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EU市場を狙う地中海東部の天然ガス
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010260001/
2020.10.27 桜井ジャーナル
地中海の東側に膨大な量の天然ガスが眠っている。その開発作業が進んでいるのだが、生産が始まれば買い手が問題になる。最も有望な市場はEUだろう。この天然ガス田に面した国は、リビア、エジプト、パレスチナ、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャだ。
イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表したのは2010年。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。ビル・クリントン元米大統領はノーブル・エナジーのロビイストだった。
オバマ政権はこの地域でムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ主義者やタクフィール主義者と渾然一体)を使って2010年の終盤から始められた「アラブの春」。その工作は2010年8月にPSD(大統領研究指針)11を承認したところから始まる。その3カ月ごにはイギリスとフランスはランカスター・ハウス条約を締結した。当初の予定では、リビア、エジプト、パレスチナ、イスラエル、レバノン、シリアの体制を転覆させ、親イスラエル国が誕生することになっていたはずだ。アメリカはEUにイスラエルからエネルギー資源を買わせようとした可能性がある。
地中海東部の天然ガスにとって最大のライバルはロシアだろう。すでにEUへエンルギー資源を供給している。その輸送ルートのひとつがノード・ストリーム。ロシアのビボルグからバルト海を経由、ドイツのグライフスバルトへ天然ガスを運んでいる。
このパイプラインが完成したのは2012年のこと。それまでもロシアからEUへエネルギー資源を運ぶパイプラインは存在していたが、その大半はウクライナを通過している。
アメリカのジョージ・W・ブッシュ政権は2004年から05年にかけてウクライナの内政に干渉、ロシアとの関係を重視するビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させた。オレンジ革命と呼ばれている。手先の勢力を動員、メディアを使ったプロパガンダを展開するといういつもの手口だった。
その時、アメリカの支配者が支援していた人物がビクトル・ユシチェンコ。2005年1月から2010年2月まで大統領を務め、新自由主義を導入してウクライナの庶民は貧困化、一部の腐敗勢力が巨万と富を築いてオリガルヒと呼ばれるようになる。ボリス・エリツィン時代のロシアと同じことが引き起こされたのである。
新自由主義の現実を知ったウクライナ国民は2010年1月の選挙で再びヤヌコビッチを大統領に選ぶのだが、アメリカのバラク・オバマ政権は14年2月にネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた。
その翌年、ロシアやEUの会社はノード・ストリームに並行する形でノード・ストリーム2の建設で合意する。ロシアのウストルガからドイツのグライフスバルトを結パイプラインだ。
アメリカはノード・ストリーム2の建設を執拗に妨害、建設に携わる会社は「制裁」の対象にしているが、ドイツはノード・ストリーム2を完成させたがっている。
そうした中、ロシアでの支持率が2%にすぎないアレクセイ・ナワリヌイという反プーチン派の有名人が昏睡状態になる。ロシアの医師による治療で容体は安定したのだが、ナワリヌイ側はドイツへの搬送を強く要求、ドイツ軍の研究機関は証拠を示すことなく、軍事レベルの神経ガスが使われたと発表した。
本ブログでもすでに書いたが、ナワリヌイを治療したオムスクの病院の医師によると、昏睡状態になった原因は低血糖。彼は糖尿病を患っていることから、糖尿病性ショックとも呼ばれる重度の低血糖が原因だと見るのが常識的だ。アメリカが行った一種に偽旗作戦だと考える人もいる。
天然ガスの取り引きを通じてロシアとEUとの関係が強まることをアメリカの支配者は嫌がっている。EUを自分たちの属国だと考えているからだ。そのためにNATOも作った。
しかし、EUはエネルギー資源が必要である。アメリカはシェール・ガスやシェール・オイルが中心になるため、コストが高い上、生産が可能な期間は長くない。ベネズエラを再植民地化できれば、そこの石油を売るのだろうが、再植民地化は失敗してきた。アメリカの支配者がEUへ売ろうとしている天然資源は地中海東部の天然ガスだろう。
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