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(回答先: 外国人投資家の正体と350兆円のゆくえ 投稿者 中川隆 日時 2020 年 12 月 08 日 08:56:20)
「官庁は学歴主義、民間は能力主義」
数学や物理が全く理解できない法学部卒でもやっていけるのは官庁だけ
毎年のごとく春先になると、週刊誌がこぞって出身高校別の難関大学合格者数のリストを掲載する。目を通す人が多いのは、やはり大学受験の成否が人生の一大事だと思うからだろう。
ただ、その一方、「実社会においては学歴や学校歴による能力差がさほどあるわけでもない」ということも、多くの人が日々実感していることではあるまいか。
実際のところ、出身大学によって出世はどのくらい左右されるのだろうか。経済学はこうした問題に対しても科学的なアプローチで解明を進めている。
現状分析〜学歴と年収の相関〜
アメリカ・テキサスA&M大学の小野浩助教授によるサンプル調査(日本人570人)によると、学歴と年収の相関は次のとおりになっている。
サンプルの平均値である偏差値52の4年制大学の卒業生は高卒に比べて年収が約30%高い。次に偏差値62の大学の卒業生は約42%も高くなっており、明らかに両者に相関関係が認められる。
ここで自然に出てくるのが次の疑問。
高い偏差値の大学を出た人の年収が高いのは、「大学名のブランド」のせいなのか」それとも「教育内容や個人の能力が優れていたおかげで高い実力を身につけたためか」。
≪セレクション(選別)仮説≫
この疑問に対してたとえば東大に入るくらいの能力(学力)のある人たちは、仮に東大に行かなかったとしても、もとより優秀なのだからいずれにしろ高収入を得ていただろうという仮説が成り立つ。
東大の卒業生が東大を出ていなかったらどうなっていたかを知る術はないので、この仮説の検証は不可能である。
ただ、それを可能にする歴史的な出来事が一つあった。東大は学園紛争のさなか、左翼学生にキャンパスを占拠されたため1969年の入学試験を行わなかった。
よって、この年東大進学を考えていた高校3年生や浪人生の多くは進路を切り替え、京大、一橋大、東京工大などに進んだといわれている。
セレクション仮説にしたがえばこの人たちは普段の京大、一橋大、東工大の卒業生よりも優秀なはずだから、前後の1968年や1970年の入学生よりも出世しているはず。
そこでこの仮説を著者が実際に、「会社職員録」「『政界・官庁人事録」などにより検証した。1969年入学といえば、順調であれば卒業は1973年となり年齢にすると現在59歳前後になる。
以下、詳細な数値のもとに検証されていくが、ややしつこくて細かすぎるようなので(笑)、概略を述べよう。
まず民間企業、中央官庁における出世率を算定する。
因みに出世率とは、民間企業と中央官庁で役職(民間は部長以上、官庁は課長以上)にある人数が各大学の推定卒業生数に占める割合。(大学ごとの出世率が数値で示されているが省略)。
意外なことに東大卒の民間企業での出世率は一部の私大よりかなり落ちる。
その一方で、中央官庁における出世率は他大学をはるかに圧倒しているので、ここでは分かりやすいモデルとして中央官庁にしぼって検証した結果、興味ある結果が出された。
1973年卒業(1969年入学)の京大以下2大学の出世率は明らかにその前後よりも高くなっており、一見セレクション仮説の正しさを示しているかに見えるがその空白(東大卒の不在で空いたポスト)をカバーしているのは半分程度に過ぎず、全体的には1973年卒前後の東大卒業生が穴埋めをしている傾向がはっきりと伺われた。
このことは結局、中央官庁に限っては東大を卒業することが出世には確実に有利であることを示しており、能力よりも学歴がものをいうことが概ね証明された。
「官庁は学歴主義、民間は能力主義」というのは以前から指摘されていることだが少なくともこのことを裏づけする形となった。
仕事の質が官庁とはまるっきり違う民間では出世率からみた場合、ブランドとしての大学名はあまり通用しないことを逆に浮き彫りにしている結果となっている。
というわけです。
- 橋洋一に騙されるな 弱者を切り捨てる令和2年度第3次補正予算案(室伏謙一) 中川隆 2020/12/19 12:14:23
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