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定期預金や終身保険はほぼ無意味、生保や自動車保険は通販が圧倒的に安い…お金の超基本
https://biz-journal.jp/2020/06/post_162560.html
2020.06.14 05:10 文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表 Business Journal
「Getty Images」より
前回に引き続き、みなさんが身につけておかなければならない金融リテラシーについて、今回はより具体的に、またその範囲を広げてお話します。金融リテラシーの向上などと大上段に振りかぶらなくても、金融商品との付き合いにおいて最低限押さえておいてほしい項目を、商品群ごとに解説していきます。
■金融商品(証券、投資信託)編
これら投資商品は、購入の際その目的を明確にしておかなければなりません。預貯金金利が低いので、なんとなく投資信託を買ってみたということがあってはいけないのです。金利が低い定期預金だと支障があるのは、金利以上にインフレが進み、手元資金が実質的に目減りしてしまうことです。また、定期預金の金利は、実質的に物価の上昇率とリンクするという過去の実績がありますから、物価が上昇する局面でも定期預金により資金が目減りするリスクはほとんどないのです。
また、長期投資をする際には、金利による違いが将来的に大きな違いになることにも敏感であってほしいものです。月1万円を30年間貯めると、元本の360万円に対して、金利が0.01%だと360.5万円、1%だと420万円になりますが、それが3%だと583万円、5%だと832万円で元本の倍以上になります。
それを考えると、iDeCoなどの定額投資は、毎月投資することによる時間の分散が図れると同時に、投資対象が高いときに購入量を少なくし、逆に安いときには購入量が増えるという価格変動リスクを和らげる機能が働くことから(ドルコスト平均法)、投資先は、金利がゼロの安全資産ではなく、ある程度リスクを取ることが必要となることなども意識しておきましょう。最近では、ITを活用してロボットに売買を任せる投資ツールもあり、目的がはっきりしているのであれば、それらを活用するのも一つの方法です。
投資信託を利用する場合には、なるべくコストが安いETFなどから検討してみるのが良いでしょう。同じ商品でも、銀行の窓口や証券会社の担当者を経由して購入するのとはコストの上で大きな違いになることもしばしばです。
■生命保険編
貯蓄性があるといわれる終身保険や養老保険などの商品は、「掛け捨ての保険」+「積立」の仕組みで出来ています。したがって、この超低金利下では積立部分に魅力がなく、わざわざ高い保険料を支払ってまでこうした商品を買う意味がないことを理解しましょう。
そして、保障をメインとする保険は、単純にコスト(保険料)で選ぶのが合理的です。生命保険の品質のひとつは、まさかのときに保険金が支払われるかどうかです。その点では、どの商品を選んでも大手生保からネット生保まで差はありません。
一方、肝心の保険料は、大手生保の商品と通販やネット生保の商品では、若い年代で3倍以上の違いになることもあります。同じ品質の商品に、そうした無駄な保険料を支払うことをやめることで、その分の資金を他にまわすことができます。
■損害保険編
自動車保険は、通販型が保険料の面では明らかに大手損保などの商品に比べてメリットがあります。ただ、そのシェアがまだ10%程度に留まっているところを見ると、漠然とした不安を持っている人が多いことが想像されます。情に流されやすいといわれる日本人のメンタリティーが、金融リテラシーの低さにつながっているのかもしれません。毛嫌いせずに合理的な判断をするためにも、いくつかの商品を比較検討することは必要です。大手損保は系列会社で通販型自動車保険を取り扱っていますから、心配な人はそちらを利用する手もあります。
火災保険では、保険期間はできるだけ長いものを選ぶのが良いでしょう。保険料が割安になり、今後の値上がり基調を考えても長期契約が合理的です。
最近、各自治体で義務化が進んでいる「自転車保険」ですが、これは、第三者への賠償が目的で、損保でいう「個人賠償責任保険」に加入していればこと足ります。個人賠償責任保険は、自動車保険、火災保険や共済などの特約でも対応でき、同居の家族や別居の未婚の子なども含めて補償の対象となり、保険料はせいぜい年間1000〜2000円程度です。
■外貨建商品編
外貨建ての商品は、外貨で直接売り買いしない限り、円から外貨、外貨から円への交換手数料(為替手数料)が生じます。円ドルですと、大昔は片道1円(買いと売りで計2円)で設定している銀行がありましたが、現在では、為替手数料が0円のところもあります。現在でも、片道50銭、往復で1円の手数料を設定しているところが多く、それだけで1%の利回りに相当します。外貨建商品の場合は、販売手数料だけでなく、為替手数料を必ず確認してください。
為替や手数料に関する意識や知識を持ち合わせていない人は、外貨建商品に手を出すべきではないことはいうまでもありません。
■不動産編
不動産にお買い得な物件はありません。「売り主が、今すぐに現金が欲しいので一定の値引きに応じる」などの特殊事情がない限り、不動産にお買い得な物件はないというのが常識です。
■預貯金編
銀行の定期預金は、期間5年でも0.01%の金利です。100万円を預けてたったの100円。他行ATMで引き出したら終わりの金額です。0.2%(税引き後0.159%)と通常の定期の20倍の高率を謳うところでも、せいぜい2,000円(1,590円)です。銀行へ足を運ぶ手間賃にもなりません。それどころか、定期預金をするために銀行へ足を運んだら、よくわからない外貨建商品や投資信託を売りつけられるかもしれません。投資信託の購入とセットだと、高金利が得られると謳う預金にも要注意です。預金が目的で、投資信託を買わされたのでは本末転倒です。
つまり、今定期預金に求められている機能は、容易に手が付けられないように、お金を別にとっておくという目的だけです。
■税と社会保険編
生活費以外にも、税や社会保険料など決まって出ていくお金にも注目する習慣を身につけておきましょう。これらの金額は、確実に必要で比較的大きな金額であることから、金融リテラシーの重要部分として捉えることが大切です。
所得税や住民税の仕組みを知るには、一度自分で確定申告をしてみることをお勧めします。国税庁のサイトから簡単にできます。会社員であれば、年末調整に向けて生命保険料控除の書類等を提出していると思いますが、それを提出せずに自分で確定申告をしてみてはどうでしょう。税金に対して実感がわきます。
それと、社会保険については、まずは健康保険の給付内容を知っておくことが極めて重要です。自分が所属する健康保険組合の給付内容をぜひ一度確認してみましょう。みなさんが思っているよりも、高い保険料を支払っていると同時に、しっかりとして給付が用意されていることを認識することができ、その結果、生命保険など民間の保険への支出が随分と抑えられるはずです。
加えて、ねんきんネットなどを活用して、年金保険の保障内容を抑えておくことは、老後の生活設計のみならず、自分が障害状態になったときや亡くなってしまったときに、国がどれだけ面倒を見てくれるのかを知る機会になります。
以上、思いつくままに、いくつか知っておいてほしいことを並べてみましたが、ひとつでもふたつでも参考にしてもらえれば、金融リテラシーを上げることができると期待しています。
(文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表)
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