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欧州では消費税減税相次ぐ リーマン上回るコロナ禍の経済対策 イギリスは20%→5%
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/18128
2020年7月26日 長周新聞
世界的な新型コロナウイルス感染拡大でリーマン・ショック時を上回る経済危機に直面すると予想されるなかで、ヨーロッパ各国では経済回復策として付加価値税(日本の消費税に相当)引き下げ策をとる国があいついでいる。また「第二波」感染拡大に備えてPCR検査の徹底がおこなわれている。
ドイツは今月1日から年末までの半年間、付加価値税の標準税率を19%から16%に引き下げた。生活必需品などの軽減税率(7%)は5%とする。イギリスは飲食や宿泊、娯楽などの業種に限って、15日から半年間、付加価値税を20%から5%に引き下げた。オーストリアは1日から年末まで、飲食や出版などの付加価値税を20%から5%に削減した。ブルガリアも2021年末まで飲食店などの税率を20%から9%に引き下げた。イタリアやアイルランドなども付加価値税の減税を検討している。
ヨーロッパで最初にコロナ対策として付加価値税引き下げを表明したドイツでは、1日から半年間の限定措置として税率の引き下げが始まった。税金の負担を減らし、消費を後押しすることで、経済回復につなげようという狙いだ。
経済政策に関する調査などをおこなっているドイツ経済研究所によると、今回の措置で一世帯当り1カ月で最大116ユーロ、日本円で約1万4000円余り家計の負担が減るとしている。
「付加価値税」の税率引き下げは6月、ドイツ政府がまとめた景気対策の柱で、減税の規模としては二〇〇億ユーロ、日本円で2兆4000億円にのぼる。
この減税は、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済回復を目指す政策の一環で、経済回復政策の総額は一三〇〇億ユーロ(約15兆7000億円)になる。子育て世帯にも子ども一人当り三〇〇ユーロの特別現金を給付する。
ショルツ財務相は、今回の経済対策について「消費刺激にとどまらず、10年の計を見据えた構造改革だ」とのべている。なお、ドイツではリーマン・ショック時には付加価値税減税はおこなっていない。
イギリス政府は8日、追加の経済対策として飲食、宿泊、娯楽の業界を対象に、付加価値税の税率を現行の20%から5%へ引き下げると発表した。休業者の給与補助は予定通り10月に終了する。スナク財務相は「失業を避けるためには何でもやる」と表明した。
付加価値税の引き下げはレストランやパブ、ホテル、劇場などが対象となる。15日に開始し、2021年1月12日までの時限措置とする。41億ポンド(約5500億円)の減税規模となる見込みだ。飲食店への支援策では8月の月、火、水曜日に限り、外食時の料金を最大半額とする助成制度ももうける。
英国家統計局によると、都市封鎖の影響で飲食・宿泊業の4月の生産高はコロナ前から92%減少した。娯楽業でも47%減など甚大な影響が出た。こうした業種では休業者も多い。今回減税対象となる職場では累計で170万人もの労働者が一時帰休をよぎなくされている。個人消費を重点的に喚起することで雇用維持につなげたいとの思惑がある。
他方でスナク財務相は8日、政府が3月から続けてきた全業種の休業者の給与の8割を肩代わりする対策を期限通り10月末に終わらせる方針も示した。10月末の失業急増を防ぐため、休業者を解雇せずに21年1月まで雇い続ける企業には1人当り1000ポンドを支払う激変緩和措置ももうけた。
なおイギリスはリーマン・ショック時の08年12月、付加価値税を17・5%から15%に引き下げた。GDPがマイナス続きのなか、この減税効果により、小売りの売上が前年比で2・9%伸びた。
フランスはPCR検査拡充 各地を検査隊が巡回
また、フランスは新型コロナウイルス流行の「第二波」阻止に向け、猛烈な勢いで「ローラー検査作戦」を展開している。マクロン大統領は14日、「現在は週37万件のペースでやっている」と明らかにした。PCR検査隊は現在、献血のように各地を巡回しており、だれでも無料で受けられ、無症状でも受けられる。「とにかく早期発見」というのが政府の方針だ。11日には、1回15ユーロ(約1800円)程度で全国の薬局で抗体検査が可能になった。西部マイエンヌでは今月集団感染が見つかったことを契機に、住民30万人に対し検査をおこなった。
こうした検査の徹底は、ふたたび都市封鎖措置はとれないという政府の危機感のあらわれだ。フランスでは5月まで2カ月続いた都市封鎖は外出を禁じ、商店を閉鎖するという厳重なものだった。今年の国内総生産(GDP)は10%下落が予測され打撃は大きい。
ちなみに日本では、昨年10月の消費税10%への増税の影響による消費落ち込みが大きいうえに、年頭からの新型コロナウイルスの世界的な大流行が日本経済に追い打ちをかけている。落ち込みを牽引したのは、GDPの半分以上を占める個人消費で、2019年10〜12月期は前期比2・8%減だった。さらにコロナが拍車をかけ、内閣府が今年6月に発表した速報値では、2020年1〜3月期のGDPは実質で0・6%減(年率2・2%減)で、2019年10〜12月期に続いて2期連続前年割れした。
公益社団法人日本経済研究センターは、2020年4〜6月期の実質GDPは前期比年率20%以上の減少を見込み、2020年度の経済成長はマイナス7%になると予測している。これは、08年に実質3・7%減、09年に実質2・0%減となったリーマン・ショック時の落ち込みを上回っている。緊急事態宣言が再度発動されれば、さらに経済成長がマイナスになる可能性は高い。
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