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日ごとに衰えるウクライナ平和の可能性
2022年8月1日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook
欧米メディアの傑出した特徴の一つは、集団で記憶喪失する能力だ。これは、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦に対する現在の対応以上に、明らかなものはない。欧米政治家が今の戦争をいさめるのを聞いていると、連中による過去60年あるいは70年にわたる外国内政への欧米侵略を忘れるよう実質的に説得されているように感じてしまう。
ベトナムから話は始められる。ディエンビエンフーでのフランス敗北後、北の指導者ホーチミンの下で、国を統一する舞台が整った。それは、フランスに代わり、国の分割を確保するためにやって来たアメリカに阻止された。アメリカは、何十年間も腐敗した南ベトナム政権を支えた。この熱心な取り組みは、オーストラリア政権を含め、複数のヨーロッパ政権に支援された。オーストラリアの関与は、1972年、ゴフ・ホイットラム労働党政府が選ばれて、ようやく終わった。
この撤退は、アメリカによって重大な裏切り行為と見なされた。それはアメリカが、ホイットラム政権の敗北を確保するため、以後三年にわたり、勤勉に働く動機となった。ホイットラム政権が一期しか続かないようにするアメリカの勤勉な企みに関しては、ごくわずかしか書かれなかった。ジョン・カー卿が実際は、アメリカの忠実な追随者だった事実に対しては、実に僅かしか注意が払われず、焦点は、労働党政府を解散させた総督の行動に当てられた。
ホイットラム政権が敗北する頃、アメリカはベトナムからの不名誉撤退に追い込まれていた。連中が今中国との対決で、同盟者になるようベトナムを口説こうとしているのは、アメリカ独特な思い上がりの特徴だ。この思い上がりを、あからさまに示したのは、2021年8月、率直に言って恥ずかしい悪戦苦闘した全く不成功なカマラ・ハリス副大統領のベトナム訪問だ。彼女が中国の「いじめ」と表現するものに対し、行動をとるようベトナムを促したのだ。
ジョー・バイデン大統領は、中国主席を表現するのに穏やかな言葉を使うよう配慮し、最近習大統領と電話で話をした。これは、彼がロシア大統領を頻繁に侮辱する態度とは顕著な対比だ。ロシアとアメリカ大統領が接触していないにもかかわらず、最近、バイデンの国務長官はロシア外務大臣との会話を求めた。
会話のロシア版表現(アメリカ版は執筆時点で利用できなかった)によれば、それが行われた事実は注目に値するが、友好的な電話ではなかった。会話のロシア側説明によれば、ラブロフは譲歩する気はなかった。彼は「目標と課題は完全に達成される」と強調して、ウクライナでのロシア作戦について話した。
「紛争を長引かせ、被害者の数を増やし、キエフ政権の苦しみを引き延ばす」だけの兵器でウクライナを武装していると、ラブロフはアメリカを非難した。
ラブロフはグローバル食品安全保障問題にも焦点を当て、食品輸送をアメリカ通商停止から免除する約束をアメリカが守らないのは遺憾だと言った。自身の地政学的権益を推進するため問題を利用したと欧米を非難した。これは受け入れられないとラブロフは述べた。
ブリンケンの態度は、ウクライナの食料輸出船舶の出港に対する制約はロシアのせいだというものだった。これはアメリカの二重思考の典型だ。港に機雷を配備したのはウクライナなのだ。民間船舶の動きに対しては、ロシア人による障害はなかった。彼らには、鉄道で彼らの穀物輸出品を輸送する選択肢があるのに、自身の行動の結果を、ロシアのせいにするのを好むのだ。
ブリンケンがラブロフと電話会談した事実は注目に値する。わずか三週間前、7月7日と8番日、ラブロフも出席していたため、ブリンケンはG20閣僚公式宴会出席を拒否していた。今彼は、わざわざ電話する羽目になっている。
アメリカのロシア制裁は失敗したというのが彼の認識だ。五カ月前の二月に、ロシアのドンバス介入後に課された際、アメリカとヨーロッパは、制裁がロシア経済を屈服させると確信していた。プーチン大統領、もはや彼の国を支配するのは不可能だと連中が信じた男の差し迫った打倒に確信をもって、連中は騒音さえ立てていた。
崩壊どころか、ロシア経済は非常に順調だ。ルーブルは非常に長期間、ユーロと米ドルに対し最高レベルだ。アフリカ、アジアや中南米の世界の圧倒的多数の国々は、欧米制裁に参加していない。ブリンケンがラブロフとの会話を要求してていた時、ラブロフは大成功のアフリカ訪問を完了していた。
ロシアは経済的に、ヨーロッパを逆転し、ヨーロッパ諸国に対し、エネルギー供給と他の商品を大いに制限した。彼らの痛みの悲鳴をロシアは無視した。連中の二重基準は驚くべきほどだ。ヨーロッパは、遠慮なくロシアに制約を課し、ロシアに帰属する何億ユーロを奪いさえした。ロシアが、ヨーロッパに圧力をかけると、痛みでキャンキャン鳴き、ロシア・ガスなしの今冬、凍るのを防ぐ恐怖について悲惨な予測をしている。
これは避けられたはずの大惨事だ。ヨーロッパ制裁政策の主要構築者の一人、ウルスラフォン・デア・ライエンは、今や欧州委員会委員長としての職を失う可能性に直面している。フォン・デア・ライエンのロシアに対する個人的憎悪が、業務責任を見えなくさせたのだ。
危機は、ヨーロッパ諸国内でも反響している。四つの政権が既に敗北し、九分九厘、ドイツを含め、更に多くが続くのは確実だ。連立政権少数派、ドイツ緑の党は、ロシアに対する憎悪で判断が支配されている。彼らはその愚に対し選挙で代償を払うだろう。
ロシアも、ウクライナに対する作戦で着実に進歩を遂げている。自身の地位が益々維持困難に見える大統領の主張にもかかわらず、ウクライナが、これ以上どう生き残れるか考えるのは困難だ。
3月、ウクライナには、今目的を実現する可能性より、遙かに好ましい条件で、問題を解決する機会があった。それに対する責任は、最後のウクライナ人まで戦争を続ける決意が固いアメリカにある。彼らの立場は、どんな共感を得るのも困難だ。
ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/08/01/the-prospects-for-peace-in-ukraine-diminish-by-the-day/
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