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2021年5月1日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/101511
<連載「五輪リスク」@コロナ拡大>
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、東京五輪・パラリンピックが社会の安全を脅かすリスクになっている。大会の意義に立ち返りながら「どうあるべきか」を問う。(臼井康兆、原田遼、藤川大樹、岡本太)
◆平身低頭のお願い文書
「新型コロナウイルス感染症等の感染拡大に伴い、看護職の確保が不十分な状況に至っております」
東京五輪・パラリンピックのため、大会組織委員会が日本看護協会へ送った4月9日付の文書。「大会にご活動頂く看護職の確保に関するご協力について」と題するA4、2枚を、本紙は入手した。
平身低頭、お願いや協力を依頼する文言が繰り返されていた。
組織委は、大会期間とその前後に計500人の看護職の派遣を依頼。条件は、1人当たり原則5日以上で、「早朝、深夜の場合あり」「飲食を提供予定(調整中)」と書かれている。
日本看護協会は本紙の取材に「組織委への回答を公表する予定はない」と言葉を濁した。
◆看護師「現場から送り込む余裕ない」
ある看護師は「資格を持ちながら離職している『潜在看護師』の活用を考えているのでは」と推測しつつ、「現場から看護師を送り込む余裕はない。もし動員したら、一般の診療に影響が出る恐れがある」と心配した。
大会に必要な医療スタッフは当初、約1万人が見込まれた。競技場や選手村などに1日当たり最大で医師約300人、看護師約400人が必要という。
◆都医師会の理事「ワクチンで手いっぱい」
真夏の大会では、熱中症も懸念される。東京都医師会は、競技場とは別に、最寄り駅と競技場間に設けられる救護所用に、延べ1000人の派遣を都から求められている。
都医師会の新井悟理事は「地域の医師はワクチン接種で手いっぱいだ。医師資格を持つ自衛官にも接種を頼むくらい人手が足りないのに、派遣は不可能だ」と首を振る。
満員の観客か、50%か、無観客か―。大会は、競技場にどのくらいの人数を入れるかが決まっていない。新井理事は、観客数に応じて必要な医療従事者の人数を割り出すのではなく、まず確保できる医療従事者の人数を確定させて、それに応じて観客数を決めるべきだ、と提案している。
「逆にしないといけないんだ」
◆橋本会長「無観客も覚悟」
大会に参加する選手は、五輪で約1万1000人、パラリンピックで約4400人。これに、5万人超の国際競技団体や海外メディアの関係者らが加わり、観客は最大で約1000万人に上る。
組織委は「安全・安心な大会」を掲げ、感染対策に万全を期すと繰り返してきた。しかし開催が約80日後に迫る中、対応は追い付いていない。
報道陣からの追及に、橋本聖子会長は「医療に支障を来してはいけない。現段階では、フルスタジアム(競技場に満員の観客)は難しいと理解している。無観客も覚悟している」と認めざるを得なかった。
未曽有のコロナ禍で臨む「スポーツの祭典」。変異株が猛威を振るう中、大会期間中に感染状況が今よりも悪化し、医療が逼迫する可能性も否定できない。マンパワーが確保できるかどうか分からないまま、本番に突入しようとしている。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/101515
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