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白井聡 武器としての「資本論」_ 要約 資本主義 経済学
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1081.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 05 日 01:08:59: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: マルクス経済学の世界 投稿者 中川隆 日時 2020 年 5 月 28 日 14:54:48)

白井聡 武器としての「資本論」_ 要約 資本主義 経済学  


【要約 資本主義 経済学 Part@】マルクスの資本論は必読書 「武器としての「資本論」」 白井聡 資本主義 マルクス資本論 by マルクス|
2020/06/06



【経済・要約】タクミナタクミ
要約 資本主義 経済学入門!


本日取り上げるのは、
白井聡さんの「武器としての「資本論」」という本で、
カール・マルクスの資本論の概念を紹介した本になります。


※時間がない方はPart@の次にまとめ編をどうぞ!
https://www.youtube.com/watch?v=2eysw...


経済危機が起きるたびにマルクスの資本論は人気を集め、
資本主義を見直すために資本論を読もう
という現象が経済危機のたびに毎回起きております。


なぜ現代でも150年も前に書かれた資本論は、
人気を得るのでしょうか?


これは資本論に書かれた概念の「拡張性」が大きいことから
今日の私たちが普段の生活で感じている不安の
根本的な原因について解説をしてくれているからです!


前提として現代では新自由主義の世界観が圧倒的に支持を受けており、


・年収が低いのはスキルがないからだ
・学歴がないのは勉強をさぼったからだ
・非正規雇用は職業選択の自由による選択の結果に過ぎない


といった自己責任論がよく正当な意見としてあげられます!


そこでマルクスの資本論で描かれている概念を理解していれば
このような新自由主義的な考え方はおかしい、誤っているのだ
そもそもの人間の基礎価値や感性を
取り戻そさなくてはいけないのだ
ということが明らかになります!


このようにして今日でも資本論の概念は学ぶに値するのです!


なお本書は私達のリアルな生活を絡めているので


資本論の「入門書」ではなく、
『資本論』を読みたくなるような内容を意識して書かれております!


そしてこの動画で本書の内容をふまえてより
身近な例を使ってなんと6本もの動画をシリーズで解説をしております。
チャンネル史上初の長さです!


それだけ力を入れて編集した動画なのですが、
全体のシリーズの流れとしては、
まずPart@で資本論を読むべき理由について解説をして、
Part AからDでは資本論で用いられる
使用価値や交換価値、剰余価値、といった
マルクスが定義した難しい概念を簡単に解説していきます。


なおまとめ編という動画も作っており、
こちらはPart @〜Dの動画の内容をおさらいして
次に実際の私たちの身近な生活における資本主義の課題について解説をしているので、
マルクスの概念についてご理解されている方は、
この動画とまとめ編の動画を見て頂ければと思います!


<シリーズの構成>
Part@ 資本論を読むべき理由
PartA 資本主義の定義と成立過程
PartB 「商品」とはなにか
PartC 労働力こそが利益の源泉
PartD 生産性を向上させる理由
PartE まとめと現代社会の課題
 

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コメント
1. 2020年10月05日 01:12:23 : r0012kP8cs : ekYyeG5rL2xHQ1k=[1] 報告
【要約 資本主義 経済学・まとめ編】「武器としての「資本論」」 白井聡 資本論 by マルクス|コロナ恐慌に搾取される前に
2020/06/13




【経済・要約】タクミナタクミ
要約 資本主義 経済学入門!

本日取り上げるのは、
白井聡さんの「武器としての「資本論」」という本で、
カール・マルクスの資本論の概念を紹介した本になります!

これまでPart@〜Dの動画で、
武器としての「資本論」の本を参考に
マルクスの資本論を読むべき理由とその概念について解説をしてきましたが、
今回は全体のまとめとしてまずマルクスの概念の流れをおさらいして、
そして次にその概念が
私たちに実生活にどのようにかかわっているのかといった
よりリアルに話をしていきます。

具体的には、
・イノベーションはときに人間を疲弊させる
・ベンチャー企業のやりがい搾取
・国がNISAやiDeCoを進める理由

といった身近な内容にフォーカスをして、
この動画のシリーズを終えたいと思います!

<この動画のながれ>
@マルクスの概念のまとめ
Aイノベーションはときに人間を疲弊させる
B「必要な」の定義

<シリーズの構成>
Part@ 資本論を読むべき理由
PartA 資本主義の定義と成立過程
PartB 「商品」とはなにか
PartC 労働力こそが利益の源泉
PartD 生産性を向上させる理由
PartE まとめと現代社会の課題
2. 2020年10月05日 01:19:17 : r0012kP8cs : ekYyeG5rL2xHQ1k=[2] 報告
武器としての「資本論」 単行本 – 2020/4/10
白井 聡 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E6%AD%A6%E5%99%A8%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%80%8C%E8%B3%87%E6%9C%AC%E8%AB%96%E3%80%8D-%E7%99%BD%E4%BA%95-%E8%81%A1/dp/4492212418

白井 聡(シライ サトシ)
思想史家、政治学者、京都精華大学教員。1977年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。

3.11を基点に日本現代史を論じた『永続敗戦論 戦後日本の核心』(太田出版、2013年)により、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞などを受賞。

その他の著書に

『未完のレーニン』(講談社、2007年)、
『「物質」の蜂起をめざして レーニン、〈力〉の思想(増補新版)』(作品社、2015年)、
『属国民主主義論』(内田樹氏との共著、東洋経済新報社、2016年)、
『国体論 菊と星条旗』(集英社新書、2018年)

などがある。

3. 中川隆[-11034] koaQ7Jey 2020年10月05日 01:40:29 : r0012kP8cs : ekYyeG5rL2xHQ1k=[3] 報告
『武器としての資本論』 著・白井聡
書評・テレビ評2020年6月18日

 『資本論』といえば、資本主義の全体系を本質的に解明したカール・マルクスの古典的労作である。だが、その重厚な内容とともに抽象的な論理的記述が、とくに初心者には難解な印象を与える。そのため、数多くの入門書が出版されてきた。本書は、その新たな一冊ともいえるが、これまで見られたような原書の要約や学術的な解説書ではない。そのことは、とくに新自由主義に直面する現在の若者の生活実感と問題意識に寄り添い、混沌とした現状から脱却し、未来を展望する武器として『資本論』をどう読み解くのかという、著者の姿勢に示されている。

 著者は、人々が日常生活で感じている息苦しさがどこから来るのか、政府や上司の言動など納得できぬまま過ごしてきたことの意味が、『資本論』のなかに鮮やかに描かれていると強調している。われわれが現実に直面するさまざまな馬鹿げたことは、すべて資本主義のシステムのなかで起きているからだ。そして、「『資本論』から現在を見ると、現実の見え方がガラッと変わり、生き方が変わってくる」と。

 産業革命以来、社会の生産力は未曾有の勢いで発展し、社会全体は物質的に豊かになった。不断の技術革新による生産性の向上は人々を幸福にするはずだった。だが、そのもとで労働者の困窮は極まり、明るい未来が見えてこない。AI化は労働時間を短くするといわれるが、現実にはそれが増大する一方で、過労死が大きな社会問題になっている。学生の就職活動は本来、「職業選択の自由」を謳歌して社会に貢献できる契機なのだが、だれもが切羽詰まった表情をしている。

人間の労働力も商品に 資本増殖の本質

 本書では、こうした不合理がどこから来るのかについて、『資本論』の重要なフレーズを引用して解明していく形で進行する。著者はとくに新自由主義のもとで、資本主義が人間社会と不可分のものであるかのような空気が社会を覆い、自己責任論が当然のようにみなされ、「人間の思考・感性に至るまでの全存在が“資本の魂”に包摂されてきた」ことに着目している。そして、マルクスがそうしたように、今こそ資本主義が歴史の一時点の生産様式にすぎず永遠に続くものではないこと、それは資本の運動に内在する根本的な矛盾によって乗りこえられる宿命を背負ったシステムであることを再確認すべきときだと強調している。

 資本主義社会は、近代に入って人々が生活するうえで不可欠な物質代謝の大半を商品を通じておこなうようになって生まれた。それは、人間の労働力も商品となった社会である。資本の増殖の本質は、労働力を使用して生み出す剰余価値の追求にある。

 著者は、農民を封建的身分制度から自由にする形で、土地や道具など生産手段をはぎ取り無一文の賃金労働者を生み出していく資本の本源的蓄積の説明に力を入れている。そして、農村の共同体から労働者を都市にかり出す暴力的な手段は、古今東西の資本主義化に共通していることを、明治維新に始まる日本資本主義の発展過程からも明らかにしている。また、それが恐慌、戦争その復興需要などでもくり返されてきたことも。

労働者の既得権をはぎ取る 新自由主義で

 本書では、そのような観点から、新自由主義が「資本の側からしかけた戦争であった」ことを強調している。さらに「階級闘争は古くなった」のではなく、現実の問題であると訴える。労働者階級がそのような言辞にまどわされているあいだに富裕層は階級闘争を強力におし進めてきたからだ。

 それは、資本の側が労働力の価値を引き下げるために、これまでの労働者の既得権をはぎとる形でおこなわれてきた。この間の非正規・不安定雇用はもとより、生産拠点の海外移転や、外国人労働力の輸入もひとつながりに見えてくる。

 著者によれば、高度成長期の生産性向上・福利厚生政策のもとで、労働組合を通じた労働者の要求が一定程度受け入れられたのは、資本にとって労働者を生かす(労働力の再生産を成り立たせる)必要があったからで、それは労働者への人道的な慈愛というものではなかった。そして、それに安住していた労働組合や「労働者の利益」を掲げる党も、新自由主義にとり込まれざるをえなかった。

 そのような資本の剰余価値の追求(=搾取)によって「1%vs99%」という未曾有の経済格差が生まれた。著者は「自由・平等・人権」はあくまでたてまえであり、資本による労働者の支配の現実は「過去の奴隷制とつながっている」とのべている。

 本書のもう一つの特徴は、『資本論』の観点から階級闘争についての考え方を見直すよう提起していることである。それは、「資本家をやっつける」といったものではなく、資本制社会全体を一つのシステムとしてとらえて、「等価交換を廃棄する」ことをめざす闘う主体を地域共同体から形成することだという提起である。

 また、労働力の価値(労働賃金)を高めるたたかいとかかわって、この間労働者に影響を与えてきた「スキルがなければしょうがない」という資本側の考え方を克服し、人間としての尊厳をとり戻すための闘いとしてとらえることが必要だとのべている。そのうえで、労働力の価値とは社会的で文化的なものであり、うまいものを食べたいとか豊かな生活がしたいという「ベーシックな感性」の部分からもう一度立て直すよう提起している。

 本書の論述は、コロナ禍で噴出するさまざまな不合理、資本と人間の逆立ちした関係を鋭く照射するものともなっており、新たな時代を開くうえで鍵となる一冊だといえる。

 (東洋経済新報社発行、B6判・294ページ、1600円+税)

https://www.chosyu-journal.jp/review/17593

4. 2020年10月05日 01:53:41 : r0012kP8cs : ekYyeG5rL2xHQ1k=[5] 報告
書評・白井聡「武器としての「資本論」(東洋経済新報社刊) - 内田樹の研究室書
2020-06-12
http://blog.tatsuru.com/2020/06/12_1352.html


 私事から始めて恐縮だが、経済学者の石川康宏さんと『若者よ、マルクスを読もう』という中高生向けのマルクス入門書を書いている。マルクスの主著を一冊ずつ取り上げて、石川さんは経済学者という立場から、私は文学と哲学の研究者という立場から、中高生にもわかるように噛んで含めるように紹介するという趣向のものである。

 第一巻で『共産党宣言』、『ヘーゲル法哲学批判序説』『ユダヤ人問題によせて』。第二巻で『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』と『フランスにおける階級闘争』。第三巻で『フランスの内乱』と「マルクスとアメリカ」についての共同研究。そこまでは出した。最終巻で『資本論』を論じて、それでめでたくシリーズ終了という計画だったが、「次は『資本論』だね」と確認してから2年が経過してしまった。停滞しているのは、私が忙しさに紛れて書かずにきたせいである。
 しかし、ここに白井聡さんの『武器としての「資本論」』が出てきた。一読、あまりの面白さに、「そうか、こういうふうに書けばいいのか!」と膝を打ったのであった。そして、いまは自分の『資本論』論が書きたくて、うずうずしてきた。コロナ禍でしばらく暇が続くので、書き始められそうである。届かない原稿を待ち続けていた編集者のために白井さんは陰徳を積まれたことになる。

 私が膝を打った「なるほど! こういうふうに書けばいいのか!」の「こういうふう」とは「どういうふう」のことなのか。それについて書きたいと思う。

 白井さんのこの本は「入門書」である。「『資本論』の偉大さがストレートに読者に伝わる本を書きたい」という白井さんの思いを託した入門書である。マルクスについて基礎的な知識がない若者を読者に想定している。そういう人たちにマルクスの「真髄」をいきなり呑み込ませようという大胆きわまりないものである。そして、それに成功している。

 たいした力業と言わなければならない

「入門書」の良否は、想定読者の知性をどれくらいのレベルに設定するかという初期設定でほぼ決まると私は思う。

 凡庸な専門家は「一般読者を対象に」と言われると、いきなり「啓蒙」というスタンスを取る。想定読者の知性をかなり低めに設定するのである。そうすることが「リーダー・フレンドリー」だと思っているからである。そして、たいていは失敗する。

「啓蒙」は「書き手は博識であり、読者は無知である」という「知の非対称性」を前提にする。そういう構えはコミュニケーションを阻害することはあっても、活性化する役には立たない。「啓蒙」的態度をとる人は、自分が読者を威圧したり、屈辱感を与えたりしている可能性をあまり気にかけない。書き手が読者に対して十分な敬意を示さない場合、読者がそれを敏感に感じ取り、心を閉ざすということを知らない(人は自分が相手から愛されているかどうかはよくわからないが、自分が相手から敬意を払われているかどうかは、すぐわかるのである)。

でも、書き手がほんとうに読者に伝えたいことは、ほとんどの場合、読者に「心を開いて」もらわないと達成できない。読者たちが、これまでの自分のものの考え方をいったん「かっこに入れて」、しばらくの間だけ自分の手持ちの「物差し」をあてがうことを自制して、書き手の言い分を「丸呑み」にしてくれないと、ほんとうに伝えたいことは伝わらない。だから、ほんとうにたいせつなのは、読者に「心を開いてもらうこと」だけなのである。

「コミュニケーションの回路を立ち上げる」という遂行的な営みに成功しない限り、その回路を行き来するコンテンツの理非や真偽はそもそも論じることさえできないのである。

一人の読者が、一冊の本を読みながら、今読んでいる箇所を理解するためには、自分自身の考え方感じ方を一時的に「かっこに入れる」「棚上げする」必要があると感じたならば、その本はコミュニケーションの回路の立ち上げに成功したと言うことができる。私はそう思う。

 いま「心を開く」という比較的穏当な動詞を使ったけれど、ほんとうはそんな生易しいものではない。読者が「心を開く」というのは、どこかで「自分を手離す」ということだからである。自分が自分のままである限り、この頁に書いてあることは理解できない。この頁が理解できるようになるためには、自分は今の自分とは別人にならなければならない。そういう「清水の舞台から飛び降りる」ような決断を下すこと、それが「心を開く」ということである。そして、そのようなきびしい決断を読者に迫る書物がこの世には存在する。白井さんのこの本はそういう書物である。

 白井さんは読者たちに「清水の舞台から飛び降りる」ことを求める。きびしい要求である。そのことを白井さんもわかっている。「はい、これがパラシュートね、あの目標点めざして飛び降りてね。じゃ、いくよ」くらいのあっさりした声かけでは、たぶん足がすくんで、ついてきてくれない。だから、飛び降りてもらう前に、入念なストレッチを行い、これから行ってもらう「跳躍」が、どういう歴史的な文脈のうちで形成され、なぜ知的成熟にとっての必須科目とされるに至ったのかを、諄々と説く。読者に「怖いこと」をさせるつもりでいる本はフレンドリーな顔をして近づいてくる。そういうものなのである。

 この本はとても丁寧に書かれている。でも、それは繰り返し言うが、「啓蒙的」な意図に基づく丁寧さとは違う。白井さんが、たいへんに丁寧に説明するのは、読者にこれから「たいへんなこと」をしてもらうためだからである。

 白井さんは「思索の人」であると同時に「行動の人」である。彼は(社会人としての立場上あまり広言はされないが)機会があれば「革命をやりたい」と思っている。

だから、すべての書物を通じて、実は白井さんは「ともに革命をする同志」を徴募しているのである。「読者にこれからたいへんなことをしてもらう」という「たいへんなこと」というのはそれである。

 レーニンは『国家と革命』の「あとがき」で「革命の経験をやりとげることは、それについて書くことよりもいっそう愉快であり、またいっそう有益でもある」と書いている。

きっと白井さんもそう思っている。

 だから、彼の本は「読者をして行動に導くための本」である。読んでもらって「よくわかりました。いや、『資本論』のことがよくわかりました。ありがとう」では済まされないのである。「よくわかりました。資本制社会の仕組みが理解できました。で、次は革命のために何を始めたらいいんですか?」という読者が欲しいのである。

