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窮屈で笑えない社会から逃げずウーマン村本はネタにする 今週グサッときた名言珍言
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/266257
2019/12/15 日刊ゲンダイ
ウーマンラッシュアワー・村本大輔(C)日刊ゲンダイ
「お客さんがみるみるうちに、どの顔で聞いたらいいかわからない顔(になっていくの)が最高でした」(村本大輔/フジテレビ「THE MANZAI」12月8日放送)
年に一度の漫才の祭典である「THE MANZAI」に出演したウーマンラッシュアワー。ボケ担当の村本大輔(39)は、自身が大飯原発がある福井県おおい町出身であると前置きした上で、「原発原発原発原発原発原発原発原発原発、皆さんが日頃から逃げてる言葉を一気に浴びせてやりましたよ!」と不敵に笑った。
彼らのネタは原発問題に始まり、沖縄の基地問題、台風避難所でのホームレス受け入れ拒否問題、さらには朝鮮学校が抱える問題へと続いた。そんな漫才を終えて感想を語った言葉を今週は取り上げたい。確かに今、テレビで放送する漫才でこのような話題を扱う芸人はいないから、客が困惑するのも無理はない。
2017年、脳科学者の茂木健一郎が自身のツイッターに「上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無」「国際水準のコメディアンとはかけ離れているし、本当に『終わっている』」などと海外の芸人たちと比較して投稿。これに対し、日本の状況は違う、政治ネタは笑えないから選ばないだけ、などと一斉に芸人たちが反論した。
だが、村本は違っていた。この頃、AbemaTV「土曜The NIGHT」などで社会的な話題を扱っていた彼は、「政治だけじゃなくて、政治もひっくるめた世の中の空気みたいな、政治のことを言った人が話を逸らしたり、そういうところに興味がある」(メディアシンク「デイリーニュースオンライン」17年5月12日)と勉強を始め、アメリカのスタンダップコメディーに傾倒していった。
アメリカでは当たり前のように、お笑いには社会問題などが出てくる。けれど、日本でそれを出すと逆に「笑いから逃げてる」と言われてしまうと彼は嘆く。テレビに出ないと芸人は「消えた」と言われてしまうが、自分の本業は漫才師。「だからおれはいつでもどこかのセンターマイクの前にいる」(村本大輔「note」19年12月8日)と村本は言う。
ネタ中にも村本は「みんながどういうテンションで聞いたらいいか分からないと言われました」と明かす。その「みんな」の中に、原発や基地問題、朝鮮人差別で苦しむ人は入っていない。村本は「いつでも『みんな』の中にいない人がいて、『みんな』の中にいない人が透明人間にされて、透明人間の言葉は誰も聞かれないようになる」とネタを続けた。
今の日本では、政治や社会問題を漫才に入れると笑いにくくなり、そんなのは漫才じゃないと言われたりもする。けれど、それこそが窮屈で笑えない社会だと、村本はセンターマイクの前で自分の考える「漫才」にこだわり続けるのだ。
てれびのスキマ 戸部田誠 ライタ―
1978年福岡県生まれ、静岡育ち。福島在住の会社員時代、お笑い、格闘技、ドラマなどをこよなく愛するテレビっ子≠こじれせ、「てれびのスキマ」というブログを開始。その独特な観察眼が水道橋博士などに評価され、新進気鋭のテレビライターとなる。「タモリ学 タモリにとって『タモリ』とは何か?」(イースト・プレス)、「コントに捧げた内村光良の怒り」(コア新書)など著書多数。
【今週グサッときた名言珍言/てれびのスキマ 戸部田誠】窮屈で笑えない社会から逃げずウーマン村本はネタにする https://t.co/RMMUJktuJ5 #日刊ゲンダイDIGITAL
— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2019年12月14日
この路線はないから、彼は生き残るな。
— Machiko Yamakawa (@mshacho) 2019年12月15日
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