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https://parstoday.com/ja/news/middle_east-i95154
8年目に突入したイエメン戦争
3月 27, 2022 15:42 Asia/Tokyo
イエメンに対するサウジアラビア主導アラブ連合軍の戦争は26日土曜、同国ジッダにある石油企業・アラムコ社の石油施設への大規模な攻撃、および火災とともに、開始から8年目に突入しました。
アラブ連合軍は2015年3月26日、サウジアラビア寄りのハーディ・イエメン元大統領の復権を口実に、同国に対し開戦に踏み切りました。しかし、それから8年目を迎えた現在、マンスール・ハーディ元大統領はイエメン中央政権に返り咲くことはできなかったばかりか、同国首都サヌアには救国政府が発足し、イエメンの政界における最も統制が取れ組織だった勢力となっています。
この戦争のもう1つの側面は、イエメンが蒙った人的、物的被害です。複数の国際機関の報告によりますと、この戦争の直接的な影響により1万7000人以上が死亡したほか、数万人が負傷し、さらに450万人が難民化しています。一方で、イエメン国内のインフラ全体の85%以上がこの戦争で完全に破壊された、あるいは被害を受けています。加えて、イエメンに対する全面封鎖も、甚大な人的被害を引き起こしており、この影響で10万人以上が病死、餓死しているほか、数万人のイエメン人が今現在、致命的な疾病に罹患しているものの、封鎖が原因でイエメンに医薬品を送付する可能性は全くない状態となっています。
イエメン戦争の3番目の側面は、世界の有力国や国際機関の行動です。国際機関はこれまでに、イエメン国内での人道上の危機の発生に関する複数の報告を発表していますが、国連安保理はイエメン危機の中で大国の利益に足を取られており、現在までこの戦争の終結に向けて手を打つことはできていません。こうした中、ウクライナ危機において自らの人権への懸念を声高に叫ぶ西側の有力国は、イエメン危機においては事実上、我関せずと言わんばかりの態度を決め込み、しかもサウジアラビアの犯罪ぶりを幇助する有様です。最近の行動として、ジョンソン英首相はサウジを訪問し、同国への武器販売という形で、イエメンに対するサウジの犯罪を支援しています。世界における武器貿易に関する非公式の統計によりますと、イギリス政府は過去数ヶ月間で180億ポンド相当の武器をサウジに売却しています。
そしてこの戦争の4番目の側面は、イエメン国民のアプローチです。現在、イエメンの政治の舞台には3つの勢力が存在します。1つは、ハーディ元大統領系の勢力、イエメン南部の移行評議会、そして現在首都サヌアを支配する救国政府です。追放されたハーディ元大統領系の勢力は事実上しかるべき力を持たず、アラブ連合軍内にもその支持派は存在しません。また、南部移行評議会は、UAEアラブ首長国連邦の支持を受けており、ハーディ元大統領派の主要なライバルと化していますが、その一方でイエメンの勢力の一部には受け入れられていません。そしてそれらの勢力に対して、首都サヌアに本拠地を置く救国政府は、特に抑止力の強化や、サウジおよびUAEの中枢地点に打撃を与えることにより、アラブ連合軍と真っ向から対決する道を突き進んでいます。
このような流れの中、イエメンの政府軍と義勇軍は、この戦争の8年目の突入に際して、サウジ・ジッダにあるアラムコ石油会社の施設を攻撃しました。撮影された動画からは、アラムコ社の施設は完全に焼失している様子がわかり、その火災の状況は前代未聞のものです。また、伝えられるところでは、サウジの発電所もイエメンの政府軍と義勇軍の作戦により混乱し、稼動停止となっているということです。
イエメンの政府軍と義勇軍は、同国の封鎖が解除されるまでサウジへの攻撃を続行すると表明しました。この攻撃は、全面的な封鎖の打破に向けたイエメン人の決意や軍事的自信、そしてこの危機打開の唯一の方法としてのアラブ連合軍への抵抗への信念を物語っています。このため、アラムコ社の石油施設への攻撃に秘められたメッセージとは、サウジが確かにたとえ今回の攻撃に反撃し、イエメン民間人に対する犯罪を激化させるだろうとしても、対イエメン戦争の8年目がサウジにとって、これまでの7年間よりはるかに険しい茨の道となると示すことだと思われます。
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