バイデン政権になっても、まだまだ米国内にも、世界にも、自国中心で利己的な人間、さらに頭のおかしい原理主義者などが多いから、 悲惨な状況は続く https://jp.reuters.com/article/usa-sanctions-idJPKBN28R0I2
焦点:バイデン氏、外交政策における「制裁」の精度を再構築へ ロイター編集 4 分で読む [ワシントン 16日 ロイター] - バイデン次期米大統領は米国の外交政策を再構築しようとしているが、トランプ大統領が武器の1つとしてきた制裁措置を使うことをためらうことはない――。バイデン氏の考えに詳しい人々はこうした見方をしている。
バイデン次期米大統領(写真)が来年1月20日に大統領に就任すれば、効果がいまひとつのトランプ式政策手法の再調整にはすぐに取り掛かるとみられる。一方で、イランや中国といった最優先の制裁対象に関する方針については、大幅に変更するとしても、じっくり時間をかけそうだ。11月、デラウェア州ウィルミントンで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque) ただ、バイデン氏が来年1月20日に大統領に就任すれば、効果がいまひとつのトランプ式政策手法の再調整にはすぐに取り掛かるとみられる。一方で、イランや中国といった最優先の制裁対象に関する方針については、大幅に変更するとしても、じっくり時間をかけそうだ。
バイデン氏にとっては現在実行されている制裁のうち継続か、撤回か、拡大か、それぞれの判断をすべき案件を選別することが課題になる。何しろ過去4年間、トランプ氏は記録的なペースで経済制裁を発動し、その多くが米国単独での行使だったが、結局相手方を米国の意に従わせることはできなかった。 関係者の話では、バイデン氏は就任早々、制裁プログラムの幅広い見直しに着手し、これを通じて新たな戦略をまとめる。ただ、見直し作業が完了する前から、バイデン氏としては制裁が引き続き米国の外交パワーで柱になることを明言すると予想される。もちろん、トランプ氏の外交の原動力となった「米国第一」の旗は降ろした上での話だ。 バイデン氏の政権移行チームに近いある人物は「揺り戻しでも、さらに進めるのでもない。制裁手段の使い方を再調整するということだ」と説明した。 2人の関係者が早期実現の可能性がある措置として挙げたのは、トランプ氏が9月に国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官らに課していた制裁を解除することだ。制裁はICCが米軍兵士のアフガニスタンでの行為を戦争犯罪の疑いで捜査したことへの対抗措置で、欧州の同盟国から批判を浴びた。 またバイデン氏は、ロシアの反体制指導者ナワリヌイ氏の毒殺未遂事件を巡る対ロ制裁では、英国や欧州連合(EU)と足並みをそろえてもおかしくない。 <負の遺産> まるでバイデン氏の手間を増やすかのように、トランプ氏は退任間際になっても新たな制裁を次々に打ち出している。バイデン氏が米国をイラン核合意の枠組みに復帰させたり、中国との協力関係を早急に再構築したりするのをより難しくする措置もある。 トランプ氏にとって制裁はお気に入りの手段で、就任以来、イランの軍事活動から北朝鮮の核開発、ベネズエラ政治危機まで、さまざまな国際問題で制裁を発動してきた。 シンクタンクの「新アメリカ安全保障センター」が集計したところ、トランプ政権が新たに実施した制裁は約3800件と、直前のオバマ前政権2期目の4年間の2350件を上回り、対象国・地域が姿勢を改めたとして解除した例は逆に減った。 これまではほとんど使われてこなかったビザ(査証)発給制限措置を通じて200人以上の外国政府高官の入国を禁止したことや、「敵の味方は敵」とばかりに友好国に対するいわゆる2次的制裁を強化したのも、トランプ政権の特徴だ。 関係者は、バイデン氏が高圧的な措置はしっかり行使し続ける半面、意思決定にはより慎重となり、同盟国とより協調するという点で、トランプ政権と違いが出てくるとみる。 オバマ前政権で制裁策定に携わったHager Hajjar Chemali氏は「制裁は特効薬ではない。広範な戦略の一環として投入する必要があり、これはトランプ政権でしばしば欠如していたことだ」と指摘した。 複数のトランプ政権高官は、米国による経済制裁行使で敵対勢力の幾つかは深刻なダメージを受けたとし、このおかげでバイデン氏の立場が強まる可能性があると力説する。とはいえ制裁を受けた国がトランプ氏の要求に屈したという証拠は見当たらない。 例えばイランはトランプ氏が米独自の制裁を再発動したにもかかわらず、核開発停止に向けた再交渉を拒絶したままだ。ベネズエラには反米のマドゥロ政権打倒を狙った制裁を科したが、マドゥロ氏体制は健在。北朝鮮も核・ミサイル開発を続けている。 さらに中国は、ハイテク分野や香港の民主化、南シナ海、イスラム教徒の少数民族弾圧などを巡る問題で米国が制裁を打ち出しても、行動を変えたように見受けられない。 