http://www.asyura2.com/20/genpatu53/msg/874.html
Tweet |
2022年6月12日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/182964/1
https://www.tokyo-np.co.jp/article/182964/2
東京電力福島第一原発事故後、関東地方の7都県が事故の影響で必要になった費用として東電に請求した損害賠償額は計325億円に上ったが、そのうち計63億円余の賠償を東電が認めず、支払われていないことが本紙の取材で分かった。専門家は、東電が賠償範囲を決められる仕組みの問題を指摘している。(加藤豊大、鈴木みのり)
【関連記事】連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」@福島「歩く風評被害」と言われても、私は逃げない 覚悟決めた原発事故被災者福島訴訟の中島孝原告団長
事故の影響を受けた都県や市町村などの自治体は東電に対し、臨時職員の人件費▽空間線量計購入費▽風評被害対策PR費—などを請求した。本紙は、このうち関東7都県が請求したものを集計した(市区町村が請求した分は含まず)。東電は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が賠償基準を定めた「中間指針」や、それを基に東電が独自に示したガイドラインに基づき、賠償に応じるか判断した。
ーーーーーーーーーーーー
福島第一原発事故の損害賠償 国が2011年8月に定めた損害賠償の基準となる「中間指針」には「賠償されるべき損害として明記されていなくても、個別具体的な事情に応じて(事故と)相当因果関係のある損害と認められ得る」と弾力的な運用が可能な記載がある。東電が合意しない場合、原子力損害賠償紛争解決センターが裁判外紛争解決手続き(ADR)で和解を仲介。和解せず、訴訟になるケースもある。
ーーーーーーーーーーーー
◆事故がなければ必要ない費用なのに
複数の自治体担当者によると、東電は請求の一部について、「事故との因果関係が認められない」「事故対策とされた経費は通常業務との切り分けが困難」などと主張し、支払いを拒んだという。
東電が支払いを拒んだ額の最多は、埼玉県の46億5000万円。101億円の請求に対し、支払率は54%にとどまった。浄水場にたまった放射性物質を含んだ汚染土の処分・保管費の多くが拒否され、その額は約30億円に上る。県担当者は「事故がなければ必要のない費用。全額が賠償されるべきだ」と訴える。
請求額が最多だったのは東京都だ。総額は117億円で、内訳は下水道事業に75億円、水道事業に29億円、空間線量検査に3億円など。総額のうち7億5000万円が支払われなかったが、その内容について都担当者は「手続き中の案件のため詳細は明らかにできない」と話した。
そのほか、茨城県は5億2000万円、栃木県は2億2000万円の支払いを拒否された。一方、群馬県は12億5000万円を請求し、ほとんどが認められた。
東電が支払いに応じない場合、自治体が原子力損害賠償紛争解決センターで裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てるケースもある。ADRで、東電が一部を支払う和解案が示され、自治体が受け入れるケースも。そうして請求を断念したのが神奈川県で1億円、群馬県で5000万円ある。
賠償の判断について、東電担当者は「個別の案件については回答を控える。賠償は中間指針を踏まえて対応している」と答えた。
◆被害者側の声は反映されず
都県が賠償請求をした全額が支払われないことに、大阪公立大の除本理史教授(環境政策論)は「中間指針には、自治体を含めた被害者側の声が十分に反映されておらず、機能していない。中間指針やそれを基にした運用により、事故の加害者と言える国や東電自身が主導して賠償基準や運用を決める現在の制度全体に問題がある」と批判する。
首都圏以外では、2020年10月、事故の影響で計画通りに職員を削減できなかった福島県が人件費の支払いを拒否され、東電に約9000万円の賠償を求めて福島地裁に提訴したケースがある。
東京電力福島第一原発事故への対応にかかった費用として、関東地方の7都県が支払いを求めたものの東電が認めなかった額は63億円余に上る。特に目立つのは、浄水場や下水処理場にたまる汚染土などの処分・保管費だ。現場の一つを訪れた。
◆続く後始末、かさむ費用
「原発事故から10年以上たっても後始末は続き、費用はかさんでいくんです」。高さ3メートルの巨大なコンクリート製の施設の前に立った埼玉県の職員は、そうつぶやいた。中には1万2000トンもの汚染土が眠る。
ここは、さいたま市桜区の大久保浄水場。事故直後、浄水過程で発生する泥から国の安全基準を上回る放射性物質が検出され、急きょ県が一時保管用に、この施設を建設した。
県内全5カ所の浄水場で同様の対策がとられ、運び込まれた汚染土は計数万トンに上る。事故から2、3年ほどの間にたまったもので、2020年から少しずつ県内の遠隔地に運び出し、埋め立て処分を進めている。
◆事故前は利益になった泥が…
事故の前、浄水場から出る泥には価値があった。県が加工した上で園芸会社に販売し利益を得ていた。しかし、事故後、検出される放射性物質が国の基準を下回っても、「安全性の懸念からか買い手が全くいなくなった」(同県職員)。そのため今は、県が処分費を支払い、セメント会社に受け入れてもらってもいる。
こうした費用や損失は、11〜20年で60億円になる。県は東電に全額の賠償を求めているが、支払われたのは約30億円で半分にとどまる。
県によると、東電側は「放射性物質の検出量が国の基準を下回った場合の処分費は支払えない」などと説明。それに対し、県の担当者は「東電の責任なのに費用を県が負担することは、県民の水道料金にも関わることで理不尽だ」と憤る。
◆つくった施設が無駄に
神奈川県は、下水処理場の汚泥を焼却する際に発生する灰の処分・保管費を巡る協議で、東電ともめた。県は事故後、放射性物質を含む灰を保管するため、小田原市に約5000万円をかけて鉄骨造りの施設を建設。その費用負担を東電に求めたが、「施設は灰の保管以外にも使用が可能」と主張された。裁判外紛争解決手続き(ADR)を経て和解に至ったものの、結局、建設費はほとんど支払われなかった。
現在は全ての灰が運び出され、施設は空の状態。県の担当者は「防災時の(備蓄品の)保管庫などとして有効に活用していくしかない」と語る。
NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇(はじめ)事務局長は「自治体は根拠があって損害賠償請求しているはず。そもそも事故がなければ必要のなかった業務。返してほしいと思うのは当然で、請求した全額が賠償されるべきだ」と指摘した。
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素53掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素53掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。