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ナゴルノ・カラバフでの戦争でトルコのエルドアン政権が倒される可能性
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202010190000/
2020.10.19 櫻井ジャーナル
9月27日にアゼルバイジャンがアルメニアを攻撃、ナゴルノ・カラバフで戦争が始まった。アメリカやロシアは静観の構えだったが、10月16日にロシア軍がカスピ海で軍事演習を行い、注目されている。トルコはシリアやリビアで手先として使ってきたジハード傭兵をナゴルノ・カラバフへ移動させているが、これはロシアを刺激しているだろう。
アゼルバイジャン側にはトルコが存在、配下の戦闘員やF-16戦闘機を送り込んでいると伝えられているほか、アゼルバイジャンへはイスラエルがドローン(無人機)など武器/兵器を提供、ネゲブにあるイスラエル空軍の基地にアゼルバイジャンの輸送機が着陸するところも目撃された。
2011年3月に始まったシリアへの侵略戦争にトルコも参加、トルコにある米空軍インシルリク基地は攻撃の拠点になっていた。そこで反シリア政府軍を編成、訓練していたが、教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、イギリスとフランスの特殊部隊員だった。
トルコは物資の供給拠点でもあり、そこからシリアへ兵站線が延びていた。プレスTVの記者セレナ・シムはトルコからシリアへ戦闘員を運び込むためにWFP(世界食糧計画)やNGOのトラックが利用されていることを裏付ける映像を入手したと言われているが、2014年10月19日に「自動車事故」で死亡している。MIT(トルコの情報機関)から嫌がらせを受けていたこともあり、事故にトルコの政府機関が何らか形で関係していると疑う人もいる。
当時、イラクの首相だったヌーリ・アル・マリキはペルシャ湾岸産油国がダーイッシュを支援していると批判、ドイツのDWもトルコからシリアへ食糧、衣類、武器、戦闘員などの物資がトラックで運び込まれ、その大半の行き先はダーイッシュだと見られていると伝えている。
そうしたトルコだが、シリアでの戦争が長期化、トルコの経済は悪化してレジェップ・タイイップ・エルドアン政権の足下が揺らぐ。アメリカのバラク・オバマ政権が好戦的な陣容に変える中、2015年9月30日にはシリア政府の要請でロシア軍が介入、トルコを含む侵略国が編成していたアル・カイダ系武装集団、あるいはダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の支配地域は急速に縮小していく。
2016年6月にトルコ政府はロシアとの関係修復に動く。エルドアン政権は2015年11月にロシア軍機を自国の戦闘機に撃墜させているが、ウラジミル・プーチン露大統領にその撃墜を謝罪したのだ。アメリカがトルコでエルドアンを排除するためにクーデターを試みたのはその翌月のことだ。
その後もエルドアンをアメリカは排除しようとしているだろう。サダム・フセインと似た状況にあると言う人もいる。シオニストの一派であるネオコンは1980年代からフセインを排除しようとしていたが、権力の座につけたのは、若い頃にCIAの手先として働いていたからだ。自国でのクーデターだけでなく、シリアでのクーデターに強力、イランと戦争している。
イランとの戦争はアメリカの意向を受け、ペルシャ湾岸の産油国を守るために行ったとフセインは認識していたが、膨らんだ債務や国民の犠牲に対する補償がなく、クウェートとは両国の国境近くにあるルマイラ油田をめぐって対立する。イラクはクウェートが領土を侵し、盗掘していると疑ったのだ。実際、盗掘していたと言われている。
イラクはクェートへの不満を募らせ、CIAは1988年の段階でイラクがクウェートへ軍事侵攻すると予想している。ところがジョージ・H・W・ブッシュ政権はイラクの軍事的な動きに無関心であるかのように装う。(Jonathan Cook, “Israel and the Clash of Civilisations”, Pluto, 2008)
例えば、1990年7月にアメリカ国務省のスポークスパーソンは記者団に対し、アメリカはクウェートを守る取り決めを結んでいないと発言。サダム・フセインと会談したエイプリル・グラスピー米大使は、ブッシュ大統領の指示に基づいてアラブ諸国間の問題には口を出さないと伝えている。
また、約3万人のイラク軍がクウェートとの国境近くに集結したことを受け、26日の会見で記者からアメリカ政府がイラク側に抗議したかどうかを質問された国務省スポークスパーソンは、そうした抗議に気がつかなかったと答えている。さらに、下院ヨーロッパ中東小委員会で、アメリカは湾岸諸国と防衛条約は結んでいないとジョン・ケリー国務次官補が語っている。
こうした動きに不審を抱いたひとりがPLO議長だったヤセル・アラファト。アメリカ支配層の少なくとも一部がフセインを罠にかけようとしていると疑ったのだ。そこでバグダッドへ飛び、フセインに対し、挑発されてもクウェートを攻撃するべきでないとアドバイスしている。アラファトはクウェートへも行き、ジェッダでイラクとの金銭的な問題を解決するように提案するが、クウェート側は聞く耳を持たなかったという。ヨルダンのフセイン国王もアラファトと同じ懸念を抱き、ジェッダで首脳会談が開かれる前日、アラファトと同じことをクウェートの代表団に話したが、やはり聞く耳を持たなかったようだ。(Alan Hart, “Zionism: Volume Three,” World Focus Publishing, 2005)
イラクとクウェートの交渉ではクウェートの外相がイラクの代表を挑発、そして8月2日にイラク軍がクウェートに軍事侵攻した。アラファトやフセイン国王が懸念したように、イラクはアメリカの罠にかかってしまったと言えるだろう。トルコのエルドアン政権も罠にかけられようとしているのではないか考える人もいる。トルコを従属させられれば、アメリカの中東戦略は容易になるだろうからだ。
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