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ノルド・ストリーム2と中国投資協定で多極世界を受け入れるヨーロッパ
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2020年12月31日 マスコミに載らない海外記事
Finian Cunningham
2020年12月29日
Strategic Culture Foundation
普通は、物質的必要性が、イデオロギー的信条に勝る。教理より必要性。今週二度、欧州連合は、ロシアとのノルド・ストリーム2のガスパイプライン、次に、中国との主要な投資協定でも、ワシントンを拒絶して、この格言を実証した。
今週ドイツのハイコ・マース外務大臣は、ヨーロッパ・ブロックは、ロシアとの協力でノルド・ストリーム2プロジェクト完成を推進すると、あてつけ気味に述べた。バルト海底パイプライン建設は、アメリカ制裁によって一時的に止められていた。だが今ドイツは、プロジェクト完成は阻止されないと言っている。
EUは、バイデン新政権下、より良い対米関係を期待しているが、ブロックは主権の問題として、天然ガス供給を増やすためロシアと取り引きする権利を行使するとマースは述べた。
「将来我々がワシントンが欲するあらゆることだけするのを意味するなら、我々はヨーロッパの主権について話をする必要はない」というマースの言葉が引用された。「[ドイツ]連邦政府はノルド・ストリーム2に対する姿勢を変えない」と彼は付け加えた。
ノルド・ストリーム2パイプラインが相対的に安価なロシア・ガスのEUへの供給を二倍にすることを考えれば、これはヨーロッパ経済を押し上げる極めて重要なことだ。
EUは、より高価なアメリカのガスを買い、ロシア・エネルギー供給元を外せというワシントンが繰り返す警告や経済封鎖の恫喝にもかかわらず、ヨーロッパは過去の冷戦時代と共に放棄するのが最善のイデオロギーより経済的、物質的利益を断固優先している。
ナワリヌイ騒動という文脈で、ヨーロッパがワシントンから独立を進めるのは、一層顕著だ。反体制ロシア活動家に対するクレムリン工作員による毒物中毒とされるものは、ドイツに対してノルド・ストリーム2プロジェクトを放棄するよう圧力をかけるのに使われていた。多くの批判者は、アレクセイ・ナワリヌイ暗殺計画とされるものは、モスクワとの関係を妨害し、特にノルド・ストリーム2をぶち壊すのが狙いの偽旗挑発と見ていた。今週ガス・プロジェクトを完成するというベルリンの主張を見れば、策略は明らかに失敗したのだ。
対する注目に値するワシントンに対するEU二つ目の拒絶は、中国との主要な投資協定締結の発表だった。協定は、七年継続していたが、今や両者は今週末までに署名する準備ができている。EUと中国間のこの貿易投資協定の重要性は、いくら言っても言いすぎることはない。それは世界の二大貿易実体を、より緊密に統合するものだ。これは多極世界構想を下から支える新シルクロードを舗装する中国の世界政策の重要な表明だ。ロシア極東から日本、韓国、中国を通って、中央アジア、中東、西ヨーロッパまでの「ユーラシア」は今や、益々新たに出現しつつある巨大経済圏だ。
巨大な中国市場のへの事業参入強化に関し、北京がヨーロッパに、うまく譲歩したように思われる。それは中国と対決するために、大西洋横断で団結するというワシントンの高圧的要求から、ヨーロッパを引き離す効果があった。
EU-中国投資協定発表の前日、ジョー・バイデン次期大統領は中国の勃興に対決するため、アメリカ・ヨーロッパ間の統一的手法を再び呼びかけた。ヨーロッパ人は明らかに、彼らのパンが、どちら側からバターを塗られるのか知っていて、冷戦風敵対を求めるバイデンの要請を無視したのだ。
これは非常に重要な進展だ。それは偶然のはずはない。先週、締結されつつあるEU-中国協定への期待が増大する中、バイデンが指名したジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は、ワシントンの懸念を表明した。
審議中のEU-中国貿易協定に言及して、サリバンは述べた。「バイデン-ハリス政権は、中国の経済慣行に関する我々共通の懸念から、我々のヨーロッパ・パートナーとの、より早い協議を歓迎する。」
まあ、どうなったと思われるだろう。EUはワシントンの要請を二の次にして、中国との投資協定締結に邁進したのだ。
これは多極世界の現実の証拠だ。統合され相互依存する世界経済の本質は、アメリカ合州国が推進してきた冷戦イデオロギーが、もはや維持できないことを意味する。世界覇権を追求する何らかの考えで、そのイデオロギーを推進するのは、ワシントンにとっては、望ましいかもしれない。だが、現代世界の多極の現実と、主権と法と秩序の相互尊重に基づく提携と共同開発が、唯一進むべき道だという各国の認識を考えれば、その概念は、もはや実行可能ではないのだ。
アメリカ合州国の政治、経済制度は新しい多極パラダイムに順応する能力がないように思われる。その行動様式と、世界のイデオロギー的表現が、変化した政治環境では、もはや実行可能ではないので、恐竜のように絶滅する定めなのだ。
自己保存のための物質的必要性と認識が、ヨーロッパをロシアと中国と貿易するよう駆り立てている。おそらくは、ヨーロッパ政治支配体制内にも、頑強に抵抗する冷戦派がいる可能性はあるが(それ故のナワリヌイ大失敗だ)大部分は、経済的、社会的要求が、を究極的な決定要素なのだ。
アイルランド欧州議会議員ミック・ウォレスがStrategic Culture Foundationに以下の鋭いコメントをした。「EUには、アメリカ帝国主義への盲従という、消えずに長年続く問題がある。だが中国ということになると、話は変わる。真実は、中国が、アメリカの経済支配に対する脅威に過ぎない時に、アメリカは中国を安全保障上の脅威として扱うと決めている。だがアメリカが中国を軍事的脅威として扱い続ける限り、アメリカ軍産複合体にとって日々幸せだ。ヨーロッパは失望するが、愚かではない。欧州会議には多くの無分別な反中国言説があるが、委員会や評議会からのものは、ほとんどない。EUは実際はドイツの独り舞台で、ドイツが支配している。ドイツは、ブレグジットがまとまるか、まとまらないか気掛かりで夜も寝られないわけではないが、中国との良い関係に非常に興味を持っている。ドイツはお金を追求するだろうが、中華人民共和国という勝者一人しかない行き詰まりの経済戦争で、アメリカについて行くつもりはありそうにない」。
だから、次期バイデン政権は、ロシアと中国に対す対決を宣伝して、アメリカの世界覇権と同盟諸国という手段を見直そうとするかもしれない。だが楽観的な調子でも、世界の他の国々は、このようなアメリカのゼロサム思考に耽っている余裕がないのを知っている。現在の難題に対する唯一の解決策はグローバル協力だ。今週EUはロシアと中国に関して、現実の正しい評価を示した。一方、アメリカ政府はイデオロギーのお荷物を抱えたままの状態だ。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2020/12/29/europe-embraces-multipolar-world-with-nord-stream-2-and-china-investment-deal/
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