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http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1353.html
http://www.sydrose.com/case100/228/
失敗百選に採用された世界の失敗事例は、現代文明の本質的な欠陥に迫る鋭さがあり、危険な仕事やプラントを稼働させる者には必読事例ばかりなのだが、世間一般の業務計画では、過去の失敗事例をきちんと総括すると、事業の展望が暗雲に覆われてくるせいか、みんな及び腰になり、気分の良い成功事例ばかりをもてはやすようになる。
ここに取り上げられた失敗事例の大半が、かっこいい、きれいごとの展望に目を奪われ、本当に必要な対応を見失って巨大で深刻な事故を招いた事例である。
とりわけ私が注目したのは、部品の品質管理に対する甘さ、マニュアルが本当に役立つかどうかのチェックの欠落、複雑化した巨大システムを統括的に管理する人材の不足などである。
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以下引用
失敗百選 〜スリーマイル島原発の破壊〜
【概要】
米国ペンシルバニア州ハリスバーグ南東10マイルの、 スリーマイル島の第2原発プラントで事故が発生した。 加圧水型原子炉において、信頼性のない機器の採用と誤判断によって、 被覆管が破れるなどの炉心の破壊が発生し、放射能を含んだ水や放射能ガスが、 外部に放出された。3日後半径5マイル以内に住む妊婦と幼児に避難勧告が出され、 大きな混乱となった。アメリカでは、この事故以後、原発建設の中止が相次ぎ、 原子力開発に深刻な影響を与えた。
【日時】
1979年3月28日
【場所】
米国ペンシルバニア州スリーマイル島
【事象】
米国ペンシルバニア州ハリスバーグ南東10マイルの、 スリーマイル島の第2原発プラントで事故が発生した。加圧水型原子炉において、 被覆管が破れるなどの炉心の破壊が発生し、放射能を含んだ水や放射能ガスが、 外部に放出された。3日後半径5マイル以内に住む妊婦と幼児に避難勧告が出され、 大きな混乱となった。
【経過】
スリーマイル島原発2号機は出力959,000キロワットの加圧水型原子炉で、 事故は、2次冷却水系の主給水ポンプが故障によって停止したこと(C) から始まった。代わりをつとめる補助給水ポンプがすぐに作動したが、 開いているはずの出口弁が閉じられていたため(D)、 蒸気発生器に給水されなかった(このことに8分間気がつかなかった)。 このため原子炉内の温度・圧力が上昇し、 加圧器上部にある圧力逃がし弁が自動的に開き(F)、 高温の水が流出して格納容器内の逃がしタンクへ流れた。 原子炉は緊急停止し(G)、炉内の圧力が低下した。 これによって加圧器逃がし弁は閉じるはずなのだが、 開いたままになってしまった(J)。このことに以降2時間20分も、 気づかなかったため、結果的に約80トンの一次冷却水が逃がし、 タンクから流出した。このころ制御室では、100以上の警報がなるなど、 大混乱が生じていた。
炉内圧力が下がったので、緊急用炉心冷却装置(ECCS) が正常に作動して(L)、毎分4トンの水を炉内に注入しはじめた。 しかし、運転員は加圧器の水位計が上がったため (実は逃がし弁が開いているために、流動によって見かけ上、上がっていただけ)、 炉内の水がいっぱいになったと誤判断して手動でECCSを止めてしまった(N)。 このため、一次冷却水が沸騰を始め、炉内水位が低下し、炉心が露出した。 ところがその前に、キャビテーション(沸騰による泡の発生と消滅) によって一次冷却水ポンプが振動を始めたので、ポンプを停止していた。
一次冷却水が循環しなくなり、炉心温度がどんどん上昇し、 被覆管温度が2,000℃に達して、約45%が溶融した。 被覆管と水とが反応して水素ガスを発生し、10時間後には水素爆発を起こした。 圧力逃がし弁から流出した水は排水タンクからあふれ(Q)、 格納容器内の床に溜まり、床の水溜めのポンプによって補助建屋に送られ(S)、 ここから放射能が外部に漏れだした。その後、炉内は注水され、 自然循環によって冷却される状態に至ったが、 水素ガスや放射性ガスの発生が続き、約1,000万キューリーの放射性ガスが、 大気中に放出された。
