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ロシア最強軍艦あえなく撃沈…「プーチンの戦争」は“勝負の2週間”も敗色濃厚
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/304011
2022/04/16 日刊ゲンダイ
沈没した「モスクワ」(C)ロイター
「プーチンの戦争」はガタガタだ。ロシア軍黒海艦隊の旗艦であるミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没。ウクライナ軍の国産地対艦ミサイル「ネプチューン」が着弾し、致命傷を負った公算大だという。軍事大国の誇りも戦術も一層ズタズタ。ウクライナ南部の港湾都市オデーサへの上陸作戦は遠のき、5.9対独戦勝記念日に向けた「戦果」の獲得は極めて危うくなってきた。
◇ ◇ ◇
ウクライナ軍南部司令部は14日、「黒海で地対艦ミサイルのネプチューンがロシア海軍巡洋艦のモスクワに当たってダメージを与えた。嵐と砲弾の爆発で巡洋艦は転覆し、沈没し始めた」と発表。昨年導入されたネプチューンの射程は約300キロで、オデーサ沖約110キロでモスクワに命中したとみられている。
ロシアによる侵攻以来、最大の戦果を上げたウクライナ側は大盛り上がり。ゼレンスキー大統領が「ロシア軍の船は海に沈むしかない。ウクライナは世界の英雄になった」と言えば、アレストビッチ大統領府長官顧問も「とてつもない軍事的事件。第2次世界大戦以降に沈没した軍艦としては最大規模だ」と絶賛した。
一方、ロシア側は「撃沈」を頑として否定。弾薬の爆発による火災で船体が損傷し、悪天候の中で目的地までの曳航中に沈没したと言い張っている。というのも、全長186メートルを誇る巨大軍艦のモスクワは、ロシアの軍事力の象徴だからだ。旧ソ連時代のウクライナで建造され、1983年に就役。対艦、対空ミサイルによる強力な火力を備え、2014年のクリミア併合でも活躍。海軍の主要艦隊のひとつである黒海艦隊の司令塔としてウクライナ侵攻に参加し、南部に展開するロシア軍部隊を援護しつつ、ウクライナ軍による空挺部隊の送り込みを阻んでいた。
南部上陸作戦は1カ月後退
外交の舞台にもなった、ロシア軍最強の軍艦(C)ロイター
ロシア軍が戦線を左右する「核心」を失ったことで、戦況は分からなくなってきた。「ロシア軍は今後2週間ほどで東部で具体的な目標を達成したいと考えている」(米国防総省高官)というが、どうなるか。
軍事ジャーナリストの世良光弘氏はこう言う。
「モスクワ沈没は非常に衝撃的で、ウクライナ戦争の分岐点になるかもしれません。首都名を冠するモスクワはロシア軍最強の軍艦で、オデーサ上陸作戦に向けた指揮通信指令所の役割を担っていた。戦力喪失はもちろんのこと、全体の士気低下も避けられません。上陸作戦は1カ月ほどの遅れを余儀なくされるでしょう。戦勝記念日までに東部からクリミア半島につながる一帯を制圧し、『戦果』とするのはまず無理です。そうなると、ドネツクとルガンスクの東部2州の陥落に集中し、両軍の機甲師団によるガチンコの戦車対戦が繰り広げられるのではないか。報復として容赦のないキーウ再攻撃も想定され、ベラルーシから巡航ミサイルや弾道ミサイルを撃ち込んでくる懸念が高まっています」
ロシア国防省報道官は、15日未明にキーウ近郊にある軍事施設を巡航ミサイル「カリブル」で攻撃し、対空ミサイルシステムと対艦ミサイルの製造・修理工場を破壊したと発表。キーウへの攻撃を再開する姿勢を鮮明にした。侵攻開始から50日が過ぎたが、出口は全く見えない。
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