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『指定感染症』を5類に・・・最前線の医師が“提言”
2020年12月17日 ANNnewsCH
https://www.youtube.com/watch?v=PASGzqk5OEc
東京では17日に新たな感染者が822人と過去最多を更新したほか、医療体制に関する警戒レベルが最も深刻なレベルに引き上げられました。日々、最前線で治療にあたっている日本赤十字社医療センターの出雲雄大医師に聞きます。
(Q.東京の新規感染者が822人となりましたが、この数字をどのようにみますか)
検査数の増加ということもあるかと思いますが、残念ながら、感染の拡大の制御ができていないことだと思います。
(Q.先生の病院は、今、どのような状況ですか)
当院では11月に入ってから感染者の患者が増え、12月はさらに増えている状況です。重症者用のベッドは、6床のうち3〜4床、中等症のベッドは、25床のうち17、18床埋まっているというのが平均的です。ベッドは空いているように聞こえますが、全部埋めてしまうと、院内での重症化や感染が発生した場合に対処できなくなるので、これがギリギリの体制です。日本赤十字社医療センターは、赤十字の中でも中心的なの病院です。スタッフの人数やメンタルケアの態勢はかなり整っています。第1波のとき、メンタルヘルスの調査したところ、約30%の職員がうつ状態だったと、英語の論文で発表しました。ただ、私たちの病院では、延べ226人の入院患者を診てきています。第1波、第2波のころに比べますと、コロナに対して経験が蓄積されてきていて、当院では、よく報道されている離職者は、ほとんど出ていないというのが現実です。
出雲先生は新型コロナウイルスを「指定感染症から外すべきだ」と提言されています。感染症法に基づいて、危険度に応じて感染症は分類されています。最も危険度が高い“1類”には、エボラ出血熱やペストなど、“2類”には、結核やSARSなどが位置付けられています。現在、新型コロナウイルスは、1類〜3類に準じた措置を柔軟に取れる『指定感染症』となっていて、感染した場合の入院勧告、従わない場合の強制入院や就業制限など、1類、2類に近い措置が取られています。そして、17日の厚生労働省の有識者会議では『指定感染症』を1年間延長して、2022年1月末まで指定を続けることが了承されました。出雲先生は“5類”まで下げるべきと主張しています。
(Q.新型コロナウイルスが『指定感染症』であることで、医療現場に、どのような影響を与えているのでしょうか)
陽性者は、入院・隔離が原則となっています。ホテルや自宅療養もありますが、実際にホテルの療養は、65歳以上や基礎疾患のコントロールが不十分な人はできません。もう一つ、食べ物アレルギーがある人も、それぞれの弁当が用意できないという理由でホテル療養はできません。療養型病院などで陽性者が出ると、感染症の指定病院や、地域の基幹病院に転院するということになってしまいます。これらが急性期の医療を担う、いわゆる基幹病院を圧迫していることになります。私たちはこれが一番、重要だと思っています。また、当院では、一度53人が濃厚接触者になったことがありました。全員にPCR検査をしたら、陽性者は1人だけでした。52人は症状がなく、感染もしていないのに2週間、働けない状況でした。その間、当然ながら人員が足りなくなります。病棟を閉鎖したり、外来や救急、手術を止めたりしなければいけなくなると、他の病院への負担が増えて、悪循環になってしまいます。
(Q.5類まで下げたら、どのようなメリットがあるのでしょうか)
無症状者・軽症者は、自宅やホテル療養を徹底し、入院は、重症患者を中心とするべきだと思います。そして、濃厚接触者の洗い出しなどの作業を減らし、マンパワーを他に割いていくようにするべきだと思います。例えば、5類の季節性のインフルエンザは、例年、日本では約1000万人かかり、約1万人が亡くなっています。明らかにコロナより多いですが、例えば、去年、医療ひっ迫が起こっていたかというと、そういうことはなかったと思います。
(Q.感染者が自宅で容態が急変したらという懸念については、いかがでしょうか)
今、医療がひっ迫している状況という認識であるならば、ベストではないとしても、よりベターな方策を取る時期に来ているのでは、と現場で診療しながら思います。心配事はあると思いますが、例えば、無症状や軽症の人は自宅療養してもらって、酸素飽和度を測る機械を自治体などが配る。『新型コロナの診療の手引き』というのがあり、そこには、酸素飽和度が93%を下回ったら、入院して酸素吸入。その後、レムデシビルやデキサメタゾンなどで治療するとなっています。自宅で93%を下回ったら、入院措置を取るというのが現実的ではないかと思います。また、アビガンが承認され、外来で使用できるようになれば、入院病床のひっ迫は和らぐのではないかと思っています。
(Q.入院させないことで、周囲に感染が広がるのではという懸念については、いかがでしょうか)
すでに感染は広がっています。感染経路が追えない陽性者が非常に多いということになっています。つまり、コロナに対するゼロリスクを取るかどうかという問題に、現場はなっているのではないかと思います。周囲に感染が広がるのは、もはや止めようがないため、かかったとしても、亡くなる方や重篤な方をどう減らすかという考えにシフトしていくべき状況だと思います。このまま『指定感染症』のままだと、これからの1月、2月に進むと、心筋梗塞や交通事故など、救急患者を治療できないようになってしまいます。現場としては、コロナだけでなく、多くの国民の健康と命を守るという意味でも、具体的な方策を取りたいという思いです。
- 「指定感染症」1年延長へ 新型コロナ、22年1月末まで―厚労省(時事) AN 2020/12/19 20:35:35
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