万円、300万円で潜る外国人労働者の例も紹介している。正式な雇用関係にある日本人労働者にそのような作業をやらせたら線量基準を大幅に超える違法行為になるから、国籍が違うという一点で法の網の目をかいくぐっての使い捨てである。

 こうしたことが明るみになり、2018年に法務局が福島の廃炉作業に外国人技能実習生を働かせないことを決めた。しかしその後も、外国人労働者の実態が発覚している。このように違法すれすれの行為を強いて「すぐ自国に戻れる外国人労働者の大量被曝なしに、原発はたちゆかない」ことも公然の秘密となっている。

 著者の寺尾氏は、そのような「具体的な現場のイメージを持たないまま、そこで働く人の言葉に触れないまま、原発というものを何となく肯定」し、再稼働や輸出などの議論が展開される現実に違和感を感じたことが、同書執筆の動機になったことを明らかにしている。

https://www.chosyu-journal.jp/review/32609

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