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プーチンは正気か…米国元高官が警告していた「偶発核戦争の恐怖」
https://friday.kodansha.co.jp/article/233459
2022年03月11日 FRIDAYデジタル
核ミサイルの使用を示唆するプーチン氏。偶発的に核戦争が起きる危険性は十分ある(画像:ロイター/アフロ)
ウクライナで核兵器使用の危険性が高まる中、注目されている書籍がある。
20年7月に出版された『核のボタン 新たな核開発競争とトルーマンからトランプまでの大統領権力』(朝日新聞出版)だ。著者はクリントン政権などで国防長官を務めた「米国4賢人」の一人ウィリアム・ペリーと、防衛問題に詳しい政策ディレクターのトム・コリーナ。
同書では実際に起こっていた「核戦争の危機」を紹介しつつ、ミサイル発射が大統領の専権であることに警鐘を鳴らしている。序章では、米国とロシアが核攻撃をした場合の被害について次のように紹介されている。
〈両国の主要都市が消え、爆発と放射線で数千万人が一瞬のうちに死ぬ。幸運であっても、数億人が重傷を負う。しかし、生存者の手当てをする病院も医師もいない。(中略)燃えさかる都市からの煙や煤が地球を包み込み、何年にもわたって日光を遮って、核の冬がやってくる。日光も、熱も、食糧もない。2〜3年以内に70億の人類のほとんどすべてが飢餓に陥る〉
米国でもロシアでも、核攻撃の決定は大統領の専権事項だ。2月27日には、プーチン大統領が核ミサイルを含むすべての抑止力を「特別態勢」にするよう命令し使用を示唆。核戦争は、決して架空の話ではない。
大統領が大量の薬にアルコール……
たとえ冷静な判断ができ、有能とされる人物でも失敗は犯す。米国の歴代大統領にも、誤って「核のボタン」を押す危機がたびたびあった。核の専権が不安視されていたのだ。同書は次のように指摘している。
まずは、旧ソ連が核基地を設置した62年の「キューバ危機」を乗り越えたケネディ大統領(任期61年から63年)について。
〈慢性の強い痛みにさいなまれ、当時国民が知っていたよりも大量の薬を服用していた〉
81年から89年に大統領の座にいた、レーガン氏は……。
〈公式にはホワイトハウスを去った後の1994年にアルツハイマー病と診断されているが、在任中にその兆候が現れていた〉
最も不安視されたのが、〈アルコールを飲み過ぎる傾向があった〉ニクソン大統領(任期69年から74年)だ。73年に起きたアラブ・イスラエル紛争が核戦争の瀬戸際にあった時、ニクソン氏は酔って対応できなかったという。
この紛争にはソ連も関与。エジプトへ向けられた艦船には、核兵器が搭載されていた。同書には、大統領補佐官スコウクロフト氏と国務長官キッシンジャー氏の生々しいやり取りが掲載されている。
〈スコウクロフト「交換台がダウニング街10番地(英首相官邸)からの電話を受けました。30分以内に首相からの電話を大統領が受けられるかどうか聞いてきています。議題は中東です」
キッシンジャー「できないと言ってくれるか? 大統領と話したら、酔っぱらっていた」〉
泥酔したニクソン氏が交渉に参加していたら……。当時の政権スタッフは〈逆上した大統領が我々をホロコースト(大量虐殺)に突き落とす〉危機にあったと、振り返っている。
核兵器の使用を示唆するプーチン大統領も、常に正しい判断ができるわけではない。偶発的な核戦争は、いつ起きてもおかしくないのだ。
写真:ロイター/アフロ
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