【原因】
故障情報システムの問題
故障情報を伝える機器の不備のため、次々と運転員の誤判断をまねくことになった。 補助給水ポンプの弁が閉じていることを示すランプの1つは、 注意札で見えなくなっており、しかも閉のときに緑のランプがつくように、 なっていた。コントロールルームの表示ランプには赤が異常を示すものもあれば、 緑が異常を示すものもあるというように、統一がとれていなかった。
加圧器逃がし弁が閉じていることを示すランプは、 弁に対し閉の指令情報を出していることを示しているだけで、 実際の弁の開閉状態を示すものになっていなかった。したがって、 実際には閉じていないのに、ランプは閉を示していたため、 故障に気が付かなかった。
加圧器内の水位が満杯になってしまうと、圧力の調整ができなくなってしまうので、 運転員は加圧器の水位が上がるのを恐れる。しかし加圧器内の水位は、 逃がし弁が開いた状態で炉心に注水しているときは、 流動によって押し上げられる。また炉心内で沸騰が起こり、 ガスが発生している時も、このガスによって加圧器内の水が押し上げられる。 これらの場合、見かけ上水位が上昇しているように見え、 炉心内に水があふれているのの誤判断をまねいた。 つまり加圧器内の水位メータは炉心内の状態を、 適切に示すものにはなっていなかった。
コントロールルームのパネルには表示ランプが1,200個もある上に、 事故発生時には警報ランプが100個以上も点灯して何が何だかわからなくなった。
品質保証に対する考え方の不備
故障した加圧器逃がし弁は以前から故障を繰り返し、信頼性に乏しかった。 にもかかわらず、信頼性の高い機器に替える対策をとらず、 故障が起こっても“だまし”運転を続ければよいという指導を行なっていた。
運転員の教育・訓練の不足
スリーマイル島原発の運転は電力会社の社員ではなく、 運転だけを下請けする会社が行なっていたが、 原子炉や熱現象についての十分な知識がなく、事故に対する訓練も乏しかった。
従来の安全設計基準外
原子炉の安全装置の設計に当たっては、一定の事故を想定し、 これに対処できるような設計を行なうが、スリーマイル島原発の事故は、 それまでの設計基準事故を越えており、どう対処すべきか考えられていなかった。
【対処】
事故に対する運転員の対処は前述のとおりであったが、 事故についての正確な情報が伝わらず、放射能測定値の誤った情報を伝えた、 ペンシルバニア州知事が、事故発生3日後、半径5マイル以内に住む妊婦と幼児に、 避難勧告を出したことから、約14万人が避難行動を起こし、大混乱に陥った。
【対策】
スリーマイル島原発事故に関する報告は膨大な量にのぼる。 大統領が任命した事故調査特別委員会の報告では、運転員の教育・ 訓練のしかたに大きな誤りがあったと指摘している。
日本では、原子力安全委員会が第1次〜第3次報告書を提出し、 安全基準、安全調査、安全設計、運転管理、防災、安全研究など52項目の 「安全確保に反映すべき事項」を指摘した。 地方自治体では原子力防災計画の見直しが行なわれた。
【総括】
信頼性に欠ける機器で成り立った原発プラントシステムを、 不十分な点検体制のまま、無理やり運転を続けていた。 故障を伝えるシステムも運転員を混乱させ、誤判断を生みやすいものだったため、 運転員は事故に際し、何がおこっているのかさっぱりわからず、 誤判断による操作がさらに事態を悪化させて、最大事故にまで発展した。
【知識化】
事故は1つの故障に、誤った判断や他の故障が多く重なって生じることが多い。
1つ1つの機器の信頼性を高め、バックアップのシステムが常に正常に、 作動する体制を保障することが重要である。
さらに人間の判断の特性に合わせ、わかりやすく、 誤判断を起こしにくいシステムを組むとともに、 誤操作や誤判断に対する安全システムを組むことが大切である。
アウトソーシングの危険
アウトソーシングによるレベルの低下を防止する必要がある。
【背景】