 そういう本を書く人は少ない。

 前に、桑原武夫は人を評価するときに「一緒に革命ができるかどうか」を基準にしたと聞いたことがある。これはなかなかすてきな基準だと思う。
 革命闘争というのは、そのほとんどの時期が地下活動である。弾圧され、警察に追われ、逮捕投獄されて、拷問され、処刑されるリスクに脅かされる日常である。だから、それでも革命運動ができるとしたら、それは、レーニンが言う通り、日々の活動がたいへんに「愉快」だからである。「そうだ、革命をやろう」と思い立って、仲間を集めて、組織を作り、機関誌を出したりしている日々がそうでない日々より圧倒的に「愉快」だから、弾圧から処刑に至る不吉な未来についての「取り越し苦労」が前景化してこないのである。

 ということは、「一緒に革命ができる人」というのは、「一緒にいると、生きているのが愉快になってくる人」だということである。一緒にいると、日々の何でもないささやかな出来事が輝いて見え、現実の細部にまで深く意味が宿っていることが実感できる、そういう人が「ともに革命ができる人」である。白井さんはそのような書き手であろうとしている。これは現代日本にあってはまことに例外的な立ち位置というべきだろう。

 白井さんの「リーダー・フレンドリーネス」について書いているうちに内容の紹介をする前に予定の紙数が尽きてしまった。わずかな行数ではとてもこの本の中身を要約はできない。私が個人的に一番面白く読んだのは、白井さんが、どうして人間は「資本に奉仕する度合い」に基づいて格付けされることを(それが自分自身をますます不幸にするにもかかわらず)これほど素直に、ほとんど嬉々として受け入れるのか、という問いをめぐって書いている箇所である。

 われわれの時代の新自由主義的な資本主義は「人間のベーシックな価値、存在しているだけで持っている価値や必ずしもカネにならない価値というものをまったく認めない。だから、人間を資本に奉仕する道具としてしか見ていない。」(70頁)

 ほんとうにその通りなのだが、問題は、どうして人々はそれに抵抗しないのか、ということである。それは資本の論理は、収奪される側の人間のうちにも深く内面化しているからである。この倒錯をマルクスは「包摂」と呼んだした。

 この「包摂」と「本源的蓄積」がイングランドの農業革命期の「囲い込み」から始まったというのはマルクス主義の教科書には書いてあるが、白井さんの説明ほどわかりやすいものを私はこれまで読んだことがない。

 人間たちが現に自分を収奪している制度に拝跪する心性の倒錯に気づき、自分の身体の奥底から絞り出すような声で、その制度に「ノー」を突きつける日が来るまで、資本主義の瑕疵や不条理をいくら論っても革命は起きない。問題は革命的主体の形成なのである。

だから、白井さんは、本書の結論部にこう書いている。
「『それはいやだ』と言えるかどうか、そこが階級闘争の原点になる。戦艦ポチョムキンの反乱も、腐った肉を食わされたことから始まっています。『腐った肉は我慢ならない』ということから、上官を倒す階級闘争が始まったわけです。」(277−8頁)

 最終的に「反抗」の起点になるのは人間の生身である。かつてアンドレ・ブルトンはこう書いた。

「『世界を変える』とマルクスは言った。『生活を変える』とランボーは言った。この二つのスローガンはわれわれにとっては一つのものだ。」
 その通りだと思う。「生活を変える」ことなしに、「世界を変える」ことはできない。一人の人間が血肉を具えた一人の人間が、その生物として深い層から「それは、いやだ」という反抗の叫び声を上げるときに、労働者は資本主義的な「包摂」から身を解くのである。そして、「包摂」から逃れた労働者の眼前には「資本の本源的蓄積」以来の資本主義の全歴史が一望俯瞰される。だから、その次に労働者が選択するふるまいは、どのようなものであれ、その語の正しい意味において「革命的」なものとなるはずなのである。

 令和の聖代に「懦夫をして起たしむ」かかる「革命的」な書物が登場したことを喜びたい。
(2020-06-12)
http://blog.tatsuru.com/2020/06/12_1352.html

5. 2020年10月05日 02:38:41 : r0012kP8cs : ekYyeG5rL2xHQ1k=[7] 報告
【要約 資本主義 経済学 PartA】資本主義とは何か 「武器としての「資本論」」 白井聡 資本論 by マルクス|コロナ恐慌に搾取される前に
2020/06/07






【経済・要約】タクミナタクミ
要約 資本主義 経済学入門!

本日取り上げるのは、
白井聡さんの「武器としての「資本論」」という本で、
カール・マルクスの資本論の概念を紹介した本になります。

今回は具体的に資本論の内容について、
本書を参考に踏み入っていきます。

内容としては、
資本論の冒頭の文章を理解するために資本主義の定義について解説をします。

結論としては次になります。

・自由に土地の売買ができる
・自由に労働者は労働力を商品として資本家に売ることができる
この二つが成立することで資本主義経済は成立し、
また一度成立するとすべての社会を取り込むという
資本主義経済の強力性について解説をします。


少し難しい内容にはなりますが、
私たちにとって当たり前すぎる資本主義というものが
どのようなシステムであるのかを認識することは
これからの時代には欠かせませんのでしっかりと学んでいきましょう。

<この動画の内容>
・マルクスが定義する資本主義とは何か
 @物質代謝とはなにか
 A商品による商品の生産とはなにか
  @土地の売買
  A労働力の商品化

6. 2020年10月08日 15:55:55 : ccg0j8Swqw : azRQOG1hVmNuci4=[19] 報告
【PartB】マルクスの資本論は商品の分析から始まる 資本主義経済の仕組みを解説! 白井聡の「武器としての「資本論」」
2020/06/12






【経済・要約】タクミナタクミ
【PartB】マルクスの資本論は商品の分析から始まる 
資本主義経済の仕組みを解説! 
白井聡の「武器としての「資本論」」

本日取り上げるのは、
白井聡さんの「武器としての「資本論」」という本で、
カール・マルクスの資本論の概念を紹介した本になります。

今回はいよいよ資本論の冒頭で理解をすることが
難しいと言われる「商品」の概念について解説をします!

おそらく普通に生活をしていると、
商品がありすぎてそれがもはや当たり前なので、
そもそもなぜ商品というものがあり、
それはどのように成り立っているのか
例えば「なぜ商品には値付ける必要があり、
またそれはお金があれば交換できるのか」
など疑問に思うことすらないと思います!

前回の動画で見たように、
江戸時代以前では商品経済ではない
共同体の社会という物々交換をする時代では
商品に値段をつける必要はありませんでしたね!

なお私自身もこのマルクスの概念を知るまでは、
商品について考えることなど一切したことがありませんでした!

そこでこの動画を見ることで、

・商品に値段をつける必要がある理由
・お金があれば商品を買うことができる理由

といった一見当たり前の疑問を
使用価値と交換価値と言う概念を用いて
解説をするので理解できるようになります!

<この動画の構成>
@資本主義社会は共同体社会を包摂する
A「商品」にはどのようにして価値が生まれるのか
B労働力にしか生み出すことができない価値
7. 2020年10月08日 16:14:24 : ccg0j8Swqw : azRQOG1hVmNuci4=[20] 報告
【PartC】労働力こそ利益の源泉であるからこそ仕事は憂鬱である 資本主義経済の仕組みを解説! 白井聡の「武器としての「資本論」」
2020/06/12






【経済・要約】タクミナタクミ
【PartC】労働力こそ利益の源泉であるからこそ仕事は憂鬱である 
資本主義経済の仕組みを解説! 
白井聡の「武器としての「資本論」」 

本日取り上げるのは、
白井聡さんの「武器としての「資本論」」という本で、
カール・マルクスの資本論の概念を紹介した本になります!

今回はいよいよ労働力によって唯一生み出される価値であり、
資本家の取り分である利益の源泉、すなわち
「剰余価値」について解説をします!

これは資本家から労働者は搾取されているといった
マルクス経済について多くの人がイメージするメインテーマとなります!

そしてこの概念を理解することで
・マルクスの数式であるG−WーG’が表す意味とはなにか
・利益の源泉である剰余価値はどのようにして生まれるのか
・なぜ労働力こそが商品の価値を生み出すのか
といったことを理解することができます!

逆に言うと、このまま資本が暴走をし続けると、
労働時間は減ることはなく、
ますます労働者と資本家の格差が生じてしまい、
最終的にはPart@の動画で見たように
「ノー」と言えない人間となりかねないということです!

<この動画のながれ>
@剰余価値とは「G−WーG’」
A剰余価値の増加プロセス
B労働と労働力の違い
C労働力こそが剰余価値の源泉である
8. 2020年10月08日 16:46:26 : ccg0j8Swqw : azRQOG1hVmNuci4=[21] 報告
【PartD】生産性を向上させる理由 資本主義経済ならではの搾取の仕組みをマルクスを基に解説! 白井聡の「武器としての「資本論」」
2020/06/13





【経済・要約】タクミナタクミ
【PartD】生産性を向上させる理由 
資本主義経済ならではの搾取の仕組みをマルクスを基に解説! 
白井聡の「武器としての「資本論」」

本日取り上げるのは、
白井聡さんの「武器としての「資本論」」という本で、
カール・マルクスの資本論の概念を紹介した本になります!

内容としてはまず労働力の価値は
どのようにして決定されるかを解説します!
つまりサラリーマンの年収はどのようにして
決定されるのかということです!

そして今日のようにIT技術が明らかに進歩して
生産性が向上しているのにもかかわらず、
200年前の江戸時代と同様に1日に
8時間も労働をしなくてはいけないのかを
絶対的剰余価値と相対的剰余価値、特別剰余価値という
3つのマルクスが定義した
概念を用いて解説をしていきたいと思います!

この概念を理解することで、
・なぜ東京の最低賃金は1013円なのか
・なぜ労働者はなぜ長時間労働をしなくてはならいのか
・なぜイノベーションによる機械化は労働時間の削減にならないのか

といった理由を理解することができるので、
過労死ラインまで働くことがいかにばかげているかがわかります!

<動画の流れ>
@労働力の価値はどのようにして決まるのか
A絶対的剰余価値と相対的剰余価値
B生産性を向上させる理由
9. 中川隆[-12379] koaQ7Jey 2023年8月10日 02:58:33 : lNJFrKzOO2 : bUF0WWVZRGROYk0=[2] 報告
<■90行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
『若マル資本論』韓国語版のためのまえがき
2023-08-08
http://blog.tatsuru.com/2023/08/08_1452.html

 みなさん、こんにちは。内田樹です。
 『若者よマルクスを読もう』の最終巻、『資本論』編の韓国語訳をお手にとってくださってありがとうございます。
 この『若者よマルクスを読もう』はマルクスの主著を中学生・高校生のために解説するために企画されました。『共産党宣言』から始まって、番外編『マルクスの心を聴く旅』を含めての全5冊のシリーズ。この『資本論』で完結します。
 と書くと、「え、私、中学生高校生じゃないんだけど・・・この本の読者に想定されていないんじゃのかしら」と思った方がおられると思います。大丈夫です。この本は「まだマルクスって、ちゃんと読んだことないんだけれど、そのうちにいつか読まないといけないな」と思っているけれどたまたままだその機会に恵まれない方のための本です。別に年齢とかは関係ないです。
 それから、もう一つご注意があります。それは、この本を読んだ方が「ああ、これ読んでだいたいマルクスのことはわかったわ。これで『資本論』とか読む必要なくなった」と思われては困るということです。これは「じゃあ、いよいよマルクスを実際に読んでみるか」という気分になってもらうために、「背中を一押しする」ための本であって、これで「マルクスがわかった気」になるための本じゃないんです。
「え、この本を読んで、それからさらにマルクスも読まないといけないの?だったら二度手間じゃない。それならはじめからマルクス読んだ方が話が早いじゃないか」と思った方もおられるでしょう。その気持ちはわかります。でもね、そうはゆかないんです。マルクスのような巨大な思想家の著作に取り組むときは、素人がいきなりとりついても無理なんです。巨大な壁がたちはだかっているんですから、どうしても「道案内人」が必要なんです。どういう登山ルートがあって、どの辺に難所があって、どの辺に迷い道があって、どの辺で道を踏み外すと転落するか...ということを知っている人が必要です。
 この本の二人の著者では、石川さんは若い時に正統的な道案内人にしたがって難所をくぐり抜けて、ご自身もベテランの道案内人になった方です。僕の方は若い時には「道案内人なんか要らないよ」と豪語して、無謀なマルクス単独行を敢行して、そこらじゅうで痛い目に遭って、「やっぱり道案内人がないとまずいわ」と思うに至った人間です。
 そういうタイプの違う二人の道案内人がみなさんをマルクスという巨峰への登攀にお誘いしようというわけです。でも、あくまで登るのは皆さんご自身です。僕たちは案内をするだけで、実際に汗をかいて、足を痛めて歩くのはみなさんご自身です。僕たちの仕事は「とにかく、この山に登りましょう」とお誘いし、その気になった人がいたら、ルートをいくつかご案内するところまでです。

『共産党宣言』から『資本論』の間には二十年以上の歳月があり、マルクスの思想も、その時代の歴史的経験を通じてかなり変化しています。『若者よマルクスを読もう』シリーズは主著を年代順に解説しておりますけれども、みなさんは別に初期マルクスから始めて、晩期マルクスに至るという順序で読まれる必要はありません。「手に取ったのも何かの縁」です。ですから、この『資本論篇』から読み始めてくださってもぜんぜん構いません。どの時代のマルクスも、それぞれに深い思想を語っていて、そこに伏流する「社会は公正なものであるべきだ」という信念に揺らぎはないからです。

 マルクスの解説書がこうして韓国語訳になって、多くの人たちの手に取ってもらえるということを僕たちはとてもうれしく思っています。
 ご存知の通り、韓国には今も国家保安法という法律があって、朝鮮民主主義人民共和国と共産主義を賛美する行為及びその兆候は処罰の対象となります。事実上空文化しているとはいえ、この本のように「マルクス主義を賛美する」ことを主たる目的とする書物が堂々と書架に並ぶ時代が来たということには多くの方が「隔世の感」を覚えておられることでしょう。これはいったいどんな歴史的変化を意味するのでしょうか。これが韓国におけるマルクス主義運動の再評価の兆しであれば、僕はうれしく思います。
 朝鮮共産党は1925年に日本の統治下のソウルで結成されました。東アジアでは、インドネシア共産党(1920年創設)、中国共産党(1921年創設)、日本共産党(1922年創設)に続いて創設された「老舗」です。みなさんの国でも、マルクス主義の歴史はずいぶん古いんです。
 1919年の三・一独立運動の流れの中で生まれた朝鮮共産党は、朝鮮の独立をめざす運動でしたから、当然日本の官憲から激しい弾圧を受けましたが、それでも生き残り、1945年の日本の敗戦と同時に党は再建されました。しかし、ソ連が支配する朝鮮半島北部に党中央組織を作ろうとする人たちと、南北一体の組織維持を目指す人たちが対立し、組織は南北に分裂します。南の組織(南朝鮮労働党)は韓国政府に弾圧され、党員たちの多くは北へ逃れましたが、のちに金日成によってほぼ全員が粛清されました。
 この人たちはマルクス主義の名において、朝鮮半島の統一と独立、市民の自由と平等をめざして戦い、その多くは日本政府、韓国政府、そして北朝鮮政府によって殺されました。この先駆的なマルクス主義者たちひとりひとりの事績の評価については歴史学的な検証を待つ必要があると思いますが、運動の目標そのものは正しかったと僕は思います。
 でも、朝鮮半島におけるマルクス主義の歴史は戦後の韓国の「正史」ではあまり詳しくは言及されてきていませんでした。おそらく多くのマルクス主義者は「国賊」とか「スパイ」というラベルを貼られて、断罪され、忘却されてしまったのではないでしょうか。
 いま、マルクスについての本が韓国の読者に求められているということは、もしかすると、韓国の人たちが自国における「マルクス主義の100年」について、その暗部も栄光も含めて正面から向き合おうとしている徴候ではないか、そんな気が僕にはします。そうであれば、そのような国民的な事業の一助となれることは僕たちにとって大きな喜びです。

http://blog.tatsuru.com/2023/08/08_1452.html

10. 中川隆[-12061] koaQ7Jey 2023年12月04日 18:43:47 : R6EnQcNYmM : YjQ0eDhhdFY4bXc=[1] 報告
<▽37行くらい>
白井聡 ニッポンの正体 - YouTube
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16828499

【白井聡 ニッポンの正体】 社会も仕事も回らない!〜 人口減は、資本主義の終わり〜
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16828442

【白井聡 ニッポンの正体】呼び出されるマルクス 〜生きづらさの根源解き明かす「資本論」〜
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14103123

白井聡 武器としての「資本論」_ 要約 資本主義 経済学
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1081.html

