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産経新聞の「桜を見る会」安倍首相擁護が無理やりすぎて笑える! 夕食と朝食を比較、誰も言ってない「5000円でできる」見出しに
https://lite-ra.com/2019/11/post-5108.html
2019.11.23 「桜を見る会」で産経新聞の安倍擁護が無理やりすぎて笑える! リテラ
産経新聞東京本社が入る東京・大手町のサンケイビル
安倍首相主催「桜を見る会」をめぐる一連の疑惑で、窮地に追い込まれている安倍政権。最後に頼るのは“応援団メディア”ということらしい。
血税を私物化した悪質な選挙利用、「前夜祭」の公選法・政治資金規正法違反疑惑、やっぱりあった“昭恵フレンズ枠”などなど、もはや怒涛の疑惑ラッシュにあるなか、“安倍政権御用機関紙”こと産経新聞が、無理やりの“失笑カウンター”報道を乱発しているのである。
たとえば20日(産経ニュース)の「立憲・安住氏の朝食会『原価』1人1739円 首相の会費5000円より安く」と題した記事。立憲民主党の安住淳・国対委員長の資金管理団体が2012年、ホテルニューオータニで開いた政治資金パーティ「淳風会政経懇談会 朝食セミナー」について、〈会合の「原価」に当たるホテルの会場使用料が対価を支払った人1人当たりで1789円だった〉ことが政治資金収支報告書からわかったというのだが、これが笑えるくらい強引な難癖記事なのだ。
だいたい、いま問題になっている安倍事務所の「桜を見る会前夜祭」は夜のパーティだ。「朝食セミナー」と比べて、いったいなに言ってんの?って話だろう。
当たり前の話だが、夜のパーティと違って、政治資金パーティの朝食会は、出費を抑えて利ざやを増やすために、簡素なモーニングセットなどの軽食になることが多い。当然、飲み物もお茶や水だ。産経サンは鬼の首をとったかのように「首相の会費5000円より安く」と書きたてているが、そもそも比較できないものを同列に扱っている時点でアホ丸出しである。
まったく、この時点で相手にするのもバカバカしくなってくるが、一応、真面目に言っておくと、産経記事にある「1人1789円」なる算出方法もお笑いレベルだ。
これは、政治資金収支報告書をもとに、1062万円の収入があった2012年4月23日の「朝食セミナー」について、ホテルニューオータニへの支出額(会場費=約92万円)を購入されたパーティ券の人数(=531人)で割って出した数字らしいが、だいたい、政治家が会場の収容人数をはるかに上回る枚数を売りさばいているのは常識だろう。安住氏の「朝食セミナー」にしても、おそらく、実際に当日参加した人数は報告書の記載よりもずっと少なかったと思われる。
もっとも、これは政治資金規正法がザルすぎて事実上の献金になっているということで、倫理的な問題はあるが、それを言うなら安倍首相や麻生太郎財務相ら有力政治家たちはパー券でもっと荒稼ぎしている。たとえば自民党の岸田文雄政調会長は、年に複数回、「衆議院議員岸田文雄と国政を語る会」と題した政治資金パーティの朝食会を行なっており、その会場がホテルニューオータニの場合もある。試しに、産経と同じ方法で「一人あたりの金額」を出してみたところ、約2600万円の収入を得た2017年4月25日のニューオータニでの朝食会は、支出の「会場費」を「対価の支払いをした者の数」(=900人)で単純に割って1人2277円だった。もちろん、これも900人が来場したとは思えず、ようするに産経の算出方法自体がナンセンスなのである。
加えて言うなら、こうした「検証」ができるのも、そもそも安住議員の資金管理団体が政治資金パーティの収支をちゃんと政治資金収支報告書に記載しているからだろう。言うまでもなく、「桜を見る会前夜祭」をめぐる問題は、安倍首相の全関連団体の収支報告書にまったく記載がなかったところから始まっており、そこから政治資金規正法違反や公職選挙法違反などが指摘されてきたわけだ。本末転倒とはこのことだろう。
■「『会費5000円、あり得る』ホテル関係者」の見出し、でも本文にはそんなコメントはなし
