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新型コロナウイルスの感染拡大で、各地の病院で病床の逼迫が懸念される中、横浜市立みなと赤十字病院(同市中区)は、日々、コロナと向き合う医療従事者やスタッフの心のケアにつなげようと、院内に「こころのケアルーム」を設けている。間瀬ませ 照美てるみ看護部長(56)は「危機的な状況にあるときこそ、日常的な会話を交わせることが大事だと思う」と話す。(石原真樹)
◆「どうでもいいことしかかいちゃダメなノート」
広さ8畳ほどのケアルームは病院最上階の8階にあり、窓からは海を眺められ、ラジカセからは音楽が流れる。室内にあるクッションやマッサージ器具、ハンドクリームなどは、看護師長が自宅から持ってきたものだ。
「どうでもいいことしかかいちゃダメなノート」とのラベルが貼られたノートには「今日は肉の日!!」「秋晴れ!」など、とりとめもない言葉がつづられている。「この部屋で仕事の話はせず、プライベートやどうでもいい笑い話だけ。過酷な環境から身を外すために、それが必要」と間瀬さんは話す。
◆不安と恐怖で病院内にあつれきが
部屋ができたのは7月、春先の「第1波」を振り返る中で心のケアが課題になったのがきっかけだった。「ウイルスの正体が分からず、死ぬんじゃないかという不安や恐怖でいっぱいで、院内であつれきが生まれていた」。コロナ患者を担当する看護師が同僚から心無い言葉をぶつけられたり、ささいなことで口論になったりしていたという。心のケアの専門資格を持つ看護師長7、8人で部屋を立ち上げた。
利用者は1日あたり数人程度とみられ、部屋での相談内容がその後、臨床心理士によるケアにつながった例もある。相談に応じる当番の看護師長が部屋で愚痴をこぼし合う機会になるなど、想定外の効果もあった。ただ、最近は忙しくて立ち寄る時間がないといい、ノートの書き込みは10月29日で止まっている。
◆「もう限界。みんなにかける言葉がない」
患者は高齢者が多いためトイレや食事の介助など看護師の負担は大きい。一般病床から応援を得てやりくりしているが、今月28日にさらにコロナ病床を増やす予定で「もう限界。みんなにかける言葉がない。休みを返上してもらってごめんね、しか」と間瀬さんは言葉を詰まらせる。
病院の武居哲洋てつひろ・救命救急センター長(55)は、東京や神奈川で感染者が爆発的に増えている状況に「今でも目いっぱい。重症者の数は1週間や10日後に増えるので、年末年始には、心筋梗塞や脳卒中などの救急医療を断らざるを得ない状況になるのではないかという不安がある」と危機感をあらわにした。
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