書評・白井聡「武器としての「資本論」(東洋経済新報社刊) - 内田樹の研究室書
2020-06-12
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1081.html#c4

白井さんと話したこと - 内田樹の研究室
http://blog.tatsuru.com/2023/04/01_0810.html

内田樹 『甦る「資本論」』出版記念イベント
2023/10/29
https://www.youtube.com/watch?v=0bao7Gxh_Eo

「資本主義に替わる社会の実現可能性」をテーマに、内田樹、石川康宏、斎藤幸平が語り尽くす。

ゲスト:内田樹氏 テーマ:マルクス!(2023年7月6 日放送・前半無料パート)ゲスト:内田樹、出演:島田雅彦・白井聡、司会:ジョー横溝 - YouTube
2023/07/07
https://www.youtube.com/watch?v=5qLSVIjYIgw

ゲストに哲学者・内田樹氏を迎え、テーマ『マルクス』でお送りします。
そもそも、なぜ今でもマルクスを学ぶべきなのか?マルクスって何がそんなにすごいのか?そんな素朴な疑問からスタートし、マルクスに関して(思想背景、共産党宣言、資本論など)の初歩的な解説から、最終テーマは…<資本主義の行方>まで。

内田樹×島田雅彦×白井聡で徹底的に語ります。

近年の“マルクス読み替えブーム”の中、これぞマルクス論、資本論、資本主義論の決定版!?
是非ご覧ください。

11. 中川隆[-12060] koaQ7Jey 2023年12月04日 18:44:01 : R6EnQcNYmM : YjQ0eDhhdFY4bXc=[2] 報告
<■94行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14154268

パリ・コミューンについて - 内田樹の研究室 2019-03-05
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/890.html

ある共産党員への手紙 - 内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14099658

アメリカとマルクス - 内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14063330

格差について - 内田樹の研究室
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1133.html

国民国家 対 グローバル資本主義 - 内田樹の研究室
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1326.html

生産性の高い社会のゆくすえ - 内田樹の研究室
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14089041

内田樹「日本の没落」
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16822379

日本政府は行政コスト削減のために、首都圏以外を無住の地にしようとしている
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14118805
http://www.asyura2.com/17/ban7/msg/522.html

過疎地の住民には行政コストはかけられない。 田舎の人間は都市に引っ越せばいい
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14091903

山本健 『ヨーロッパ冷戦史』
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14093939

松下冽 『ポスト資本主義序説』 
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14096507

1929年世界大恐慌の原因は高累進所得課税を止めた事
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14144412

マルクスはやはり正しかった _ もうすぐ共産革命の嵐が吹き荒れる時代がやって来る
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/704.html

共産主義はゾンビの如く蘇る / 呪縛される日本人
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14104241

日本の学生運動は体制側の分割統治政策によって滅ぼされた
右翼・左翼の対立を使った分割統治政策 _ 左翼運動・マルクス主義運動は国際金融資本が資金提供していた
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/296.html

欧米人が植民地経営の方法として洗練させていった分割統治政策とは
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/297.html

共産主義者とはどういう人間なのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037916

若い人は何故そんなに簡単にアホ理論に洗脳されるのか? _ 精神病の感染 フォリ・ア・ドゥ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/810.html

不破哲三の正体
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/650.html

日本共産党の(かなり危ない)アレな裏話…(おや?後ろに誰か来たようだ…(震…|
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/687.html

左翼の本質は思想ではなく「タカリ」という生き方
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/671.html

若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 (2007年) _ 1970年代はこういう時代だった
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/287.html

重信房子が ばばあになって帰ってきて娘が平気でテレビに出るとか
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14006452

かぐや姫 神田川 _ 1970年代 四畳半フォークの時代
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/284.html

中島みゆき「世情」_ 1970年代に学生運動をやっていた左翼学生はその後どうなったのか?
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14003324

学生運動に挫折して自殺した恋人を歌った森田童子の名歌『僕たちの失敗』
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14003211

日本の歌曲はシューベルトやモーツァルトより名曲が多いが、名曲は1970年代に集中している
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14003099

習近平の共産革命はじまる、より強固な共産主義へ邁進‼
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=16824838

12. 中川隆[-8971] koaQ7Jey 2024年10月01日 06:54:45 : xsS8IbBpKA : VHZwcFdDdmRQUmM=[4] 報告
<■99行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
田中角栄の弟子、愛国の志士 石破茂の政策

・賃金を適正化し、低所得者や子育て世代への支援で国内消費を喚起。
・輸出重視を止めて内需主導経済にする。
・東京一極集中から地域分散化を進め、地方の農林水産業、建設業、観光・サービス業を振興する。
・教育を無償化し教育格差を是正。
・欧米製薬企業からの高額医薬品の輸入を抑制し、日本企業のワクチンや治療薬の開発力を強化。
・日米地位協定を改定し、自衛隊が米軍の代わりに中国軍と戦うのを止める。


【公式】石破茂 - YouTube
https://www.youtube.com/@ishibach/videos


▲△▽▼


石破茂氏出演!『安全保障論 / 自民党論』(2023年5月19日放送・前半無料パート)ゲスト:石破茂、出演:島田雅彦・白井聡、司会:ジョー横溝
エアレボリューション 2023/05/19
https://www.youtube.com/watch?v=kVFCuWLX9uA

ゲストは自民党衆議院議員・石破茂氏。

安全保障論では、岸田内閣の安全保障の評価、ウクライナ戦争後の世界の安全保障について、台湾有事の可能性とその回避方法などをテーマにトークを展開します。
果たして…日本は戦争に向かうのか?

自民党論では、そもそも石破氏は自民党をどうするのか? 対米従属はどうするのか? 官僚支配をどうするのか?など…日本政治の根幹を石破氏に迫ります!

2024.09.30
日経1600円安 石破さん=最後の愛国政権 田中角栄の弟子
https://golden-tamatama.com/blog-entry-ishiba-last-patriot.html

日経平均1600円安来た〜

最近は千円のレベルで上がったり下がったり。

電球もぶっ壊れる前はチカチカする。

すなわち終わりが近づいてるってことです。

ワタスの見たとこ株式相場というより金融システム自体。
消えてなくなるのが2026年ごろ。

通貨の意味がなくなるのがその頃だと見てます。

これからは、どんなにお金があってもお米の一つも買えない。

タワマンに住んでてもおにぎりの1つも食べられない。

それなのに、株が暴落しただの。
何をのんきな。。

明日からいよいよレプリコン開始なのです。
誰も気づかず、静かに落とされる原爆。

もう完全リセットモードに入ってるのが分からないのか。

さて、今回の暴落の理由。

石破ショックなどとトレンドに上がってますたね。


石破さんは完全にこっち側の人です。

反グローバリストですね。

株価が上がる=グローバリスト
株価が下がる=反グローバリスト

わかりやすいですよね。

以下の動画で、ひろゆきの質問に

非正規労働者が4割いて、所得が6割になって
どうやって子供作れるの?

非正規労働をなくせ、派遣会社をぶっ潰せと答えてます。

この人は完全庶民側、愛国者ですね。

石破さんが総理になれない理由
自民党ぶっ潰して欲しい
https://twitter.com/nohandhuman/status/1826260619001286730

まぁ、石破さんは田中角栄さんの最後の弟子だからですね。


角栄さんは、ロッキードでやられてしまった。

そして娘の田中真紀子さんも、目立ってくるとすぐ潰される。
最近も自宅を放火されるなどして、ずっと狙われてる。

自民党にも昔は、中川昭一さん、橋本龍太郎さん、竹下さんなど愛国者はいた。

でも、暗殺されたり脅されたりで、今は売国政権になってしまった。

ずっと自民党の副総裁になってる麻生さんなんてお爺さんが吉田茂さん。
イエズス会ですからね。

小泉、竹中時代から、完全グローバリストが実験を握ってる。

でも、それが覆された。
そりゃ麻生さんが固まるのも分かる。


石破さんはこんなことを言ってます。


・一部の超金持ちから税金をいただく金融所得課税を実現。

・在日米軍基地を日米で共同利用し、アメリカにも自衛隊を駐留させる←日米安保がほぼ完全に同等な関係となる。

・「防災省」が新設され災害対応がより迅速かつ丁寧なものに。

・アジア版NATOで大東亜共栄圏復活へ

普通に反グローバリスト政権なのが分かる。

日本独立を目指してるのです。

これはネットに載ってた、石破さんの裏切りの歴史だそうです。

自民党内の色んな派閥に属して、裏切り続けてる。
だから煙たがられてた。

でも、これは普通に庶民の側を向いてたからですね。


まぁ、石破さんには頑張ってもらいたいですが。

ワタスの見たところ。

残念ながらお決まりの法則がある。
愛国者はすぐ潰される法則。

石破さんの政権は、最後の愛国者政権。

多分、人工地震か第2パンデミックか。
それで潰されてしまうでしょう。

いよいよ来年に向けドラマが始まった。

とかなんとか。

本当にありがとうございますた。

これは、映画、沈黙の艦隊の主題歌。
DIGNITY(尊厳)


石破さんは、主演の大沢たかおさんに会ってましたね。


石破さんは独立国とはどういうことなのかとか。
自分のチャンネルで話してますたね。

イシバチャンネル第百三十八弾「沈黙の艦隊」について - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=f5-UnUtVM9I

https://golden-tamatama.com/blog-entry-ishiba-last-patriot.html


植草一秀氏生出演!『沈む日本の4つの大罪とは?』
エアレボリューション 2024年9月17日
●ゲスト:植草一秀
●出演:島田雅彦(作家) 白井聡(政治学者)
https://www.youtube.com/watch?v=JCzYqzuKv3I

参考テキスト『沈む日本 4つの大罪』植草 一秀 、白井 聡著、ビジネス社、1870円(税込)

選挙のための顔選び、新リーダーは日本を救えるか⁉ 白井聡(京都精華大学准教授) × 鳩山友紀夫
2024/09/02
https://www.youtube.com/watch?v=bs1xClsSktU

00:00 準備映像
00:30 対談スタート、白井氏の近著について
02:10 自民党総裁選を分析、候補者から感じる惨状、勝利するのは誰か。
19:00 過酷な税と社会保障、崩壊寸前の年金制度、深刻化する労働力不足、貧困・戦争を必要とする先進国 
32:30 立憲民主党代表選を語る、財務省の代弁者と役人、自民党と立憲は何が違うのか、野党共闘は幻想なのか、 
45:00 「対米自立」でまとまれない立憲、マニフェスト選挙の可能性、 
1:00:30 メディアとの関わり方、ウクライナ情勢とグローバルサウス
1:14:10 「2012年体制」を乗り越えるために

13. 中川隆[-8882] koaQ7Jey 2024年10月11日 07:10:08 : S5ZERITXNY : SWxYenozNG0uVDI=[2] 報告
<■1148行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
イラク戦争の背景

東北学院大学講師・世界キリスト協議会前中央委員
川端 純四郎

 ご紹介いたします。

 先生は1934年のお生まれです。東北大学文学部に学ばれ、博士課程を終えられてから、ドイツのマールブルグ大学に入学されました。帰国後、東北学院大学教員として35年間お勤めになりました。その後ひきつづき講師として、現在も勤務されています。一貫して平和、人権、政治改革の活動に積極的に関わっておいでになりました。

 「9条の会」の講師団メンバーとしても、全国を股にかけて講演なさっており、昨年は1年間で80回以上の講演会を開いておられます。

 先生は今朝8時前に仙台を発ち、はるばる鋸南町においで下さいました。今日の講師としてほんとうにふさわしく、よいお話をうかがえると思います。早速、先生からお話をうかがいたいと思います。 先生、どうぞよろしくお願いいいたします。
                                        安藤

 みなさん、こんにちは。 安房郡の水清き鋸南町に伺って、こうしてお話できることをありがたいと思っています。初めておうかがいしました。木更津まで来たことはあるのですが、今日、電車で君津を過ぎたらとたんに山が美しくなり、あそこまでは東京郊外のなんとまあみっともない風景でしたけれど、あそこから南に来ると一気にほんとうに昔のよき日本の風景がよみがえってくるようでした。ほんとうに嬉しく思いました。

 いま、「さとうきび畑」の朗読と、合唱団のコーラスをお聞きしたのですが、どちらも聞いていて涙が出ました。

 私は、戦争に負けた時小学校6年生でした。仙台で敗戦を迎えましたが、仙台も空襲で全滅いたしました。街の真ん中にいましたから、もちろんわが家も丸焼けでした。忘れられない思い出があります。街の真ん中の小学校でしたから、同級生が一晩で8人焼け死にました。隣の家の、6年間毎日いっしょに学校へ適っていた一番仲の良かった友達も、直撃弾で死にました。今でも時々思い出します。

 今このような歌を聞くと、どうしてもその人のことを思い出します。思い出す私の方はもう70になりますが、記憶に出てくるその三浦君という友達は、小学校6年生のまま出てきます。どうして小学校6年で人生を終わらなければいけなかったのか、生きていてくれたらいろんな事があったのに、と思います。戦争なんて二度としてはいけない、というのが一貫した私の願いです。

 私は牧師の家に生まれました。父はキリスト教の牧師で、教会で生まれ教会で育って、讃美歌が子守歌でした。牧師の中には戦争に反対した立派な牧師さんもおられたのですが、私の父のような多くの普通の牧師は、政治や社会に無関心で魂の救いということしか考えていませんでした。で、私もその親父に育てられましたから、大学を出、大学院に入って博士課程までいって、ずっとキルケゴールや実存哲学という、魂だけ見つめているような学問をやっていて、政治とか経済、社会とかは25歳までいっさい関心がありませんでした。

 25歳の時チャンスがあって、ドイツ政府の招待留学生となってドイツヘ勉強に行くことになりました。1960年のことでした。1960年にドイツへ行ったというだけで、どんなにノンポリだったか分かります。安保改訂問題で日本中が大騒ぎの時、それを尻目に悠々とドイツ留学に行ったのです。幸か不幸かまだ世界は貧しくて、飛行機などというものは贅沢な乗り物で、まだジェット旅客機機はありませんでした。プロペラ機でヨーロッパヘ行くには途中で何遍も何遍も着地し、給油して、今のようにノンストップでシベリヤを越えて、などというのは夢のような話でした。しかもベラ棒に高いのです。船の方があの頃はずっと安かったのです。特に貨物船に乗せてもらうと飛行機よりずっと安いのです。そこで一番安いのを探して、5人だけ客を乗せるという貨物船をみつけました。

 その船で神戸を出航し、インド洋からスエズ運河をぬけ、地中海を渡ってイタリアのジェノバに上陸。そこから煙を吐く蒸気機関車でアルプスを越えて、ドイツのマールブルクという町に着きました。

 実は、飛行機をやめて船で行ったということが、私の人生を大きく変えることになりました。あの時もし飛行機で行ったなら、私は一生、世間知らずの大学に閉じこもって勉強だけしている人間で終わった、と思います。

 ところが船で行ったおかげで、しかも貨物船に乗ったおかげで、私は途中のアジア・インド・アラブの国々をくわしく見ることができました。まっすぐ行けば船でも二週間で行くそうですが、何しろ貨物船ですから、途中港、港に寄って荷物を下ろし、また積んで、一つの港に4日から5日泊まっているのです。おかげでその間、昼間は上陸してそのあたりを見て歩き、夜は船に帰って寝ればいいのですから、東南アジアからアラブ諸国をくまなく見て歩きました。

 1ヵ月かかりました。神戸からジェノバまでのこの船旅。その時見たものが、私の人生を変えたのです。何を見たかはお解りですね。アジアの飢えと貧困という厳しい現実にぶつかったのです。

 降りる港、港で、ほんとうに骨と皮とに痩せせこけた、裸足でボロボロの服を着た子供達が、行く港も行く港、集まって来るのです。船の事務長さんに、「可哀想だが、何もやっては駄目だよ。1人にやると収拾がつかなくなるよ」と言われていました。だから心を鬼にして払いのけて通り過ぎるのですが、その払いのけて通り抜ける時に触った子供の肩、肉などなんにもない、ただ骨と皮だけのあの肩、あの感触が、今でも時々蘇ってきます。

 船に帰って、眠れないのです。明日も、あの子供たちに会う。どうするか。私が考えたことは、「神様を信じなさい。そうすれば救われます」と言えるか、ということでした。

どんなに考えたって、言えるわけがありません。飢えて捨てられた孤児たちに、こちらは着るものを看て、食うものを食っておいて、「神様を信じなさい、そうすれば救われます」などとは、口が裂けても言えないと思いました。牧師館で生まれて、キリスト教しか知らずに育って、キリスト教の学問をして来て、それではお前キリスト教って何なのか、25年お前が信じてきたキリスト教とは、飢えた子供たちに言えないようなキリスト教なのか。とれが私の考えたことでした。

 もし言えるとしたら、ただ一つしかない。そこで船を降りて、服を脱いで、子供たちに分けてやって、食っているものを分けてやって、そこで一緒に暮らす、それなら言える。言えるとしたら、それしかありません。言えるじゃないか、と自分に言い聞かせました。

