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ウクライナ指導者はロシア軍に侵攻の口実を与えてしまった 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/302043
2022/03/04 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
ウクライナの親ロ派支配地域「ドネツク人民共和国」からロシア側に避難する娘を見送る父親(C)ロイター=共同
侵攻したロシア軍に対し、ウクライナ軍は首都キエフの占領は許さない──として徹底抗戦する様子が報じられている。ウクライナでは一般市民が義勇兵として戦うために延々と列をつくっていたが、彼らの多くの命が脅かされている状況を想像するだけでも胸が痛む。
ロシアの侵攻は必然だったのだろうか。あるいは避けられたのだろうか。私は避けられたと思う。なぜなら、今回のロシア軍の侵攻は、@ウクライナのNATO参加の可能性が高まり、それを阻止するためAウクライナ東部2州の独立支援の2つを目的としているからだ。
後者のケースから考える。
世界各地に多民族国家がある。代表的なのはカナダである。フランス語を話す人々はケベック州を中心にカナダの人口の20〜30%。この中、カナダは英語、フランス語を公用語とした。英語だけにすれば、フランス語を主体とするケベック州が独立する可能性があったからだ。
ウクライナの東部2州はウクライナ語を母国語とする人口が約3割、ロシア語を母国語とする人口が約7割である。これらの地方では両言語を公用語とする可能性はあったが、ウクライナ政府はそれをせず、ウクライナ語を話せない人々を公的職場より排除。このために独立運動が起こり、それが武力衝突にエスカレートしたのである。
もし、ウクライナ政府がこの地方で2言語の公用語を認め、同等の対応をしていれば、ロシアの侵攻理由の1つは消える。
ウクライナが通常の経済、文化、社会面で西側諸国と交流している時に、ロシアはそれを止めるために軍事侵攻するだろうかといえば、それはないだろう。一方で、ウクライナがどうしてもNATOに加盟しなければならないという理由もない。
ウクライナがNATOに加盟すればどうなるのか。NATOはロシア向けの中距離・短距離弾道ミサイル(いずれも核弾頭の搭載可能)の配備が可能になる。しかし、ロシアはこれを許せない。従って侵攻したのである。ウクライナがNATOに加盟しなければならない絶対的な理由はなく、ロシア軍に侵攻させない措置を取ることは十分、可能だった。
ウクライナは「我々が守ってあげる」という甘い言葉にだまされ、NATO及び米国のネオコングループとの関係を強化した。それが結果的にロシア側の侵攻を許す“口実”を与えてしまった。
ウクライナの指導者がロシアを過度に刺激しなければ無駄な死を招くことはなかっただろう。
孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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