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ニトリ、コロナ禍でも増収増益の“異次元の強さ”…大手アパレル買収観測が浮上
https://biz-journal.jp/2020/05/post_157061.html
2020.05.14 06:40 文=編集部 Business Journal
ニトリの店舗
新型コロナウイルスの感染拡大で百貨店など小売業が惨状を呈するなか、ニトリホールディングスが強気の決算見通しを発表した。「またまた(会長兼CEOの)似鳥昭雄さんの大風呂敷」(大手百貨店の首脳)といわれつつ、小売業界に羨望の声が広がる。
4月6日、ニトリは2021年2月期連結決算を34年連続の増収増益になると公表した際に、似鳥氏は「さらなる上振れもある」と示唆し、先行きに強い自信を示した。決算説明会の席上で、似鳥氏は「最低でもこうなりますよ。プラスになる可能性があると思っている」と怪気炎を上げた。今期の連結売上高は前期比2%増の6532億円、営業利益は4%増の1122億円とした。
上半期(2020年3月〜8月)はコロナによる来店客減が続き、既存店売上高はマイナスと想定。ただ、下半期(20年9月〜21年2月)はプラスに転じると見ている。インターネット通販サイトや女性向け衣料などが伸びて、通期の増収増益を確保するというシナリオだ。女性向け衣料がキーワードだ。
強気の背景には、3月度(2月21日〜3月20日)の既存店売上高が前年同月比10.9%増となり、客数も13%増となったという裏付けがある。3月下旬から首都圏では週末の外出自粛要請が出たため、首都圏のショッピングセンターなどにテナントとして入居している店舗では客数が2〜3割減ったが、地方や郊外の路面店では、逆に来店客数が増えていた。
昨年10月の消費税率の引き上げ前の駆け込み需要の反動で、同年11月、12月、20年1月の既存店売り上げ高はマイナスだった。12月の7.3%減が直近のワースト。1月が2.9%減と底を打った。2月度(1月21日〜2月20日)は1.6%増、客数は2.0%増。そして3月度は売り上げ、客数とも2ケタ伸びを達成した。
4月度(3月21日〜4月20日)はさすがに前年同月実績を下回った。それでも既存店売り上げは4.0%減、客数は1.0%減と底堅い動きを続けている。新年度入りしてからの3、4月のトータルでは2.7%増、5.1%増となっている。4月度には5店舗を新たに出店し、退店は1カ所。純増は4店。三重県名張市の店を移転した。テレワークが増えたことに伴い、ホームオフィス家具の需要が高まった。一方で、ショッピングセンターや商業施設に出店している店舗が、行政からの要請で休業、または営業時間を短縮した影響を受けたという。
新型コロナの影響で、消費行動が変化した。外出自粛で、家で過ごす時間が長くなったため、消費者の志向が「家の中」に向かっている。3月によく売れたのは、収納付きベッドフレーム家具や、新生活向けの家電だった。家で使う家具やグッズは気に入ったものを使いたいという欲求である。「巣ごもり消費の拡大」が似鳥氏の強気の支えとなっている。
■コロナの影響は軽微
東南アジアの生産拠点へのコロナの影響は軽微だ。「一時的な出荷停止はあったが、サプライチェーンに大幅な遅延は起きていない」(白井俊之社長兼COO<最高執行責任者>)。製造拠点が集中しているベトナムでは外出禁止令が出ていたが、「工場の稼働停止命令はなく、ニトリの生産工場はすべて稼働している」(武田政則取締役・事業会社ニトリ社長)。
それでも、マレーシアやインド、バングラデシュなどでは、行政の指導で工場の稼働が止まっており、「新型コロナの影響は見通しきれていないところがある」(白井社長)。先行きの不安要素があることを認めている。
ニトリはリーマンショックの後に、長期間のセールを敢行し、家具販売のシェアを伸ばしたが、それで「安売りのイメージが定着。払拭するのに時間がかかった」(似鳥氏)との反省がある。
■買収するアパレルはどこなのか
「今はまだ言えないが、秘策もある」と似鳥氏。アパレル大手の買収か、とアパレル業界は色めき立った。
5月7日の東京株式市場。アパレル大手オンワードホールディングスの株価が45年ぶりの安値(319円)をつけた。2年連続で700店ずつ店舗を閉鎖する予定で、20年2月期の連結決算は521億円の最終赤字だった。
アパレルは存亡の危機だ。三陽商会は2015年、キラー・コンテンツだった「バーバリー」のライセンス契約が切れて以降、4期連続の赤字。ジリ貧が続く同社の再生は容易ではない。
三陽商会をめぐっては、大株主の米ファンド、RMBキャピタルが社外取締役による経営刷新を求め、株主提案する構えだ。5月26日開催予定の株主総会では経営側とファンドの委任状争奪戦に発展するかもしれない。
三井物産は三陽商会の実質筆頭株主(名義は日本トラスティ信託口)である。「物産は直接社長を出す代わりに、ゴールドウィンに転じた大江伸治氏を3月1日付で副社長に送り込んだ」(物産の元役員)。物産の旗印を背負った大江氏がファンドを迎え撃つ。ファンドを退けた後の大江氏の最後の大仕事は、「三陽商会の“嫁入り先”を見つけること」(アパレル業界の首脳)である。レナウンも中国資本の傘下に入ったが、日本人の社長が株主総会で再任されなかったりしており、先行き不透明だ。
コロナ禍で上場アパレルには他にも“出物”が増えている。ニトリが買う気になれば、よりどりみどりなのである。
(文=編集部)
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