 それなら、船を降りるか──。くやしいけど、降りる勇気がありませんでした。折角これからドイツヘ勉強に行くという時、ここで降りて、一生インドで暮らすのか、一生アジアで暮らすのか、どうしてもその気にならないのです。
 ですから理屈をこねました。

 「降りたって無駄だ。お前が降りて背広一着脱いだって、何百人人もいる乞食の子に、ほんの布切れ一切れしかゆきわたらないではないか。自分の食うものを分けてやったって、何百人もの子供が1秒だって、ひもじさを満たされる訳がないじゃないか。お前が降りたって無駄だ。それは降りたという自己満足だけで、客観的にはあの子らはなんにも救われない。」

 「だから降りない、勇気がないのではなく、無駄だから降りない。」と自分に言い聞かせるのです。でも、降りなければ「神様を信じなさい」とは言えません。言えるためには降りなければならない、しかし降りても無駄なのだ。

 堂々巡りです。寄る港、寄る港でこの間題に直面しました。毎晩毎晩同じ問題を考え続けて、結局、答えが見つからないまま、閑々として港を後にしました。、出港の時、あの子たちを見捨て自分だけドイツへ行くことに、強い痛みを感じました。これは永く私の心の傷になって残りました。

 このようにして初めて、世の中には飢えた仲間がいるという、当然分かっていなくてはいけない事実に、何ということでしょう、25にもなってやっと気づいたのです。飢えた子供たちがいる、それを知らんぷりしてドイツに行くのか、お前が降りてあの子たちと一緒に暮らすことはあまり意味ないかも知れない、しかしやっぱり船を降りないのだとしたら、せめて世の中に飢えた子供なんか生まれないような社会を作るために、自分で何かしなければいけないのではないか。ただ魂の中だけに閉じこもっていていいのか。

 これが、私がヨーロッパヘ行く1ヵ月の旅で考えたことでした。

 ドイツヘ行って、宗教の勉強をしました。ブルトマンというドイツの大変偉い先生の所に1年いて、いろいろ教わりましたが、結局、私の結論としては、実存哲学だけではだめだということでした。自分が自分に誠実に生きる──これが実存的、ということですが、それだけでは駄目だ。自分が生きるだけでなく、みんなが人間らしく生ることができるような世の中になるために、自分にできる何か小さなことでもしなければいけない。

 こう思うようになって、日本に帰ってきたのです。

 それじゃあ、世の中で、そのように飢えて死ぬような子がいなくなるような社会とは、どうすれば出来るのか。これはやっぱり、飢え、貧困、戦争、差別、そういうものが生まれる原因が分からなければ、除きようがありません。原因を勉強しなければいけない。そのためには社会科学を勉強しなければいけない。特に経済学を勉強しなければいけない──。

 ドイツヘの留学は、大学院の途中で行きましたので、帰国して大学院に復学しました。幸い東北大学は総合大学ですから、中庭をへだてて向こう側が経済学部でした。帰ってきた次の日から、私は、経済学部の講義を経済原論から、授業料を払わずにもぐりで、後ろの方にそっと隠れてずっと聞きました。

 それからもう45年になりますが、ずっと宗教哲学と経済学と2股かけて勉強してきています。今日も、多少経済の話を申し上げるわけですが、やっぱり自分がクリスチャンとして、今もクリスチャンであり続けていますが、同時に、自分の救いということだけ考えていたのでは申し訳ないと思うのです。現実に飢えて死ぬ子がいるのです。ユネスコの統計によると、毎日2万人の子が栄養不足で死んでいるそういう世の中、このままにしておくわけにはいかない、自分でできることは本当に小さいけど、その小さなことをやらなかったら、生きていることにならない──。そう思って45年過ごしてきたわけです。

 キリスト教の中でずっと生きていますので、一般の日本の人よりは外国に出る機会が多いと思います。特に世界キリスト教協議会という全世界のキリスト教の集まりがあります。その中央委員をしていましたので、毎年1回中央委員会に出かけて、1週間か2週間会議に参加しました。世界中のキリスト教の代表者と一つのホテルに缶詰になり、朝から晩までいろいろと情報交換したり論議したりします。そのようなことを7年間やりましたので、世界のことを知るチャンスが多かったと思います。それを辞めてからも、自分の仕事や勉強の都合で、今でも毎年二週間ぐらいはドイツで暮らしています。そうしていると、日本ってほんとうに不思議な国だということが分かってきました。

 日本にいるとなかなか分からないのです。島国ですし、おまけに日本語という特別な言葉を使っています。他の国との共通性がない言葉です。ヨーロッパの言葉はみんな親戚のようなものですから、ちょっと勉強するとすぐ分かります。一つの言葉の、ドイツ弁とフランス弁、ベルギー弁、オランダ弁というようなものです。日本で言えば津軽弁と薩摩弁の違い程度のものです。津軽と薩摩では、お互いに全然通じないとは思いますが、それでも同じ日本語なのです。ヨーロッパの言葉とはそういうものです。ですからお互いに何と無く外国語が理解できるというのは、別に不思議なことではないのですね。ですから、自分の国のことしか知らないという人は、非常に少ないのです。

 新聞も、駅に行けばどんな町でも、ヨーロッパ中の新聞が置いてあります。ドイツのどんな田舎町へ行っても、駅にいけばフランスの新聞もイタリアの新聞も売っていますし、それを読める人がたくさんいるのです。そういう社会ですから、日本人とはずいぶん違います。自分の国を客観的に見られる。他の国と比べて見ることができるのです。

 日本にいると比べられません。そのうえ、日本はマスコミが異常です。ワンパターンのニュースしか流しません。ヨーロッパではいろんなテレビがあって、テレビごとに自由な報道をやっています。バラエティー番組のようなものがなくて、ニューハ番組が充実しています。きちんとした議論をテレビでやっています。ですから日本にいるよりは、比較的自分の国の様子を客観的に見られることになります。ドイツに行く度に、日本とは不思議な国だなあと思うのです。

 例えば、もうだいぶ前、バブルの頃です。日本のある有名なモード会社がミラノに支店を出しました。そしてマーケティング調査をしました。どんな柄が流行っているか、アンケートを集めそれを整理するために、イタリア人女性3人雇ったそうです。アンケートの整理をしていたら5時になりました。あと少ししか残っていなかったので、日本ならの常識ですから、「あと少しだからやってしまおう」と日本人支店長は声をかけました。ところがイタリア人女性3人は、すっと立って「5時ですから帰ります」と言って出て行こうとしました。思わず日本人支店長は怒鳴ったのだそうです。「たったこれだけだからやってしまえ」と。途端にこの日本人支店長は訴えられました。そして「労働者の意志に反する労働を強制した」ということで、即決裁判で数万円の罰金をとられました。

 これがヨーロッパの常識です。つまり9時から5時までしか契約していないからです。5時以後は命令する権利はないのです。9時から5時までの時間を労働者は売ったんであって、5時以降は売っていないのですから、自分のものなんです。会社が使う権利はありません。当たり前の話です。

 その当たり前の話が日本では当たり前ではないのです。残業、課長に言われたので黙ってやる。しかもこの頃は「タダ残業」ですからネ。本当にひどい話です。常識がまるで違うのです。あるいは有給休暇。ドイツのサラリーマンは年間3週間とらねば「ならない」のです。3週間休まなければ罰せられます。日本は有給休暇など殆どとれません。ドイツでは取らないと罰せられます。ですからどんな労働者でも3週間、夏はちゃんと休んで、家族ぐるみイタリアへ行ってゆっくり過ごしてきます。有給になっているからです。或いは日本では1週間40時間労働です。ドイツはもう随分前から36時間です。土日出勤などありえない話で、日本のように表向き40時間労働でも、毎日毎日残業で、その上休日出勤、日曜日には接待ゴルフなど馬鹿なことをやっています。接待ゴルフなど、ドイツには絶対ありません。日曜日は各自が自由に使う時間で、会社が使う権利はないのです。

 そういうところもまるで常識が違います。或いは、50人以上だったと思うのですが、50人以上従業員がいる会社、工場は必ず、労働組合代表が経営会議に参加しなければいけないことになっています。そんなことも、日本では考えられないことです。ですから配置転換とかもとても難しいし、労働者の代表が入っているから、簡単に首は切れません。

 そういういろんな面で、日本の外に出てみるとびっくりするようなことが山ほどあります。日本という国は、高度に発達した資本主義国の中で例外的な国なのです。資本主義が発達した点では、アメリカにもフランスにもドイツにも負けないのですが、資本主義が発達したにしては、労働者が守られていない。或いは市民の権利が守られていない。会社の権利ばかりドンドンドンドン大きくなっているのです。それが日本にいると当たり前のように思われています。外国で暮らしていると、日本は不思議な国だと分かります。特にこの数年それがひどくなってきているのではないでしょうか。

 私たちの暮らしは、戦後50何年かけて、少しずつよくなってきました。例えば年金なんかも少しずつ整備されてきた。健康保険制度も整備されてきた。介護保険も生まれてきた。或いは、労働者も土曜日チャンと休めるようになってきた。ところがこの数年、それが逆に悪くなつてきています。年金は削られる一方、介護保険料は値上がりする、労働者は首切り自由でいくらでも解雇できる。労働者を減らすと政府から奨励金が出る。タダ残業はもう当たり前・・・。

 特にこの数年、構造改革という名前で、日本の仕組みが変わってきています。いま申し上げたように、戦後50年かけてみんなで、少しずつ少しずつ作ってきた、いわば生活の安心と安全を守る仕組み、そういうものが今はっきり壊されかかっているのではないでしょうか。

 小泉首相という人は「自民党をぶっ壊す」といって当選したのですが、この4年間を見ていると、あの人は自民党を壊したのではなく「日本を壊した」のではないかと思われます。これまで日本が戦後50年かけて作ってきた社会の仕組みが、バラバラにされているのです。フリーターとかニートがもう30%でしょう。そうなると当然、この人たちは生きる希望がありません。お先真っ暗。いまさえよければ、ということになる。ですから若者が当然刹那的になる。人生の計画なんて立たない。今さえよければということになっていきます。

 昔なら10年に1回あるかないかのような犯罪が、いま毎日のように起きています。私は仙台にいますが、この正月には赤ん坊の誘拐事件で一躍有名になってしまいました。あんなことが日常茶飯事として起こっています。栃木県で女の子が山の中で殺された事件は、まだ解決されていませんが、こんな事件が今は「当たり前」なのです。世の中がすさんできて、何が善で何が悪なのか、みんなに共通な物差しというものがなくなったというふうに思われます。

 そのような世の中の変化、私は多分、「構造改革」というものがその犯人なのだ、と思っています。

《逆戻りの原因はアメリカの変化》

 その構造改革というのは、どこから来たのか。もちろんアメリカから来たのです。アメリカが変化した、日本はそのアメリカに右ならえをした、それが構造改革です。

 それでは何が変わったのか、これが一番の問題です。この変化の行き着くところが、憲法改悪です。

 社会の仕組み全体がいま変わろうとしているのです。憲法も含めて。いったい何がどう変わるのか。いったいどういう構造をどういう構造に変えるということが構造改革なのか。そこのところがアメリカを見ればよく分かってきます。アメリカがお手本なのですから。

 アメリカはソ連崩壊後変わりました。ソ連とか東ドイツは自由のないいやな国でした。昔1960年に西ドイツヘ留学した折、東ドイツへ何回か行く機会がありました。ふつうはなかなか行けないのですが、幸いキリスト教国なので、ドイツのキリスト教はしっかりしていまして、東ドイツと西ドイツに分裂しても、教会は分裂しなかったのです。東西教会一つのまんまです。ですから、教会の年1回の大会には、西で開く時は東の代表がちゃんと来たし、東で開く時は西の代表が行けたのです。ですから一般の人の東西の往来が難しかった時でも、キリスト教の人だけはかなり自由に行き来ができました。

 私も連れていってもらって、何回か東ドイツへ行って見ました。ご存じのように自由のないいやな国でした。ですからソ連や東ドイツが崩壊したのは当然だし、いいことだと思います。しかしソ連や東ドイツが100%悪かったかというとそんなことはありません。良い部分もありました。何から何まで全部ひっくるめて悪だったというのも間違いです。基本的に自由がない。ですから、ああいう国は長くは続かない。これは当然そうだと思います。滅びたのは当然だと私は思います。

 しかし同時に、良い面はなくしては困るのです。良い面は受け継がなければいけません。最も目につくのは女性の地位でした。これは立派なものでした。いまの日本なんかより遥かに進んでいました。男女の平等が徹底的に保障されていました。専業主婦などほとんど見たことがありません。だれでも自由に外に出て、能力に応じて働いていました。それができるような保障が社会にあるのです。文字通りポストの数ほど保育所があって、子供を預け安心して働きに出られるようになっていました。同一労働同一貸金の原則はきちんと守られていて、女性だから賃金が低い、女性だからお茶汲みだけなどというようなことは一切ありませんでした。これは凄いなと思いました。あれは、日本はまだまだ見習わなければいけないことです。

 もう一つ私がびっくりしたのは、社会保障です。私が初めて東の世界を見たのは、何しろ1960年の頃のことです。日本はまだ社会保障がない時代でした。いま若い方は、社会保障はあるのが当たり前と思っておられる方も多いと思いますが、そんなことはないのです。日本は1972年が「福祉元年」といわれた年です。それまでは、福祉はなかったのです。大企業とか公務員だけは恩給がありましたが、商店の経営者とか家庭の主婦なんか何もありませんでした。健康保険も年金も何もありませんでした。72年からようやく国民皆年金、国民皆保険という仕組みが育ってきたのです。

 もともと資本主義という仕組みには、社会保障という考えは無いのです。自由競争が原則ですから、自己責任が原則です。老後が心配なら、自分で貯めておきなさい。能力がなくて貯められなかったら自業自得でしょうがない。こういうのが資本主義の考え方です。労働者が、そんなことはない、我々だって人間だ、人間らしく生きていく権利がある。だから我々の老後をちゃんと保障しろと闘って、社会保障というものが生まれてくるのです。自然に生まれたのではありません。

 労働者が団結して闘って、止むを得ず譲歩して社会保障が生まれてくるのです。資本主義の世界で最初の社会保障を行ったのはビスマルクという人です。ドイツの傑物の大首相といわれた人です。ドイツの土台を作った人ですが、この首相の頃、何しろマルクス、エンゲルスの生まれた故郷ですから、強大な共産党があり、国会で100議席くらいもっていました。そこで、ビスマルクが大弾圧をやるのです。社会主義取り締まり法という法律を作って共産党の大弾圧をし、片方では飴として労働者保険法という法律で、労働者に年金を作ります。世界で初めてです。辞めた後年金がもらえる仕組み、病気になったら安く治してもらえる仕組みを作った。こうやって鞭と飴で労働運動を抑えこんでいったのです。

 社会保障というのは、そうやって労働者の力に押されてやむを得ず、譲歩として生まれてくるのです。放っておいて自然に生まれてくるものではありません。

 そこへ拍車をかけたのが、ソ連や東ドイツです。ソ連や東ドイツヘいってみて、1960年の時点なのですから、日本にまだ社会保障などなかった時、そう豊かではなかったのですけれども、老後みながきちんと年金をだれでも貰える、そして、病気になればだれでも、医者に行って診察を受けて治療を受けられる。これにはほんとうに驚きました。これが社会主義というものかと、その時は思いました。ただ自由がないのです。例えば、牧師さんの家に泊めてもらうと、こちらがキリスト教徒ということが分かっていますから、牧師さんも信用して内緒話をしてくれるわけです。

外国から来る手紙はみな開封されていると言っていました。政府が検閲して開封されてくる。だから、「日本へ帰って手紙をくれる時は、気をつけて書いてください。政府の悪口など書かれると私の立場が悪くなるから。手紙書くときは開封されることを頭に入れて書いてくれ。」というふうに言われました。こんな国には住みたくないなと思いましたけれど、同時に社会保障という点では驚きました。こういうことが可能な社会の仕組みというのがあるんだなあ、とこう思ったのです。

 その後、スターリン主義というものによって目茶苦茶にされていくのですが、私の行った頃はまだ、東側の社会保障がある程度きちっと生きていた時代です。こうして、ソ連や東ドイツが社会保障というものを始めると、資本主義の国もやらざるをえなくなってきます。そうでないと労働者が、あっちの方がいいと逃げ出してしまいます。ですから西ドイツが一番困りました。地続きですから、何しろ。ですから、東に負けないだけの社会保障をしなければならなかったのです。そうすると、自由があって社会保障があるのですから、こっちの方がいいということになります。いくら向こうは社会保障があっても自由がないのです。こうして西ドイツは大変な犠牲を払って、社会保障先進国になってきました。そのことによって、東ドイツに勝ったのです。

 実際西ドイツの労働者は、別に強制されたわけではありません。自主的に西ドイツを選んだのです。ですからあのような東西ドイツの統一も生まれてきたのです。

 つまり資本主義の国は、ひとつは自分の国の労働者の闘いに押されて。そこへもってきて、ソ連、東ドイツの社会保障という仕組みの外圧で、それに負けるわけにいかないものですから、そういう力があって、社会保障というものを造り出していくのです。しかし社会保障というものは莫大な財源がかかります。


