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(回答先: JRの流量予測、渇水時「精度低い」 静岡県、HPに課題掲載 (必要な渇水時ほどいい加減?!) 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2020 年 5 月 02 日 11:35:54)
地下で事故でも起こせば「棺桶特急お陀仏列車」となる「リニア中央新幹線」。計画初期から取材してきた記者は、国と一体化してしまったJR東海が水環境問題の会議から水の専門家を締めだして有利に運ぼうとしている流れを見逃さない。
COVID19肺炎パニックで之まで積み残された深い問題は見逃されがちだが。
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「リニア工事で大井川の水量が毎秒2トン減!?」をめぐり国交省vs.静岡県のバトル勃発
2020.05.01 樫田秀樹
https://hbol.jp/217935
●トンネル工事の影響で、大井川の水量が毎秒2トン減る!?
*リニアイメージ〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/riniaimage-550x366.jpg〕 JR東海が建設するリニア中央新幹線(以下、リニア)は、時速500Kmの走行を可能とし、2027年には東京(品川駅)・名古屋駅を40分で結ぶ予定だ。総工費5兆5000億円の超巨大事業である。
だが、そのトンネル工事に伴い、静岡県では県民の水源である大井川が1秒間に2トン(中下流域の8市2町62万人分の水利権量に匹敵)も減流すると予測されている。
静岡県とすれば、すんなりと工事を認めるわけにはいかない。実際、リニアが通過する1都6県(東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知)のなかで、工事が始まっていないのは静岡県だけである。
どうすれば水問題を解決できるのか。この問題を話し合うために、国土交通省は有識者委員で構成する「専門家会議」を設置した。だがその人選を巡り、早くも国交省と静岡県との足並みは揃っていない。というのは、国交省は県が選んだ委員候補者を明確な理由もなく除外したのに、会議だけは「今月下旬には開始する」と明言したからだ。
川勝平太知事は「極めて遺憾。再考を求める」と国交省と対峙する姿勢を示している。
●静岡県とJR東海の協議、5年以上続くも県民の不安は払拭されず
*連絡会議〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/renrakukaigi-550x366.jpg〕2020年2月10日に行われた「静岡県中央新幹線環境保全連絡会議」。向かって左に有識者、右にJR東海が対面で座る。県は奥側に座る
リニア計画は2014年10月に国土交通大臣が事業認可したが、他の都県では工事が始まったのに、静岡県は知事が着工を許可しない。冒頭で書いたように、大井川が減流することで県民生活や商工業活動に多大な影響が出るからだ。
2014年以降、静岡県は、県・JR東海・有識者の3者が討議をする「静岡県中央新幹線環境保全連絡会議」(以下、連絡会議)を不定期に開催し、JR東海に「工事で失われる水は全量大井川水系に戻せ」と要求している。
実際、JR東海も少しずつではあるが、どうやってトンネル湧水などを大井川水系に戻すかの案を示してはいる。しかし「具体性に欠ける」として、委員の有識者からは5年にわたって「それでは不十分だ」と評価され続けている。
確かに、もしこのままJR東海が着工してしまえば大井川の水量が減るかもしれない。何よりも、大井川を水源とする多くの県民や商工業者の不安が払拭されることはないことだけは確かだ。
●国交省の介入が始まり、立ち消えになった「3者協議会」
*画像〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/hyokasho-550x462.jpg〕環境影響評価書
JR東海が作成した「環境影響評価書」には、リニア工事により大井川の水量が2トン減ることが記載されている
すると昨年夏、この膠着状況を打開しようと国交省が乗り出してきた。県の事務方はこう振り返る。
「国交省は、JR東海と静岡県と国交省の3者が話し合う、新たな『3者協議会』を設けたいと提案しました。そして、行司役としてJR東海を指導したいというのです」
「3者協議会」は「連絡会議」とは別組織。筆者はこの件で2019年10月29日、連絡会議で常にJR東海と真正面から対峙して質問や意見を投げてきた難波喬司副知事にコメントを求めた。その回答は「連絡会議の有識者からも、国がJR東海を指導してほしいとの声がある。今後は、3者協議会と連絡会議との方向性を調整することで環境保全を図りたい」と、一定の期待感を示したものだった。
