http://www.asyura2.com/20/hasan134/msg/802.html
Tweet |
みずほ銀行「週休4日制」が、中高年社員たちに突きつける「厳しすぎる試練」 これは実質的なワークシェアリングだ
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/77438
2020.11.18 加谷 珪一 現代ビジネス
みずほフィナンシャルグループが週休4日制の導入を決断した。この制度の狙いのひとつが総人件費の削減であることはほぼ確実であり、今後、似たような制度が多くの企業で導入される可能性が高い。これは事実上のワークシェアリングとみなすこともができるが、これからの時代、中高年社員は人生後半戦のキャリアをどう築いていけばよいのだろうか。
日本企業は余剰人員を抱えている
みずほフィナンシャルグループは、社員が希望すれば、週休3日もしくは4日で働ける制度を導入する。この制度を利用した社員は、土日に加えて、毎週、決まった曜日を休日にできる。会社は、大学院への通学などを想定しているようだが、最大の狙いはやはり人件費の削減だろう。
多くのビジネスパーソンは自身の年収のことばかり気にしているが、企業の経営者や財務担当者は、社員個人の年収についてあまり深く考えていない。彼等にとってもっとも重要なのは人件費の総額である。
みずほの場合、週休3日で基本給が8割に、週休4日では6割になるので、休んだ分がほぼそのまま減給される。制度に参加した社員の年収が下がれば、社員数を減らすことなく人件費全体を抑制することが可能だ。この制度が本格的に普及した場合、多くの社員で仕事を分け合う、いわゆるワークシェアリングの制度に限りなく近づくことになる。
ワークシェアリングは、景気が悪化した際、雇用を維持しながら企業の業績を維持するための方策で、欧州企業を中心に導入が進んでいる。社員にとっては労働時間が減った分、年収も下がるが、雇用は維持されるので、生活への負担は最小限で済む。
雇用が過剰になっている時は、たいていの場合、産業構造の変革が必要とされるタイミングであり、最終的には適材適所という形で、労働者が企業を移転しなければ問題は解決しない。だが、失業や転職は一部の労働者に大きな負担を強いるため、ワークシェアリングで雇用を維持しながら、穏やかに雇用の流動化を進めた方がよいというケースもある。
日本企業はかなりの余剰人員(正社員の1割が事実上、仕事がないと言われる)を抱えており、年功序列の賃金体系を維持することは難しくなっている。一部の企業は希望退職など、いわゆるリストラを実施することになるが、日本の雇用環境やコロナ危機が発生している現状を考えると、ワークシェアリングを使ったマイルドな雇用流動化を選択する企業も多いだろう。
会社側の説明はともかく、週休4日の制度にはこうした背景があると考えるべきであり、中高年のビジネスパーソンは、制度が持つ本質的な意味をしっかりと理解した上で、うまく活用する姿勢が求められる。
人生を前半戦と後半戦に分ける
今後、多くの企業で似たような制度が導入されると仮定した場合、中高年のビジネスパーソンは、この仕組みをどう活用すればよいのだろうか。
もっともオーソドックスな利用方法は、会社が想定している通り、空いた時間をスキルアップに費やすというものである。
公務員や超優良企業の社員など一部の例外を除いて、定年後に完全リタイアを実現し、年金だけで悠々自適の生活を送るのはほぼ不可能だろう。ほとんどの人が、体が動くうちは、年金を受け取りながら働くことを余儀なくされる。だが高齢者になってからも、現役時代と同じように働くのは難しく、仕事の種類や取り組み方は変えざるを得ない。
今後は、人生を前半戦と後半戦に分け、後半戦のキャリアをどう構築するのか早い段階から考え、準備を進めていく必要があるだろう。
後半戦のキャリア構築のために、資格学校や経営大学院への進学が必要であれば、空いた時間を通学に充てるというのは、まっとうな制度の使い方といってよい。
しかしながら、これは、いわゆるキャリア・アップの転職を目指したものではないので、権威付けのために学位や資格を取得することにほとんど意味はない。経営幹部以外で、シニアになっても企業から求められる人材というのは、権威がある人ではなく、これまで得てきた現場のノウハウを言語化したり、体系化できる人である。
技術系の分野では、経験がモノを言うケースが多く、業種が違ってもシニア人材が重宝されることが珍しくない。だが、この話は必ずしも技術系のビジネスパーソンだけに限定されるわけではない。
営業、総務、経理などいわゆる事務部門の仕事であっても、経験というのは非常に重要である。自身がこれまで行ってきた仕事を体系化し、各種ノウハウを一般的なマニュアルにまとめ、若手に具体的にアドバイスできる能力があれば、多くの企業が、アドバイザー的な役割を求めてくるだろう(上から目線で教えようとする人には、ほとんど声はかからないと思った方がよい)。
後半戦のキャリア構築に向けたスキルアップというのは、このような方向性を目指すべきだと筆者は考える。公的な資格を得ることはできなくても、プレゼンスキルや資料作成スキルを磨く講座を受講する方が圧倒的に効果的な可能性もあるし、人によっては対人コミュニケーションの学習が必要かもしれない。
会社側が認めるのかどうかはそれぞれということになるが、空いた時間を副業に充てるというのもひとつの考え方である。実際に副業をやってみることで、自分の市場価値がいくらなのか理解できるし、具体的な課題もハッキリしてくるだろう。筆者は起業した経験があるので断言できるが、実務を通じた経験というのは、どんな資格や学位よりも威力を発揮する。
介護対策としての利用もアリ
もう1つは、家庭の問題を解決する手段としての活用方法である。もっともわかりやすいのは親の介護だろう。現時点において、一般的な所得水準の人が要介護になった場合、介護保険の範囲で最後まで面倒を見てくれる施設というのは、特養(特別養護老人ホーム)しかない。
その結果、一部の特養には入所希望者が殺到し、待機者の増加でなかなか入所できないという問題が発生した。このため政府は、特養の入所基準を厳しくしており、現在では要介護3以上でなければ原則として入所できない仕組みになっている。
実際に介護をしたことがある人なら実感として理解できると思うが、要介護3というのは、かなり状況が悪くならなければ認定されないレベルである。その前段階では、在宅介護にならざるを得ないケースが多く、家族がそれなりのケアをする必要に迫られる。
介護休業の制度に加えて、週休4日の制度を介護に費やすことができれば、介護を理由に退職を余儀なくされるという、いわゆる介護離職の回避が容易になる。介護が始まると、保険を利用するとはいえ、ある程度の出費が必要となるので、離職してしまうと逆に経済問題を悪化させる可能性が高い。年収が大幅に減っても、十分な時間と相応の賃金が確保されることのメリットは大きい。
介護が必要というレベルではないものの、親の体力が低下し、実家の管理ができなくなるケースも多い。実家が適切に管理されない状況で、親が病気になると、子どもには相当な負担がかかる。後半戦のキャリア形成と同時並行で、空いた時間を利用し、実家の整理やメンテナンス、財産の再整理(銀行口座や保険などの管理も含む)などに取り組むという考え方もあるだろう。
定年後も仕事を続けることを前提にした場合、親に何かあった時に慌てないよう体制を整えておくことはとても重要である。会社の制度をうまく使えるうちに、こうした準備をしておけば、新しい仕事にも集中できるはずだ。
いずれにせよ、漫然と何も考えずに会社に残るという選択肢はあり得ない時代になっている。会社に残るにせよ、独立や起業と同レベルの戦略性を持つことが重要である。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民134掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民134掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。