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※2020年10月20日 日刊ゲンダイ11面 紙面クリック拡大
個人事業主や零細企業…コロナ禍で「隠れ倒産」が激増する
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/280246
2020/10/21 日刊ゲンダイ
中小企業は後継者不足(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ
新型コロナウイルスの影響で企業倒産が続出している。上場企業では5月に、アパレルで一時代を築いたレナウン(東証1部)が倒産。9月には「トップボーイ」の店名でゲームソフトなどの販売を手掛けていたNuts(ジャスダック)が経営破綻した。
コロナ禍で有名企業がバタバタと倒れているのに、今年の上半期(4〜9月)の倒産件数(負債額1000万円以上)は昨年より減少している。東京商工リサーチの調査によると、2019年上半期は4256件が倒産。20年上半期は3858件で、前年の同じ期間と比べて9・35%減だ。
コロナで外食産業が大ピンチに陥り、ホテル業界は客足がパタリと止まった。訪日客はほぼゼロで、百貨店の売上高は8月まで11カ月連続で前年割れ。それなのに、倒産件数は前の年より減少している。
「カラクリがあります。倒産は確かに減っていますが、いわゆる隠れ倒産は凄まじく増加しています。経営難に追い込まれた個人事業主や零細企業は休業や廃業、解散という形で、続々と会社をたたんでいるのです。これは倒産ではないので、倒産件数にはカウントされません」(市場関係者)
東京商工リサーチの調べでは、今年1〜8月に休廃業・解散した企業は全国で3万5816件に上った。前年同期比で23・9%増だ。同じ期間の倒産件数は0・24%減で、倒産は減り、休廃業・解散が急増した格好だ。
「休廃業・解散は、倒産と違って借金などの負債を残さないので、従業員や取引先にあまり迷惑をかけずに会社を閉じることができます。企業体力が多少なりにも残っているうちに休廃業に踏み切る中小・零細が増えているということです」(東京商工リサーチ情報部の増田和史氏)
現在のペースで休廃業・解散が増加を続けると年間で5万3000件を超え、調査を開始した2000年以降、最悪を記録する。2000年代前半の休廃業・解散件数は1万3000〜1万8000件台で推移していた。06年に初めて2万件を超え、東日本大震災後の12年に3万件を突破。第2次安倍政権の発足(12年12月)後、ハデなニュースになる倒産件数は減少傾向となったが、隠れ倒産(休廃業・解散)は増加を続け、16年に4万件超え。ウィズコロナ時代に5万件を超えそうだ(表@参照)。
訪日客の減少で人通りはまばらに…(浅草)/(C)日刊ゲンダイ
休廃業・解散は中小企業の8・8% 31万件に上る恐れ
恐ろしいアンケート結果がある。東京商工リサーチが8〜9月に行った調査で、コロナ禍が長引いた場合に廃業を検討する可能性が「ある」と答えた中小企業が8・8%(全企業では7・5%)に上ったのだ。
商店街に店舗を構える飲食店(サービス業ほか)や、職人肌の大工(建設業)の休廃業が増加傾向にある(表A参照)。
中小企業庁の直近統計(2016年経済センサス―活動調査)によると、中小企業・小規模事業者数は357・8万者(企業全体の99・7%)。このうち8・8%が廃業を選択するとしたら、31万4800件に達する。
「中小・零細企業は経営者の高齢化問題が深刻です。後継者が不在で、事業継続を断念する社長も多いのです。そこにコロナが重なり、廃業を選択する人が増加しています」(増田和史氏)
Go To キャンペーンで人出は戻りつつあるが(C)日刊ゲンダイ
大廃業時代 |
00年に71%強だった休廃業・解散した60歳以上の経営者(業歴30年以上)は、10年代前後に80%を超え、現在は90%に迫る(表B参照)。経営者のバトンタッチが進んでいないのがよくわかる数値だ。
日本経済を支えてきた中小・零細企業が消えていく。コロナ禍で「大廃業時代」が加速しかねない。
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