http://www.asyura2.com/20/genpatu53/msg/606.html
Tweet |
※2021年6月24日 朝日新聞1面
※2021年6月24日 朝日新聞3面 紙面クリック拡大
※2021年6月24日 朝日新聞6面 紙面クリック拡大
※2021年6月24日 朝日新聞31面 紙面クリック拡大
※朝日新聞、紙面文字起こし
福島第二の廃炉開始 東電 全4基、終了に44年
東京電力ホールディングスは23日、福島第二原発の廃炉作業を始めた。全4基の廃炉に44年かかるとし、2064年度の終了をめざす。関西電力は同日、運転開始から40年超の老朽原発を再稼働した。▼3面=教訓は、6面=重い責任、31面=地元は
東電は23日午後に原子炉建屋内の点検などに着手した。7月1日から資機材を搬入し、同月上旬から除染などの作業を順次進める。福島第一原発全6基と合わせ計10基の廃炉を同時に進めることになり、作業員の確保などが求められる。約1万体の使用済み核燃料の処分先も決まっていない。
40年超原発 再稼働
関電は美浜原発3号機(福井県)を再稼働した。23日午前10時に核分裂の反応を抑える制御棒を抜き原子炉が起動した。
稼働は約10年ぶりで、24日未明にも核分裂が安定して続く「臨界」に達し、29日に発送電を始める。7月27日には営業運転に入る予定だ。
東京電力福島第一原発の事故後に、運転期間は原則40年とし、1回だけ最長20年間延長を例外的に認めるルールができた。40年超の再稼働は今回が初めてで、専門家らは原則40年のルールの形骸化を懸念する。(笠井哲也、加茂謙吾)
廃炉 10基同時並行 東電、工程見通せず
福島第二原発の廃炉作業が始まった。運転開始から40年超の美浜原発3号機が再稼働した。島根原発2号機も再稼働に向け手続きが進む。東京電力福島第一原発事故の教訓は、どう生かされているのだろうか。▼1面参照
放射性廃棄物 行き先未定
東京電力福島第二原発で始まった廃炉は、1〜4号機で並行して解体作業などを進め、完了まで44年間を見込む。世界でも廃炉を完了した原発はまだ多くない中、福島第一を含む10基で同時に進める前例のない取り組みだ。
23日は原子炉建屋内で、点検や作業の確認をした。東電によると、廃炉の工程は約10年ごとの4段階に分けて進める。第1段階(2021年度〜30年度)を準備期間と位置づけて、除染などを進める。第2段階(31〜42年度)で原子炉周辺設備の解体・撤去、第3段階(43〜53年度)で原子炉の解体・撤去を進め、最後の第4段階(54〜64年度)で原子炉建屋を撤去する。第2段階以降の具体的な作業内容は、各段階の開始前に規制委へ申請するとして示していない。
東電によると、原子炉の解体・撤去など4基の廃炉費用は2822億円。さらに使用済み燃料の処理費などがかかる見込みだ。
懸念されるのは、原子炉建屋内のプールで保管している使用済み燃料だ。1〜4号機で計9532体あり、福島県は県外への搬出を求めている。
東電は原子炉周辺設備の撤去を終える42年度までに、すべてプールから取り出すとする。34年度ごろから、燃料を再処理業者に引き渡し再利用する考えだが、具体的な引き渡し先は計画で示していない。廃炉に伴って出る5万トン超の低レベル放射性廃棄物も、福島県は早期に方向性を示すよう求めているが、処分先は未定だ。
作業が工程通りに進むかも見通せない。東電は福島第二のほか、事故でメルトダウンした3基を含む福島第一の6基の廃炉作業を並行させる。10基同時の廃炉には、長期にわたる人員確保や被曝(ひばく)防止などの安全対策も課題になる。
東電では2月の福島県沖地震の際、福島第一で故障した地震計の放置が発覚するなど不祥事が相次ぐ。地元からも「不適切な事象が続いている。少なくとも廃炉を進めるうえでそういうことがないように」(松本幸英・楢葉町長)と注文が付く。
大島堅一・龍谷大教授(環境経済学)は「使用済み燃料を原発から搬出し、再処理する国策は行き詰まっているのに、国や電力会社は見直そうとしない。虚構の国策のひずみが、処分先が示されない問題に表れている」と指摘する。(川村剛志、笠井哲也、福地慶太郎)
美浜3号機 老朽原発 運転実績急ぐ
