http://www.asyura2.com/20/hasan134/msg/633.html
Tweet |
経産省が2200億円の補助金も…ビジョンなき日本の製造業 コロナに翻弄 世界のサプライチェーン
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/277400
2020/08/18 日刊ゲンダイ
町工場が代名詞の東京・大田区では住宅化が進む(C)日刊ゲンダイ
中国一極集中を回避するために、経済産業省は今年度の補正予算で2200億円を確保した。5月22日〜6月5日の先行締め切りまでに90件、約996億円の応募があり、57件の574億円を採択。医療関連の生産事業は39件、そのうちマスク生産事業については13件にとどまった。
コロナ禍で苦労したのは医療物資の調達だ。マスクや防護服など医療用品生産の国内回帰は必須だが、現状、大きな動きはないようだ。
「国内回帰に手を挙げる企業は少ないですよ。補助金を出してもらっても、5年後、10年後のビジョンが描けませんから」
マスクの製造・販売を手掛ける某社幹部は明かす。これはほかでもない、日本の製造業の未来に対する不安の代弁だ。台湾では政策に基づいたサプライチェーンの再編が進むが、日本の製造業にはこれといったビジョンがない。
補正予算について経済産業省は「サプライチェーンのリスク分散、強靱化の選択肢のひとつとして国内投資がある、という認識です」としているが、中国に進出した企業を日本に呼び戻すという積極さは乏しい。
コロナ禍で予算面での企業支援が欠かせないとはいえ、国家としての将来の方向性も示さないままに国内回帰の予算をつけたところで、サプライチェーン再構築は難しいだろう。
話は40年前にさかのぼるが、1980年代、通称「テクノポリス法」が制度化され、全国26の地域が高度技術工業集積地に指定されたことがあった。「これで工場が地元に来るかと思ったら、結局、海外に拠点を移していった」という函館市の観光事業者のコメントは貴重な証言だ。
一方で、90年代初めに中国に進出した当時の企業経営陣はこう振り返る。「今思えば、当時は安い労働力にしか目が向かなかった。だが、これがすべての間違いだった」――。この企業は次第に資金繰りが悪化し、最後は買収され、中国の会社はなくなってしまった。
進出先で成功するには、現地のサプライチェーンを強化しなければならない。中国に進出した某大手家電メーカーY社は下請けZ社に対し、「中国の工場に技術指導をしろ」と迫った。しかし、技術が中国に流出すればZ社の命運は尽きるどころか、“日本の技術”はなくなる。製造業が空洞化した原因の一端は、大手メーカーの低い知財意識にもあった。
ビジョンなき国家、そこからダダ漏れする技術は中国を肥やすだけだ。(つづく)
姫田小夏 ジャーナリスト
ひめだ・こなつ 上海財経大学公共経済管理学院・行政管理学修士(MPA)。中国ウオッチは25年超、うち約15年を上海で過ごす。中国、アジアを現地取材、日本でも各地を回りインバウンドがもたらす変化を追う。著書に「インバウンドの罠」(時事通信出版局)他。「ダイヤモンド・オンライン」などでコラムを連載中。アジア・ビズ・フォーラム主宰。 」
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民134掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民134掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。