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「まもなく日本は『プチ食料危機』に突入する」と言い切れる理由 マスク、除菌系商品の次に消えるのは…
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72952
2020.5.31 永田 雅乙 フードビジネスコンサルタント マネー現代
在庫ゼロ、入荷未定…不穏な足音が
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の全面解除に伴って、日本は“ウィズコロナ”、“アフターコロナ”と呼ばれる第2フェーズに入った。安倍首相も「コロナと共存」「経済目線」と発言からも、国内を包んでいた雰囲気が変わってきつつあるようだ。
筆者は外食産業専門コンサルタントであり、グループ企業では飲食店企業も経営している。当然休業要請などコロナ禍の影響も大きいものとなり、現在もコンサルタントクライアント企業対応と、グループ企業の飲食店の対応に追われる日々だ。
そんな中、食の最前線の一業種である外食産業に関わっているからこそ、コロナ禍での様々な現象を目にすると共に、これから「プチ食料危機」が起きることを確信している。
Photo by GettyImages
多くの飲食店が休業や営業短縮の対応をする中、納入業者、問屋、市場の卸しといった人たちは当然、飲食店からの発注(売上)激減に苦しんでいる。我々の元にも日々、「不良在庫」と化した食材の格安提案が持ち込まれる。しかし、一方で発注しても「在庫がない」「いつ入荷するかわからない」という品目も、4月下旬くらいから耳にするようになってきた。
周知の通り、日本の「食料自給率」は低い。2018年データで37%(カロリーベース計算)、簡単に言えば食料の半分以上を輸入に頼っているということだ。新型コロナウイルスに関しては全世界的問題であり、外国人の入国もほぼできない”鎖国状態”にある日本ゆえに、当然輸入食材を運ぶ、船便・空輸便にも影響は及んでいる。
また、これまでの平穏な日々とは異なることで、イレギュラーな受発注を要因とする商品の枯渇と食品ロスも発生している。実際、「ステイホーム」による影響でホットケーキミックスやたこ焼き粉がスーパーに入荷しないのもその例だ。
「ガリ枯渇ショック」の記憶
筆者の実体験では、4月の下旬に「パイナップルを大量に引き取ってくれませんか?」との問い合わせを受けた。大手スーパーが発注したのだが、船便の到着が予定よりも大幅に遅れスーパー側が不要となってしまい、このままでは、港に到着してそのまま廃棄になってしまうという。結局、筆者が経営する飲食店には到底引き取れない膨大な量だったので、そのまま廃棄となってしまった。
このように、平穏時に組み立てられたオペレーションというものは、総じてイレギュラーに弱い。物流網もすでにリズムが狂ってしまっている。
一般消費者には気付きにくいかもしれないが、今回に限らず数年に一度、特定品目が枯渇してしまう「プチ食料危機」はこれまでにも何度も経験している。
今から10年ほど前になるだろうか、「ショウガ」が枯渇してしまったことがある。筆者も必死に中国に渡り、クライアントと一緒にショウガの確保に奔走したが、やがてそれは、ショウガの奪い合いの様相になるほどだった。
回転寿司チェーンはかつて大きな容器に沢山のガリが入っていて、大きなトングで取り放題だったはずだ。それが現在は、ガリを入れる容器も小さくなり、トングも小振りに変わっている。これはこの“ガリ枯渇ショック”の際に変更されたことだ。これだけでガリの消費が40%ダウンしている。
話を本題に戻そう。これまでの経験を踏まえれば、今後、日本は確実に「プチ食料危機」に陥ると断言できる。
枯渇の可能性が高い食品は…
プチとは言え「食料危機」だ。食料自給率の低いこの国に暮らす現実をもっと知り、平和ボケから目を覚まし、それこそこれからの「新しい生活様式」のように考えるキッカケにしなければならない。
そのために今、我々が考えるべき課題は、日本の食料自給率の低さもさることながら、筆者は「食品廃棄」及び「食品ロス」と認識している。
日本の食品廃棄は年間およそ2759万トン。その中でもまだ食べられるのに捨てられる食品ロスは年間およそ643万トンにも及ぶ。つまり、国民一人当たり年間51kgもの食べられる食材が捨てられているのだ。
食品自給率が低いのに、食品ロスが多い国、日本。この平和ボケした、飽食時代に、当たり前に「食」に恵まれてきた我々は、この「プチ食料危機」をきっかけに、食の新しい生活様式を構築しなければならない。
「プチ食料危機」は、早ければ今年の秋くらいから少しずつ消費者も体感をするのではないか、と筆者は考えている。今回のコロナ禍においても、マスクや除菌系商品の不足などを経験したが、その食バージョンが起きると想像すればいい。特定品目がスーパーの陳列棚から消える、入荷未定商品が出てくる、値段が高くなってくる……。そんな品目が複数出てくることが予測される。
特に「小麦使用の食材」「油脂類」「豆類」「砂糖類」は枯渇確率が高いと予測できる。これらはいずれも、輸入依存度が高い品目だからだ。加えて、「牛肉」などは枯渇しなくとも、価格高騰の可能性がある。こちらは、アメリカやオーストラリアのコロナの状況や政治判断がどうなるかに左右されるだろう。
今からできる「プチ食料危機」対策
では実際の生活で、我々は何に気を付ければ良いのだろうか。
簡単なところでは、食べ残しを減らす、賞味期限・消費期限切れを防ぐ、買い物は最低限にするなどがあるだろう。他にも、国産食材や地域毎の食材、旬の食材を食べるようにするのもいい。プランターでもいいから自分で「プチ農業」を始めるというのも、個人でできる施策だ。
単純だけど難しい、和食回帰、日本文化の見直しも一つの解決策と言えるかもしえない。味噌、醤油、麹、納豆、豆腐、梅干し(酸っぱい昔の)、漬物、干物、燻製……。これら「発酵」「菌」「保存」は、食料危機を救うテーマになりえる。相反するだが、化学の力の発展による「細胞を壊さずに冷凍」する技術にも期待したい。
国や自治体の動きにも注視したいところだ。耕作放棄地の利用と再生、農業生産力の向上と発展のため、ロボット化、ICT(情報通信技術)活用、AI導入促進などスマート農業が施策として挙げられるだろう。
この「プチ食料危機」を体験すると、最初は「今まで普通にあったものが無い」というストレスと恐れが襲ってくることだろう。けれど、慣れて順応していけば、「今あるもの」に目を向けられるようになる。なぜなら日本には昔から、日本人が最低限暮らせるだけの「恵み」が存在し、また、限られた食材を保存し、四季を生きられる文化が存在するからだ。
コロナ禍によりあらゆる価値観、ライフスタイルが変わろうとしている。今こそ、当たり前にあった「食」を見直す機会になっている。
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