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戦力が大幅に低下したキエフ軍をテコ入れするためCIAはシリアで戦闘員を雇用
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202207020000/
2022.07.02 櫻井ジャーナル
シリアではクルドがアメリカの手先として戦闘を続けているが、そのクルドに拘束されているDAESH(IS、ISIS、ISILなどとも表記)の戦闘員をCIAは雇い、ウクライナでロシア軍と戦わせようとしているとロシアのメディアが伝えている。
DAESHはアル・カイダと同じように、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を中核メンバーとする傭兵集団。イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックが2005年7月にガーディアン紙で説明したように、「アル・カイダ」はCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン(イスラム戦士)」の登録リストだ。アラビア語でアル・カイダはベースを意味、データベースの訳語としても使われる。
ウクライナではキエフ政権軍の犠牲者が多く、投降する兵士も少なくないという。ドイツの情報機関「BND(連邦情報局)」が分析しているように、このまま進むと、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー政権は7月いっぱいで抵抗を終えざるをえなくなり、ロシア軍は8月にドンバス全域を制圧できると見られている。
ドンバスでウクライナ軍が組織的に戦うことができなくなると、一気にドニエプル川までロシア軍は制圧する可能性があるが、そうしたことにならないよう、ジョー・バイデン米政権やボリス・ジョンソン英政権はキエフ軍がロシア軍と戦い続けることを強要している。
ネオ・ナチは米英に同調しているが、戦力の大幅な低下は否定できない。そこでアメリカ/NATOは高性能兵器を供給、戦闘員の補充を図っている。
フランスから供与されたカエサル155mm自走榴弾砲でドンバス(ドネツクとルガンスク)の住民は6月6日から攻撃されているが、アメリカはHIMARS(高機動ロケット砲システム)を、またイギリスはM270 MLRS(M270多連装ロケットシステム)を引き渡しつつあるが、操作方法がわからなければ仕方がない。そこでジョンソン政権はイギリスでウクライナ兵に操作方法を訓練していると伝えられている。
アメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に排除したが、ウクライナ全域を制圧するには戦力が足りない。その一方、ネオ・ナチから命を狙われていたベルクト(警官隊)の隊員やクーデター体制を受け入れられないウクライナ軍の兵士やSBU(ウクライナ保安庁)の隊員がドンバス(ドネツクとルガンスク)軍に合流している。
そこでアメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んで兵士を訓練するだけでなく、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の作戦に参加させたと伝えられている。2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたともいう。
訓練だけでなく実戦に参加しているとする情報もある。ニューヨーク・タイムズ紙によると、CIAだけでなくイギリス、フランス、カナダ、リトアニアの特殊部隊員がウクライナ国内で活動。主に首都のキエフで活動しているとされているが、ドンバスにもいるようだ。
また、ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナで取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加していると伝えていたが、こうしたことも続いているだろう。アメリカ陸軍の第10特殊部隊グループはドイツで訓練の準備を秘密裏に進めているともいう。
CIAと軍の特殊部隊が連携して作戦を遂行することは珍しくない。その源流が同じだということは本ブログで説明した通りだ。
ウクライナでも好戦的な姿勢を見せているNATOはソ連軍の侵攻に備えるために組織されたとされているが、これは表向き。実際はヨーロッパ支配の仕組みであり、左翼勢力を潰すために秘密部隊のネットワークも存在する。おそらく、その中で最も有名な部隊はイタリアのグラディオだ。
グラディオは極左を装って爆弾テロを1960年代から80年代にかけて繰り返す。人びとは治安体制の強化を容認し、左翼を拒絶するようになる。支配層の作戦は成功した。この作戦でもナチスを含むファシストのネットワークが協力している。
NATOの秘密部隊ネットワークはNATO加盟国全てに張り巡らされているが、未加盟のウクライナにも侵入している。ウクライナのネオ・ナチで最も強い影響力を持っていると思われるドミトロ・ヤロシュは同国軍参謀長の顧問を務めているが、NATOの秘密部隊に参加していると言われているのだ。
ヤロシュはドロボビチ教育大学でワシル・イワニシン教授に学んでいるが、この人物はステパン・バンデラ派のOUN-B人脈が組織したKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)の指導者グループに属していた。この教授が死亡した2007年にヤロシュは後継者に選ばれ、NATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われているのだ。
その年の5月にウクライナのテルノポリで開かれた欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議で議長を務めている。ヤロシュたちは世界ネオ・ナチとネットワークを構築する一方、サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団と連携していたと言える。
クーデター直後の2014年3月、ヤロシュは声明を発表し、その中でチェチェンやシリアでロシアと戦ったサラフィ主義者などイスラム系の武装集団への支援を表明している。クーデターの際、チェチェンでロシア軍と戦っていた人物が参加していたこともわかっている。ウクライナでロシア軍と戦わせるためにジハード傭兵を使っても不思議ではない。
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