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幸楽苑、極度の不振で赤字転落…客数減止まらず、いきなりステーキへの業態転換が大失敗
https://biz-journal.jp/2020/04/post_150231.html
2020.04.05 06:40 文=編集部 Business Journal
幸楽苑の店舗(「Wikipedia」より/ITA-ATU)
ラーメンチェーンの幸楽苑ホールディングス(HD)は、2020年3月期の連結最終損益が4億円の赤字(19年3月期は10億円の黒字)に転落する。従来予想は11億円の黒字だったから、最終利益を15億円下方修正した。今期の期末配当は無配(前期末は10円)。従来の計画では、年間を通して20円を計画していた。
収益性に問題がある店の評価の見直しを進めたことで、店舗の減損費用が8億円発生する。低採算店の閉鎖による損失も1億円出る。また、19年10月の台風19号で本社郡山工場が冠水したことで3億円の損失を計上する。売上高は前期比8%減の380億円を見込む。従来予想は420億円だ。40億円の目減りだ。営業利益は63%減の6億円。大きく落ち込む。従来予想は21億円。新型コロナウイルスで、来客が減る影響が出る。
東京株式市場では幸楽苑HDの株価が大幅安になった。3月13日は一時1077円まで下落し、昨年来安値を更新した。昨年来高値の3455円(19年5月28日)から69%下げたことになる。業績が悪化しているところに、新型コロナウイルスの感染拡大がボディーブローのように効いてきた。3月31日の終値は1364円である。
■台風19号で工場が被災し、1カ月操業がストップ
幸楽苑HDは浮き沈みが激しい会社だ。15年4月、看板商品だった290円(税別)の「中華そば」の販売を中止し、520円(同)の「醤油らーめん 司」に切り替えた。200円以上高い500円台の新ラーメンを主力商品とし、それまでの低価格路線から決別した。これで客離れが起きた。
さらに、16年10月、ラーメンに従業員の切断された指が混入していた事件が起き、17年3月期の既存店売上は前期比3.3%減、18年3月期も同1.6%減と落ち込んだ。18年3月期の連結最終損益は32億円の赤字に転落した。最終赤字は97年の株式公開後初めてのことだった。
看板商品のリニューアルは続く。18年4月、「あっさり中華そば」を「極上中華そば」に、「ギョーザ」を「餃子『極』」にそれぞれ改良して売り出した。ソーシャルメディアを活用した積極的な広告作戦の効果もあって、18年10月に既存店売上はプラスに転じた。
直近の動きを見てみよう。国内の直営既存店の売上高は19年8月まで11カ月連続で前年を上回り、堅調だった。ところが、19年9月から20年2月までの6カ月間はマイナス成長となった。3月は新型コロナウイルスの影響で、売り上げ、利益とも一段と落ち込む。
転換点となったのは19年10月。既存店売り上げは30.7%減と激減した。これは台風19号の影響が大きい。19年10月12日、日本に上陸した台風19号は土砂災害や河川の氾濫などを引き起こし、東日本を中心に各地に甚大な被害をもたらした。「令和元年東日本台風」と命名された。
幸楽苑HDは福島県郡山市にある工場が冠水し、10月13日に操業を停止した。これにより東北を中心に240店が一斉に休業に追い込まれた。全店舗のほぼ半数にあたる。11月初旬に郡山工場はフル稼働に戻り、被災後1カ月で全店、通常営業を再開した。再開を記念してなのだろう、中華そばを「10円」で販売し、話題づくりに力を入れた。だが、休業していたことが影響して客足は戻らなかった。加えて、今年2月21日頃から新型コロナウイルスの影響で客足が遠のいた。3月はさらに減っている。
【幸楽苑HD直営店既存店売上高の対前年同月比率】(単位%)
19年10月 11月 12月 20年1月 2月
▲30.7 ▲11.8 ▲6.7 ▲6.3 ▲6.1
(▲はマイナス)
■業態転換した「いきなり!ステーキ」が不振
