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物事の本質触れず都合のいい数字だけ持ち出す「安倍語法」 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/264667
2019/11/14 日刊ゲンダイ
なぜか「アベノミクス」という言葉を使わずに…(安倍首相、2013年の頃)/(C)日刊ゲンダイ
「文芸春秋」12月号の安倍晋三首相インタビューには心底、驚いた。「失敗が私を育てた」と題しているから、この20日で桂太郎の2886日を超えて歴代最長になるとかいう長々しい在任期間中の数々の失敗について、率直に反省しているのかと思いきや、とんでもない。
相変わらず、問題の本質には触れずに都合のいい数字や言葉をちらつかせて「やっているフリ」をするという安倍語法の一本槍。聞き手の田崎史郎もひどくて、揉み手をするようにしてお説を拝聴するばかりの幇間ぶりを遺憾なく発揮している。
インタビューというからには一対一の真剣勝負で、相手の裏をかいたり揚げ足をとったり、予想外の質問を飛ばして撹乱したり、あらゆる手を尽くしてホンネを引きずり出すのが本旨であるというのに、こんな政府広報みたいな緩みきった提灯記事を平気で出すとは、文春も落ちたものである。
「週刊文春」砲で閣僚のクビが飛んだりしているのをこちらで穴埋めしようという裏取引でも働いているのかと疑われても仕方なかろう。
安倍の言っていることのいちいちには、1ページにつき3つも4つも切り込みたくなるが、本欄ではその1つだけを取り上げておく。
最初に「これはやって良かったなという政策は?」と問われた安倍は、(アベノミクスという言葉はなぜか使わずに)「三本の矢を打ち出し……その結果、正社員の有効求人倍率も史上初めて一倍を超えた。……そういう真っ当な社会を作り出すことができたと思っています」と答えた。
これが嘘八百だというのは、今では誰もが知っていることで、この6年間に実質GDPはほぼ横ばい、雇用が少々増えたといっても非正規の比率ばかりが増え、正規・非正規を合わせた実質賃金は下がり放しだし、企業の内部留保は上がり放し。なのに、安倍が自慢できるのは昔も今も、「正社員の有効求人倍率」が上がったということだけなのだ。
人口減少社会に入り、生産年齢人口が減り続けている中では、人手不足に悩んで職安に求人を頼る企業が増えるのは当たり前で、安倍政権の政策のおかげでも何でもない。
これでは、タイトルは「多くの失敗にもかかわらず、私は政治家としてちっとも育ちませんでした」とでも改めたほうがいいのではないか。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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— 日刊ゲンダイ (@nikkan_gendai) 2019年11月13日
物事の本質触れず都合のいい数字だけ持ち出す「安倍語法」 https://t.co/X2pc0oygGT #日刊ゲンダイDIGITAL お父さんに、「お前は政治家に向いてない」と言われたのに。
— tulibug (@tulibug) 2019年11月14日
物事の本質に触れず都合のいい数字だけ持ち出す「安倍語法」
— KK (@Trapelus) 2019年11月13日
「文芸春秋」12月号の安倍晋三首相のインタビューには心底、驚いた。相変わらず、問題の本質には触れずに都合のいい数字や言葉をちらつかせて「やっているフリ」をするという安倍語法の一本槍
永田町の裏を読む 高野孟(日刊ゲンダイ) pic.twitter.com/IdcPRGhWJr
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