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米国、ファーウェイら中国5社を徹底排除…使用企業は政府との取引禁止、日本企業も標的に
https://biz-journal.jp/2020/08/post_173831.html
2020.08.13 18:55 文=渡邉哲也/経済評論家 Business Journal
ファーウェイのロゴ(写真:ロイター/アフロ)
米中のハイテク覇権争いが新たな局面を迎えた。8月13日、アメリカの国防権限法が施行され、中国企業排除の第2弾が実行される。規制の対象となるのは、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)、監視カメラの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)と浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、特定用途無線大手の海能達通信(ハイテラ)の5社だ。
2019年8月には、規制の第1弾として、これら中国企業5社製品の政府調達を禁止した。そして、第2弾として、8月13日からは該当5社製品を使用する企業と米政府との取引が禁止される。
これは、安全保障上の懸念がある中国製品を排除することで中国政府へ情報が漏洩するのを防ぐためであり、当然ながら日本企業も対象となる。米政府との取引がある企業は、まず対象となる5社の製品が社内で使われていないかを調査し、米政府に使っていないことを宣誓する必要がある。また、関連企業が利用しているシステムの中にファーウェイらの製品が入っている場合もあるため、調査は広範囲に及び、使用があった場合は米政府への伝達が義務付けられる。
一方で、米政府と直接取引をしているわけではなくても、取引先から対象5社の製品を使っていないかを確認され、場合によっては代替品への切り替えが必要になることも考えられる。いずれにしても、全社的なサプライチェーンの見直しや検証が必要となるわけだ。すぐに対応が難しい場合は、特例として22年までの「適用除外」が認められているものの、それも米政府のさじ加減ひとつということになりそうだ。
アメリカによる中国企業の排除は、政府調達、そして民間企業へと拡大していくわけだが、今後はさらにアメリカ全体のネットワークから中国の製品やサービスを徹底的に排除する方向に向かうだろう。将来的には、中国の設備やサービスを利用している限り、アメリカのネットワークに接続できなくなったり、アプリなどアメリカのサービスを利用できなくなったりする可能性もある。
さらに段階が進めば、アメリカは「クリーンパス」の発行事業者以外との取引を禁止する可能性もある。これは「5Gクリーンパス構想」に基づくもので、5G通信網においてファーウェイやZTEなどの信頼できない設備を使用していない企業のことだ。現時点で、日本でクリーンパスを得ている事業者はNTTとKDDIの2社のみである。
■米国、5Gネットワークから中国を徹底排除
これらの背景には、マイク・ポンペオ国務長官が進める「5Gクリーンネットワーク構想」がある。これは「Clean Carrier」「Clean Store」「Clean Apps」「Clean Cloud&Clean Cable」を認定し、それらだけでつくられた安全なネットワークを自由社会に構築するという計画だ。裏を返せば、「アメリカは中国抜きのネットワークづくりを本格的に進める」という宣言に他ならない。
ここでポイントになるのは、クラウドサービスの使用禁止は広範囲に影響をもたらすということだろう。アリババ集団や騰訊控股(テンセント)など中国の大手IT企業は、基本的に自社のサービスを自社のクラウドにつないでおり、自社内でサービスが完結する仕組みを構築している。
たとえば、アリババはアリババ系のソフトウエアを販売し、それをアリペイで決済させるなどしているわけだ。この中核にあるのがクラウドサーバーであり、そこで情報を集積し、ビックデータとして管理している。そのため、クラウドが使えなくなるということは、アリババやテンセントの広範囲にわたるサービスそのものが停止するということと同義だ。
この2社のクラウドサービスは安価であるため、利用している企業が多数存在する。日本ではソフトバンクがアリババのクラウドを外販しており、ソフトバンク系の企業やソフトバンクのネットサービスを利用している企業で利用されている。
一方、中国では国家情報法により、中国企業や中国人は「中国政府の求めに応じて、すべてのデータ(外国にあるものを含む)を提供しなくてはいけない」と定められており、安全保障上のリスクが高いことは明白だ。
法律に基づき、まずは政府調達、一定の猶予期間を設けた後に米政府と取引のある企業から中国企業を排除するというアメリカのやり方に対して、中国は強い抗議を行っているが、有効な手は何も打てないのが現実だ。中国国内のアメリカ企業に制裁を加えることもできるが、ただでさえ外国企業の中国離れが進んでいる中で、実行すれば外国の企業が一斉に中国を捨てることになるだろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
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