いずれにしても、産経新聞は安倍首相を擁護すべく、比較対象にならない簡素な政治資金パーティの「朝食会」と、酒飲み放題の「桜を見る会前夜祭」をわざと同列にならべて、安倍側が言い張る「会費5000円でできたもん!」を正当化しようというのだ。こんな子ども騙しの“フェイク”を堂々とぶってくるとは、逆に笑えてくるではないか。
いや、この「一人1789円」記事だけではない。産経は他にも必死すぎるあまり、一読して無茶苦茶な政権擁護記事を次々繰り出している。「首相夕食会『会費5000円、個別領収書あり得る』ホテル関係者」(産経ニュース19日)と題した記事なんて典型だ。
コレ、どういう話かというと、匿名の〈会場となったホテルの関係者〉が「安くても受けることがあり得る」「例えば『総額でこれくらいで収めてほしい』という相談があれば、応じざるを得ない」「注文を断れば収入はゼロになり、別の日への変更も不可能だ。スケールメリットなどを総合的に考える」「参加人数で割れば、いろいろな金額になることはある」などと証言した、と産経は言うのだが、お気づきだろうか。
実は、タイトルには「会費5000円、個別領収書あり得る」と書いてあるのに、記事のどこを読んでも、その「ホテル関係」なる匿名人物が「5000円でできます」とはまったく明言していないのである。
この人物が言っているのは、ようするに、予約が入りにくい閑散期や空きがあるときの直前予約などでは値引きすることもありうる、という一般論でしかない。しかも、問題の「桜を見る会前夜祭」が行われているのは4月で、閑散期でもなければ、直前に予約されているわけでもない。逆に産経は、「前夜祭」がスケージュールや条件的に、「注文を断れば収入はゼロ」になるような割引案件ではないことを、間接的に示してしまったとさえ言えるだろう。
■文春ではニューオータニ現職社員が「5000円はありえません」と証言、産経の嘘を明らかに
しかも、はっきりと「5000円でできる」と明言する関係者がいない一方で、「5000円では無理だ」という証言はたくさんある。たとえば、先週発売の「週刊文春」(文藝春秋)でも、ホテルニューオータニで〈パーティーなどを担当する料飲営業部に所属経験のある現職社員〉がこう証言していた。
「会社からはこういった取材には答えるな、と言われているのですが……会費五千円はあり得ません。会場費は値下げができませんし、飲食費をディスカウントするといっても、限度がある。うちは居酒屋じゃないんです」
「スケールメリットはないんです。八百人規模ならば、通常、飲食費と会場費(今年は一番広い“鶴の間”で行われた)を含めれば、どれだけお安いメニューにして、提供する食事や飲み物の量を少なくしても、最低でも合計で一千万円はかかります」
安倍首相が言うように、出席者800人で一人あたり5000円の会費を払ったとしたら、実に600万円も足りないのである。この“不足分”は安倍側が埋めたのか、それともニューオータニ側が負担したのかが焦点になっているわけだが、産経新聞はひたすら「5000円でできるはずだ」との願望(妄想)ありきで、総理大臣の公選法違反疑惑などには全く踏み込もうとしないのだ。だったら、もう産経の社員を800人連れて「ひとり5000円でお願いします!」とニューオータニに申し込んでみたらどうか。
政権のピンチに青ざめ、必死になった産経新聞は、擁護記事ならもはや何でもアリ、というか、報道機関として当然求められるジャーナリズムを捨ててしまった。実際、全国各紙の社説を読んでも、あの読売新聞ですら政権を厳しく批判して前夜祭も含めて論じているのに、産経はどうか。11月23日までの社説「主張」では、最大の問題である前夜祭には一言も触れていない。ようするに“タブー化”しているのだ。
国民が疑っている疑惑の真相を追及できず、苦し紛れに野党をディスってみたり、デスクから「5000円でできる」なる妄想記事を書けと命じられる若手記者の心境は察するに余りあるが、産経はあくまで安倍政権と心中するつもりなのだろう。御用メディアの運命といえども、さすがに哀れである。
(編集部)
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