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ナチズム賞賛に反対する国連決議に米国とウクライナが反対した歴史的な理由
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202012250000/
2020.12.26 櫻井ジャーナル
ナチズムやネオ・ナチズムを賞賛する行為に反対する決議が12月16日に国連総会で採択された。130カ国が賛成したのに対し、51カ国が棄権、アメリカとウクライナが反対。棄権した国には日本、そしてドイツなどEU加盟国が含まれている。
アメリカとウクライナがナチズムやネオ・ナチズムに反対できない理由は明白だ。アメリカやイギリスの支配者はナチズムやネオ・ナチズムの信奉者を手先として利用してきたのである。
次期アメリカ大統領に予定されているジョー・バイデンはバラク・オバマ政権(2009年1月から17年1月)で副大統領を務めたが、その間、アメリカ政府は2014年2月にウクライナでネオ・ナチを利用してクーデターを成功させた。現場で指揮していたのはネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補だが、統括していたのはバイデンだと言われている。
ネオ・ナチはスボボダ(自由)、祖国、UDARといった政党に結集していた。ネオ・ナチはソ連が消滅する寸前、1991年にスボボダはウクライナ社会ナショナル党として誕生した。
2004年からウクライナのネオ・ナチはバルト諸国にあるNATOの訓練施設で軍事演習を受けはじめるが、そのタイミングで党名をスボボダに変更した。旧党名はナチス(ナショナル社会主義ドイツ労働者党)を連想させるためだ。祖国を率いていたユリア・ティモシェンコは投機家のジョージ・ソロスの影響下にあり、UDARの後ろ盾はウクライナのパイプライン業界に君臨する富豪のビクトル・ピンチュクだ。
オバマ政権はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団の戦闘員を使ってリビアやシリアで侵略戦争を始めたが、そのシリアから数百名がクーデターに参加するため、ウクライナへ入ったとも言われている。
2013年7月にはサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を操っていたサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官がモスクワを極秘訪問、シリアから手を引かないとソチで何らかの「テロ」を行うとロシア側に示唆、ウラジミル・プーチン大統領を怒らせるということもあった。
ウクライナのネオ・ナチはステファン・バンデラの信奉者であり、彼らがナチの使っていたマークに似たマークを使用してきたことも秘密ではない。
バンデラは1930年代後半から活動していた反ロシア派OUNの指導者で、この一派はイギリスの対外情報機関MI6のフィンランド支局長だったハリー・カーに雇われていた。ドイツに占領されていた時代、彼らはドイツの「汚い仕事」を引き受け、ユダヤ人90万名が行方不明になった出来事に関与していると言われている。
1941年以降、バンデラ派はドイツから資金を受け取り、幹部だったミコラ・レベジはクラクフにあったゲシュタポ(国家秘密警察)の訓練学校へ入っている。
1943年になるとバンデラ派はUPA(ウクライナ反乱軍)を編成、反ボルシェビキ戦線を設立した。この組織は大戦後の1946年にABN(反ボルシェビキ国家連合)となり、APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)とともにWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)の母体になる。こうした動きの背後にはCIAが存在していた。
そもそも、ナチスはウォール街(アメリカを拠点とする金融資本)から資金援助を受け取っていた。そのために作られた金融機関としてユニオン・バンキング・コーポレーションが知られているが、その頭取を務めていたジョージ・ヒューバート・ウォーカーはジョージ・H・W・ブッシュ(第41代アメリカ大統領)の母方の祖父にあたる。父親のプレスコットはその部下だった。その金融機関の背後にいたのがディロン・リードやブラウン・ブラザーズ・ハリマンといった金融機関だ。
1932年の大統領選挙でニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトが当選すると、ウォール街はルーズベルトの排除に乗り出す。1933年から34年にかけてJPモルガンを中心とするウォール街の住人がクーデターを計画、スメドリー・バトラー退役海兵隊少将に指揮させようと目論む。
しかし、バトラーは憲法を遵守するという立場の人物で、計画を全て聞き出した上でカウンター・クーデターを宣言して阻止、詳細を議会で証言した。その時にバトラーからの情報に基づいてジャーナリストのポール・コムリー・フレンチはクーデター派を取材、ニューディール派を排除してファシズム体制を樹立するという話を聞き出している。
ナチスが支配していたドイツと戦ったのはソ連である。アメリカやイギリスは傍観していた。ドイツ軍は戦力の4分の3をソ連侵攻作戦に投入したが、スターリングラードでソ連軍の猛反撃にあい、1943年1月にドイツ軍は降伏する。
この段階でドイツの敗北は決定的になったが、慌てたイギリスやアメリカはすぐに善後策を協議、その年の7月に両国軍は犯罪組織の協力を得てシチリア島へ上陸した。その後、ナチスの幹部はアレン・ダレスたちと接触し始める。サンライズ作戦だ。その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させ、保護、そして雇用する。ラットライン、ブラッドストーン作戦、ペーパークリップ作戦などだ。この延長線上にウクライナのクーデターはある。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用した「リセット」の先にファシズムが待つのも理由は同じだ。
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