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私たちの命とくらしを蝕む日米FTAを阻止
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2019年11月26日 植草一秀の『知られざる真実』
この臨時国会で日米FTA批准案が上程されている。 2016年に米国を含むTPP承認案が国会で大きな論議を呼んだ。 安倍内閣は2012年12月の総選挙に際して「TPP断固反対!」と大書きしたポスターを貼りめぐらせた。 自民党はTPPに関する6項目の公約を明示した。 コメ・麦・肉、乳製品、砂糖などの重要5品目の関税を守る 国民皆保険を守る 食の安全・安心を守る 数値目標を受け入れない ISD条項に合意しない 公共調達・金融で国の特性を踏まえる を主権者に公約として明示した。 ところが、2012年12月の総選挙から3ヵ月も経たない2013年3月15日、安倍首相はTPP交渉への参加を決めた。 「TPP断固反対!」のポスター表記とは真逆の行動が取られたのだ。 2016年11月、米国でトランプ氏が新大統領に選出され、2017年1月の大統領就任と同時にTPPからの離脱が公約に掲げられていた。 米国が離脱すればTPPの発効はなくなる。 日本がTPP批准を急ぐ必要はないとの意見が大勢を占めていた。 もちろん、TPPそのものに日本が参加するべきでないとの主張も極めて強かった。 この情勢のなかで安倍首相はTPP批准を強行した。 米国がTPPから離脱した場合は、米国をTPPに引き戻し、日米FTA交渉はやらないと繰り返した。 米国を含むTPP合意内容を完全に確定するために批准を急ぐと説明した。 果たして、米国は予告通りにTPPから離脱した。 安倍首相はトランプ大統領にTPPへの回帰を呼びかけることもなく、一切の見直しをしないと言っていたTPP合意内容の改定に突き進んだ。 米国が抜ければ米国を含む枠の数量等が過大になる。 各国は自国の利益を損なわぬよう、数値の改定に取り組んだが、日本だけは米国を含む数値枠等の見直しを一切行わずに、米国抜きのTPP合意形成を主導した。 そして、米国抜きのTPP11の合意を形成し、TPP11批准を強行。 ついに米国抜きのTPP11を発効させてしまった。 それだけではない。 やらないと明言していた日米FTA交渉を米国の命令に従って受け入れ、米国の命令に服従するかたちで日米FTAの批准をいま強行しようとしている。 TPP論議が紛糾したのは、TPPが日本の主権者の利益を損なうためである。 コメ・麦、肉、乳製品などの重要な農業分野が壊滅させられるだけではない。 食の安全は破壊され、国民皆保険の骨格も破壊される可能性が高い。 ISD条項によって国家主権さえ失われる。 日本の農業分野が壊滅的打撃を受ける最大の要因は米国産品が日本に流入することによる。 ISD条項で主権が侵害されることになる最大の原因国は言うまでもなく米国である。 TPPに伴う重大な問題の発生源は米国であり、この意味で、日米FTAこそ2016年の大論議の中核内容だったのだ。 その日米FTAが、ほとんど議論のないまま、国会で批准されようとしている。 立憲民主党、国民民主党の衆議院国会対策委員長は、11月13日、自民党の国会対策委員長と会談し、15日の委員会採決、19日の本会議採決に同意してしまった。 桜疑惑で国会審議を完全にストップさせられる大義名分がありながら、自民党の要求通りに衆議院を通過させることに協力してしまった。 日米FTAは、まず物品貿易、デジタル貿易に関する取り決めで批准するが、来年4月からは残りの20分野での交渉を米国は日本に押し付ける。 安倍内閣はTAG(物品貿易協定)でFTA(自由貿易協定)でないとの詭弁を呈しているが、22分野の協定はFTAそのものである。 「TPPプラスを許さない全国共同行動」は食健連と共同で、日米FTA批准案の審議が参議院外交委員会で行われる11月26日(火)と11月28日(木)の午前10時から、参議院議員会館前での座り込み抗議行動ならびに委員会傍聴を行う予定である。 また、11月28日(木)には、「TPPプラスを許さない全国共同行動」単独主催行動として、 第2回「日米貿易協定批准反対」院内集会を参議院議員会館で午後5時半から6時半の日程で開催し、集会終了後、議員会館前でアピール行動を行うこととしている。 売国協定の発効を阻止しなければならない。 |
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