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劣勢のウクライナ軍は米英から供給された高性能兵器でクリミア攻撃の可能性
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202207190000/
2022.07.19 櫻井ジャーナル
ウォロディミル・ゼレンスキー政権は西側から高性能兵器を供給されている。フランスから供給されたカエサル155mm自走榴弾砲、アメリカから供給されたHIMARS(高機動ロケット砲システム)、またイギリスから供給されたM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)などだが、そうした兵器を使い、ウクライナ軍はドンバス(ドネツクやルガンスク)の住民を狙い、殺傷している。
ドイツの情報機関「BND(連邦情報局)」が分析したように、ゼレンスキー政権が送り込んだ戦闘部隊は7月いっぱいで抵抗を終えざるをえず、ロシア軍は8月にドンバス全域を制圧できるという状態だった。そのため、アメリカ/NATOは高性能兵器を急ピッチで投入、操作技術を訓練してきた。HIMARSやM270 MLRSの射程距離は約80キロメートルだとされている。ロシア軍の攻勢を抑えられないゼレンスキー政権はクリミアをHIMARSで攻撃すると言い始めた。
クリミアは2014年3月16日に実施されたロシアと統合を問う住民投票で圧倒的な賛成でロシアと統合されている。キエフでネオ・ナチが行っている残虐行為を知ったクリミアの住民は住民投票を実施、80%を超える住民が投票に参加して95%以上が加盟に賛成したのだ。そこで、ロシア政府はクリミアをロシア領と考えている。クリミアが攻撃された場合、これまでとは次元の違う攻撃をロシア軍は始めるだろう。
バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行したのは2013年11月から14年2月にかけての時期。2010年の大統領選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチは暴力的に排除された。
ヤヌコビッチの支持基盤、つまりウクライナの頭部や南部の住民はキエフで誕生したクーデター体制を拒否、クリミアはロシアとの統合を選んだ。他の地域でもクーデター体制を拒否する動きが広がり、それを鎮圧するためにネオ・ナチが動いた。オデッサでは住民が虐殺され、5月9日にはドネツクのマリウポリへクーデター政権は戦車部隊を突入させて住民を虐殺している。
それでも住民はクーデターを拒否、5月11日にドンバスで自治(ドネツク)や独立(ルガンスク)の是非を問う住民投票が実施された。ドネツクでは89%が賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が賛成(投票率75%)している。この結果を受け、ドンバスの住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は助けず、キエフ政権と反クーデター派の住民との間で戦争が始まった。
ウクライナのクーデターは長い準備期間を経て実施されたのだが、同国の政治家、オレグ・ツァロフは2013年11月20日にクーデター計画の存在を議会で指摘していた。そのツァロフは今年2月19日に緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出している。
ツァロフはアピールの中でウォロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始すると警鐘を鳴らしたのだ。その作戦はロシア語系住民を狙った「民族浄化」で、キエフ政権の軍や親衛隊はこの地域を制圧、自分たちに従わない住民を虐殺しようとしていると主張、SBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行するともしていた。
ツァロフがアピールを出した3日後にロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を開始、航空基地を破壊されたと言われている。同時にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われた。
ロシア軍はターゲットを破壊しただけでなく、部隊を派遣して重要文書を回収している。そうした文書の中には、ゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて親衛隊のニコライ・バラン上級大将が1月22日に攻撃の指令書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まっていたことを示すものが含まれていた。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたとしている。
その計画が始動する直前にロシア軍が動いた。住民をウクライナの親衛隊は人質のとり、脱出を図った人などを殺傷しているが、少なからぬ住民がロシア軍の救出され、アゾフ大隊などクーデター体制側の残虐行為を証言している。
現地には西側のジャーナリストも入っている。ロイターのように住民の証言を切り刻み、西側の好戦派が描くシナリオに沿った話に仕立て直すケースもあるが、独立系のジャーナリストは事実を発信している。
ドイツのシュピーゲル誌の場合、ロイターの記者によるインタビューのオリジナルを流して話題になった。マリウポリのアゾフスタル製鉄所から脱出したナタリア・ウスマノバの証言を3分間の映像付きで5月2日に伝えたのだが、ロイターが流したのは1分程度だった。ロイターが切り捨てた約2分間も含まれていたのだ。そこには残虐な親衛隊からロシア軍が救ってくれたという証言が含まれていた。シュピーゲル誌は慌てて掲載した映像を削除している。(インタビューのロイター版と削除部分の映像:ココ)
独立系ジャーナリストの情報を西側の有力メディアは無視するが、それだけでなく、ウクライナ軍による住民への攻撃を伝えていたドイツのジャーナリスト、アリナ・リップは言論規則に違反しているとして起訴され、懲役3年を言い渡される可能性がある。
ゼレンスキーが行っている言論統制は苛烈だ。今年2月24日にロシア軍がウクライナを攻撃した当初から、キエフ政権の治安機関であるSBU(ウクライナ保安庁)はロシアと話し合いで問題を解決しようと考える市長を処分、ルガンスクのボロディミル・ストルク市長は3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡している。
3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上でSBUの隊員に射殺され、3月7日にはゴストメル市長だったのユーリ・プライリプコの死体が発見された。ウクライナでは11名の市長が行方不明だとも言われている。元SBU将校のバシリー・プロゾロフによると、SBUには「死の部隊」がある。
SBUのチームによる「国賊狩り」も宣伝されていたが、これはウクライナ国民を恐怖させ、命令に従わせることが目的だろう。4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組に登場、「全ての裏切り者を処刑する」と語った。そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。
キムにとって「裏切り者」とはゼレンスキーの政策に同意しない人びとだ。そのゼレンスキー政権は2022年3月19日に11の野党を禁止、政府の政策を支持する放送局以外のメディアは消えたと言われている。
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