《社会保障をやめて小さな政府へ──構造改革の中身(1)》

 いま日本政府は社会保障をどんどん削っていますけど、それでも国家予算の中で一番多い費目は社会保障です。大変な財源が必要なのです。そこで資本主義の国は、新しい財源を見つける必要ができてきます。

 そこで見つけたのが2つ。1つは累進課税です。それまでの資本主義にはなかった、累進課税という新しい仕組みです。つまり収入の多い人ほど税率が高くなるという仕組みです。日本でも1番高い時は1980年代、1番大金持ちはの税率75%でした。ですから、年収10億あれば7億絵5千万円税金にとられたのです。今から考えれば良く取ったものです。今は35%です。大金持ちは今ほんとうに楽なのです。35%ですむのですから。年収10億の人は3億5千万払えばいいのです。昔なら7億5千万取られたのです、税金で。「あんまり取りすぎではないか、これは俺の甲斐性で俺が稼いだ金。それを取り上げて怠け者のために配るのか。」と彼らはいいました。

 そうすると政府は、「いやそういわないでくれ。そうしないと、資本主義という仕組みがもたない。だから体制維持費だと思って出してくれ。そうでないと社会主義に負けてしまう」と言って、大金持ちからたくさん取ったのです。大企業も儲かっている会社からたくさん税金取った。法人税もずっと高かったのです、以前は。こうやって大金持ち、大企業からたくさん取る累進課税で一つ財源を作ったのです。

 もうひとつは、企業負担です。サラリーマンの方はすぐお分かりですが、給料から社会保障で差し引かれますね。そうすると、差し引かれた分と同額だけ会社が上乗せするわけです。自分が積み立てたものが戻ってくるだけなら、貯金したのと同じです。労働者の負担する社会保障費と同額だけ会社も負担しているのです。倍になって戻ってくるから、社会保障が成り立つわけです。

 これも資本主義の原則からいえば、おかしいことです。いまいる労働者の面倒を見るのは当たり前です。会社は労働者がいるから成り立っているのですから。だけど、辞めてからは関係ないはずです。契約関係がないのですから。辞めた人が飢え死にしようがのたれ死にしょうが、会社の責任ではないはずです。

 だけども一歩ふみこんで、それでは資本主義の仕組みがもたないから、労働者が辞めた後まで面倒みてくれ、そこまで企業負担してくれ、そうしないと資本主義がもたないから、ということになります。

 こうやって、社会保障というものが資本主義の国で成り立っているのです。これは、ただの資本主義ではありません。資本主義の原則に反するような累進課税とか、企業負担というものを持ち込んで、社会主義のよいところを取り入れた資本主義です。これを「修正資本主義」と呼びました。

 資本主義の欠点を修正して、社会主義に負けないようないい仕組みに造り直した資本主義ということです。学者によっては、資本主義の経済の仕組みと社会主義経済を混ぜ合わせた「混合経済」と呼ぶ人もいます。所得再配分機能を政府が果たすということです。もちろん修正資本主義というものは、このような良い面だけではなくて、公共事業という名前で国民の税金を大企業の利益のために大々的に流用するというようなマイナスの面もあることも忘れてはなりません。

 しかし、ともかくこうやって、西側の世界は、自由があって社会保障がある、そういう社会に変わっていくのです。そのことで東に勝ったのです。ところが、そのソ連と東ドイツが居なくなったのです。

 その前にもうひとつ。先進資本主義国というのは或る一種の傾向として、労働者が闘わなくなってきます。これは先進資本主義国の宿命のようなものです。つまり資本主義国というのはご存じのように、地球上の大部分を占めている低開発諸国、貧しい第3世界といわれた世界から、安い原料を買ってきてそれを製品にして高く売っています。そして差額、莫大な差額を儲けている。超過利潤と呼ばれています。だから遅れた国は働けば働くはど貧しくなるのです。一生懸命働いてコーヒー豆作っても、それを安く買われてチョコレートやインスタントコーヒーなどの製品を高く買わされるのですから、結局差額だけ損をすることになります。

 この20年、先進国と遅れた国の格差は開く一方、全然縮まらない。地球上の富を先進国が全部集めちゃって、とびきりぜいたくな生活をやっています。ですから先進国の労働者にも、当然そのおこぼれの分け前に預かるので、低開発国の労働者にくらべれば、ずっと豊かになります。豊かにれば闘わなくなってしまいます。その上、それを推し進めるようなありとあらゆる謀策が講じられているのです。

 資本主義というのは、物を売り続けなければなりたたちません。売ったものをいつまでも使われていたのでは、資本主義は成り立たないのです。早く買い換えてもらわなければなりません。いま、日本の車はよく出来ているので、30年は楽に乗れるのに、30年乗られたら日本の自動車会社はみな潰れます。3年か5年で買換えてもらわなれりばいけません。買い替えてもらうには、自分の車は古いと思ってもらう必要があります。ですからコマーシャルで、朝から晩まで何回も、「あんたは古い、あんたは古い。こんないい車ができてます。こんな新しい車が出ましたよ。もっといいのが出ましたよ」と宣伝して洗脳しいるのです。だから3年も乗ると、どうしても買換えざるをえない心境に引き込まれてしまいます。全てのものがそうです。まだまだ使えるのに新しいものに換えてしまう。そういう仕組みができているのです。

 そうしないと、資本主義はもちません。ですから労働者はどうなるかというと、「次、この車に買換えよう、次、パソコンこっちに買換えよう、次、今度はデジタルテレビに買換えよう、じゃあセカンドハウス、つぎは海外旅行・・・」。無限に欲望を刺激され、自分の欲望を満たす方に夢中になって、社会正義とか人権とか考えている暇がなくなっていくのです。

 いま日本の大部分がそうですね。「もっといい生活を」ということだけ考えています。ほかの人の人権だの社会正義なんて見向きもしない。見事に資本の誘惑にひっかかってしまいます。

 もちろん、欲しいからって、お金がなければ買えません。家がほしい、車がほしい、パソコンほしい・・・。それが、実はお金がなくても買える、なんとも不思議な世の中です。ローンというものがあるのですね。

 フォードという人が見つけたのです。それまでは、「つけ」で何か買うなどということは、労働者にはありませんでした。労働者が「つけ」で買ったのはお酒だけです。酒飲みはお金がなくても飲みたいのです。だから酒屋だけは「つけ」がありました。大晦日に払うか払わないかで夜逃げするかどうかもあったでしょうが、今は家を「つけ」で買う、車を「つけ」で買う、なんとも奇妙な世界になってきました。これをフォードが始めたのです。それまでは、自動車というのは大金持ちのものでした。フォードが、あのベルトコンベアーというのも発明して、大量生産を始めたのです。そうなれば、大量に売らなれりばなりません。大量に売るためには労働者に買ってもらわなくてはなりません。でも労働者にはお金がないのです。そこで、ローンという、とんでもないものを考え出したのです。ローンなら金がなくても買えるんですから、みんな買う。当然な話です。

 そりゃあ豊かなのに越したことはありません。マイホームが欲しくなる。ですからみんなローンで買う。そして「マイホーム」という感じになるのです。でも本当はマイホームではありません。あれは銀行のものです。払い終わるまでは、所有権は銀行のものです。銀行から借りてローン組んだだけなんです。こうして次々と新しいものを買わされていく。そのローンは多くの場合退職金を担保に組みます。一度退職金を担保にローンを組んでしまったら、ストライキはできなくなります。会社と闘って退職金がすっとんだら終わりなのです。家も途中でおしまいになってしまいます。ですから、ローンでマイホームが変えるようになってから労働運動は一気に駄目になりました。みんな闘わない、会社と喧嘩したくない、というふうになります。これはもちろん、向こうは計算済みのことです。

 ですから、高度に発達した資本主義社会というのは、労働者が、ある程度ですが、豊かになり、そして、このような消費社会に組み込まれてしまって、身動きができなくなるのです。

 こうして、いま日本では労働組合も、労働運動もストライキもほとんど力を失いました。そうなれば、政府は社会保障なんて、何も譲歩する必要がはありません。労働者が必死になって運動するから、止むを得ず健康保険とか年金制度とかやってきたのであって、労働者が闘わなければ、その必要はないのです。いま、どんどん社会保障が悪くなってきています。次から次から悪くなる。20年前だったら、いまのように社会保障が悪くなったらたちまち、大ストライキが起こりました。しかし今は何も起きません。労働組合が弱体化している、労働運動が骨抜きという状態です。

 そこへもってきて、ソ連や東ドイツがいなくなったのです。こうなればもう社会保障をやる必要はありません。社会保障は止めます、修正資本主義は止めます、ということになるわけです。修正資本主義にはいろいろな意味があるのですけど、一つの特徴は、大金持ちや大企業からお金を取って、弱い立場の人たちに配るところにあります。所得再分配と言われる働きです。だから政府は大きな政府になります。こういう仕組みが修正資本主義で、いろんなマイナス面もあるのですが、プラスの面も大いにあります。

 この仕組みをやめる、というのが今のアメリカです。もう政府は面倒みません、自分でやりなさい、と自由競争に戻る。自由競争一筋。これが、ソ連が崩壊した後に新しくなったアメリカの仕組みなのです。そして、それに日本が「右へならえ」ということなのです。

 それに対してヨーロッパは、アメリカのいうことを聞かず、「われわれはこれからも、社会保障のある資本主義でいきます。むき出しの裸の自由競争には戻りません」。これがヨーロッパなのです。なぜヨーロッパがそういえるかというと、労働運動が強いからです。先進資本主義国なのになぜ労働運動が弱くならないのか。これはこれで時間をかけて考えなければならない問題なのですが──。

 現実の問題として強い。ヨーロッパだって大企業は社会保障を止めたいにきまっています。しかし止めると大騒ぎになります。労働者が絶対に言うことを聞きません。だからやむを得ず守っているのです。企業負担もうんと高いです。日本の会社の倍以上払っています。ですからトヨタ自動車もフランスに、フランス・トヨタを作っていますけど、日本トヨタの倍以上払っています。それでも儲かっているのです。

 ですから、ヨーロッパでも、社会保障は少しずつ悪くなってきてはいますが、日本に比べれば遥かに違います。このようにして、ヨーロッパはアメリカと別の道を進み始めました。アメリカは剥き出しの資本主義に戻りますが、ヨーロッパは修正資本主義のままでいこうとしています。

 しかし、それでは競争で負けます。アメリカや日本は企業の社会保障負担がうんと減っていますから、利潤が増えています。ヨーロッパは高い社会保障負担でやっていますから、儲けが少ないのです。そこで競争しなくてすむようにEUいうものを作って、枠を閉ざしちゃいました。アメリカや日本の会社がヨーロッパに来るときは、ヨーロッパ並みの負担をしなければ、EUには入れません。だからEUの中でやっている時には、日本にもアメリカにも負ける心配はないのです。

 そういう仕組みを作って、アメリカとは別の道を進み始めました。そのためにユーロという別のお金も作りました。イラク戦争で表面に出てきたのですが、イラク戦争がなくても、ヨーロッパはアメリカとは別の道を進み出していました。もう2度とアメリカとは一緒にならないでしょう。

《規制緩和とグローバリゼーション − 構造改革の中身(2)》

 もう一つ、ソ連、東ドイツ崩壊の結果、アメリカが大きく変化したことがあります。それは何かというと、大企業・大資本を野放しにしたことです。

 ソ連がいる間は、大企業や大資本に、「あなた達は資本主義なんだから儲けたい放題儲けたいだろうけど、それをがまんしてください。あなたたちがやりたい放題にやったら、他の資本主義国はみんな負けてつぶれてしまう。アメリカの資本と競争できるような資本などどこにもありませんから。そうなれば、ソ連の方がましだということになる。だから、やりたい放題は抑えてほしい」と言ってその活動を制限してきました。

 具体的に何を抑えたかというと、為替取引を規制したのです。これが一番大きな規制です。いまではもう、中央郵便局へ行って「ドル下さい」といえば、すぐドルをくれます。「100ドル下さい」といえば「ハイこれ1万2千円」。ユーロでも、「下さい」といえば「100ユーロ・ハイ1万4千円」とすぐくれます。でもこれはごく最近のことです。それまでは、外貨・外国のお金は、日本では勝手に手に入りませんでした。お金を外国のお金と取り替える、つまり為替取引は厳重に規制されていて、個人が勝手にはできなませんでした。外国旅行に行くとか、何か特別な理由が認められた時しか、外国のお金は手に入りません。

いまは何も制限ありません。自由にだれでもいつでもできます。理由など聞きませんから、100ユーロとか千ドルくださいと言えば、そのままくれます。これが為替取引の自由化というものです。これがなかったのです。ソ連が崩壊するまでは、アメリカも厳重に規制していました。それをとっぱらったのです。理屈っぽく言えば、資本の国際移動が自由にできるようになったということです。こうして、アメリカの巨大な金融資本が、世界中を我が物顔にのし歩く時代が来るのです。

 もうソ連も東ドイツもなくなったのですから、「いや永いことお待たせしました。今日からもう儲けたい放題儲けていいですよ。やりたい放題やっていいですよ」ということになったのです。これが規制緩和とことです。規制緩和ということは要するに、大資本が野放しになったということです。そうなったらどうなるか、世界第2の経済大国といわれる日本でさえ、全然太刀打ちできません。アメリカの巨大資本、金融資本・銀行ですね。日本の銀行とは勝負になりません。ボブサップと私が裸で殴り合ぅようなもので、一コロで殺されてしまいます。

 それでもやれというなら、ボブサプは手と足を縛ってもらって、目隠ししてもらって、こちらは金槌でも持たしてもらって、それでやっと勝負になるのです。今まではそうだったのです。それを全部外して自由にする、無条件で自由競争にするというのです。負けないためには、相手に負けない位大きくなるしかないですから、合併、合併、合併。あっという間に30ほどあった都市銀行が3つになってしまったのです。UFJとか「みずほ」とか、元何銀行だったか覚えておられる方おられますか。すぐ言えたら賞金をさし上げてもよろしいのですが、まず、言える方おられないでしょう。合併、合併であっという間に3つになりました。3つにになってやっとなんとか対抗できるというくらいにアメリカの巨大銀行というのは大きいものなのです。それでもダメで、長銀はのっとられてしまいました。北海道拓殖銀行も山一証券ものっとられてしまいました。次々とのっとられています。

 ついこの間は青森県の古牧という温泉がのっとられまし。広くていい温泉なんですけど、驚いたことにゴールドマンサックスでした。世界最大のアメリカの金融投資会社、ハゲタカファンドの代表のようなものです。これがどうして古牧温泉なのかと思ったのですが、テレビで放送していました。古牧だけではありません。他に28ケ所、超有名温泉みんな買い占めちゃったのです、ゴールドマンサックスが。

どうするかというと、従業員みんな首切っちゃってパートにして、腕利きのマネージャーを送り込み、部屋をヨーロッパ、アメリカ向きに整備しなおして、欧米からの観光客をワーツと呼ぼうという作戦なんですね。儲かるようにして高く売るのです。ゴールドマンサックスが経営するのではありません。いま赤字の会社を買い取って、儲かるように造り直してすぐに売っちゃうのです。これが投資銀行のやっていることです。確かに、いわれてみればそのとおりで、日本の温泉ほどいいものはありません。知らないだけで、こんないいものは世界中どこにもありません。だから日本の温泉の良さが分かったら、おそらくヨーロッパ、アメリカからごっそり観光客が来ると思います。そこにゴールドマンサックスが目をつけたのですね。そして近代経営やって外国人が来て楽しめるような設備に変えて、世界中にジャパニーズスパーなんていって売り出す気なのですね。ですから、そのうち皆さんも温泉にいらっしやるとみんな英語で案内され、アメリカのお湯の中に入ることになってしまいます。

 アッという間に日本はアメリカ資本に乗っ取られようとしています。去年のホリエモン合併もそうです。今年から商法改正(改悪)して、乗っ取りを認めるということになったのです。株の等価交換、面倒な仕組みですから詳しいことは申し上げませんが、アメリカ株1億ドル分と日本の株1億ドル分を、等価父換していい、こういっているんです。ところが、アメリカの株の値段が高いのです。ですから1億ドルといっても、株の数からすると、例えば千株位しかない。日本は株が安いですから、同じ1億ドルで1万株位あるのですね。そうすると、千株と1万株で取り替えますから、あっという間にアメリカは大株主になってしまう。この等価父換を認めると、日本の大企業全部乗っ取られてしまう。

 そこで、日本の優良企業が狙われています。超優良企業を株式等価交換で、簡単にアメリカが乗っ取ることができる。今年からそれが可能になるはずだったです。それで去年、実験をやったのですね。ホリエモンにやらせてみたのです。ホリエモンはアメリカのリーマン・ブラザースから借りてやったのです。で、出来そうだなと分かったので、アメリカはお金を引き上げてしまいました。ホリエモンに乗っ取られては困る、いずれ自分が乗っ取るのですからネ。最後の段階で資金引き上げましたたから、ホリエモン降りる外なかった、多分そういう仕組みだったのではないかと思います。

