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ヤマダから事実上クビ…大塚家具、あまりに遅すぎた久美子社長辞任、5年連続赤字でも居座り
https://biz-journal.jp/2020/11/post_188665.html
2020.11.03 06:00 文=編集部 Business Journal
大塚家具が本社を置く東京ファッションタウンビル(「Wikipedia」より)
10月28日、大塚家具は大塚久美子社長の辞任を発表。株式市場は、これを大歓迎した。発表直後から買いが殺到し、最後は33%高の前日比50円(ストップ)高の201円で引けた。翌29日には一時、前日比35円(17%)高の236円にまで上昇。2月10日の年初来高値(244円)に接近した。売買高は前日比36倍の1123万株に膨れ上がった。10月30日は、さすがに株価は反落。184円(29日の終値と比較して30円安)で終わった。
大塚社長の辞任で、名実ともにヤマダホールディングス(HD)主導の経営となれば、将来に期待できると考えた個人投資家の買いが入った、ということだ。株式市場は久美子社長に「経営者失格」の烙印を押した。
■黒字化できず引責辞任
ヤマダHD傘下で経営再建中の大塚家具は10月28日、「大塚久美子社長が12月1日付で退く」と発表した。業績が振るわなかった責任を明確にしたいとして、「久美子氏が社長職と取締役の辞任を申し出た」という。ヤマダHD社長で大塚家具会長に就いていた三嶋恒夫氏が社長を兼務する。ヤマダHDの山田昇会長から引導を渡された恰好だ。
大塚家具は10月28日、「未定」としていた2021年4月期の業績予想を発表した。売上高は304億円、営業損益は26億円の赤字、最終損益は28億円の赤字。20年4月期は決算月を12月から4月に変更した関係で16カ月の変則決算となったが、売上高は348億円、営業損益は76億円の赤字、最終損益は77億円の赤字だった。
大塚家具は昨年12月、ヤマダ電機に第三者割当増資を引き受けてもらい、子会社となった。久美子社長の責任を問う声はすでにあったが、ヤマダの山田昇会長は「チャンスを与えないといけない ウチは結果主義。黒字にできるというからやらせる。(久美子社長に)1年は任せる」と語った。
ヤマダが供給した家電と家具のセット販売は伸びたが黒字転換には至らなかった。21年4月期の最終損益が赤字なら5年連続の赤字となる。久美子社長は結果を出せなかった。辞表を出さざるを得なかったのだろう。事実上のクビだという見方もある。
大塚家具は2015年3月の株主総会で、久美子氏と創業者である父親の大塚勝久元会長が経営権をめぐって委任状争奪戦を繰り広げ、久美子氏が勝利した。父と娘の骨肉の争いとして、テレビのワイドショーの餌食になった。勝久氏は会社を去り、16年から高級家具を扱う「匠大塚」を経営している。
「劇場型お家騒動」といわれた親娘ゲンカを制した久美子氏は、経営を立て直せないまま社長の座を追われる。大塚家の家業であった大塚家具は終わりを告げる。
■ヤマダHDは巣ごもり需要で業績が好調
家電量販店最大手のヤマダ電機は10月1日、持ち株会社ヤマダHDに移行。事業会社で社長を務める三嶋氏が同日付でHD社長に就いた。山田氏はHDの代表権のある会長に就き、グループ全体の経営を引き続き指揮する。
三嶋氏は家電専門店「100満ボルト」のサンキューの社長。サンキューがエディオンの子会社となったことからエディオンの取締役となる。17年、ヤマダ電機執行役員副社長に迎えられ、1年後の18年に社長に昇格した。同業他社から移籍してきた人物が、家電量販店最大手のトップの椅子に昇り詰めるという異例の人事となった。ヤマダは持ち株会社移行に先立ち、経営の多角化を進めてきた。19年12月、大塚家具を傘下に収め、「大塚と協力し、量販店の垣根を超えたい」(三嶋氏)とした。
ヤマダを業界首位に押し上げた売上至上主義から転換し、新たな成長のシナリオを描く。ヤマダHDの2021年3月期の連結決算は増収増益の見込み。新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり」需要の拡大で高価格帯のパソコンやテレビ、洗濯機などの好調が続く。電動ベッドなど家具分野でもプライベート(PB)商品の販売が伸びている。PBは利幅が大きいので利益面での寄与率が高い。
売上高は7%増の1兆7190億円と従来計画(3%増の1兆6600億円)から上振れする。営業利益は96%増の752億円と当初予定(60%増の615億円)を上回る。営業利益率は4.4ポイントと約2%改善する。純利益は30%増の320億円の見込みで2期連続の増益となる。外部からスカウトした三嶋恒夫氏は、きっちり結果を残した。
ヤマダHD傘下の事業会社はカタカナ社名で統一した。家電のヤマダ電機はヤマダデンキに、注文住宅のエス・バイ・エルはヤマダホームズとなった。大塚家具がヤマダカグ、またはヤマダファーニチャーになる日は、そう遠くないはずである。
(文=編集部)
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