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「国際社会」は即時停戦実現に圧力を
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2022年4月 2日 植草一秀の『知られざる真実』
ロシアによるウクライナへの侵攻。
紛争の解決のために武力を用いたことは非難されねばならない。
しかし、紛争の解決に武力を用いてきたのはロシアだけでない。
2003年のイラク戦争との比較も重要。
イラク戦争は米国による侵略戦争だった。
イラクの罪なき市民の犠牲者数は数十万人に及んだ。
このとき、メディアはイラクの市民の側からの報道を展開したか。
米国の軍事侵攻によって無数のイラク市民が犠牲になったことを報道したか。
イラク戦争とウクライナ戦乱の報道落差を見つめることが重要。
ロシアでプーチン大統領支持率が大幅に上昇した。
西側メディアが総力を結集して、ロシアにおいてプーチン批判が沸騰していると大報道してきたのとは異なる現実が存在する。
この事実に直面すると、今度は、ロシアによるプロパガンダ流布と騒ぐ。
ロシアによるプロパガンダの前に米国によるプロパガンダを指摘するのが先。
ウクライナからの避難民が多数発生しているが、イラク戦争ではイラクからの避難民が多数発生した。
西側メディアはプロパガンダを実行しているからロシアのプロパガンダにも目が向かう。
情報源が西側メディアに偏れば真実を見誤ることになる。
異論を排除してはいけない。
異論のなかに真実がある。
ウィル・スミス氏がクリス・ロック氏を平手打ちした事案にも影響が波及している。
ウィル・スミス氏がロック氏を平手打ちした行為は非難されねばならない。
しかし、スミス氏がロック氏に平手打ちしたのには理由があった。
その理由を踏まえてスミス氏を擁護する意見も沸騰した。
ロシアが軍事行動を引き起こしたことは非難されねばならない。
しかし、ロシアが行動したのには理由があった。
その理由を踏まえればロシアの立場を理解する意見も浮上する。
この類似への警戒が急速に強まり、スミス氏攻撃が加速しているのだ。
スミス氏の行動こそ問題であるとの方向に事態を向かわせる情報操作が懸命に繰り広げられている。
焦りを感じているのはむしろ西側陣営であるのだと見られる。
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの軍事行動を回避するために行動するべきだった。
それが、ウクライナの国民の利益に沿う行動。
ウクライナはロシアを含めて東部2地域と「ミンスク合意」を制定している。
「ミンスク合意」は国連安保理で決議され、国際法の地位を獲得している。
ミンスク合意の核心は東部2地域に高度な自治権を付与すること。
このことで合意が成立した。
東部2地域が高度な自治権を獲得することには、もう一つの大きな意味がある。
ウクライナのNATO加盟が不可能になること。
だからこそ、ロシアはこの内容で同意した。
ところが、ゼレンスキー大統領はミンスク合意を踏みにじる行動を取った。
東部2地域の代表者を「テロリスト」と呼び、交渉そのものを拒絶した。
その上で、ロシアと軍事的に対決する路線を鮮明にした。
同時に、NATO加盟の方針を明確に示した。
ロシアが激怒するのは当然のこと。
ウクライナがミンスク合意を破棄してNATO加盟に突き進む行動を加速したのである。
その結果として、ロシアの軍事行動が生じた。
ロシアが軍事行動を起こすまでの経緯に関しては、ウクライナが悪いと評価するのが適正。
西側メディアはゼレンスキーを正義のヒーローに仕立て、ウクライナ市民が犠牲になっていることだけけを報じ、ゼレンスキー大統領の誤りを一切指摘しない。
偏向報道を正面から見つめる必要がある。
背後にあるのは米国一極主義の強制だ。
米国によるファシズムが加速している。
『日本経済の黒い霧
ウクライナ戦乱と資源価格インフレ
修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))
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