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2022年1月13日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/153868
原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)は、26回目となる完成延期が避けられそうにない。事業を担う日本原燃(同)の能力不足が露呈して、稼働に必要な原子力規制委員会の審査は申請から1年でようやく入り口に立った状況だ。原燃が掲げる「2022年度上期」の完成目標時期まで8カ月ほど。時間切れが迫っている。 (小野沢健太)
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核燃料サイクル 原発の使用済み核燃料から再処理という化学処理でプルトニウムやウランを取り出し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して原発や高速増殖炉で再利用する仕組みで、日本政府の原子力政策の柱。高速増殖炉は使った以上のプルトニウムを生み出す夢の計画だが、原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉で頓挫した。放射性廃棄物の有害度を下げる高速炉の開発に転換したが、実用化のめどは立っていない。
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◆「期待して」との言葉に、漏れる苦笑い
「審査チームは原燃に温度を感じない。何かやらないとだめですよ。どうしたら状況は変わりますか」
12日夕、東京・六本木のビルに入る規制委の会議室。更田豊志ふけたとよし委員長は、意見交換で訪れた原燃の増田尚宏社長に問い掛けた。他の委員からも、再処理工場などの稼働に必要な設備の設計をまとめた工事計画の審査を巡り、原燃への不満が相次いだ。
増田氏は東日本大震災時に東京電力福島第二原発所長として事故対応を指揮しており、現場に精通する。審査対応への不備を認め「社内の審査をやっている人たちとの温度差を非常に感じます」と吐露した。増田氏は、社内改革を進めて審査対応が変わってきているとし「期待してもらいたい」と強調すると、更田氏ら委員から苦笑いが漏れた。
◆組織をてこ入れ 400人が同じ場所で作業
増田氏は意見交換後、記者団に、完成予定時期は「今のまま目標を変えずにできると思う」と断言。だが強気な言葉と裏腹に、審査は全く進んでいない。これまでの審査で規制委事務方の原子力規制庁は、原燃が作る審査資料はデータや根拠が不十分だと指摘し、抜本的な再検討を求める場面が繰り返されてきた。
原燃は各部署間のやりとりが不十分だったとして、組織をてこ入れした。昨年12月からは社内の体育館に机を並べ、社員や下請け企業の約400人が同じ場所で作業。大手電力各社から50人以上の応援も受け、資料作成を進めている。
昨年6月には、九州電力で原発の審査責任者を務めた須藤礼上席執行役員が原燃の専務執行役員として出向し、11月に審査の総括責任者に。役員級の生え抜き3人を「社内プロフェッショナル」と位置づけ、対応の責任を明確化した。
◆突き付けられた最後通告
それでも昨年末の審査会合では、有毒ガス対策に関する再検討が、規制庁側が求める水準に達していなかった。原燃は「やり直しの過程も見てほしい」と資料提出などの手続きを進めようとした。規制庁の担当者は言葉を強めた。「検討の途中なのに『こういうところが足りませんね』と、われわれに言ってほしいんですか。そうなると、われわれと一緒に申請書を作っているのと変わらないじゃないですか」
耐震性に関する説明でも原燃側は規制庁が納得する説明ができず、会合に参加した九電社員が助け舟を出す場面もあった。終盤には、規制庁の担当者が原燃の社内プロフェッショナルに最後通告を突き付けた。「ここが崖っぷち。あなたたちが崩れたら次は登場人物がいなくなる」
【関連記事】行き詰まった核燃料サイクル 施設の廃止作業は遅れ、工場完成は見通せず
https://www.tokyo-np.co.jp/article/141334
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