 今年から自由に、日本中の会社をアメリカが乗っ取れるはずだったのですが、あのホリエモン騒動のおかげで日本の大企業が震え上がり、政府に泣きついて、「なんとか商法改正を見送ってくれ」と。それで見送りになりました。ですから、ちょっと一息ついているのです。今年すぐ、乗っ取られるというわけではありません。でも、いつまでも見送りというわけにはいかないでしょう。2・3年後には解禁。そうなれば、日本はほぼアメリカ資本に支配される、ということになるでしょう。

 日本ですらそうなのですから、まして、フィリピンとかタイとかいう国はたまったものではありません。あっという間に乗っ取られてしまいます。アメリカに勝手に経済的属国にされてしまう。それに対して、いやそんなの困るから、アメリカ資本が自分の国の株を買うことを法律で禁止する、というようなことをやろうとすると、アメリカはそれを認めないのです。グローバリゼーションだから地球はは「一つ」だというのです。いくら規制緩和しても相手国が法律で規制してしまったら終わりです。ですから、自分の国だけ勝手に現制することは認めません、地球はひとつですよ、グローバリゼーションですよ、ときます。フメリカの大資本が地球上のどこの国でもアメリカ国内と同じ条件で商売できるようにする、これがグローバリゼーションです。いやだと断ると制裁を加えられます。

 クリントン大統領の時は経済的制裁だけですんだのですが、ブッシュになってから、軍事的制裁になりました。いうことを聞かないと軍事制裁だぞという、これがネオコンという人たちの主張です。イラクを見ればみな震え上がるでしょう。ですから、アメリカの言いなりにグローバリゼーションで国内マーケットを開放して、アメリカ資本に全部乗っ取られてしまう、というのがいま着々と進行しているのです。

《アメリカの孤立》

 そこでどうなったかというと、ヨーロッパと同じように、「そんなの困る。自分の国の経済の独立は自分たちで守りたい」という人たちが手を繋いで、「アメリカに支配され引きずり回されないように、防波堤を作ろう」という動きが始まりました。だいたい5・6年前からです。アセアン(ASEAN東南アジア諸国連合)の動きが始まりました。5つの国です。インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン。元来はアメリカが造らせた組織だったのですが、いつのまにか自主独立を目指す組織に成長しました。

 手を繋ぎ、アメリカに引きずり回されないように、アメリカの資本が勝手に入ってこないように、自分たちの経済は自分たちでやりましょう、と。ところが、ASEANが束になったってアメリカにはとてもかないません。そこで、知恵者がいました。アセアンだけではかなわないので、中国と手を繋いだのです。「アセアン、プラス中国で、アジアマーケットを作り、アメリカにかき回されないようにしよう」しようというのです。確かに、中国が入ったらアメリカはうかつに手が出せません。しかし中国だけ入れると、反米色があまりにも露骨ですから、「アセアン、プラス・スリーでいきましょう。アセアン+日本+韓国+中国、でいきましょう」ということになります。日本はアメリカの51番目の州だといわれているのですから、日本が入れば、アメリカも安心します。

 EUのように、アセアン+スリーで、自分たちの経済は自分たちでやれるように、アメリカに引きずり回されないような自立したアジアマーケットを形成することが目標です

 ただひとつ、日本が具合が悪いのです。日本はそのスリーに入っているのですが、(アセアンの会議に)行く度に「アメリカも入れろ、アメリカも入れろ」というのです。アセアン諸国はアメリカから自立するために作っているのですから、「アメリカを入れろ」といわれたんじゃあ困るので、結局日本は棚上げになってしまいます。実際にはアセアン+中国で、経済交流が進んでいます。いずれ2010年には、東アジア共同体・EACというものを立ち上げる、という動きになっています。

 そうなってくると韓国が困りました。日本・アメリカ側につくのか、中国・アセアン側につくのかで、2・3年前から中国側に大きく傾いています。留学生の数を見ると分かります。中国の北京大学には世界中の留学生が集まります。21世紀は中国と商売しなければメシが食えなくなることが分かっていますから、将釆、中国語がしゃべれる人が自国のリーダーになり、中国の指導者に友達がいないと困ります。それには北京大学に留学するのが一番いいのです。あそこはエリート養成学校です。この前行った時聞いてみたのですが、入学試験競争率5千倍だそうです。超難関です。大学の構内を歩いて見たのですが、広い敷地に6階建てのアパートが36棟ぐらい建っていて、みな学生寮です。全寮制。そばに教職員住宅があって、朝から晩まで共に暮らしながら勉強しています。授業は朝7時からです。ものすごく勤勉に勉強しています。

35年間私は大学の教員でしたが、愛すべき怠け者の学生諸君を教えてきたわが身としては、「あ、これはかなわないなァ、20年もしたら──」と思いました。向こうは国の総力を上げて次の時代の指導者を養成しているのです。日本はもう全然、ニートとかフリーターとかいって、若者の気迫がまるでレベルが違います。これは置いていかれるな、という気持ちになりました。このように世界中の国が、いま一流の学生を北京大学に送り込んでいるのですが、去年、北京大学留学生の中で一番数が多いのが韓国なのです。

 おととしまで韓国の学生は殆どアメリカヘ行っていました。去年あたりから中国へ変わったようです。つまり韓国は、21世紀の自国は、アメリカ・日本ではなく、中国・アセアンと組むことで繁栄を図りたい、と向きを変えたということです。

 それに拍車をかけたのが小泉首相の靖国参拝。これで韓国は怒っちゃってあちらを向いた。そうなると、アセアン、中国、韓国と繋がって、日本だけはずされてしまった、という状況がいま生まれつつあります。

 さらに中国は、数年前からいま、「ふりん政策」を国の方針としています。フリンといっても男女の不倫ではありません。富、隣。隣の国を富ます、隣の国を豊かにする──富隣政策です。隣の国と仲良くする。中国だけ儲けたのでは相手に恨まれてしまいます。英語では「ウィン、ウィン」(win-win)というようです。どっちも勝つ、中国も儲けるけど相手も儲けるような関係を必ず作っておく、ということが基本政策です。

 つまりアメリカは、やっとソ連を倒したと思ったら、今度は中国が出てきたのですから、中国を目の敵にしているのは当然です。中国にすれば、アメリカにやられないためには、単独では対抗できませんから、周りの国と手をつなぐ、ということです。

 アメリカは修正資本主義を止めて自由競争の資本主義に戻りました。その結果大企業・大資本は野放しになりました。そのためにアジアにそっぽを向かれることになりました。アメリカにはついていけない。アメリカに勝手にされては困る。もちろんアメリカと喧嘩をしては駄目ですが、自分の国は自分の国でやれるようにしなければならない──、というふうに変わったのです。

 そして最後に、3年前から南米が変わりました。ようやく日本でも報道されるようになりましたからご存じと思います。ただ日本のマスコミはちょっとしか書きませんから、気づいておられない方もおありかと思います。南米がものすごい勢いでアメリカ離れを始めたのです。

 今まで200年、南米はアメリカの裏庭といわれていました。アメリカはやりたい放題やっていました。チリは世界一の銅の産出国ですが、このチリの銅はすべて、アナコンダというアメリカの銅会社が一手で採掘していました。だからいくら掘ってもチリは豊かにならない。アメリカのアナコンダだけが儲かるのです。

 ブラジルは世界一の鉄の産地です。これもみな掘っているのは欧米の会社で、いくら掘ってもブラジルは豊かにならない。ベネズエラは世界第五位の産油国です。これもみなアメリカの石油資本が持っていく。

 こういう国はこれまで軍事独裁政権でした。政治家は、自分の国の資源をアメリカに売り渡し、自国の国民の反発は力で抑えつけ、莫大なリベートを貰って自分たちだけベラボウな贅沢をしてきました。これがアメリカと南米のパターンだったのです。

 それが、3年ほど前から、「おかしいではないか。やっぱりベネズエラの石油はベネズエラ人のものだ。石油を掘ったら、ベネズエラが豊かにならないとおかしいではないか。いくら掘ってもアメリカだけ儲けるのはおかしい。石油をアメリカの石油会社から取り上げて、ベネズエラで掘ることにしよう。国有化しよう」というような政策を訴える大統領が、当選するようになりまし。この3年間で、南アメリカは80%が、このような自主独立派の大統領になりました。アメリカ資本に任せず、自国の経済は自分でやろうという政策を掲げた大統領が、次々と当選したのです。

 いまでは、南アメリカでアリカの言いなりというのは、多分コロンビアしかないと思います。あとは殆どみな、自分の国は自分でやりましょというふうに変わってきました。ベネズエラのウゴ・チャベスという人がそのチャンピオンです。ご存じですね、時の人です。アメリカはそのチャベスの当選を必死になって妨害したのですが、結局ダメでした。チャベスが圧倒的多数で選出されました。その彼の言い分がふるっているのです。

 「失礼にならないようにアメリカから遠ざかりましょう」というのです。いきなり遠ざかったのではゴツンとやられますから、アメリカを怒らせないように、喧嘩しないように、少しずつ「小笠原流」で遠ざかって自主独立に向かいましょうというのです。

 これがいま世界の合言葉です。「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる。」日本もそうしなければいけない、と私は思っているのですが。絶対にやりません。

 こうやってアメリカは、ソ連や東ドイツがなくなってから、修正資本主義をやめて、いまの言葉でいえば「新自由主義」という仕組みに代わりました。日本はそれに右ならえしたのです。いま申し上げたように、このアメリカの新自由主義経済に無条件で追随しているのは、日本しかありません。あとはみな、「失礼にならないように」距離をおきました。

日本だけが無条件でついていきました。だから「ポチ」だといわれるのですネ、確かにポチと言われてもしょうがないほど、無条件でついていきます。それは恥ずかしいことですが、日本が追随していく。これが構造改革なのです。修正資本主義経済から新自由主義経済に変わるということです。簡単にいえば、弱い人の面倒を政府が見るような仕組みから、もう弱い人の面倒は見ませんという仕組みに、変わっていく──。これが構造改革です。

 だから、社会保障はどんどん悪くなる。自由競争で勝ち組と負け組がある。中には1千万ぐらいのマンション買って落ち着いているのもいる。片方には、国民健康保険料さえ払えなくて医者にも行けない。そういう人がもう全国で膨大な人数出てきている。まさに格差社会です。

 どんどんその格差が広がっています。金持ちからお金を取って弱い人の面倒を見る、というのが修正資本主義なのですが、それを止めてしまいました。野放しなのです。強い人はますます強くなり、弱いものは負けたら自己責任なんですよ。こういう仕組みにいま変わったのですね。

 それがいいか悪いか、止むを得ないのかどうかは、いろいろな立場によって考えが違うのですが、事実はそうなったのです。

 しかしヨーロッパは別の道をとっています。このように別の道もありうるというのも事実なのです。ヨーロッパのように社会保障を止めない資本主義もあり得るのです。

 日本の場合、アメリカほど徹底していませんが、流れとしては「政府はもう弱い人の面倒は見ません」、という方向に大きく動いています。


《憲法改悪の要求》

 こうして、アメリカは新自由主義経済で自国の企業を野放しにして、それを世界中に押しつけようとしたのですが、意外に抵抗が大きかった。ヨーロッパはいうことを聞かない。アジアも聞かない、南米も聞かない。これでは困るので力づくで押しつける。こういうことになるのですね。力づくで押しつける時に、最大の目標・ターゲットはもちろん中国です。やっとソ連を倒して、21世紀はアメリカが王様になれると思ったら、中国が巨大な国になってきて、アレリカの前に立ふさがっいます。このままではアメリカは王様ではいられません。中国を抑え込むことが21世紀へ向けてのアメリカの最大の長期的課題になっています。しかし戦争はできません。中国と戦争したのでは共倒れになります。唯一の道はエネルギーを抑えることです。

 ネオコンという人たちの書いた文章を読むと、非常にはっきり書いてあります。21世紀にアメリカが世界の支配権を握るには、中近東の石油を抑えなければならないというのです。中国は石油の自給ができません。どんどん石油を輸入していますが、殆どいま中近東から輸入しています。アメリカが中近東の石油を抑えれば、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなる。当然でしょうね。

 世界一の産油国サウジ・アラビアはすでにアメリカ側の国です。そこで第二の産油国であるイラクをアメリカは分捕りたいのですが、その理由がありません。そこでアメリカは「大量破壊兵器、テロ応援」という嘘をつきました。プッシュ大統領も、ついにウソであったことを認めました。

 ではなぜイラク戦争をやったのか。本当の理由はまだ公表されていません。しかしネオコンという人たちの文章を読むと、明らかに「石油を抑える。抑えてしまえば中国は言うことを聞かざるをえない」。ここに本当の理由があったことは明白です。そうだとすれば、恐ろしい話ですが、(次に)絶対にイランが狙われます。

 世界第1の産油国サウジアラビアは、昔からアメリカの同盟国です。第2位のイラクは抑えてしまいました。そしてイランは第3位の産油国です。ここを放っておいたのでは意味がないのです。中国はいくらでもイランから石油の輸入ができます。どうしてもイランまで抑えなければならないというのは、アメリカでは、いわば常識です。どんな新聞雑誌でも次はイランだということが堂々と語られています。

 ライス国務長官も3日前、「今イランに対するは軍事力行使の予定はない」と言っていました。「今は」です。イランは核開発やっているというのが理由です。たしかに妙な国ですが、しかし別に悪い国ではありません。あのあたりでは1番民主的な国です。曲がりなりにも選挙で大統領を選んでいますから。女性はみな顔を出していますし、大学へもいっています。イランは近代化した国なのです。サウジアラビアなどの国に比べたら、ずっと民主的な近代国家です。イスラム教のお妨さんが、選挙で選ばれた大統領より偉い、というのだけが変ですが、全員がイスラムですから、他国がとやかく言うことではないです。

 ですから、イランが悪魔の国というのは嘘なのです。イラクがそういわれたのも同じで、要するに悪魔の国と誤解させて、戦争しかけてもやむを得ないと思わせるための宣伝が行われているのです。

 イランはイランで、自分で自分他ちの国を近代化していけばいいのであって、核兵器持つなといっても、隣のパキスタンもインドも持っているのです。こちらのイスラエルもです。イランだけ持つなといっても、聞くわけありません。イランに持たせたくないのなら、「俺も止めるからあんたも」と言わなければなりません。「俺は持っている。お前だけ止めろ」と言ったってイランが聞くわけありません。そんな理屈が通るはずがないのです。実に馬鹿な理屈です。

本当にイラクに核開発をやめさせたいのなら、イギリスもフランスもアメリカも 「先ず自分が止める、だからお前も止めろ」と言うしかありません。お前だけ持つなと言って、聞くと思う方がどうかしています。核開発は現在の大国の論理では抑えられません。イランに言わせれば、「イラクがなぜあんなに簡単に戦争しかけられたかといえば、核兵器を持っていなかったからだ。持っていたら恐ろしくてとても戦争なんか仕掛けられない」ということになります。だからイランはいま核開発を急いでいるのです。核兵器を持たないとアメリカに攻められるから。そう思い込んでいるのです。

 そう思わせるようなことをアメリカはやってきたのですから、イランに核兵器開発を止めさせるためには、イラクから撤収して、中東の平和は中東に任せる、という姿勢を示すしかありません。自分がイラクを分捕って居座ったままで、イスラエルやパキスタンやインドの核兵器には文句をいわずイランにだけ、というのは通じない理屈です。実にゆがんだ国際常識というものが罷り通っている、と思います。

 もしアメリカがイランまで分捕ってしまえば、サウジアラビア、イラン、イラクと合わせて、世界の石油の70%ぐらいになるはずですから、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなります。だからつぎはイランだというのが、ネオコンの論理です。

 ただ問題は、イランに戦争を仕掛けるとしても単独ではできなません。兵隊がたりない。徴兵制ではなく志願兵制度ですから。いま、ありったけの兵隊さんがイラクに行っています。あれ以上いないのです。だからハリケーンが来ても出せなかったのですね。そうすると、イランに出す兵隊なんていないのです。そこで、アメリカの右翼新聞の社説など、堂々と書いています。「イラクにいるアメリカ軍でイランを乗っ取れ。カラッポになったイラクの治安維持は、日本にやらせろ」と。
 アメリカの論理から言えばそうなるのでしょう。自衛隊にイラクの治安維持をといいますが、実際は内乱状態ですから、今も毎日アメリカ兵は毎日5人位殺されています。そんなこと引き受けたら、自衛隊員何人死ぬか分かりません。第一そんなことは、憲法9条があるかぎりできないのです、絶対に。憲法があるおかげで、自衛隊はイラクにいますけれども、ピストル1発撃つことができないのです。憲法9条第2項というのがあるのです。自衛隊は戦力ではない・交戦権はないとなっていますから、不可能なのです。だから給水設備備を作るとか、学校修理とか、そういうことしか出来ません。これじゃあアメリカから見れば役に立たないのです。


