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米国のインド・太平洋軍は大規模な軍事演習「LSGE21」を実施、自衛隊も参加
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202108060000/
2021.08.06 櫻井ジャーナル
アメリカのインド・太平洋軍司令部は「LSGE21(2021年大規模演習)」と名づけられた艦隊演習を行っている。40年ぶりの大演習だという。当初、LSGE21は8月2日から27日までの期間、実施すると伝えられていたが、8月3日から16日に短縮されたようだ。アメリカの海軍と海兵隊が演習の主体だが、アメリカの陸軍、空軍、海軍、海兵隊、そしてイギリス軍、オーストラリア軍、自衛隊も合流しているという。
インド・太平洋軍は日本を太平洋側の拠点と位置づけ、インドをインド洋側の拠点にし、インドネシアが領海域をつなぐとされている。ところがインドはアメリカとの距離を置き始め、インドネシアもアメリカの思惑通りには動いていない。今回の演習でアングロ・サクソン系の国以外で参加しているのは日本だけだ。
今から38年前、1983年の4月から5月にかけての期間にアメリカ海軍は千島列島のエトロフ島沖に3空母を中心とする機動部隊群を終結させて大規模な艦隊演習「フリーテックス83」を実施した。エンタープライズ、ミッドウェー、コーラル・シーがその空母だ。
この演習では空母を飛び立った艦載機がエトロフ島に仮想攻撃をしかけ、志発島の上空に侵入して対地攻撃訓練を繰り返したというが、日本のマスコミはこの重要な演習を報道せず、香港の英字週刊誌に嘲笑されていた。ある著名な「軍事評論家」によると、この演習について取材すること自体が「政治的行為」なのだそうである。
その直前、1983年1月に内閣総理大臣に就任して間もない中曽根康弘はアメリカを訪問、ワシントン・ポスト紙に対し、「日本列島をソ連の爆撃機の侵入を防ぐ巨大な防衛のとりでを備えた不沈空母とすべき」であると語っている。中曽根は「不沈空母」でなく「巨大空母」と表現したとうが、本質的な差はない。
それだけでなく、中曽根は「日本列島にある4つの海峡を全面的かつ完全に支配する」とし、「これによってソ連の潜水艦および海軍艦艇に海峡を通過させない」と語ったのである。ソ連に対する挑発以外の何ものでもない。
千島列島沖で艦隊演習が実施されてから4カ月ほど経た8月31日から9月1日にかけて大韓航空の007便がソ連の領空を侵犯した。NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)が設定したアラスカの「緩衝空域」と「飛行禁止空域」を横切り、アメリカ空軍の偵察機RC-135とランデブー飛行した後にカムチャツカを横切り、ソ連側の警告を無視して飛び続けてサハリンで再び領空を侵犯、モネロン島の上空で撃墜されたとされたのだ。その間、NORADは反応していない。
11月になるとアメリカ軍は戦術弾道ミサイルのパーシングIIを西ドイツへ配備、NATO軍は軍事演習「エイブル・アーチャー83」を計画していた。この演習では核攻撃のシミュレーションも行われることになっていたのだが、これをKGBは「偽装演習」だと疑い、ソ連政府は応戦の準備を始めた。そこでNATOは演習の中止を決める。
ちなみに、1941年に日本軍はソ連へ侵攻する目的で中国東北部に約70万名の部隊を集結させたが、その口実として「関東軍特種演習(関特演)」を実施するとしていた。
日本の周辺では今年2月にフランス海軍が核攻撃用の潜水艦1隻と2隻の軍艦を南シナ海へ派遣、イギリスが空母打撃群を南シナ海へ、カナダは1月に自国の軍艦を台湾海峡へ派遣している。
ジョー・バイデン政権は3月8日から韓国と合同で大規模な軍事演習を実施、3月12日にはアメリカ、日本、インド、オーストラリアの「クワッド」と呼ばれる4カ国の首脳がオンライン会議を開く。
3月15日にはアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官が日本を訪問、茂木敏充外相や岸信夫防衛相と会談し、その際にブリンケン国務長官は中国の「威圧的で攻撃的な姿勢」を批判した。オースチン国防長官は3月18日に朝鮮を威嚇している。アメリカ軍は朝鮮を「今夜にでも攻撃する準備ができている」と口にしたのだ。
そうした軍事的な恫喝行為を繰り返した上で、アメリカは3月18日と19日に中国の外交責任者をアンカレッジへ呼び出し、会談している。アメリカからブリンケン国務長官と国家安全保障補佐官のジェイク・サリバンが、また中国からは中央外事活動委員会弁公室の楊潔篪主任と王毅外交部長がそれぞれ出席した。席上、アメリカは中国を威圧しようとしたのだが、中国から強く反撃されている。
それでもアメリカは中国への恫喝を続け、4月17日には横田基地で撮影された南シナ海から三沢基地へ戻る途中の4機のF-16戦闘機は、いずれも5機のAIM-120C-7 AMRAAM(視程外射程空対空ミサイル)やAIM-9サイドワインダーが装備されていた。そこで中国に対する威嚇飛行を行ったと見なされている。
アメリカはロシアや中国を恫喝し、屈服させようとしているわけで、当然、その影響を日本は強く受ける。7月13日の閣議で報告された2021年版の防衛白書にもそうした影響が反映されていた。その中で「台湾をめぐる情勢の安定」が日本の「安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要」だと強調されている。
その前、7月5日に麻生太郎副総理兼財務相は、台湾海峡で「大きな問題が起き、日本にとって『次は』となれば、存立危機事態に関係してくるといってもおかしくない。日米で一緒に台湾の防衛をやらないといけない」と自民党衆院議員の会合で述べたという。
「存立危機事態」とは、2015年に成立した安全保障法制で、集団的自衛権を使う際の前提条件として規定された。日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態だという。
アメリカは肩を怒らせ、中国やロシアを威圧しているつもりだが、中国やロシアには相手にされず、追随する国は多くない。ここにきてフィリピンを引きこくため、同国に対する恫喝を強めているが、どうなるかは不明だ。
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