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もはや「輸出大国」ではない日本が、経済再建のためにすべきことは?
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2020/02/post-94.php
2020年02月13日(木)12時46分 加谷珪一 経済ニュース超解説 ニューズウィーク
高度経済成長期の産業構造のイメージから脱却すべき ISSEI KATOーREUTERS
<「貿易赤字は悪」という誤った認識を持ったままでは、日本経済を立て直す正しい道に踏み出すことはできない>
日本の貿易収支が2年連続で赤字になった。日本では輸出が国を成り立たせると考える人が多く、貿易赤字は悪という認識が一般的である。だが、日本経済は既に輸出主導型から消費主導型にシフトしており、貿易収支にこだわる必要はなくなっている。
財務省が発表した2019年の貿易統計によると、輸出額は76兆9278億円で前年比5.6%のマイナス、輸入額は78兆5716億円でこちらも前年比5.0%のマイナスとなった。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1兆6438億円の赤字で、2年連続で貿易赤字が発生している。
輸出が減った直接的な原因は、米中貿易戦争によって中国向けの出荷が減ったことなので、米中の部分合意が成立したことで、今後は多少の改善が見込める可能性が見えてきた。国内では輸出を強化すべきという声は依然として大きく、安倍政権の経済対策の中にも輸出企業の支援策が盛り込まれている。だが歴史的な流れを見ると、日本はもはや輸出で国を成り立たせる構造ではなくなっている。
日本は戦後、ほぼ一貫して貿易黒字を計上し、特に1980年代半ば以降は、毎年10兆〜15兆円もの黒字を出していたが、その後は徐々に減少し、2005年には貿易黒字と所得収支(国外への投資から得られる投資収益)が逆転。日本は輸出ではなく投資で稼ぐ国になった。11年以降は貿易赤字になる年も目立っており、名実共に日本は輸出立国から消費立国・投資立国にシフトしたといってよい。
■輸出立国の段階は終了
経済学的に見た場合、貿易収支が黒字か赤字かは経済成長にとってあまり重要ではない。国民の豊かさは基本的にGDPの規模と成長率で決まるが、貿易収支の成長率に対する寄与度はそれほど大きくないというのがその理由だ。
貿易黒字は、国内以外にも需要が存在しており、国内企業が国外消費分も生産していることを意味するが、これは国内需要が少ないことの裏返しでもある。一方、貿易赤字ということは国内の生産では足りず、国外からモノをたくさん買った結果なので、国内需要が過大であることを示している。
もし国内需要が少なく、国外需要が旺盛なら輸出を強化すればよいし、国内に十分な需要があるならわざわざ国外にモノを輸出する必要はない。より多くのお金が回ることで社会は豊かになるので、市場動向に合わせた経済運営を行うことが重要である。
一般的に社会が豊かになると国内消費が増えるので需要過多になりやすく、経済は消費主導で回るようになる。かつての日本は貧しく、国内消費が弱かったことから輸出主導で経済成長を実現したが、その段階は既に終了している。アメリカは世界からあらゆるモノを買い入れる豊かな消費国の頂点といってよい存在だが、日本も徐々にそうした国へと変貌しつつあるのだ。
だが日本の場合、消費国へのシフトが進んでいるにもかかわらず、国内の産業構造は依然として従来型のままとなっている。サービス産業に従事する労働者の割合が圧倒的に多く、彼らの支出が日本の消費を支えているはずだが、サービス産業の賃金は著しく安く、国内消費を低迷させる最大の原因となっている。
日本が注力すべきなのは、輸出を強化して貿易黒字を増やすことではなく、サービス産業の付加価値を上げ、賃金上昇を通じて国内消費を活発にすることである。
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