トランプ氏が制裁範囲を個人に広げたり、外国政府高官の資産を凍結するブラックリストを策定したり、彼らと米国民の商取引を禁じたりしたことでも効果を疑問視する声が聞かれる。対象者が富裕か、米国に投資をしている場合は有効だが、そうでなければほとんど象徴的な意味合いしかなくなるからだ。 バイデン氏の側近らは、制裁の過剰行使はかえってマイナスになりかねず、特に、せっかく米国が優位に立つ金融ネットワークの回避手段を他国が編み出すのを促してしまいかねないと懸念する。 <悩ましいイラン外交> それでもバイデン氏が国務長官にアントニー・ブリンケン氏、国家安全保障担当大統領補佐官にジェイク・サリバン氏を指名したことから、制裁行使に際して多国間主義を取りながらも、制裁自体をそれほど縮小するつもりはないことが推察される。 次期政権で財務副長官に起用されるアデワレ・アデイェモ氏は今月、国家安全保障の観点から政策は「的を絞って集中させる」べきで、不心得者に責任を取らせるための制裁もそれに含まれると発言した。複数の関係者の話では、アデイェモ氏はバイデン氏の下で制裁措置の検討を取り仕切ることになる。 バイデン氏にとって、どのように制裁措置を取るか最も悩むのはイランになりそうだ。 トランプ政権が2018年に離脱した核合意に関して、バイデン氏はイランが義務を完全に履行するなら米国は復帰すると明言。しかしイランはまず次期米政権が何らかの行動をすべきだと主張しており、今後譲歩を求めてくるかもしれない。 政権移行チームに近い前出の人物の話では、バイデン氏がすぐ制裁解除に応じるのは難しいが、新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われる中で、イランへの人道的物資入手を妨げている措置を緩和し、関係改善につなげてもおかしくないと予想した。 トランプ氏が掲げた「圧力を最大化する」という対イラン外交の一環として発動された制裁により、イランは石油収入が減少し、対外貿易も円滑に進まなくなった。米国の金融システムから締め出されたことも痛手になっている。ほとんどの国や企業は、米国の制裁対象になることを恐れ、イランとの取引に二の足を踏んでいる。 それでもトランプ氏はイランの人権問題やミサイル開発などを理由に制裁をさらに追加し続けてきた。これらをバイデン氏が解除するのは政治的に難しい作業になる。 トランプ政権側の言い分では、イランが我慢しきれずに交渉に応じるしかなくなるように仕向けているので、制裁強化はむしろバイデン氏のためになる。 イランとベネズエラの担当特使エリオット・エイブラムス氏は、ロイターから制裁強化はバイデン氏の外交の手を縛る目的かと質問されると、「全く違う。次期政権の立場を強めるものだ」と言い切った。イランなど敵対勢力への制裁措置は、軍事力行使、あるいは諦めて全面的に手を引くことに比べて、よほどましな選択肢だとも述べた。 <人権重視> バイデン氏は、中国向けの制裁をどう扱うかも問われている。 大統領選中にトランプ氏がバイデン氏は中国の手先になると盛んに言いふらしてきたが、当のバイデン氏は、とりわけ人権分野で中国により厳しく接する姿勢を明らかにしてきている。 政権移行チームに近い人物は、この点から香港や新疆ウイグル自治区、あるいはチベットなどの問題で追加制裁が発動される公算が大きいと解説した。バイデン氏のあるアドバイザーは、中国との貿易問題を解決するために、対中制裁をちらつかせることもあり得ると述べた。 北朝鮮に対してはどうか。課題の1つは、トランプ氏の政策が抱える矛盾を片付け、核・ミサイル開発を放棄させるため制裁を実行面で強化することになるだろう。 専門家は、トランプ氏と金正恩朝鮮労働党委員長が築いた個人的に親しい関係が、国際的な制裁圧力の効果をそいでいると苦言を呈する。バイデン氏は金正恩氏を「悪党」呼ばわりしており、米国はより強硬になると予想される。 ロシアに対しては、バイデン氏は米大統領選の介入疑惑に基づいて制裁を科す可能性を示唆してきた。また米連邦政府機関のコンピューターへのロシアからのサイバー攻撃がごく最近明るみになったことで、一段と制裁に前向きになってもおかしくない。 米国内でバイデン氏が取り組む必要があるのは、トランプ氏がトップダウン方式で決定したり、いきなりツイッターに政策案を投稿したりすることで長く無視されてきた、省庁間の協力関係を回復することだ。トランプ氏のやり方は国務省や財務省の内部に不満を蓄積させ、経験豊富な職員が相次ぎ退職する事態を招いた。財務省外国資産管理室(OFAC)の元職員は「スタッフたちは働き過ぎで疲弊しつつある。だから政策手続きが良い方向に変わってほしい」と訴えた。 (記者:Matt Spetalnick、Daphne Psaledakis、Humeyra Pamuk、Trevor Hunnicutt)
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