ただし、連絡会議に十数人いる有識者のなかでも、この3者協議会を疑問視する委員も複数いる。というよりも、そちらが多数派だ。その意見は「そもそも、リニア計画を事業認可した管轄部署である国交省に、客観的な行司ができるはずがない」というものだ。
その2日後の10月31日、3者協議会の設置は突然宙に浮いた。川勝知事の記者会見での発言をもとにした、『静岡経済新聞』(11月11日付)の「リニア騒動の真相21 正々堂々のちゃぶ台返し」という記事が以下のように報道している。
10月30日、3者協議会設置に向け、3者が話し合ってきた同意文書案がリークされ、それを静岡第一テレビが放映した。内容は、県はリニア着工には「JR東海が地元の理解を得ること」を必須条件としたのに、国交省鉄道局の文言は「理解を得ることに努める」との努力目標だったことだ。
これが漏れたことで、翌31日の3者会議で鉄道局は、難波副知事や担当局長を罵倒した。この、敬愛する部下への侮辱に川勝知事は「絶対に許さない!」と怒った。同時に国交省は、対等ではなく県より上の立場で3者協議を仕切ると判断した。だからこそ川勝知事は「環境省や農水省にも参加してもらう必要がある」と提案した。これを国交省が呑むはずもなく、3者協議会の設置は事実上なくなったのだ。
●新たに立ち上げる「専門家会議」の中立性をどう確保するか
*画像〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/hukutiji-550x366.jpg〕静岡県副知事
JR東海に真正面から意見・質問をぶつける難波喬司・静岡県副知事
すると、国は新たな組織「専門家会議」を立ち上げることを提案してきた。目的は3者協議会と同じく、県とJR東海との膠着状態を打開することだ。これは専門家による話し合いの場であり、県や他省庁はオブザーバー参加となる。
県はこの提案に対して以下の5条件を付け、国交省がそれを呑んだことで、今年1月下旬に「専門家会議」の設立に同意することになる。
@会議は公開する
A議題は47項目(県がJR東海に投げた質問)
B目的は国交省によるJR東海の指導
C委員の選定は中立公正
D座長は中立性を確認できる人
だが、この条件はどうやって担保されるのだろうか? 翌2020年2月10日、連絡会議が開催された。筆者は静岡市に赴き、会議後の囲み取材で難波副知事に「どうやって中立性のある委員や座長を選ぶのですか?」と質問した。
難波副知事はこう答えた。
「まず国が候補者を出す。それを県が適格者なのかの判断をすることになる。連絡会議の専門部会長は、推薦で入れたいです」
*森宣夫環境対策室長〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/morinobuo-550x366.jpg〕
国交省鉄道局の森宣夫環境対策室長
つまり「国には勝手に委員を選ばせない」と言ったのだ。この日、連絡会議には国交省鉄道局の森宣夫環境対策室長もオブザーバーで参加していたが、囲み取材での「専門家会議の委員の中立性をどう担保するのか」との質問には「委員がJR寄りでないようにする」と回答した。
●専門委員のメンバー選びで静岡県と国交省が対立
*JR東海の宇野護副社長〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/unomamoru-550x366.jpg〕
JR東海の宇野護副社長。「リニア工事は、大井川の中下流域に影響しない」と明言
だが、またも揉めた。3月11日に国交省が公表した専門委員のメンバー案に、森地茂政策研究大学院大学政策研究センター所長がいたのだ。このことに県は反発した。
というのは、森地氏はリニアのトンネル工事を受注している大成建設の社外監査役であるからだ。県は「こういう利害関係者にJR東海への指導ができるのか」との疑念から国交省にメンバー変更を求めた。
実は、筆者も森地氏を見たことがある。2016年10月26日、衆議院国土交通委員会でのことだ。森地氏はリニア計画に関することで参考人として参加していた。
本村賢太郎議員(民主党。当時)から「リニア工事では、品川・名古屋間だけで5680万㎥もの建設残土が出る。だがJR東海は具体的な残土処分先を示していない。森地参考人のお考えをお伺いしたい」と尋ねられると、森地氏はこう回答した。
「(リニアについては)ある程度もう手当てをして、すでに土捨て場を契約しているというふうに聞いてございます」
この時点で残土処分地が確定していたのは2割前後でしかない。不勉強な人だと筆者は思った。ともあれ結局、森地氏はメンバーから外れることになる。この点において5条件は守られていると言える。