運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)が再稼働した。東京電力福島第一原発事故の教訓から、運転期間を原則40年としたルールができて以降、40年超の再稼働は初めて。テロ対策施設の建設が間に合わず、運転は4カ月間に限られるが、老朽原発での運転実績を作り、長期運転への布石にしたい思惑がある。
関電は福島の事故前まで発電量の5割を原発が占めていた。事故後の10年で老朽化が進み、2025年には7基のうち5基が運転開始後40年を超える。美浜3号を動かし、長期運転の実績作りとデータ収集に役立てたい考えだ。関電原子力事業本部の近藤佳典・副事業本部長は「資源の少ない日本では経済性や環境面から原子力が必要で、40年超プラントも役に立つ」と意義を強調した。
政府が50年に温室効果ガス実質ゼロを掲げる中、目標達成に老朽原発の再稼働を期待する声もある。
ただ、古くなった配管やケーブルなどは新品に取り換えられるが、重要設備の原子炉圧力容器は交換できず、40年以上前に設計された原発の構造上の古さは否めない。
東京大の笠原直人教授(原子炉構造工学)は、美浜3号について、部品の交換や耐震工事などで「安全性は上がっている」と評価する。一方で、「新しい炉の方が『レジリエンス』(強靱〈きょうじん〉さ)が高い」とも指摘する。例えば、フランスが開発した最新型の欧州加圧水型炉「EPR」には炉心溶融が起きた際、核燃料を原子炉容器内に閉じ込めて冷やす安全設備がある。「事故が起こりにくい設計に加え、事故が起きてもしばらく耐える粘り強さも備わっている」と解説する。
原子力コンサルタント佐藤暁さんも設計の古さに懸念を示す。福島の事故では津波で複数機器が同時に故障した。「安全系の機器を多重化しても、同じ場所に配置していれば役割を果たせない。こうした配置は炉型の古さに起因し、事故が起きたとき、弱点になりうる」という。(加茂謙吾、藤波優)
島根2号機、新基準適合
原子力規制委員会は23日、中国電力島根原発2号機(松江市)について、安全対策の基本方針が新規制基準を満たすと認める審査書案を了承した。
30日間の意見募集を経て、規制委は審査書を正式に決定する。再稼働には原発がある島根県と松江市の同意を得る必要があるが、両首長は「慎重に判断する」などとして賛否を示していない。
審査は約7年半に及んだ。特に時間を費やしたのは、原発の耐震設計の根幹となる基準地震動の策定だ。敷地の南側約2キロを東西に通る「宍道断層」の長さについて、規制委の指摘や政府の地震調査委員会の見解などを受け、中国電は22キロから39キロに見直した。島根原発全体の安全対策費は、当初の1千億円超から約6千億円まで膨らんだ。
新規制基準への適合は、19年11月の女川原発2号機(宮城県)に続き10原発17基目。東京電力福島第一と同じ沸騰水型炉(BWR)では4カ所目となる。(藤波優)
廃炉44年計画 東電重い責任 人員・不祥事・費用…不安材料いくつも
東京電力ホールディングスは福島第二原発の廃炉に向け、44年という長期間の計画に責任を負う。東電は不祥事が続いており経営も厳しい。作業を順調に進められるのか不安視する見方もある。▼1面参照
福島第二原発は東日本大震災の津波で浸水し、全4基が停止した。東電は一時は存続を模索したが、地元の要望もあり、2018年に廃炉を表明した。
廃炉は23日に着手し、7月以降に作業が本格化していく。福島第一原発全6基と並行し計10基の廃炉を進めていくのは大事業だ。
福島第一は2041〜51年の廃炉完了をめざすが、計画は遅れている。溶けた核燃料(燃料デブリ)の取り出しのめどはたたない。処理水の海洋放出に向けた準備もこれからだ。
福島第一では協力会社を含め1日あたり3千人以上が働く。福島第二の作業員を44年間にわたってどう確保するかが課題となる。
東電の原子力部門は不祥事が続く。再稼働をめざしていた柏崎刈羽原発(新潟県)で、テロ対策の不備が1月下旬に発覚した。ほかにも、安全対策工事の完了を1月中旬に公表していたのに、約80カ所の工事が終わっていなかったこともわかった。福島第一でも地震計の故障を放置していたことなどが明らかになっている。
安全を最優先させているとは言いがたい状況に、廃炉作業を心配する声もある。福島県富岡町の宮本皓一町長は、福島第二の廃炉計画の事前了解を小早川智明社長に16日に伝えた後、「安全かつ確実な廃炉は町民の願い。廃炉の進捗(しんちょく)については的確な報告が必要だ」と語った。内堀雅雄・福島県知事は東電に安全文化の醸成をはかることなどを求めた。
