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(回答先: トランプの敗北/田中宇 投稿者 仁王像 日時 2020 年 12 月 15 日 09:21:24)
バイデン氏は「最弱の米大統領」? 重要ポストにマイノリティーや精鋭のテクノクラートも…予想される厳しい船出/アエラ
津山恵子2020.12.15 08:02AERA
https://dot.asahi.com/aera/2020121400053.html
リベラル派市民の期待を背負い、次々と大物政治家や官僚を閣僚に投入するバイデン次期米大統領だが、民主党をまとめきれるのか、波乱の船出だ。AERA 2020年12月21日号の記事を紹介する。
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「財務長官は、ジャネット・イエレン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長を指名する見通しだ」というニュースが11月30日(米東部時間)に流れると、株価が上昇した。財務長官としては女性初。FRB議長のほか、過去には大統領経済諮問委員会(CEA)委員長も務めたため、財務長官に就任すれば、初の経済主要ポスト「三冠王」となる。
さらにCEA委員長には、プリンストン大学公共政策・国際関係大学院長のセシリア・ラウズ氏、行政管理予算局(OMB)局長に民主党政策スタッフのニーラ・タンデン氏が指名され、経済チーム3主要ポストが、初めて全員女性となった。
■上院で過半数がカギ
初の女性チームは、バイデン・ホワイトハウスでもう一つ誕生する。ホワイトハウス上級広報チームで、大統領報道官のジェン・サキ元国務省報道官をはじめ、ホワイトハウス広報部長と副大統領報道官の3人全員が女性だ。
また、国土安全保障長官にアレハンドロ・マヨルカス氏が、初の中南米系移民出身として指名された。国防長官には黒人のロイド・オースティン氏を指名し、人種的マイノリティーが重要ポストに抜擢(ばってき)される。
しかし、バイデン移行チームが、ウケを狙って彼らを起用しているわけではない。女性とマイノリティーを起用しながらも、専門分野に極めて強い政策の職人、テクノクラート揃(ぞろ)いなのだ。それは現在国民の20人に1人が感染した新型コロナウイルスによる経済危機と雇用の崩壊を、コロナ前の軌道に戻していく闘いに向けた布陣なのである。
ところが、テクノクラートの精鋭を集めても、上院において民主党が過半数を取れるかどうかが、バイデン新政権が直面する大きな問題となる。今のところ、100議席のうち共和党が50議席、民主党が48議席を獲得している。残った2議席は、来年1月5日に行われる、ジョージア州の改選議席と補欠をめぐる決選投票にかかっている。
民主党が両議席を獲得できれば、50議席プラス、上院議長となるカマラ・ハリス次期副大統領の投票で、ギリギリ過半数となる。過半数を取れなければ、ねじれ議会となり、バイデン政権の政策・法案は、議会を通らずに日の目を見ない。
■民主党内の分断も大
また、米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ大統領に投票をした70〜80%の人が、バイデン氏が公式に勝利したと信じていないという。2008年に大勝したオバマ前大統領よりも500万票近く多い7400万票を今回トランプ氏が得票したという事実は重い。
「私はブルー(民主党の色)でもなく、レッド(共和党の色)でもない、アメリカ合衆国の大統領になる」
バイデン氏は選挙戦中からそう繰り返してきたが、分断をどう緩和し、統一していくのか。その具体的なアプローチは不透明なままだ。
政治的イデオロギーの面では、身内の民主党内の「分断」も侮れない。
民主党の予備選挙中、若者に熱狂的に支持された進歩派のバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員は、バイデン政権で閣僚入りはしない。なぜなら、主要閣僚が就任するのに必要な上院での承認を得るのが難しいからだ。しかし、バイデン氏が8100万票を得て、トランプ氏に約700万票もの差をつけた勝利は、サンダース氏らが主張していた最低賃金の引き上げやヘルスケアの拡大、大学授業料の無料化などを切望する多くの若者たちがもたらしたものだ。
バイデン陣営はウォーレン上院議員らからも政策面の助言を受け、気候変動問題を担当する大統領特使という新ポストを設け、ジョン・ケリー元国務長官を指名した。外交のプロとして、ホワイトハウスとの連携に通じているケリー氏が、バイデン大統領・ハリス副大統領のラインで、気候変動の「パリ協定」への復帰などを目指す。政治ニュースサイト「Axios」によると、国内の気候変動問題専門のポストも設けるという。これは、環境問題に敏感な若い有権者をハッピーにするためでもある。
しかし、最低賃金引き上げや学費の無料化など、若者が窮状の中で求めている社会民主主義的な政策の実現に向けて、穏健派と専門性が高いテクノクラートで固めるバイデン氏のホワイトハウスができることには限界がある。若い有権者らが、少し時間がたてば、バイデン政権を批判し始めるのは目に見えている。
■最も弱い大統領の危惧
民主党の進歩派は、長年主流派である穏健派に対し、多数派には達しないものの勢いを増している。ジョー・ケネディ3世下院議員(マサチューセッツ州、民主党)は、ジョン・F・ケネディ元大統領の弟の孫に当たる名家の出身だが、今年のマサチューセッツ州の上院議員予備選挙に臨み、進歩派の若者が支持したエドワード・マーキー現職議員に敗北した。一時は、進歩派の世襲政治一家だったケネディ一家の出身者が立候補して敗北したのは彼が初めてだ。
ケネディ氏は12月9日、下院を去る際の短い演説で、失望を隠さなかった。
「助けや保護、正義やチャンスが真に必要な人にとって、政府は、資金も時間も気力さえもないと言い続けてきた」とし、政府に資力がないのは、「私たちの時代の大きな嘘」と批判した。進歩派的な発言ではあるが、今回の選挙で投票所に向かった若者たちは、彼以上の葛藤を抱え、ケネディ一家の遺産よりもさらに進歩派寄りの政策を求めている。
「ジミー・カーター元大統領以来、最も弱い新大統領になるだろう」
こう予言するのは、国際政治学者でコンサルティング会社ユーラシア・グループ社長、イアン・ブレマー氏だ。上院の過半数を取る可能性が低いことと、連邦最高裁判所の9人の判事構成が、保守派が6人とスーパーマジョリティーを得ていることをその理由に挙げる。
若者や黒人、女性など米社会のマイノリティーが、コロナ禍でも必死に投票所に向かい、バイデン氏を勝利させた。だが、米国の政治の仕組みや、バイデン氏をはじめとした旧世代の穏健派が実現を目指す政策は、若者らの期待に応えることになるのか。大きな試練となりそうだ。(ジャーナリスト・津山恵子(ニューヨーク))
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