だが、国のメンバー選考に疑問を抱いた県は、独自に委員を公募した。数人の応募があり、県はこのうち2名をメンバーに推薦すると公表した。すると3月16日、今度は国交省が「その2人は専門家会議に入れない」と公表した。
そして、その2人の名前を見て筆者は驚いた。稲葉紀久雄大阪経済大学名誉教授(環境科学)の名前が入っていたからだ。筆者は何度か取材をしているが、あれほど水問題に熱心な研究者は他にいない。その人物が外されたのだ。
●地下水を守るための法案に「トンネル工事などの公共事業に支障」と横やり
*稲葉紀久雄名誉教授〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/inabakyoju-550x366.jpg〕
静岡県が「専門家会議」の委員に推薦したが、国に除外された稲葉紀久雄名誉教授
稲葉教授は水問題に高い関心を抱き、かつ行動してきた有識者だ。
超党派の国会議員でつくる「水制度改革議員連盟」(水議連)という議連がある。超党派だから、与党もいれば野党もいる。この議連の功績は2014年3月、「地下水は私水ではなく共有水」と定めた「水循環基本法」を国会で成立させたことだ。ただしこれは理念法なので、具体的に水を守るための法案としての「地下水保全法」の立案に取り組むことになる。
この法案作成を担った「水循環基本法フォローアップ委員会」の幹事を担ったのが稲葉教授だった。同委員会は有識者41人で構成され、全員が無償参加。みな「日本の水を守ろう」と、この法案つくりに心を傾けていた。稲葉教授は当時をこう振り返る。
「当時の代表の中川俊直議員(自民党)からも『早期に法案作成を』と請われ、集中して取り組みました。そして私たちは2か月でそれをやったんです」
その地下水保全法案が水議連に上申されたのが2015年2月17日。地下水を保全するため、環境破壊的な工事に歯止めをかけようとする法案の内容にケチをつける人はいなかった。あとは国会に上程すれば、間違いなく成立すると思われた。
ところがその直前、衆議院法制局から「その法案では、トンネル工事などの公共事業に支障が生じる」との横やりが入り、上程は見送られる(これを「リニアを意識したのだろう」と見る人は少なくない)。
その後、水議連からも、そして2016年3月からの新フォローアップ委員会でも上程の動きはなかった。稲葉教授は新フォローアップ委員会にも相談役として所属していたが、見切りをつけて辞任した。
ちなみにこの新フォローアップ委員会の座長を務めたのが、今回の専門家会議の委員となった沖大幹・東大教授だ。
●「具体的な水保全を進めていこう」と新組織を設立
*シンポジウム〔https://hbol.jp/wp-content/uploads/2020/04/ugokasu-550x366.jpg〕
稲葉教授が主催した「水循環基本法を“動かす”シンポジウム」で行われた朗読劇
稲葉教授はその後、「国民自らが声を上げなければ前進はない」との思いから、新組織「水循環基本法を“動かす”国民運動協議会」を設立する。
そして形骸化しかけている水循環基本法を動かし、具体的な水保全を進めていこうとの趣旨で開催したのが2019年5月23日に行われた「水循環基本法を“動かす”シンポジウム」である。
全国各地で水を守っている市民団体、水議連の与野党の国会議員も集まり、丸1日をかけての集会が行われた。その開催のために稲葉教授は何か月も時間をかけ、数百人の個人や団体に声をかけてきた。筆者も声をかけられた一人である。
これほど水問題に熱心に取り組んでいる有識者を外した理由を、国交省は「(県推薦の)2名の方についての専門分野を拝見するに、国土交通省がすでに選定している方々と専門性や知見を有していると思われる分野が重なっていると考えられます」と回答しているが、それが具体的に何を指すのかはわからない。
だからこそ川勝知事もこの件で国交省に「再考を求める」と発言したのだが、国交省はこれにどう応えるのか。そしてそれもないまま、専門家会議は4月下旬に開催されるのだろうか? 静岡県と国交省の対立は今後どうなっていくのか。今後も注目していく必要がありそうだ。
<文・写真/樫田秀樹>
樫田秀樹
かしだひでき●Twitter ID:@kashidahideki。フリージャーナリスト。社会問題や環境問題、リニア中央新幹線などを精力的に取材している。『悪夢の超特急 リニア中央新幹線』(旬報社)で2015年度JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞を受賞。
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経済が深刻化した時に、このままで良いのか答えを出さねばならなくなる。
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