当時の世界におけるエネルギー資源の構成(一次エネルギー供給)は、 石油が約70%、石炭が約20%、水力が10%弱と、圧倒的に石油への依存度が高く、 しかもOPECなどの石油産出国の石油価格政策で、エネルギーの供給構造が、 脆弱となっていた。原子力は石油代替エネルギー源のエースとして登場していた。
原子力発電は、核分裂による熱を使って蒸気を発生させ、 タービンを回して発電を行なうシステムで、火力発電所での石油や、 石炭の燃焼エネルギーを核分裂のエネルギーに置き換えたものである。
スリーマイル島原発は、2基の加圧水軽水炉を持っており、 事故を起こした2号炉は定格電気出力が96万kwであった。製造したのは、 バブコック・アンド・ウイルソン社で、運転を担当したのは、メトロポリタン・ エジソン社であったが、1977年3月の試運転中から1979年1月の商用運転中までの間に、 給水系トラブル9件、主蒸気安全弁開固着1件、ECCSが作動したのが9件(内1件は手動) などの事故・故障があった。とくに、1978年3月には、低出力運転中、 電源喪失により加圧器逃がし弁が誤開放し、ECCS(高圧注水系)が作動した。 電源喪失のため原子炉圧力および加圧器水位の指示が出来なくなった。
その後電源の復旧により事態は収束したが、制御室には加圧器逃がし弁本体の、 開閉指示計がなかったので、運転員は即応的な対応がとれていなかった、 などトラブル続きであった。
また、この事故以前にも1974年8月のスイスの発電所や、 1975年6月の米国オコーニー発電所、1977年9月の米国のデイビスベッセ発電所などで、 類似の事故が発生し解析評価などに基づいた警告的なレポートも出されていた。 失敗を教訓とせず軽視してしまったために本事故が起きたと言える。
この事故で原発に対するそれまでの「安全神話」が吹っ飛び、 反原発の機運が高まるきっかけとなった。
【引用文献】
畑村洋太郎編著、実際の設計研究会著: 続々・実際の設計、日刊工業新聞社(1996)
原子力百科事典: http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/02070405_.html
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引用以上
この論文を引用していて、私は暗雲立ちこめる原子力産業に、深い絶望と恐怖しか感じることができなかった。
原子力産業=電力企業が、原発に関する破局的事故の確率をどうみていたかというと、実に1000万年に一回しか起きないと評価していた。
https://genpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/428
各界の原発推進著名人は、いまだにフクイチ事故について、以下のような恐ろしい考え方を捨てていない。
http://fight.ganriki.net/wise.html
現実には、原発メルトダウンという究極の恐怖事故は、実に10年に一度起きているのだ。フクイチ事故から10年を経て、我々は、次のメルトダウンに身構えなければならなくなっている。
スリーマイル事故を総括して得られた事故の本質は、主に二つ。
一つは、経済効率と安全性を天秤にかけて、メルトダウンが1000万年に一度しか起きないと断定した東大工学部のバカ先生らは、「そんなに事故が少ないなら、安全側より経済側に傾いた運営も許されるのではなか」と思い込んで、設計上の純正部品でなく、より安価なサードパーティ部品を選択したことで、深刻すぎる故障を招いた。
フクイチでいえば、炉心部の耐圧容器内シュミレーションにおいて、主配管は実行したが、たくさん出ている副次的な小配管は「金がかかる」という理由で、シュミレーション検査をしなかった。
これによって、ジェット計測配管ノズルが振動で折れて80気圧によって内部の冷却水喪失を招き、メルトダウンの直接の原因となった。
もう一つは、マニュアルや警報システムの問題だ。
スリーマイルの場合は、炉心主給水配管(自動弁?)が品質劣化によって故障し、それを知らせる、あらゆる警報が正しく作動せず、暴走を繰り返し、誰も手がつけられないメルトダウンに至った。冒頭の説明にあるように、警報システムについて、綿密なシュミレーションが行われていなかったために、運転員が判断不能に陥って事故を拡大したのはフクイチでも同じだった。
