日産自動車は1980年代の時点で膨大な借入金を抱え、いつとん挫してもおかしくない状況にあった。しかし当時はナカソネの、膨大な赤字に苦しむ国鉄を攻撃するキャンペーンにより、世間から日産自動車の深刻な経営状況は完全に忘れられていました。 このままではダメだと石原体制は終焉し、技術者主導の久米体制になった。あの時、日産の社内は一挙に明るくなったそうです。ヨーロッパ車に対抗できる製品を開発して、盛り返そうと言う「901運動」ですが、これによって登場したプリメーラ、シーマ、シルビアは、性能の良さでトヨタに完全に勝ちました。 ところがバブル崩壊で、901運動で生まれた製品は価格が高かったことから売り上げが減少。膨大な開発費をこれから回収しようとした時点で、その回収のめどが立たなくなった。それで塙社長に交代した。塙社長は、目先の支出を減らす事ばかり頭にあったことから、開発費をカット。これで今までプリメーラやシーマに乗っていた顧客が逃げてしまった。 この頃には日本から離れていたので詳しいことは分かりませんが、これまで会社の資産を担保に気前よく貸してくれていた大銀行が、バブル崩壊で次々と経営危機に転落し、大蔵省・財務省の都市銀行統合政策と、行き詰まった銀行を破綻させる政策により、日産に貸し出していた金を回収しなければならなくなり、これまで隠していた経営危機が露呈してしまったのだと思います。 日産自動車は鮎川財閥だったので、現在はみずほ系らしいですが、このみずほ銀行になるまで、どれだけの都市銀行が合併したか。たまに日本に帰ってくると、銀行減ったなと思いました。京都の烏丸(からすま)通にひしめいていた多くの大銀行。跡地はみんなマンションになりました。 ★ゴーンは、こんな瀕死の会社に送り込まれた訳ですが、彼の力を持ってしても日産の「民僚」体質は変わらなかったのだと思います。ゴーンが乗り込んできてから、無意味な「高額ギャラの芸能人」をコマーシャルに頻繁に出す広告手法を辞めさせたのは正しいし、日産は他社より本当にひどかったですからね。 また過当競争を通り越して「消耗戦」になっていた販売系列を統合したのもよかったと思いますが、系列解体がグループの団結力を喪失させたことは否めません。1980年代、アメリカ帝国主義勢力が自動車ヘッドランプの小糸工業を買収しようとしたとき、トヨタは必死になって守りましたからね。 ゴーンは日産ディーゼルを売却し、日本ラヂエーター(註 今は別の社名です。)を系列から外し、トヨタと正反対の事をやった。これで部品メーカーの日産への奉公精神が一挙に失われた。合理性を優先する西洋社会とは違う日本社会に、あちらのやり方を持ち込んでも、日本では通用しませんよ。 そもそも1980年代中期の時点で、富士重工が日産から離れ、いすゞ・スズキ・GMと組んだことを思い出してほしい。あの頃から日産は、他社から見捨てられる傾向にあった。その富士重工もスズキも、今ではトヨタと資本提携しています。日本の自動車メーカーは、今やトヨタ・グループに一極集中している。 異常に高額なゴーンの報酬はフランスの労働組合からも批判されましたし、一方で生産規模拡大に邁進し、韓国のサムスン自動車を買収し、ロシアの元国営アフトワズを買収し、日本国内では三菱自動車を買収し、自らはインドネシアやタイに巨大工場を次々と建設。これでいくら使ったのか。 まるで1960年代にGMやフォードに海外進出で立ち遅れたクライスラーが、強引に英仏西の自動車メーカーを強引に買収したのと同じ。シムカの買収劇が酷すぎ、ドゴール大統領がホットラインでケネディ大統領に雷を落とした逸話が伝えられています。 ゴーンの日産も、海外進出に全力を注いで破滅した石原社長と同じ墓穴コースを走ってしまったことが分かります。その意味で、ゴーンも日産の「民僚」体質に汚染されたのかも知れませんね。 もうひとつの大失敗は、うちが語りつくした電気自動車の根本的な欠陥。バッテリーの冷却装置をカットしたばかりに、劣化が恐ろしい速度で進み、これが中古車市場における暴落に繋がっています。トヨタが手を出さなかったのは正しい。あんなのは、膨大な電力需要をつくりたいフランスのロスチャイルドの陰謀ですよ。 パナソニックもテスラにバッテリーを売ってますが、こちらはより深刻。突然発火、爆発する事件が連続して起こり、パナソニックは大赤字を出し津賀社長は、バッテリー事業の清算を迫られています。 ドイツメーカーもボッシュの燃料噴射装置の欠陥からディーゼル乗用車の排気ガス基準違反がバレて膨大な罰金を支払ったことから、電気自動車への転換を進めていますものの、プラグインハイブリッドのBMWの車種が発火しており、こちらも大変なことになっています。 BMW mystery fires: Parked cars have burst into flames https://www.youtube.com/watch?v=Us56c7yQAYY ★日産自動車に話を戻しましすが、ルノーサムスン自動車を買収したことから韓国製部品の使用率が日産自動車の製品も高まり、こちらオーストラリアでも日産とスズキは経年に伴う故障の多さが下取り価格の暴落を起こしていますからね。韓国車も新車販売は多いですが、レンタカー押し込み販売で数年は持つものの、払い下げ車は故障しまくりですからね。特に冷却系統が弱い。 日産車は品質の悪化でオーストラリアでも新車販売上位10社から脱落しかけており、将来は明るくないと思います。
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