福島第二の廃炉費用は電気利用者が負担する。廃炉費は、使用済み核燃料の再処理費用などを含めて、約4100億円と見込む。すでに約2200億円を積み立てたが、これから約1900億円を用意する必要がある。この分は、送電線の使用量(託送料金)に上乗せされ、電気代に転嫁される。東電管内では、標準的な家庭で年間約100円を負担する計算という。
福島第一原発の廃炉費用は8兆円と見込む。燃料デブリの最終処分に関する費用などは含まれておらず、さらにふくらむのは確実だ。東電は費用を捻出するため、安定的に稼ぎ続ける必要がある。
だが、電力自由化による競争の激化もあって、販売電力量は年々減少している。21年3月期決算は経常利益が前年比約3割減の1898億円となった。収益改善に欠かせないとしていた柏崎刈羽6、7号機の再稼働は、自らの不祥事で見通せない。
東電は29日に株主総会を開く。1年間空席だった会長職に小林喜光・前経済同友会代表幹事が就くなど、新しい経営陣が決まる。信頼を回復し廃炉作業を前進させることが、当面の優先課題となる。(新田哲史、長崎潤一郎)
使用済み燃料 処分に不安 |
新たな仕事 受注の期待も |
福島第二 廃炉開始 |
東京電力福島第二原発(福島県富岡町、楢葉町)で、44年にわたる廃炉作業が始まった。避難住民の帰還が遅れ、使用済み核燃料の処分先も決まらない中、廃炉の先行きに不安を募らせる住民も少なくない。▼1面参照
「廃炉は歓迎だが、使用済み燃料や、解体で出る放射性廃棄物は将来どうなるのか」。木戸川漁協(楢葉町)の鈴木謙太郎さん(39)は複雑な思いを語る。福島第一原発の処理水の海洋放出が決まり、風評への懸念も高まる中で「廃炉作業中の事故や廃棄物の処分先によっては、風評被害の追い打ちになる」と話す。
第二原発が保管する使用済み核燃料は計9532本にのぼる。地元は廃炉完了までに県外への搬出を求めるが、「搬出先は未定」(東電の小早川智明社長)という。富岡町のツアーガイド・秋元菜々美さん(23)は「国や東電は結論を先送りしている。県外に搬出できないなら、できないとはっきりさせることも責任」と話す。
一方で、廃炉を数少ないビジネスチャンスとして期待を寄せる動きもある。
震災前と比べ、人口が約1割にとどまる富岡町では新たな産業も乏しい。町商工会によると、震災後、町ではサービス業や建設業を中心に157の事業者が再開した。宮本皓一町長は「(廃炉では)この方々ができる仕事を東電は発注して欲しい」とクギを刺す。
町は雇用機会を確保するため、産業団地を整備した。原発事故後、茨城県北茨城市に本社機能を移していた「木村管工」が進出を決め、22日に調印式があった。地元企業では、廃炉による新たな仕事の受注の期待が高まっている。
第二原発の廃炉に向け、国は交付金を特例で設け、両町には今後20年間、最大で年間10億円が支払われる。楢葉町の区長の一人は「廃炉は原発からの自立を意味したはずなのに、どこまでも原発にすがりよって生きていくことになる」と話す。
美浜再稼働 抗議デモ
この日、福井県の美浜3号機、島根県の島根原発2号機でも再稼働をめぐる動きがあった。
美浜3号機が再稼働したことをうけ、美浜町では抗議デモがあった。「すぐさま止めろ」「全ての原発を廃炉に」。大阪、京都、滋賀からバス4台で駆けつけるなど、約350人が集まった。
デモに加わった京都工芸繊維大名誉教授の木原壮林さん(77)は「老朽原発は危険。重大事故が起きれば、多くの住民が避難できない」と話した。美浜原発の対岸でも反対集会が開かれ、「原発より命」と記された幕が掲げられた。
再稼働に向けた手続きが前進することになった島根2号機。松江市にある宍道湖で父親の代からシジミ漁を続ける60代の漁師は、「小さな事故でも起きれば、風評被害でシジミが売れなくなってしまうのでは」と話す。
島根原発は全国で唯一、県庁所在地にある原発だ。30キロ圏内には約46万人が暮らす。市街地に近い原発で、避難計画が課題だ。(長屋護、力丸祥子、古庄暢)
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素53掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素53掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。