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核兵器禁止条約発効へ ホンジュラス批准し50カ国・地域達成 「核なき世界」へ一歩
https://mainichi.jp/articles/20201025/k00/00m/030/003000c
毎日新聞 2020年10月25日 05時50分(最終更新 10月25日 06時25分)
核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて開かれた国連安全保障理事会の公開会合=米ニューヨークの国連本部で2020年2月26日、隅俊之撮影
史上初めて核兵器を全面禁止する核兵器禁止条約を批准した国・地域が24日、発効に必要な50に達した。中米ホンジュラスが新たに批准した。条約は90日後の来年1月に発効する。米露などの核保有国や米国の「核の傘」に依存する日本などは不参加で実効性に欠けるが、核兵器を非人道兵器とする国際規範ができることで「核なき世界」に向けた新たな一歩となる。
批准を働きかけてきた国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が24日、明らかにした。核兵器禁止条約は2017年7月、国連加盟の6割を超える122カ国・地域の賛成多数で採択された。条約は、核兵器の開発や保有、使用だけでなく、核兵器による威嚇、他国の核兵器を自国内に配備することなどを全面的に禁じる。発効から1年以内に締約国会議を開く予定で、オーストリアでの開催が有力視されている。
現在の核軍縮・核不拡散の基盤である核拡散防止条約(NPT)は、米露英仏中の5大国に核兵器の保有を認める代わりに、誠実に核軍縮交渉を行う義務を定めている。しかし、米露間では中距離核戦力(INF)全廃条約が失効。来年2月に期限を迎える新戦略兵器削減条約(新START)は1年延長の可能性が出ているが、米露双方で「使いやすい核兵器」とされる小型核弾頭の配備や開発が進む。このような核軍縮が進まない現状に対する非核保有国の危機感が批准を後押しした。
核兵器禁止条約は締約国でなければ拘束されない。だが、ICANのベアトリス・フィン事務局長は「発効すれば(核軍縮を進めるべきだという)強い国際規範が生まれ、核保有国も圧力にさらされる」と指摘。日本や北大西洋条約機構(NATO)加盟国など「核の傘」に依存する国が参加することが「最初のステップになる」と話している。今後は、署名・批准数をどこまで増やせるかが焦点になりそうだ。
被爆国の日本は、核軍縮の進展に向けて核保有国と非核保有国の「橋渡し役」を担うと表明してきた。核兵器禁止条約をめぐっては「現実の安全保障を踏まえていない」として、17年3月から始まった交渉会議にも参加しなかった。だが、締約国会議には核保有国や日本など批准していない国もオブザーバーとして参加できるため、与党でも公明党が参加の検討を求めている。【ニューヨーク隅俊之】
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