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大赤字のファミマ、失墜の本当の理由…店舗減少&時短営業でローソンに追い上げられる危機
https://biz-journal.jp/2020/10/post_184420.html
2020.10.12 06:00 文=沼澤典史/清談社 Business Journal
ファミリーマートの店舗(「Wikipedia」より)
コンビニ業界で大転換期が起きている。新型コロナウイルスの影響もあり、ファミリーマートの売上高の減少率が大きくなり、ローソンの後塵を拝しているというのだ。さらに、ローソンはかつてファミマが行っていた無印良品との提携やスイーツの開発力などで評価を高めており、今後もファミマを大きく突き放すとみられる。
ファミマ失速の理由とコンビニ業界の展望について、コンビニ研究家の田矢信二氏に聞いた。
■コロナ禍で最も打撃を受けたファミマ
コロナの影響はコンビニ大手3社にも広がり、7月の既存店の売り上げはいずれも前年同月を下回っている。その減少率は、セブン-イレブン5.1%、ファミマ10.8%、ローソン8.9%となっており、売上高や店舗数で業界2位のファミマが3位のローソンより打撃を受けている。
ちなみに、3月から7月の期間を合わせても、ファミマの減少率は3社の中で最下位だった。10月に発表されたファミマの2020年3〜8月期の連結決算では、最終損益が107億円の赤字(前年同期は381億円の黒字)だったことも苦しい現状を表している。コンビニ業界に精通する田矢氏は、現在の勢力図についてこう語る。
「店舗数と売上高を見ると、セブンが独走しています。ローソンは長らく業界2位でしたが、18年11月にファミマがサークルKサンクスと経営統合し、店舗数と売上高で2位に浮上。ローソンは3位に転落しました」(田矢氏)
今年7月時点のデータによると、店舗数はセブンが2万884、ファミマが1万6626、ローソンが1万4491となっている。ただし、田矢氏によると「ファミマの店舗数は、経営統合直後から600ほど減っている」という。この店舗数の減少が、ファミマの失速に影響を与えているようだ。
■投資と損失のダブルパンチで魅力消失の危機
コンビニの平均日販(1日の売り上げ)は約50万円と言われるが、ファミマのように600店舗がなくなると、単純計算で年間約1100億円の損失となる。
「統合時に関係する投資も含めると、約1500億円は費やしているのではないでしょうか。そして、投資と損失がかさみ、商品の開発やプロモーションに十分なコストをかけられていないように見えます。また、ファミマは時短営業の店舗を増やす方針を打ち出しているので、その分売り上げも減少していると思われます」(同)
確かに、ファミマは「ファミチキ先輩」や「FamiPay」など他社にはないサービスを行ってきたが、今年は目新しいサービスや商品が見受けられない。
「セブンはコロナ禍でも毎週驚くほど新商品を出し、販促もしています。セブンアプリも、無料の引換券が高確率で当たるなどのキャンペーンで消費者を包み込み、同業他社をさらに引き離そうとしています。商品に関しても、セブンやローソンは女性向け、シニア向け、男性向けとターゲット層がはっきりしているのに対し、ファミマはそういった線引きが曖昧に見え、迷っているように感じます。他のサービスを発表しても、売り上げを上げることは厳しくなるでしょう。なぜなら、商品力は売り上げを上げるのに一番重要な基本だからです」(同)
不動のトップに君臨する“挑戦をやめない王者”のセブン。女性向けに振り切ったナチュラルローソンやウーバーイーツとの提携など、柔軟に他社との差別化を図る“独自視点を生み出す変革者”のローソン。この両者の狭間で、ファミマはポジショニングを確立できていないように見えるのが現状だ。
■マック復活の立役者が改革を断行か
ただし、田矢氏によると、今後のファミマは大きく変わる可能性を秘めているという。
「マクドナルド復活の起爆剤となった『夜マック』を主導したマーケターの足立光さんが、10月からファミマが新設するCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)に就任しました。トップ・マーケターがさまざまな改革を実行していくことが予想でき、いち顧客として楽しみです。今まで、ローソンの新浪剛史氏や玉塚元一氏、ファミマの澤田貴司氏など“プロ経営者”のトレンドがありましたが、足立氏が成功すれば、一気に“プロ・マーケター時代”に突入するかもしれません」(同)
さらに、田矢氏はコロナ後のコンビニ業界の展望について、以下のように語る。
「コンビニの店舗数は、飽和状態で頭打ちと言われ続けていますが、それは20年前から言われています。コロナ禍の影響を受け、緩やかな成長期になったとしても、おそらくあと2〜3万店は増える可能性を秘めています。コンビニの生命線は常に店舗数を増やしていくことで成長するビジネスモデルですが、コロナ禍で投資額も減少せざるを得ないため、従来通りとは異なる店舗設計をしていかなければなりません。コンパクトな店舗や簡易型の店舗など、出店費用を3分の1程度に抑えたロールモデルが必要になるでしょう。
足立氏が、脱コンビニ路線も視野に入れた、外食企業などと融合した店舗を展開するのもおもしろいですね。たとえば、ファミマとマクドナルドがひとつのドアで行き来きできるイートイン共有型店舗など誕生しそうですね」(同)
コロナを契機に、コンビニの大転換期が始まりつつある。
(文=沼澤典史/清談社)
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