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ロシア兵は戦地で家電漁り兵器補修…食洗機や冷蔵庫の“軍事転用”で見えた苦戦ぶり
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/305180
2022/05/14 日刊ゲンダイ
長期戦を覚悟(C)ロイター
ウクライナ東部の制圧に苦戦しているロシア軍。プーチン大統領は長期戦を覚悟しているといわれるが、最前線で戦う軍の装備は耐えられるのか。ロシア兵たちは現地で「家電」を漁って、半導体を軍事転用しながら、「プーチンの戦争」に付き合わされている。
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米国のジーナ・レモンド商務長官は11日、上院公聴会で「ウクライナ側からの報告によれば、ロシア軍の装備に食洗機や冷蔵庫から取り出した半導体が使われている」と指摘。ウクライナ軍が、接収したロシア軍の戦車を調べた際、入手困難な部品が冷蔵庫などの部品で補われていたという。そもそも、家電に使われている半導体を軍事転用できるのか。
「半導体の処理能力によります。例えば、戦闘機の自動操縦用に代替できなくても、ミサイルやロケットを着弾させる誘導装置には使える可能性があります。家電とひと口に言っても、『スマート家電』のようにさまざまな機能を備えていれば、それだけ高性能の半導体を使っていると考えられる。軍事転用できないこともないでしょう」(軍事ジャーナリスト・世良光弘氏)
まさか家電を漁って兵器を補修しているとは、苦戦しているにも程がある。なぜ、こんな窮地に立たされているのか。
軍事通信技術も10年以上改善せず
「見てくれ」は立派だが…(ロシアの軍事パレード)/(C)ロイター
「軍事侵攻前から続く世界的な半導体不足に加え、ロシアは半導体の大部分を輸入に頼っていました。ほとんど自国生産しておらず、そもそも電子部品に弱い国なのです。戦車や戦闘機といった軍事兵器は数年おきに『近代化改修』、つまりバージョンアップをしなければ戦場で使い物になりません。装甲を厚くするなどの物理的なアップデートだけではなく、当然、操縦に欠かせないソフトウエアの更新も必須です。ロシアもウクライナも主力戦車として旧ソ連製の『T-72』を使っていますが、同じ設計でも、改修しているかどうかで性能に大きな差が出ます。半導体不足と近代化改修の遅れによる影響が、西側諸国からの制裁によって顕著に表れているのでしょう」(世良光弘氏)
米国からロシアへの半導体やアビオニクス(航空電子機器)などの輸出量は前年比85%減。制裁がロシア軍の苦戦に拍車をかけているのは間違いない。
英国防省が13日公表した戦況分析によれば、ウクライナ軍の孤立化を狙うロシア軍は渡河作戦に失敗。ウクライナ軍に阻止され、少なくとも1つの大隊戦術群(BTG)が装甲機動部隊を失ったという。
「特殊作戦の得意なプーチン大統領は、総力戦で戦う軍隊の整備を怠ってきたのではないか。戦闘機や長距離ミサイルといった見てくれの良い大型兵器にこだわるばかりで、通信や電子技術への軽視がうかがえます。2008年にグルジア(ジョージア)へ侵攻した南オセチア紛争では、通信妨害に遭ったロシア軍の前線部隊が現場の特派員記者に携帯を借りていたといいます。その頃から10年以上、軍事通信の技術は改善していない。見てくれに力を入れてきたロシア軍は、まるで『ハリボテ』です」(筑波大名誉教授・中村逸郎氏)
ウクライナ軍の反転攻勢がささやかれ始めた。プーチンの“虚勢”はいつまで続くのか。
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