産経新聞(4/25)に、米ニューヨークで新型コロナウイルス患者の治療にあたり、自身も感染した内科医、宮下智さん(30)へのインタビューが載っている。
貴重な体験談だが、読んでいて特に驚かされたのが次の一節だ。
−−症状はどのような形でいつ出ましたか
2週間にもわたる過酷な夜勤を終えた翌日の4月7日です。夜勤終了を祝して、大好きなインドカレー屋のマトンカレーを食べていました。そのとき、大好きなはずのカレーの味がしないことに気が付きました。(略)
しかし、毎日、重症の新型コロナの患者の診察にあたり、呼吸しづらいマスクと、密閉するガウンを着ての勤務だったので、仕事の疲れだと思って早く就寝しました。その夜(7日)のことです。突然の悪寒、筋肉痛、関節痛に襲われ、目が覚めました。トイレに行くのにも、壁を伝わないと歩けないほどの倦怠(けんたい)感でした。その瞬間に全てがつながり、自分が新型コロナに感染していることを確信しました。
翌朝からは38度台の発熱に加えて、せきも出ました。新型コロナの検査は、通常発症から3〜4日の間に検査を受けることが推奨されています。検査が遅れると、仮にウイルスに罹患(りかん)していたとしていても、検査結果が陰性になることがあるためです。
発症後早期に検査しないと、実際には罹患しているのに結果が陰性(偽陰性)になることがあるというのだ。
この記事だけでは半信半疑だったのだが、東北大学加齢医学研究所(呼吸器外科学)助教の鈴木隆哉医師も同様の趣旨のツイートをしていることがわかった。
4 発症直前〜発症直後くらいのウイルスロードが高そうなので、COVID19-compatibleな症状の人は「発症4日以内に」検査したほうが良さそう。4日目以降は偽陰性の可能性が高くなりそう。いきなり重症の人はいないので、4日以内に検査をすると軽症者をかなり含むことになる。https://t.co/xspFtoQh0G
— Takaya Suzuki MD, PhD (@suzuki_takaya) April 25, 2020
これで間違いないだろう。つまり、新型コロナウイルス感染症では、発症直前〜直後あたりの時期が最もウイルスを検出しやすく、その後時間が経つとウイルスが検出されにくくなるのだ。
これでは、政府・厚労省がさんざん言ってきた、37.5度以上の発熱が4日以上続いたら相談しろ、という基準は何だったのか、ということになる。(しかも実際には4日我慢してから相談しても多くの場合検査を断られたわけだが。)
厚労省はこんなタグまで作っていたくせに pic.twitter.com/z4iFAdJiFZ
— 村東とおる (@LiarShinzoAbe) April 25, 2020
検査の条件を不必要に厳格化した上、窓口を保健所に絞ったために(当然電話はパンクする)、今では検査を受けられないまま自宅や路上で亡くなる人まで出てきている。発熱4日以上ルールは死なずに済んだかも知れない人を死なせたばかりか、(次の感染につながる)感染者の見逃しまで生んでいた可能性があるわけだ。
新型コロナウイルス自体は天災だが、対策の誤りによる被害は人災だ。