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シャルリー・エブド紙とフランスにおけるテロ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010280000/
2020.10.29 桜井ジャーナル
フランスのコンフラン-サントリーヌの中学校でサミュエル・パティという歴史と地理を教えていた教師が10月16日、18歳になるチェチェンからの難民、アブドラ・アンゾロフに刃渡り30センチメートルのナイフで殺され、首を切られたと伝えられている。授業中、イスラムの予言者マホメットを裸にした漫画を生徒に見せたという話が広まった結果だという。
チェチェンから少なからぬ人がフランスへ移り住んでいるようだが、この地域にはアメリカがロシアを揺さぶるために戦闘員を送り込んできた。そうした戦闘員を訓練するための拠点として使ってきたのがジョージアのパンキシ渓谷だ。
ここで訓練を受けた戦闘員はシリアなどへも派遣されている。その数は200名から1000名と言われ、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)に合流したという。2015年9月末にロシア軍がシリア政府の要請で介入、ダーイッシュは敗走。主要な戦闘員はアメリカの軍や情報機関などが救出、雑兵は放り出され、戦闘が続いているのはイドリブなど一部にすぎない。
エマニュエル・マクロン仏大統領は事件が引き起こされた後、イスラム原理主義者は「我々の未来が欲しいのだ」と主張、「漫画を諦めることはない」と語った。この発言をイスラム国ではイスラム教徒全てに向けられたものだと考えたようで、イラン、サウジアラビア、パキスタンなどから激しい反発の声が揚がり、フランス製品をボイコットするという動きに発展しそうだ。
アンゾロフが見せた漫画の中にはフランスの週刊紙、シャルリー・エブドが掲載したイスラム教徒を嘲笑するものも含まれていた。このメディアには興味深い過去がある。風刺画家のシネは2008年に同紙のコラムでニコラ・サルコジ大統領の息子、ジャン・サルコジの結婚を取り上げた。当時、ジャンはユダヤ系富豪の娘と結婚しようとしていたのだが、そのためにユダヤ教へ改宗するという噂があったのだ。
この話を書いたことが「反セム主義」だと批判され、謝罪を断ったシネは解雇された。その際、JDL(ユダヤ防衛同盟)が運営するサイトで殺害の脅迫が書き込まれたという。
ユダヤ問題には神経質なシャルリー・エブドだが、襲撃されてもイスラムに対する嘲笑は続けた。そして2015年1月7日、サイド・クアシとシェリフ・クアシの兄弟とハミド・ムラドの3人が容疑者だとされている。
クアシ兄弟はフランスやアメリカの当局から要注意人物としてマークされていたのだが、ムラドはパリから北東へ約230キロメートルの場所で警察に出頭、無関係だと訴えた。確かなアリバイがあり、無関係だと見られている。
編集部を襲撃したのはふたりで、AK-47、ショットガン、RPG(対戦車ロケット弾発射器)で武装、マスクをしていたという。11名がビルの中、また1名が外で殺された。負傷者は11名だったという。
この3人が容疑者にされたのは、サイドが自動車の中に身分証明書を残していたため。クアシ兄弟はフランスやアメリカの当局から要注意人物としてマークされていたので情報はあったのだろう。サイドはイエメンにあるアル・カイダのキャンプで数ヶ月にわたって訓練を受け、弟のシェリフは2008年に懲役3年の判決を受けていたと言われ、兄弟はアメリカの搭乗禁止リストに載っているという。この兄弟はシリアで政府軍と戦った後、2014年8月にフランスへ戻ったともされている。
実は、この襲撃事件には謎や疑問点が少なくない。例えば容疑者の特定が素早すぎないか、プロフェッショナル的な戦闘技術をどのようにして身につけ、襲撃に使った装備をどこで調達したのか、スキー帽で顔を隠している人間が身分証明書を自動車に置き忘れているのは不自然ではないのか、襲撃しながら自分たちがイエメンのアル・カイダだと叫んでいるのもおかしくないか、襲撃後、どのように非常線を突破したのか、事件の捜査を担当した警察署長のエルリク・フレドゥが執務室で拳銃自殺したのはなぜなのか、容疑者のひとりで射殺されたアメディ・クリバリが2009年にエリゼ宮でニコラ・サルコジを面談できたのはなぜかなどだ。
編集部が襲撃された後、負傷して歩道に横たわっていた警察官の頭部を襲撃犯のひとりがAK-47で撃ち、殺害したことになっているのだが、頭部に命中していれば頭蓋骨や脳は飛び散り、地面に当たって破片が致命傷を負わせたとしても大量の出血があるはずだが、そうしたことは起こっていない。
また、編集部を襲撃したとされる人物の友人、アメディ・クリバリがパリの東部にあるイベルカシェル(ユダヤ教徒向けのスーパーマーケット・チェーン)の店舗に立てこもり、そこで射殺されている。この出来事も公式発表を信じていない人がいる。その時の様子を撮影した映像によると、警官隊が突入してからクリバリと思われる人物が中から外へ飛び出そうとするのだが、そこで銃撃されて倒れ込んでいるのだ。そのときに撃たれた人物は手錠をかけられているのか、手の自由を奪われているようで、武器を持っているようには見えない。
この襲撃後、「私はシャルリー・エブド」というスローガンが流行、各国でデモが行われた。フランス全土で約400万人が参加したという。
本ブログでは繰り返し書いてきたように、2015年にバラク・オバマ大統領は閣僚を好戦派に入れ替えている。オバマ政権がムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を主力とするジハード傭兵に軍事物資を供給していたが、フランス政府も兵器/武器を渡していた。
オバマ政権は2015年にシリアへNATO軍かアメリカ主導軍を投入、バシャール・アル・アサド政権を倒そうとしていたと見られている。そうした状況の中、ロシア軍が介入し、その強さを見せつけたのだ。ロシア軍が出てこなければ、シャルリー・エブドの事件はイスラム国の悪霊化に利用されただろう。
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