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※2020年11月25日 毎日新聞6面 紙面クリック拡大
毎日新聞、文字お越し
地元「原発マネー」依存 宮城・女川町 歳入の1割超 国、再稼働見据え交付金
東日本大震災で被災した東北電力の女川原発2号機(宮城県)。今月11日に地元自治体の同意を得て、再稼働に向けて動き出した。同意の背景には、国などから配られる「原発マネー」に深く依存する地元自治体の姿が浮かび上がる。
立地地域に1150億円
原発マネーのうち、自治体財政に影響を及ぼすものは「電源3法交付金」と呼ばれる。3法交付金はもともと原発の稼働実績に基づき、保育園や図書館などを建設して公共サービスの向上を図ることなどが名目だった。しかし、震災後に政府が名称や仕組みを変更し、長期にわたって原発を停止する場合でも立地自治体が交付金を受け取れるよう策を講じてきた。2020年度に国から立地地域に支給された交付金や補助金は、少なくとも約1150億円に上る。
停止中でも増額
女川町によると、震災が起きた11年3月が含まれる10年度に配られた3法交付金は約5億3000万円。その後はさらに増えているが、17、18年度には運転年数が30年を経過したことで配られる交付金(2基分で計10億8000万円)が支払われたこともあり、14億円超に膨れ上がった。19年度決算の一般会計(歳入)は309億円。3法交付金に原発立地による固定資産税(約27億円)を含めると、原発マネーは町歳入の1割超を占め、町にとっては貴重な収入源になっている。町の担当者も「財政面で大いに助けられている」と話す。
3法交付金のうち、震災前に比べて最大で3億5000万円増えていたのが「電源立地地域対策交付金」。例えば19年度は、社会福祉協議会職員7人分の給与(約2800万円)▽病院の電子カルテシステムの更新(約7700万円)▽体育館やテニス場、野球場の改修費(約2億4000万円)――などに支出され、公共サービスの向上を名目に幅広く使える。事業概要によると、事業費の1〜2割程度に地方税収を充てているケースが多かったが、運動施設の改修費は全額交付金で賄っていた。女川町に限らず、立地自治体は財政面で巨額の原発マネーに依存している。
都合良く制度変更
稼働停止中でも交付金が増える理由には、国の政策が深く関わっている。経済産業省は東京電力福島第1原発事故後、稼働停止中でも一定程度は稼働しているとみなすよう、制度の規定を見直した。その背景に「稼働停止中に交付金を手厚くすることで再稼働の同意を得やすくする狙いがあったのではないか」と、国際大・橘川武郎教授は分析する。町によると、運転年数に応じて交付額が増えるよう制度が見直されたことも、3法交付金が増えた要因だという。こうした見直しについては、政府内からも「経産省は(電力会社や原発の立地地域に資するように)都合良く制度を変えている」と疑問視する声もある。
また、原発の見学会や広報誌の発行などに充てられる「広報・調査等交付金」は、15年度以降は震災前と同水準(年間1000万円前後)に回復していた。ある大手電力会社幹部は「きめ細かな広報活動は再稼働には欠かせない」と必要性を語る。事業評価報告書によると、公共サービスの充実や広報関連の事業の大半が随意契約だったことも明らかになった。
再稼働後は、稼働実績に応じて電力会社から徴収した核燃料税も交付される見込みだ。下請けを含めた電力会社の従業員が定期検査の際に飲食店などを利用することで、地元が受ける「原発マネー」の恩恵はさらに大きくなる。明治大の田中秀明専任教授は「原発マネーはまさに交付金、補助金行政の極みだ」とこぼす。原発マネーへの依存を断ち切れない中、再稼働への地元の同意は必然だったのかもしれない。【高橋祐貴】
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