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アゾフスタル製鉄所の住民は親衛隊の人質であり、露軍は脱出を妨害しない
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202205080000/
2022.05.08 櫻井ジャーナル
マリウポリのアゾフスタル製鉄所にウォロディミル・ゼレンスキー政権側の親衛隊が立てこもっている。ロシア軍が攻撃を手控えている理由は住民が人質にされているからだ。住民の避難をロシア側が妨害するはずはない。すでに脱出した住民は異口同音に、脱出を試みる住民をアゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)が射殺するだけでなく、建物を破壊、住民や捕虜を拷問、若い女性をレイプしていると告発している。(例えばココやココだが、脱出した住民が増え、少なからぬ映像がインターネット上にアップロードされている。)
アゾフ大隊を含む親衛隊は内務省に所属、その主力はネオ・ナチのメンバー。バラク・オバマ政権を後ろ盾とするネオ・ナチは2014年2月22日にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除、クーデター政権は3月13日に内務省の機関として親衛隊を設置した。
アゾフ大隊は右派セクターを基盤としているが、この右派セクターは2013年11月にドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーによって組織されている。クーデターを成功させた右派セクターは2014年5月2日にオデッサで反クーデター派の市民を虐殺した。
その日、オデッサではサッカーの試合が予定されていて、フーリガンを含むファンが列車で街に集まっていた。その一団を右派セクターが挑発、ファンの集団を反クーデター派の住民が2月から活動の拠点にしていた広場へと誘導していく。
一方、ネオ・ナチのメンバーは広場に集まっていた住民に暴漢が迫っていると伝え、労働組合会館へ避難するように説得、女性や子どもを中心に住民は建物の中へ逃げ込む。その建物の中でネオ・ナチのグループは住民を虐殺、上の階へ逃げた人びとを焼き殺すため、放火したのだ。
当時の状況を撮影した映像を見ると、屋上へ脱出できないようドアはロックされ、外へ逃げた住民は撲殺されている。会館の外で撮影された映像は少なくないが、虐殺を終わった後に内部の無残な様子を撮影した映像もある。
この時に50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎない。地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地の人は語っていた。
その3日後に右派セクターは「アゾフ大隊」になり、今では親衛隊の「アゾフ特殊作戦分遣隊」と呼ばれている。この武装グループを当初率いていたのがビレツキー。その拠点がマリウポリだ。
5月9日にはクーデター軍の戦車がマリウポリの市内へ突入、住民を殺している。その様子も携帯電話で撮影され、世界へ流された。デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にクーデター政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺しているが、その様子を撮影した映像もインターネット上にアップロードされていた。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆があったことを認めている。マリウポリの住民にとってアゾフ大隊は占領軍ということになる。
右派セクターをビレツキーと組織したヤロシュをゼレンスキー大統領は昨年11月2日、ウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官の顧問に据えた。ウクライナ軍もネオ・ナチの支配下に入ったということだが、そのネオ・ナチはNATOにコントロールされているはずだ。
ジョー・バイデン大統領の軍事顧問で、2013年5月から16年5月までSACEUR(NATO欧州連合軍最高司令官)を務め、ネオコン/シオニストと強く結びついているフィリップ・ブリードラブ大将は核戦争への恐怖がプーチンに対する適切な対応を西側はとれないのだと主張しているが、NATOはロシアに対して好戦的だ。
それに対し、アメリカの統合参謀本部は自重している。例えばニューズウィーク誌によると、軍の情報機関DIAはロシア軍が長距離ミサイルで攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定している。
また、アメリカ政府が宣伝している生物化学兵器による「偽旗攻撃」について、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っている。
2022年4月13日にロシア海軍のミサイル巡洋艦モスクワが攻撃され、その翌日に沈没したが、その攻撃についてアメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズやネットワーク局NBCはアメリカが提供した情報が役立ったと伝えているが、国防総省は否定している。真偽は不明だが、ウクライナへアメリカが情報を提供したとするならば、アメリカ軍ではなくCIAだろう。
モスクワの爆発について、アメリカ国防総省のジョン・キルビー広報官はミサイルや魚雷が命中したか、内部で起こった何かだとしている。つまり原因は不明だと言っている。
ウクライナ側は2機の対艦ミサイル「ネプチューン」が命中したとしているのだが、このミサイルは亜音速でモスクワを撃沈するほど爆発力は大きくない。モスクワの防空システムなら容易に撃墜できるとも言われている。つまり、ネプチューンが撃沈させた可能性は小さい。
そこで注目されているのが2機の電子偵察機。アメリカのP-8AとイギリスのRC-135だ。そのほか無人機のRQ-4も飛行していたという。また炎上するモスクワの写真から魚雷による攻撃を受けたのではないかと推測する人もいる。ミサイルならアメリカ軍もすぐにわかったはずだ。
実際、キルビーも可能性のひとつとして魚雷を上げていたのだが、もし魚雷だとすると、潜水艦から発射されたのではないかという疑いが出てくる。ウクライナ軍の攻撃で沈没した可能性は小さいのだが、アメリカ軍でもないだろう。
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