私は、これを読んでいて暗澹たる気分に陥ったのは、韓国の原発のほぼすべてで、はるかに深刻な部品信頼性の問題と、マニュアル信頼性崩壊、運転員練度の問題を抱えていることが分かっていたからだ。
韓国原発、「欠陥・事故」続出の恐ろしき実態…偽造部品納入は当たり前、放射能漏れ数値は18倍増に修正
https://www.sankei.com/west/news/141107/wst1411070063-n1.html
5月10日、メルトダウン寸前だった韓国・霊光原発 2019年05月22日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-750.html
韓国、古里原発の現状 2019年04月16日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-712.html
儒教思想の国では、何よりもメンツ・体面が最大の価値となり、「ものごとの悪い側面を見て全体の健全性を判断する」という管理の哲学を理解できている者は非常に少ない。
韓国人は「できないことでも、やれる」と思い込んでしまう習性があるのは、世界中で起きている韓国による産業事故が示している。
それは、韓国では、失敗の側面を深く追求しない伝統があるからだ。
https://www.news-postseven.com/archives/20130920_211016.html?DETAIL
韓国では旅客機のパイロット免許ですら裏口取得があるという。
https://www.tokyo-sports.co.jp/social/390135/
原発運転員も同じで、日本なみの知的水準(放管・原子炉主任免許レベルの)に達している管理者・運転員は非常に少ない。みんな体面だけの付け焼き刃運転員ばかりなので、深刻な事故が起きても、警報の意味さえ理解できないのだという。
これでは、複雑な多重トラブルが起きたとき、問題の本質を即座に把握して、適切な対応ができる信頼性は絶望的だ。
だから、私は、経済崩壊を来している韓国の原発群は、世界でもっとも危険だと指摘してきた。
日本では、関電の体質劣化から美浜原発など若狭原発群に大きな危機が常在していると考えるが、韓国の原発管理者は、給与が出ないだけで職場放棄しかねないのだ。
もちろん職場放棄は即メルトダウン事故だが、反日教育を受けた韓国人は、「韓国東岸原発群で大事故が起きても被害の大半は日本列島だから問題ない」と考えていると聞いたことがある。
もちろん、これは中国でも同じことだ。中国では、最近、長江での漁撈が全面禁止されたが、おそらく長江原発群で大規模な放射能汚染を起こしたにちがいない。
私は、長江の隠された原発群や中国独自開発の華龍は、必ず大事故を起こすと予想してきた。
韓国や中国の原発群がメルトダウン事故を起こすなら、その最大被害国は、季節風の関係から日本ということになるかもしれない。
だが、中国・韓国・日本のいずれも、原子力システムの統括的管理が可能な、冷徹な判断力を持った人材を見たことがない。
みんな大橋宏忠・諸勝宗男・関村直人のような自分の権益を姑息に守ることしかできないクズばかりだ。
そもそも、まともな判断力を持った人材なら、原発など採用するはずがない。自然エネルギーに向かうはずだ。
何より、我々は、産業と対峙するにあたって、何を最初に、最大に重視しなければならないかといえば、「ハインリッヒの法則」である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
人は必ず失敗するものであり、失敗を重ねれば巨大事故に至る。この世に「絶対」などありえない。この認識を前提にし、失敗を設計に組み入れた思想だけを後世に遺すことができる。
それは、高度、精密、危険なものであってはならない。かなり多くの人間による失敗を前提にした「緩いシステム」だけが安全性を保つことができる。
失敗の経験を、徹底的に俎上に載せて、何度も何度も繰り返し問題点を浮き彫りにする姿勢だけが、未来を保証することができる。
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