台風19号の経験を踏まえ、「収益重視型経営」へのシフトを加速させた。その第1弾として、19年12月〜20年4月にかけて全店舗の1割にあたる51店舗を閉鎖する。関東や東海地方の不採算店を中心にクローズし、一部の店は業態転換を進める。
業態転換を「収益重視型経営」の柱に据え、“ラーメン一本足打法”からの脱却を目指してきた。これまでは主に「いきなり!ステーキ」への転換を進めた。17年、運営会社のペッパーフードサービスとフランチャイズ契約を結び、ラーメン店をステーキ店に衣替えし、16店を出した。業態転換を始めた当時は、「いきなり!ステーキ」には勢いがあった。だが、いきなり失速する。「いきなり!ステーキ」(ペッパーフードサービス)の既存店売上高の伸びは18年4月から前年実績を割り込んだ。既存店の数字は月を追うごとに悪化。20年2月のそれは38.7%減と23カ月連続で前年割れとなった。そのため、20年中に74店を閉店する。
幸楽苑の「いきなり!ステーキ」への業態転換は、結果だけ見ると、大失敗だった。そこで、焼肉店「焼肉ライク」(7店舗)、からあげ店「からやま」(4店舗)、名古屋名物の辛さが売りの鍋料理店「赤から」(3店舗)に切り替えた。変わり身の早さが幸楽苑の身上である。
ブームに乗る勢いのある外食チェーンのFC店となることは、収益力を一気に高めるチャンスである。と同時に、ブームが去ったら経営が一気に傾くリスクを抱え込むことになる。「いきなり!ステーキ」のFC店は悪しき前例となった。業態転換はリスクと背中合わせなのである。
■創業家3代目、新井田昇社長の正念場
幸楽苑は1954年、電力会社を定年退職した新井田司氏が福島県会津若松市で食堂を開業したのが始まり。新井田傳(にいだ・つたえ)氏が18歳の時、父の食堂を継ぎ、上京して修行。修行先の1つである「幸楽飯店」から2文字もらい、帰郷後、「幸楽苑」を開業する。日本におけるチェーンストア理論の第一人者であるペガサスクラブの渥美俊一氏のチェーン展開の教えを忠実に実践。ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開し、2003年に東証1部に上場を果たした。
新井田昇社長(46)は創業家の3代目。1997年、慶應義塾大学を卒業後、三菱商事に入社。2003年幸楽苑ホールディングスに転じ、海外事業を担当。18年11月、父の後を継いで社長の椅子に座った。
3代目が成長戦略の柱に置いたのが業態転換。「いきなり!ステーキ」は、その目玉だった。だが「いきなり!」は極度の不振に陥った。悪いことは重なるもので、台風19号で甚大な被害を被った。
ライバル各社の2月の既存店売上高は、低価格の「熱烈中華食堂」のハイデー日高が4.7%増、低価格の中華料理店・王将フードサービスが11.3%増、トリドールホールディングス傘下のうどんチェーン丸亀製麺が10.0%増と好調を維持している。
「餃子の王将」の王将フードサービスとは明暗がくっきり別れた。餃子の王将の客数は12年3月期から18年3月期まで7年連続で前年割れが続いた。しかし、19年3月期には前期比2.1%増とプラスになった。20年3月期は、19年7月に既存店売上と客数がマイナスになった以外は、すべての月で前年実績を上回った。客離れの苦境から抜け出たことになる。17年の組織改正で新しく設置した「王将大学」と「王将調理道場」が奏功し、QSC(品質、サービス、清潔さ)が向上したのが勝因だ。社員・スタッフの教育に力を入れ、正攻法で客足を取り戻したといえる。
これに対して幸楽苑は、「赤いラーメン」(トルコ風味のつゆラーメン)など、奇をてらう商品のテレビCMが目立つ。「赤いラーメン」は「スパゲッティではあるまいし」と酷評された。
今は、前年割れの幸楽苑が独り負けの状態だ。これに新型コロナウイルスの感染拡大の影響が追い打ちをかけるのだから前途は多難だ。台風19号、いきなり!ステーキ、新型コロナウイルスの3重苦を乗り越えて再浮上することができるのだろうか。3代目・新井田昇社長は、経営者として正念場を迎えている。
(文=編集部)
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