《平和憲法こそ 日本生存の大前提》

 そこで、「9条2項を変えて、戦争ができる自衛隊になってくれ」というのがアメリカの強い要求なのです。みんな分かっています。言わないだけです。日本の新聞記者も知っています。しかし、「9条変えろ」がアメリカからの圧力、と書くと首になるから書かないだけです。でも誰も知っています。アメリカのに戦争に参加しなさい、という強い圧力がかかっているのです。

 ここのところをよく見極めておくことが必要です、「9条を守る」ということは、「アメリカの言いなりにならぬ」ということと一つ、なのです。

 アメリカと喧嘩しては駄目ですから、「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる」のが何よりも大切です。仲良くするけれども言いなりにはならない、ということです。ところが、憲法が危ないという、この危機的な状況にもかかわらず、国内で労働運動が弱体化していますから、ストライキも起きない。大きなデモも起きない。大反対運動も起きない──。という状況です。

 ではもう駄目なのでしょうか。そうではないと思います。それには日本の国内だけではなく、世界に目を向ける、アジアに目を向けるこちとが必要のです。ご存じのように、これからの日本は、中国と商売せずには、生きていけなくなりま。いま、大企業だけですけど、多少景気がよくなってきています。全部中国への輸出で持ち直したのです。中国マーケットがなくなったら日本経済はおしまいだ、ということは誰も分かってきています。

 お手元の資料の中の(貿易額の)丸い円グラフは、2003年のもので少し古いのですが、アメリカ20.5%、アジア全体で44.7%、つまり日本にとって一番大事な商売の相手は、アメリカではなくてアジアなのです。

 アジアと仲良くしなかったら、経済が成り立たないところへ、いま既にさしかかっているのです。左隣の棒グラフは2004年ですが、左上から右に折れ線がずうっと下がってくる。これが日本とアメリカの貿易です。点線で右へずうっと上がっていくのが中国との貿易。遂に去年(2つの折れ線が)交差し、中国との貿易の方がアメリカとの貿易額より多くなりました。しかも鋏状に交差していますから、今後この2つは開く一方になってきています。

 つまり、あと2・3年もすれば、日本は中国との商売なしには生きていけない、ということが国民の常識になるということです。いま既に、中国を含めたアジアが、日本の一番大事なお客さんなんです。仲良くしなければいけません。一番大切なお客さんの横っ面ひっぱたいたんじゃ商売は成り立ちません。

 靖国参拝などというものは、一番大事なお客さんの横面ひっぱたくと同じことなのですから、個人の信念とは別の問題です。小泉首相は総理大臣なのですから、個人の心情とは別に日本の国全体の利益を考えて行動しなければいけません。それは総理大臣の責任だと思います。その意味でアジアと仲良ぐできるような振舞いをしてもらわなければ困るのです。

 もう一つ。アメリカとの商売はこれからどんどん縮小していきます。それは、ドルというものの値打ちがどんどん下がっていくからです。これはもう避けられません。

 昔はドルは純金だったのです。1971年まで、35ドルで純金1オンスと取り換えてくれました。だからドルは紙屑ではありませんでした。本当の金だったのです。

 われわれのお札はみな紙屑です。1万円なんて新しくて随分きれいになりましたけど、綺麗にしただけちょっとお金がかかって、印刷費に1枚27円とかかかると聞きました。27円の紙がなぜ1万円なのか。これは手品みたいなものです。あれが5枚もあるとなかなか気が大きくなるのですが、本当は135円しかないのです。それが5万円になるのは、法律で決めているのです。日銀法という法律で、こういう模様のこういう紙質のこういう紙切れは1万円、と決められている。だから、あれを1万円で受け取らないと刑務所に入れられます。法律で決まっているからです。ですから日本の法律の及ぶ範囲でだけ、あれは1万円なのです。その外へ出ると27円に戻ってしまいます。

 金と取り換わらないお札というのは、簡単にいえばその国の中でしか通用しません。他の国へ行ったら、その国の紙屑と取り換えなければ通用しません。ところが、ドルだけは世界で通用しました。純金だからです。

 ところが、1971年にアメリカはドルを金と取り換える能力を失いました。ベトナム戦争という馬鹿な戦争をやって莫大な軍事費を使ったのです。背に腹は代えられなくてお札を印刷し、航空母艦を造ったりミサイル、ジェット機を作ったりしたのです。そのために、手持ちの金より沢山のお札を印刷しちゃったのです。

 その結果、アメリカは、ドルを金と取り換える能力を失ったのです。そこで、71年8月15日、ニクソン声明が出されました。「金、ドル交換停止声明」です。あの瞬間にドルも紙屑になったのです。ドルが紙屑になったということは、ドルがアメリカの国内通貨になったということです。

 ところが、問題はそれ以後なのです。世界で相変わらずドルが適用したのです。皆さんも海外旅行へ行かれる時は、大体ドルを持って行かれますね。どこの国へ行っても大丈夫なのです。金と取り換えられないお札が何故世界で適用するかは本当に不思議で、経済学者にとって最大の難問なのです。いろんな人がいろんな答を言っていますけど、あらゆる答に共通しているのは、ひとつは「アメリカの力の反映」だから、ということです。

 つまり、日本が自動車を作ってアメリカヘ売ります、ドルを貰いますネ。日本は損をしているのです。自動車という貴重なな物質がアメリカへ行って、紙屑が返ってくるのですから。物が減ってお札だけ増えると必ずバブルになります。

 バブルの犯人はそこにあるのです。日本が輸出し過ぎて貿易黒字を作り過ぎているのです。だから日本は、アメリカに自動車を売ったら、「純金で払ってください」と言わなければなりません。ところがそう言うと、ジロッと睨まれてお預けになってしまいます。日本には米軍が5万人います。「アメリカのドルを受け取らないとは、そんな失礼なこと言うなら、在日米軍クーデター起こしますよ」、これで終わりなのです。黙って受け取ってしまう。だから日本は無限に物を提供し、無限に紙屑をもらう。こうしていくら働いても日本人の生活はよくならないのです。しかもその紙屑でアメリカの国債を買っています。アメリカに物を売って、払ってもらった代金をアメリカに貸している。言ってみればツケで輸出しているようなものです、現実に。アメリカにいくら輸出しても日本は豊かにならない仕組みになつています。

 2週間前に『黒字貿易亡国論』という本が出ました。有名な格付け会社の社長さんですが、「貿易黒字を作るから日本は駄目なのだ」、ということを詳しく論じたたいへん面白い(文芸春秋社の)本です。確かにそうだと思います。だからドルは、本当は受取りたくないのです。みんな紙屑なんです。だけど受け取らないと睨まれる。アメリカの軍事力が背景にあるのです。

 その力をバックにして、紙切れのお札を世界に通用させている。例えていえば──餓鬼大将が画用紙に絵をかき1万円と書いて鋏で切り、これ1万円だからお前のファミコンよこせ、とこれを取り上げる──のと同じです。いやだと言ったらぶん殴るのです。怖いから黙って渡して紙屑もらうことになります。その紙屑で、他の人から取り上げればよいのです。「お前のバイクよこせ、よこさなかったらいいつける」。「あの人、あんたの紙屑受け取らない」、するとガキ大将が釆て、ゴツンとやってくれる──。餓鬼大将の力の及ぶ範囲ではそれが通用するのです。

露骨にいえば、ドルがいま世界に適用しているのは、そういう仕組みが一つあります。

 もう一つは、ソ連の存在です。もし紙屑だからアメリカのドルを受け取らないといったら、アメリカ経済は潰れます。アメリカが潰れたらソ連が喜ぶ。だから紙屑と分かっていても受け取ってきた。ソ連に勝たれては困るから──。

 これも確かに一理あります。ということは、ソ連がいなくなって、紙屑は紙屑だということがはっきりしてきたのです。今まではソ連がいるために、紙屑なのに金のように適用したが、今や「王様は裸だ」というのと同じで、「ドルは紙屑だ」といっても構わない時代です。

 ともかくドルが危ないのです。私が言ってもなかなか信用してもらえませんが、経済誌『エコノミスト』、一流企業のサラリーマンなら必ず読んでいる雑誌すが、これの去年9月号が中国“元”の特集でした。その真ん中へんに「プラザ合意20年」という対談がありました。その中で、榊原英資さんは「5年以内にドル暴落」と言っています。

 榊原さんは大蔵省の元高級官僚で日米為替交渉の責任者を10年やりました。円・ドル問題の最高責任者だった人です。「ミスター円」といわれていました。通貨問題に最も詳しい現場の責任者です。停年で大蔵省をやめて今は慶應大学の先生になっています。この人が「5年以内にドルが暴落する」、つまりドルが紙屑だということが明らかになる日が近いと言っているのです。

 ソ連がいる間は隠されていたのですが、いまはもう、ドルは紙屑だから受取りたくないという人たちが増えてきています。これまでは世界通貨はドルしかなかったので、受け取らなければ商売ができなかったのですが、今ではユーロという代わりが出来てしまいました。ドルでなくてユーロで取引する国が増えてきています。そしてユーロの方が下がりにくい仕組みになっています。ドルは下がるのです。

 なにしろアメリカは、永いことドルが世界通貨ということに慣れてきました。だから自動車が欲しければ日本から自動車買って、アメリカは輪転機を回せばよいのです。紙とインクがあればいいのですから。ほかの国はこんなことできません。自動車が欲しければ、一生懸命働いて何か輸出し、その代金で輸入しなければならないのです。アメリカ以外の国は全部そうやっているのです。

 輸入は輸出と一緒です。輸入するためには輸出しなければなりません。ところがアメリカだけは輸出しないで輸入ができるのです。ドルという紙切れが世界通貨ですから。極端に言えば、欲しい自動車や石油を日本やアフリカなどから買って、紙とインクで支払う。実際そうして世界の富がアメリカに集まったわけです。

 71年以降の30年間、この仕組みのために、世界中にドルが溢れ出ました。ドルがどんどん増えますから、当然値打が下がります。こうしてドル下落傾向。(資料の一番下のグラフがそうです。円が上がっていく様子、為替取引だから短期的には上下しますが、長期的には間違いなく円高。ドルがドンドン下がるのは確かです。)これがあるところまでいくと、ガクッと下がります。

 あるところまでいくと、「ドルは信用できない、下がる通貨は持っていたくない」となります。ですからドルを受け取らない、ユーロか何か、別な、下落しない通貨でなければ受け取らないということが出てくる。そうなるとドルは暴落します──。榊原氏がそういっているのです。

 ヨーロッパはユーロでいくでしょう。アジア経済圏はなんといったって元です、中国の。中国は賢いですから、元を押しつけないで、何かアジアの新しい通貨を作るかもしれません。しかし元が中心になることは間違いないでしょう。ドルはアメリカでしか使われなくなる。そうすると、今まで全世界で使われていたドルが、みんなアメリカに集まって来るわけですから、アジア、ヨーロッパで使われいていたドルがみな戻ってきて、簡単にいえばドルの値打が3分の1に下がることになります。

 アメリカの生活は大きく収縮します。一家で3台自動車持っていた家は1台に。1台持っていた家は止めなくればならなくなる、ということです。

 アメリカ経済の収縮。これは大変恐ろしい話なのです。世界経済が大きく収縮し、日本経済は大きな打撃を受けます。しかし避けられない動きなのです。いつのことか分からないが、そう遠くない将来にドルの信用がドンと落ちていく。結果として日本がアメリカにだけ頼っていたら、大変なことになります。

 いまのうちに、アメリカに輸出してドルをもらったらユーロに代えておいた方がいい。ユーロの方は下がらないからです。EUという所は、国家財政が赤字だと加盟できないことになっています。赤字だと穴埋めにお札を出すので乱発ということになって下がるのです。だからユーロは一応下がらない仕組みになっています。乱発できないようになっているのです。ドルは短期的に持つのはかまわないが、3年、4年と長期的に持っていると下がってしまいます。それならユーロにしておいた方がいいとか、これから生まれるかもしれないアジア通貨にしておいた方がよいとかいうことになります。世界の大企業や国家が、決済のために多額のドルを持っていますが、これがユーロに切り替えられるとなると、ドルはもう世界通貨ではなくなります。

 そうなると、アメリカだけに依存している国は、大変苦しくなります。21世紀の日本を考えた時、アメリカと仲良くするのは大切ですが、しかしアメリカ一辺倒では駄目な時代になっているのです。アジアと仲良くしなければいけません。

 しかしアジアと仲良くするのには、無条件ではできません。なぜなら、60年前、アジアに戦争を仕掛けて大変な迷惑をかけた。その後始末がちゃんとできていないのです。仲良くするするためには、60年前のマイナスを埋めるところから始めなければいけません。別に難しいことではないのです。「あの時はごめんなさい。2度とやりませんから、勘弁してください」。これで済むわけです。

 問題は、「2度とやりません」が、信用してもらえるかどうかです。信用してもらうための最大の決め手が「憲法第9条」です。憲法9条第1項、第2項がある限り、日本は2度と戦争はできません。イラクの状態を見ても、自衛隊は鉄砲一発撃てない。(世界中)みんなが見ています。この憲法9条第1、第2項がある限り、日本は戦争はできません。だから安心して日本と付き合うのです。

 もし日本が憲法9条を変えて、もう1回戦争やりますということになったら、アジアの国々は日本を警戒して、日本との付き合いが薄くなってしまいます。いま既にそうなりつつあります。小泉首相は靖国に何度も行く。自民党は憲法9条を変えることを決め、改憲構想まで発表した。アジアの国々は用心します。「そういう国とは、あまり深入りしたくない」。

 小泉首相は「政冷、経熱」でいいじゃないか、といいます。政治は冷たくても経済では熱い関係というのでしょうが、そんなことはできません。中国と日本の経済関係はじわっと縮小しています。統計でもそれははっきり出ている。

 おととしまで中国の貿易のトップはアメリカでした。次が日本、3位はEU。これがひっくり返ってしまいました。去年はトップはEU、2位アメリカ、3位日本です。明らかに中国は日本との商売を少しずつ縮小させている。その分EUに振り替えています。

 去年5月、ショッキングなことがありました。北京・上海新幹線という大計画をEUに取られました。北京〜上海って何キロあるのでしょう。日本の本州より長いのではないでしょうか。このとてつもない計画があって、去年、まだ予備調査の段階すが、日本は負けました。ドイツ、フランスの連合に取られました。予備調査で取られたということは、本工事は駄目ということです。中国にすれば、日本にやらせるのが一番便利なのです。近いですし、新幹線技術も進んでいます。まだ1度も大事故を起こしたことがありません。ドイツもフランスも、1回ずつ大事故を起こしたことがあります。技術からいっても資本からいっても、日本にやらせれば一番いいのに、日本が負けました。明らかに政治的意図が働いたと思われます。日本との関係を深くしたくない。いざという時、いつでも切れるようにしておく。いざというとき、切れないようでは困る。そういうことではないでしょうか。

 いまのままアメリカ一辺倒でいいのでしょうか。私は長島さんをよく思い出します。後楽園での引退試合の時、最後に「読売ジャイアンツは永久に不滅です」といったのです。永久に不滅どころか、去年のジャイアンツのサマといったらもう、見ていられない。アメリカもそうなるのではないでしょうか。小泉首相は「アメリカは永久に不滅です」と、いまもいっているのですが、そうではないのではないでしょうか。

 アメリカにさえ付いていれば、絶対大丈夫という時代は終わったのです。アメリカとも仲良くしなければいけませんが、しかしアジアとも仲良くしなければいけない、そういう時代がいま来ているのです。仲良くするのには、憲法9条を守ることが大前提です。これを止めてしまったら、アジアとは仲良くできません。

 憲法9条は、日本にとって“命綱”です。いままでは、憲法9条というと、「理想に過ぎない。現実は9条で飯食えないよ」という人が多く、中には鼻で笑う人もいました。しかしいまは逆です。9条でこそ食える。9条を変えたら、21世紀日本の経済は危ないのです。

 憲法9条を守ってこそ、この世紀の日本とアジアとの友好関係を守り、日本も安心して生きていけるのです。こういう世の中をつくる大前提が憲法9条です。憲法9条は美しいだけではなく、現実に儲かるものでもあります。そのことがやっと分かってきました。

 奥田経団連会長は、去年までは小泉首相を応援して靖国参拝も賛成だったのですが、そんなこといってたらトヨタは中国で売れなくなります。そこで今年の正月の挨拶でついに、「中国との関係を大事にしてほしい」と、向きが変わりました。
 財界が、中国と仲良くしなければ自分たちは商売ができない、となってくれば、日本の政治の向きも変わるだろうと思います。あと3年たてば多分、これは日本の国民の常識になってきます。中国と仲良くしないと経済が駄目になる。それは中国のいいなりになることではないのです。良くないことはきちんという。だけど敵にするのではなく、仲良くする。でなければ、日本の経済は成り立たない。これがみんなの常識になってくるでしょう。

 これまで60年、アメリカベったりだったから、アメリカから離れたら生きていけないと皆思ってきました。しかし現実の数字はそうでなくなっています。一番大事な経済の相手は、もうアメリカではなくアジアなのです。これに気づくのにあと2・3年かかるでしょう。これが世論になれば、もう、憲法を変えるなどということは、絶対にできません。

 しかし、この3年の間に、国民の世論がそのように変わる前に、憲法が変えられてしまったら、どうにもなりません。

 あと3年、必死の思いでがんばって、子供たちに平和な日本を残してやるのが、私たちの務めだと思います。そう思って、私も必死になってかけ回っています。あと3年ぐらいはまだ生きていけるだろうから、なんとしても3年間は9条を守るために全力をつくしたいと決心しています。

 ありがたいことに、9条を変えるには国民投票が必要です。国会で決めただけでは変えられません。国民投票で過半数をとらないと、憲9条は変えられないのです。逆にいえば、これによってこちらが憲法9条を守る署名を国民の過半数集めてしまえばいいことになります。住民の過半数の「9条を守る」署名を3年間で集めてしまう。そうすればもう、変えることは不可能になります。

 そうすれば、子供たちに憲法9条のある日本を残してやれます。2度とアジアと戦争する国にならないようにして、そしてもし長生きできれば、新自由主義という方向、つまりアメリカ言いなりではなく、もっと自主的な経済ができるように、せめてヨーロッパのような修正資本主義、ルールのある資本主義の仕組みにもう一度戻すこともできるでしょう。

 日本中で、飢えている人、因っている人、貧しい人が、それでも人間らしく生きていけるような、最低限の保障ができる、生きる希望が出る──。そういう社会にすることが大切なのだ、と思います。これは長期的展望です。簡単にはできません。一度、新自由主義になってしまったので、10年位かかるでしょう。国民が賢くなって、正しい要求を政府につきつけていかなければいけません。その中心になる労働運動の再建が必要です。

 結局国民が主権者なんですから、国民の願いがかなうような、そういう日本に作り替えていきたいなと、そういう道を進んでいきたいなと思います。

 鋸南町は合併を拒否なさったというので、日本でも有数な自覚的な町といえます。合併するとまず住民自治がダメになります。大きくなるということは、住民自治が駄目になることでもあります。住民が主人公になる町こそ大切。ぜひこの美しい山と海と禄のある町で、1人1人が主人公であるような地域共同体というものを、みんなが助け合える町になることを私も希望して、講演を終わらせていただきます。
http://kyonannet.awa.or.jp/mikuni/siryo/2006/kawabata-kouen060114.htm

14. 中川隆[-8795] koaQ7Jey 2024年10月20日 16:37:00 : OKkbvBBDLY : R2lqdGtJNktUUlU=[2] 報告
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白井聡 - YouTube
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島田雅彦・白井聡による新番組『Air Revolution』(エアレボ)
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https://www.youtube.com/@AirRevolution2023/videos

白井聡 ニッポンの正体 - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLtvuS8Y1umY_eyk0vhJr0D0LnQNn4vTM_


▲△▽▼


鮫島浩氏出演!『自民党の断末魔! 加熱する〈政争〉を検証する!』(2月6日(火)20:30〜放送)
エアレボリューション 2024/02/07
https://www.youtube.com/watch?v=d7jwOTsppxc

裏金問題、派閥解消、被災地対応の遅れ・・・もはや断末魔の自民党。
そして加熱する<政争>。


【山崎行太郎チャンネル】何故、左翼系の政治学者や政治評論家はバカばっかりなのか?
森哲子事務所 2024/02/11
https://www.youtube.com/watch?v=_jWr1JyN_YA&t=23s


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鴻上尚史氏出演!『学生運動とはなんだったのか?』(2024年5月23日生放送)
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=OFmrzuDm-Xo&t=322s

学生運動末期の1972年に早稲田大学で起きた学生のリンチ殺害事件を題材にしたドキュメンタリー映画『ゲバルトの杜 〜彼は早稲田で死んだ〜』を紹介しながら、学生運動とはなんだったのか?を、その功罪両面から考えます。

また、映画の中で問題提起されている“正しい暴力はあるのか?”についても語り合いと思っています。

ゲストはこの映画の劇パートの脚本・演出を担当した鴻上尚史さん。
本作の監督・代島治彦さんも出演の予定です。

■参考テキスト:映画『ゲバルトの杜 〜彼は早稲田で死んだ〜』http://gewalt-no-mori.com/


【山崎行太郎チャンネル】内ゲバの哲学が日本を救う。
森哲子事務所 2024/07/07
https://www.youtube.com/watch?v=G3AiqGLy-iI


『三浦瑠璃事件と東浩紀と白井聡』
森哲子事務所 2023/03/12
https://www.youtube.com/watch?v=tUU5VW4S9go


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的場昭弘氏出演! 『恐慌・パンデミック・戦争…21世紀読み解きと世界の行方』(2024年10月3日(金)20:00〜生配信)
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=TI1ivRzF1SA

■参考テキスト:的場昭弘著『21世紀世界史講義 恐慌・パンデミック・戦争』(日本実業出版社)
https://www.njg.co.jp/post-40474/

●ゲスト:的場昭弘(マルクス研究者)
●出演:島田雅彦(作家) 白井聡(政治学者)
●司会:ジョー横溝

的場昭弘氏出演!『資本主義の世紀=20世紀の読み解き+ウクライナ戦争の世界への影響』(2023年10月19日放送)
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=Tr3cqVUobSg&t=46s


マルクス研究の第一人者・的場昭弘氏がゲスト出演。
番組前半は、的場氏の近著『資本主義がわかる「20世紀」世界史講義』を紹介しながら、 資本主義の世紀=20世紀の歴史を解説&紐解きします。

後半は前半の内容を踏まえて、ウクライナ戦争の世界への影響を検証します。
アフリカでの反仏運動、戦争の飛び火の問題などすべて関連付けて見取り図を描き出したいと思っています。

また、急遽、パレスチナ問題、中東情勢についても的場氏に話を伺います。


■参考テキスト:的場昭弘著『資本主義がわかる「20世紀」世界史講義』(日本実業出版社)
https://www.amazon.co.jp/%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%8C%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%80%8C%EF%BC%92%EF%BC%90%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%80%8D%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%8F%B2%E8%AC%9B%E7%BE%A9-%E7%9A%84%E5%A0%B4-%E6%98%AD%E5%BC%98/dp/4534060408


ゲスト:内田樹氏 テーマ:マルクス!(2023年7月6 日放送)
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=5qLSVIjYIgw&t=29s

ゲストに哲学者・内田樹氏を迎え、テーマ『マルクス』でお送りします。
そもそも、なぜ今でもマルクスを学ぶべきなのか?マルクスって何がそんなにすごいのか?そんな素朴な疑問からスタートし、マルクスに関して(思想背景、共産党宣言、資本論など)の初歩的な解説から、最終テーマは…<資本主義の行方>まで。

内田樹×島田雅彦×白井聡で徹底的に語ります。

近年の“マルクス読み替えブーム”の中、これぞマルクス論、資本論、資本主義論の決定版!?
是非ご覧ください。

参考文献:白井聡『マルクス 生を呑み込む資本主義』(講談社現代新書)
https://www.amazon.co.jp/%E4%BB%8A%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B%E6%80%9D%E6%83%B3-%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9-%E7%94%9F%E3%82%92%E5%91%91%E3%81%BF%E8%BE%BC%E3%82%80%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E7%99%BD%E4%BA%95/dp/4065311969

大澤真幸氏出演!『資本主義のその先へ』(2024年1月26日放送)
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=Ym7wVuED9-g&t=256s

ゲストに大澤真幸氏を迎え、大澤氏の話題の新刊『資本主義の<その先>へ』をテキストに、大澤真幸×島田雅彦×白井聡で“資本主義のその先の社会”をめぐって徹底ディスカッション。

■参考テキスト:大澤真幸著『資本主義の<その先>へ』(筑摩書房)
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480867438/

経済学者・水野和夫氏出演! 「世界経済・ニッポン経済の行方と資本主義の現在」(2023年4月6日放送)
エアレボリューション
https://www.youtube.com/watch?v=7sDwOpxJ4V0

『資本主義の終焉と歴史の危機』など多数の著書がある経済学者・水野和夫氏がゲスト。

コロナ禍、ウクライナ戦争は世界経済にどんな影響を与えたのか?
シリコンバレーバンクの破綻など世界で起きている問題をどう捉えればいいのか?

日銀・黒田総裁の金融政策の評価は?後任の新総裁・植田和男氏はどうなのか?
そして、岸田総理の経済政策=新しい資本主義って結局なんなのか? それで景気は回復するのか?

そもそも…資本主義はもう終焉を迎えているのか?
ならば、私たちはどんな経済システムを選ぶべきなのか?

と、経済についてエアレボが徹底的に語ります!!


▲△▽▼


マルクス経済学・共産主義
https://a777777.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=14037616


共産主義のバイブル資本論は読む必要なし!
橋洋一チャンネル 2022/02/26
https://www.youtube.com/watch?v=b9XDWhgHgiw&t=1s

どうして左の人は共産主義に惹かれるか?の質問を一刀両断


共産主義国家の限界 中国崩壊の可能性と隠れ共産主義者
橋洋一チャンネル 2021/01/08
https://www.youtube.com/watch?v=mkh5l7D40aY

橋洋一「素朴な疑問」に答えるチャンネル
共産主義と資本主義の違いと共産主義の限界について解説
中国崩壊の可能性から民営化反対論者まで明らかにします


文化芸術系に左翼が多いのは理論がないから
橋洋一チャンネル 2021/07/17
https://www.youtube.com/watch?v=pwh4_leFG-M

芸術家や文化系の人に左翼的な人が多い理由を解説
共産主義の悲しい現実が


▲△▽▼


【山崎行太郎ch】『ネット右翼にもわかるマルクス主義入門』
森哲子事務所 2023/05/14
https://www.youtube.com/watch?v=dR1z0AI1-Ms

【山崎行太郎ch】マルクスの『ドイツ・イデオロギー』について。ネット右翼にもわかるマルクス主義入門。(2)
森哲子事務所 2023/05/21
https://www.youtube.com/watch?v=dM8irDjOaqc

【山崎行太郎ch】《疎外論》から《物象化論》へ。…ネット右翼にもわかるマルクス主義入門(3)。
森哲子事務所 2023/06/04
https://www.youtube.com/watch?v=OoVmmL_t1i8

【山崎行太郎ch】宇野弘蔵の《労働力の商品化 》について・・・《 ネット右翼 にもわかるマルクス主義入門(4)》
森哲子事務所 2023/06/14
https://www.youtube.com/watch?v=SSEoN6S29_s

【山崎行太郎ch】柄谷行人の『価値形態論』について・・・《 ネット右翼にもわかるマルクス主義入門(5)》
森哲子事務所 2023/06/21
https://www.youtube.com/watch?v=SCEA6xkhYEc


【山崎行太郎チャンネル】都知事選と共産党とマルクス主義。
森哲子事務所 2024/07/16
https://www.youtube.com/watch?v=OxSp62E9FjM


【山崎行太郎チャンネル】マルクス主義の二大潮流ー講座派と労農派について。
森哲子事務所 2024/07/04
https://www.youtube.com/watch?v=dfrVyf5B1mE


【山崎行太郎チャンネル】《宇野弘蔵とマルクス主義》
森哲子事務所 2024/04/24
https://www.youtube.com/watch?v=zS1T7iSrFlI

『柄谷行人の上部構造と下部構造について《柄谷行人の新作・力と交換様式の序論を読む。》』
森哲子事務所 2022/10/30
https://www.youtube.com/watch?v=J99fAF2Vdgw

15. 中川隆[-8548] koaQ7Jey 2024年11月14日 05:42:46 : s5SJUhE8xo : N0h2Rmh1c3hEbzY=[1] 報告
<■84行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
サマーズ氏: 資本主義に反対することは自由に反対すること
2024年10月28日 globalmacroresearch
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がダートマス大学でのインタビューで資本主義と社会主義の違いについて語っている。

社会主義とは何だったのか

社会主義がほとんど旧世代の遺物となってから長い時間が過ぎたが、恐らくそのためになぜ資本主義が成功しているのかということについて考える人は少ない。

そしてまさにそれが理由で日本やアメリカなどの資本主義国家とされる国に、実体経済を自由市場ではなく中央政府が支配する社会主義の影が忍び寄っていると筆者は考えているのだが、だからこそサマーズ氏に社会主義の国々がどういうものだったのかを語ってもらおう。

サマーズ氏は大学生たちに次のように語りかけている。

わたしはこの部屋にいる学生たちと同じくらいの年か、それよりも少し年上だった頃に、ここにいる学生がもう体験できないことを体験したことがある。

それは西ベルリンと東ベルリンを繋いでいたチェックポイント・チャーリーを通ったことだ。

チェックポイント・チャーリーとは、戦後に東西に分断されていた西ベルリンと東ベルリンを繋いでいた検問所のことである。第2次世界大戦後、アメリカと旧ソ連に分割統治されていたベルリンは、半分が資本主義、もう半分が社会主義によって運営されていた。

結局、ドイツは資本主義だった西ドイツが繁栄し、社会主義だった東ドイツが貧困に陥ったため、東ドイツが西ドイツに吸収される形で統合されたのだが、これはその前の話である。

サマーズ氏は次のように述べている。

それは2024年と1954年を繋ぐ門を通るような経験だった。その前後ではすべてが違った。西ベルリンと東ベルリンにはまったく共通点はなかった。

社会主義の失敗

当時、社会主義の国は次々に退廃していった。資本主義経済では起業家が消費者の需要に合わせてどのような商品を作るかを決め、需要が高い商品を作った起業家ほど高い対価を得る。

一方で社会主義の国ではどういう商品が作られるべきかを政府が決定する。

その結果は明らかである。資本主義国家では消費者が欲しがる商品がどんどん作られ、社会主義国家では消費者が欲しがらない商品がどんどん作られた。

そして西ベルリンは栄え、東ベルリンは貧困に沈んでいった。ソ連は崩壊した。中国はケ小平氏の時代から資本主義をある程度受け入れていった。

今でもかなり社会主義的な小国はある。サマーズ氏は次のように言っている。

北朝鮮は人に出入りをさせないが、それは抜け出す人が出ないようにするためだ。だから韓国から北朝鮮に行くことはできない。

北朝鮮に自由に出入りできないことには理由がある。社会主義国と資本主義国では貧富の差が激しいために、北朝鮮の人々が韓国の豊かな暮らしを見れば、誰もが北朝鮮から逃げ出したいと思ってしまうだろう。

国民にチェックポイント・チャーリーを通らせてはならない。だから自国民を囲うしかないのである。

社会主義の本質

読者の多くは、こうした社会主義の話が過去の遺物であるか、または北朝鮮のような極端な国のものだと思うだろう。

元々、社会主義は裕福な起業家たちを羨んだ労働者や農民に支持されて始まった。起業家が株式を持つことを禁じ、株主の役割を政府が担った結果、政治家だけが豊かになる社会が出来上がったのである。

しかしそれは今の日本に似ていないだろうか? 給与所得の半分を政府に持っていかれる現状は本当に資本主義なのか。東京の真ん中に税金で作られた巨大便器は消費者が望んだ商品なのか。これは社会主義の製品と何が違うのか。


出典:産経新聞
社会主義の本質は、人々の自由な商業活動、自由な物品の売買を禁じ、政府の決めたように経済を動かすことである。

サマーズ氏は次のように述べている。

社会主義を望む人々の衝動を理解することは困難だ。

合意した2人の大人が寝室で何をしようと自由であるのに、なぜ合意した大人同士が市場経済のなかで、互いに合意した賃金で雇ったり雇われたり、合意した金利でお金を貸したり貸されたり、合意した価格で商品を売ったり買ったりを自由にしてはいけないのか?

資本主義に反対することは、合意した大人同士が第三者に害を与えないかぎり、互いに利益がある行為をやっても良いという考えに反対することだ。

資本主義の本質はこうである。人々に自由な経済活動をさせれば、優れた起業家のような非常に裕福な人々が出てきてしまう。それを羨んだ人々は政府がそれを止めてくれると思い、起業家から自由を奪って政府にそれを与えた結果、起業家ではなく政治家が豊かになり、人々はむしろ更に貧しくなったのである。

サマーズ氏は次のように言っている。

反資本主義という姿勢は、本質的には反自由なのだ。

だがそれはまさに日本の状況ではないのか。自分の力で金を稼いだ高所得者から、当選させてくれと乞食のように頼む政治家に金を移転するのが今の日本経済である。

そしてそれは与党を支持した国民の多数派には決して移転されない。それを期待している人々は、控え目に言っても間抜けである。

他人の自由を奪うと自分に返ってくる。ばら撒き政策とはそういうものである。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35564

現実には金融所得の税率は低く、給与所得の税率は高いのだから、多数派に支持された政府が多数派だけ損をする社会を作っているのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/55674

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